2年ぶりに登場した超級山岳キャメロンハイランドの頂上ゴールで、アジアンライダー総合リーダージャージを着るワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)が独走勝利。下位を2分以上引き離す驚きの勝利を飾ったワンが一気に総合優勝候補筆頭に名乗りを上げた。

佐野淳哉ら、ヴィーニファンティーニ勢が集団を牽引佐野淳哉ら、ヴィーニファンティーニ勢が集団を牽引 photo:Sonoko Tanakaマレー半島中部のスンガイシプットを発ち、標高1500mの高原リゾート・キャメロンハイランドに至る140.7kmで行なわれたツール・ド・ランカウイ第3ステージ。平均勾配は特筆すべきではないものの、ステージの後半は標高1500mに向けてほぼ登りっぱなしだ。

マレー半島中部の山間部を走る逃げグループマレー半島中部の山間部を走る逃げグループ photo:Sonoko Tanaka総合が大きく動くこの超級山岳ステージで、総合3位につけるワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)が他のアジアンコンチネンタルチームのメンバー4名と逃げる。

前日の第2ステージを終えた時点で、ワンはトップから11秒遅れの総合3位。総合争いにおける危険人物だが、ヨーロッパプロチームがコントロールするメイン集団はこの動きを容認する。キャメロンハイランドの麓に達した時点で、タイム差は12分まで拡大していた。

標高1500mに至る登りが始まり、ゴールまで40kmを切ると、ワンが先頭で独走を開始。スピードアップするメイン集団に対して10分のリードを保って逃げる。チームメイトのために新城幸也(ユーロップカー)も集団ペースアップに加わった。

ゴールまで20kmを残してタイム差8分。終盤、ジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)が単独追走を試みたが、最後までタイム差は詰まらなかった。

アジアンリーダージャージのワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)が逃げるアジアンリーダージャージのワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)が逃げる photo:Sonoko Tanakaリーダージャージを着て走るテオ・ボス(オランダ、ブランコプロサイクリング)リーダージャージを着て走るテオ・ボス(オランダ、ブランコプロサイクリング) photo:Sonoko Tanaka
キャメロンハイランドの登りでメイン集団を牽引する新城幸也(ユーロップカー)キャメロンハイランドの登りでメイン集団を牽引する新城幸也(ユーロップカー) photo:Sonoko Tanaka

単独でワンを追走するジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)単独でワンを追走するジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ) photo:Sonoko Tanakaワンはアレドンドを2分27秒、後続を3分以上引き離してゴール。アジアン総合リーダージャージのワンが、2013年大会の総合争いに激震を走らす逃げ切り勝利を飾った。

集団前方でキャメロンハイランドの登りをこなす伊藤雅和(愛三工業レーシング)集団前方でキャメロンハイランドの登りをこなす伊藤雅和(愛三工業レーシング) photo:Sonoko Tanaka「人生最良の日だ。チームの戦略として逃げに乗ろうとは思っていたけど、こんな素晴らしい勝利は予想していなかった。登りが始まったところで独走になり、チャンスが生まれたので、挑戦して、成功にこぎ着けた」と語る24歳のワン・メイインは、2009年にトレック・マルコポーロでプロデビュー。今年プロ5年目だが、これまで際立って良い成績を残してきたわけではない。

片手を突き上げてゴールするワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)片手を突き上げてゴールするワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング) photo:Sonoko Tanakaほぼ無名な選手だったことが、メイン集団の追撃を遅らせた。「プロトンの選手たちは僕を知らなかったか、もしくは捕まえると踏んでいたんだと思う。だから追走が遅れた。そういう意味では僕はラッキーだったよ」。

ワンは個人総合成績、ポイント賞、山岳賞、アジアンライダー総合成績の4賞ジャージ全てを獲得。翌日からは、チームメイトである元ディスカバリーチャンネル&レディオシャックのリー・フーユーを従えて、ヨーロッパのビッグチームを相手に闘う。

日本勢の最高位は、集団牽引に力を使った新城幸也で、6分20秒遅れの36位。ユキヤは「他のチームも結構追いかけていたので、ワン選手も捕まるだろうと任せていたが、なかなか差が縮まらないから最後は自分も必死で追ったんだけどね・・・。手遅れだった。残念だなぁ。でも、登れてるし、ピエールはゲンティン(今日のステージよりも大きな山岳ステージ)を狙ってるから、明後日だね。今日は久しぶりのキャメロンハイランドで、足慣らしになったよ」とコメントしている。2011年のキャメロンハイランドでステージ優勝を飾り、当時総合リーダージャージを獲得した綾部勇成(愛三工業レーシング)は、落車によって集団から脱落し、26分遅れの最後尾でゴールした。

選手コメントはレース公式サイト、ならびにユーロップカー広報アシスタント飯島美和より。

ランカウイ第3ステージのトップスリーが表彰台にランカウイ第3ステージのトップスリーが表彰台に photo:Sonoko Tanaka4賞ジャージを全て獲得したワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)4賞ジャージを全て獲得したワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング) photo:Sonoko Tanaka


ツール・ド・ランカウイ2013第3ステージ結果
1位 ワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)            3h50'01"
2位 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)      +2'27"
3位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)         +3'11"
4位 ウェズリー・サルツバージャー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
5位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)       +3'13"
6位 ヨナタン・モンサルベ(ベネズエラ、ヴィーニファンティーニ)
7位 ピーター・セリー(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 フォルトゥナート・バリアーニ(イタリア、チームNIPPO・デローザ)
9位 ツガブ・グルメイ(エチオピア、MTNキュベカ・サムスン)
10位 デニス・ファンニーケルク(南アフリカ)

36位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                   +6'20"
39位 福島晋一(日本、チームNIPPO・デローザ)               +7'12"
56位 伊藤雅和(日本、愛三工業レーシング)                 +7'34"
61位 中島康晴(日本、愛三工業レーシング)
65位 西谷泰治(日本、愛三工業レーシング)                 +7'49"
82位 石橋学(日本、チームNIPPO・デローザ)                +13'18"
84位 佐野淳哉(日本、ヴィーニファンティーニ)
100位 徳田鍛造(日本、チームNIPPO・デローザ)              +22'58"
130位 福田真平(日本、愛三工業レーシング)
131位 盛一大(日本、愛三工業レーシング)
132位 綾部勇成(日本、愛三工業レーシング)                +26'35"

個人総合成績
1位 ワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)            10h44'44"
2位 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)      +2'43"
3位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)         +3'29"
4位 ウェズリー・サルツバージャー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +3'33"
5位 チャド・ベイヤー(アメリカ、チャンピオンシステム)           +3'35"
6位 ヨナタン・モンサルベ(ベネズエラ、ヴィーニファンティーニ)
7位 デニス・ファンニーケルク(南アフリカ)
8位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)
9位 ツガブ・グルメイ(エチオピア、MTNキュベカ・サムスン)
10位 フォルトゥナート・バリアーニ(イタリア、チームNIPPO・デローザ)

ポイント賞
ワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)

アジアンライダー総合成績
ワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)

山岳賞
ワン・メイイン(中国、ハンシャンサイクリング)

チーム総合成績
MTNキュベカ・サムスン

text:Kei Tsuji
photo:Sonoko Tanaka
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