クロスカントリーMTBシーンにおいて現在躍進している新カテゴリー、650B(27.5インチ)。ロードバイクブランドとして有名なボッテキアがこのジャンルに投じたフルカーボンハードテイルバイク、「ZONCOLAN 27.5」にスポットライトを当てる。

ボッテキア ZONCOLAN 27.5 ボッテキア ZONCOLAN 27.5  (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp

現在欧米を中心に爆発的な広まりを見せる650B市場。「ZONCOLAN 27.5」というモデルを引っさげてデビューを果たしたのは、1世紀以上も前に誕生したイタリアの歴史的ブランド、ボッテキアだ。ボッテキアというとEMMEシリーズに代表されるようにロードバイクのイメージが強いが、MTB部門にも大きな開発力を注ぎ込んでいる。

ロードと同じようにプロチームへの機材供給を行い、そのフィードバックを得て製品開発を行うあたりは伝統的ブランドならでは。近年ではプロチーム「KM Bottecchia pro team」の冠スポンサーを務めるなど、MTBに対して積極的だ。

ホイールはDT SWISS 650B 465DホイールはDT SWISS 650B 465D 1-1/8 、1-1/2サイズの上下異型ベアリングを採用したマッシブなヘッドチューブ1-1/8 、1-1/2サイズの上下異型ベアリングを採用したマッシブなヘッドチューブ フロントショックはトラベル量100mmのROCKSHOX REVELATION RLフロントショックはトラベル量100mmのROCKSHOX REVELATION RL


ジロ・デ・イタリアに登場する悪名高き峠の名”ゾンコラン”を冠したZONCOLAN 27.5は、ボッテキアが2013年モデルとしてデビューさせたフルカーボンXCレーサーだ。緩やかな曲線で構成された美しいカーボンフレームには、これまでボッテキアが培ってきたテクノロジーが凝縮される。

ZONCOLAN 27.5のベースとなったのは従来カタログにラインナップされてきたZONCOLAN 26"だ。ホイールのインチアップに伴ってBBハイトとヘッドチューブ長が変更され、ヘッドチューブ、シートチューブのアングルを改良することにより懸念される「ダルさ」を抑え込み、完璧なバイクバランスを追求した。具体的にはヘッド・シートチューブアングルは共に0.5°のプラスが行われている。

シートステーへと繋がるようデザインされたトップチューブシートステーへと繋がるようデザインされたトップチューブ 扁平形状のシートステーつけね部分の造形扁平形状のシートステーつけね部分の造形


丸みを帯びた三角形断面のダウンチューブを採用丸みを帯びた三角形断面のダウンチューブを採用 全体に比較してBBシェル周りはスマートな形状だ全体に比較してBBシェル周りはスマートな形状だ


モノコック構造で製造されるフレームに採用されるカーボンは、信頼の東レ製ユニディレクショナルカーボンだ。フレーム各部の余分を削ぎ落とすことによって重量はフレーム1090gと軽く、この数値は26インチモデルと同様だ。

ボッテキアのレーシング機材専門開発チームである「Reparto Corse(レパルトコルセ)」のロゴも輝かしいZONCOLAN 27.5。1"1/8 – 1"1/2サイズの上下異型ベアリングを採用したマッシブなヘッドチューブからは緩やかに湾曲したトップチューブと大口径のダウンチューブが延びる。

チェーンステー側にマウントされるディスクブレーキチェーンステー側にマウントされるディスクブレーキ リアエンドの形状を見る。大きくラウンドさせることで応力集中を防ぐ工夫が見て取れるリアエンドの形状を見る。大きくラウンドさせることで応力集中を防ぐ工夫が見て取れる


リアバックの振動吸収性についてはシートステーを大きく扁平加工させることで補い、リアブレーキをチェーンステーに装備することで、シートステーの柔軟な動きを可能としている。BBはスレッド式だが、シェル部分には十分なボリュームを与えられている。

トップチューブに記される27.5の文字トップチューブに記される27.5の文字 シンプルな丸型断面のシートチューブを採用するシンプルな丸型断面のシートチューブを採用する シートステーをしならせることで衝撃吸収を狙うシートステーをしならせることで衝撃吸収を狙う


販売パッケージはシマノ・XTRと同XTをアッセンブルした2モデルがラインナップ。いずれもホイールはDT SWISS 650B 465D、フロントショックはトラベル量100mmのROCKSHOX REVELATION RL、ステム・ハンドル類はリッチーのWCSアルミがセットアップされる。

今回のテスト車両は、XTをコンポーネントに採用したZONCOLAN 27.5 XT。重量は48サイズで11.6kgだ。早速インプレッションに移ろう。





―インプレッション「高剛性かつ低重心のXC用レーシングバイク」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)

私は今回初めて650Bのバイクをテストしました。選手の時は26インチを乗っていて、今は29インチのバイクに乗っています。650Bについて良く「26と29の中間」という言葉を聞きますが、乗り込んでいく内に26にも、29にも属さない独自の性格があると感じます。

「高剛性かつ低重心のXC用レーシングバイク」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)「高剛性かつ低重心のXC用レーシングバイク」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート) このZONCOLAN27.5は、非常にフレーム剛性が高くできているバイクです。その為26インチと比較しても踏み出しが軽く、スッと気持ち良くスピードが伸びていく性格がありますね。トップチューブが長く、フロントセンターも長いですね。

更にBBハイトが低いために重心も低く安定し、急勾配の上りや下りでひっくり返ってしまう怖さが無く、大きなドロップオフを越える際の不安も少ないと言えるでしょう。ゆっくりと走っている時の安定感は優れていますね。ハンドリングは単体で見た場合にクイック気味の味付けですが、ホイール径が大きい分のまったりとした動きを相殺し、とてもバランスよく仕上げられていると感じます。26インチから乗り換えても違和感は感じないはずです。

剛性が高いためリアからの突き上げはかなりありますが、やや前荷重で積極的にサスペンションを動かすような走りをするとちょうど良いかと思いました。ファンライド的な走りよりは、高いアベレージスピードをキープするレース的な走りの方が向いています。29インチよりクイックですし、つまりピュアXCレーサーですね。

ただホイールの径が大きくなる欠点として、ブレーキの効きが甘くなることが挙げられます。もちろん慣れで収まる範疇ですが、ブレーキを交換してストッピングパワーを稼いだり、足回りを軽量化することで解消できるでしょう。またタイヤクリアランスも大きく確保されているので、マッドコンディションの多いコースでも泥詰まりは少ないはずですね。

650Bの魅力は、違和感の無いポジションを出せることと、その走破性の高さでしょうか。このバイクは巡航能力に優れているため、エンデュランス的な走りをするのにも向いています。王滝でも29インチの匹敵する走りができるでしょう。

ボッテキア ZONCOLAN 27.5 ボッテキア ZONCOLAN 27.5  (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp


BOTTECCHIA ZONCOLAN 27.5(XT仕様)
サイズ:42、48、53cm
カラー:CARBON/BLUE
フレーム:UD カーボン モノコック 27.5”
フォーク:ROCKSHOX REVELATION RL 100mm
コンポーネント:シマノ XTR
ショック:ROCKSHOX REVELATION RL、100mm
ステム・ハンドル・シートポスト:リッチー WCS AL
ホイール:DT SWISS 650B 465D
価 格:441,000円(税込)




インプレライダーのプロフィール

戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート) 戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)

1990年代から2000年代にかけて、日本を代表するマウンテンバイクライダーとして世界を舞台に活躍した経歴を持つ。1999年アジア大陸マウンテンバイク選手権チャンピオン。MTBレースと並行してロードでも活躍しており、2002年の3DAY CYCLE ROAD熊野BR-2 第3ステージ優勝など、数多くの優勝・入賞経験を持つ。現在はOVER-DOバイカーズサポート代表。ショップ経営のかたわら、お客さんとのトレーニングやツーリングなどで飛び回り、忙しい毎日を送っている。09年からは「キャノンデール・ジャパンMTBチーム」のメカニカルディレクターも務める。
OVER-DOバイカーズサポート


text:So.Isobe
photo:Makoto.Ayano

最新ニュース(全ジャンル)