リードアウトマンをメカトラで失ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)が、ラスト350mでスプリントをスタート。追随する選手を振り切ったカヴェンディッシュが、今大会1勝目と貴重なボーナスタイムを手にした。

リーダージャージのブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシングチーム)が集団を牽引リーダージャージのブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシングチーム)が集団を牽引 photo:A.S.O.ツアー・オブ・カタールの残り4ステージはいずれも平坦ロードレース。2月5日、第3ステージがドーハ近郊のアルワクラとメサイードを繋ぐ周回コースで行なわれた。

公式レースレポートによると、この日の風は弱め。14km地点で発生した落車に総合2位のテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)やフランスチャンピオンのナセル・ブアニ(フランス、FDJ)らが巻き込まれたが、いずれも軽傷ですぐに再スタート。膝を深く切ったカルステン・クローン(オランダ、サクソ・ティンコフ)はリタイアしている。

砂漠の中を逃げるマシュー・ヘイマン(オーストラリア、スカイプロサイクリング)ら砂漠の中を逃げるマシュー・ヘイマン(オーストラリア、スカイプロサイクリング)ら photo:A.S.O.20km地点のスプリントポイントでは、カヴェンディッシュがボーナスタイム獲得に動く。リーダージャージ擁するBMCレーシングチームのアダム・ブライス(イギリス)がカヴの先頭通過を阻止したが、2番手通過のカヴはボーナスタイム2秒獲得に成功した。

やがて先頭ではマシュー・ヘイマン(オーストラリア、スカイプロサイクリング)ら7名の逃げが決まり、タイム差が3分弱を推移してレースは進行。フィニッシュまで36kmを残して集団は再び一つに戻る。

最大3分リードで逃げる7名の選手たち最大3分リードで逃げる7名の選手たち photo:A.S.O.ここからスプリンターチームが隊列を組んだが、カヴは大事なリードアウトマンを失ってしまう。「今日はリードアウト役を担う予定のギヨーム・ヴァンケルスブルックのスポークがラスト2〜3kmで折れて、人手が足りなくなったので、急遽ニキ(テルプストラ)に引いてもらった。彼がラスト1kmまで抜群のポジションをキープしてくれたおかげで、他のチームのトレインに上手く乗ることが出来たんだ」と言う。

ロングスプリントで勝利したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)ロングスプリントで勝利したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:A.S.O.ゴールスプリントで真っ先に仕掛けたのはカヴ。一気に先行選手をまくったカヴが、アイディス・クルオピス(リトアニア、オリカ・グリーンエッジ)らを振り切る。ロングスプリントで今大会1勝目、シーズン2勝目をマークした。「フィニッシュラインまで350mを残してスプリントを開始。12番手あたりを走っていたので、勝つためにはかなり早めのタイミングで仕掛けるしかなかった。調子の良さを感じていたので、長い距離のスプリントでも問題ないと判断したんだ」。

今シーズン2勝目を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)今シーズン2勝目を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:A.S.O.ボーナスタイム12秒(スプリントポイント2秒&フィニッシュ10秒)により、カヴは総合4位に浮上。リーダージャージを守ったブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシングチーム)とのタイム差は8秒まで縮まっている。まだ3ステージ残っていることを考えると、リーダージャージを射程圏内に捉えたと言ってもいい。

「ボーネンやニキのような選手なら、少人数のグループに入るなどして、総合優勝を狙うことが出来る。でもスプリンターの僕はその戦術を使えない。だから大集団でスプリントして、ボーナスタイムを稼ぐしかない。この先もステージ優勝に集中して、その副産物としての総合優勝を狙いたい」(カヴ)。

日本勢の最高位は、清水都貴(日本ナショナルチーム)の18位。チームメイトの鈴木譲と西谷泰治、盛一大、そしてクルオピスのポジション取りに加わったオリカ・グリーンエッジの別府史之も同集団でゴールしている。鈴木は自身のブログに「とにかくすごいレースです。横風、平地のスピードとは思えない速度域」と綴っている。



ツアー・オブ・カタール2013第3ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)3h05'14"
2位 バリー・マルクス(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
3位 アイディス・クルオピス(リトアニア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)
5位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング)
7位 ロジェ・クルーゲ(ドイツ、ネットアップ・エンドゥーラ)
8位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)
9位 フィリッポ・フォルティン(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)
10位 ジョフロワ・スープ(フランス、FDJ)

18位 清水都貴(日本、日本ナショナルチーム)
46位 鈴木譲(日本、日本ナショナルチーム)
60位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ)
80位 西谷泰治(日本、日本ナショナルチーム)
88位 盛一大(日本、日本ナショナルチーム)
108位 畑中勇介(日本、日本ナショナルチーム)                  +32"
111位 内間康平(日本、日本ナショナルチーム)                  +33"
120位 佐野淳哉(日本、日本ナショナルチーム)                 +1'05"

個人総合成績
1位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシングチーム)      6h49'58"
2位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)            +06"
3位 アダム・ブライス(イギリス、BMCレーシングチーム)             +07"
4位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)  +08"
5位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)       +10"
6位 ミヒャエル・シェアー(スイス、BMCレーシングチーム)
7位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、スカイプロサイクリング)       +11"
8位 マシュー・ヘイマン(オーストラリア、スカイプロサイクリング)        +12"
9位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング)   +14"
10位 ゲラント・トーマス(イギリス、スカイプロサイクリング)          +15"

ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)

新人賞
テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)

チーム総合成績
BMCレーシングチーム

text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.
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