プロチーム「マトリックス・パワータグ」には、一風変わった選手が存在する。それはフルタイムで働く37歳のサラリーマン、永良大誠選手だ。チーム移籍時は決して若いとは言えない35歳。そんな彼をなぜチームは必要としたのか? そして彼がプロ選手に挑む理由とは?

「サラリーマン選手の挑戦」

私が自転車競技を始めたきっかけは、怪我で陸上競技(長距離ランナー)を続けられないことからでした。
高校から陸上競技を始めた私は、学校卒業後、実業団チームのある地元の企業へ就職しました。
人に自慢出来るような実績もない私でしたが、競技を続けたい理由から部活顧問の先生や、直接、陸上部の監督にお願いして、陸上競技部員という特別枠で就職することが出来ました。
実業団活動は想像を絶する厳しさで、朝から晩まで毎日続くハードなトレーニングで体はボロボロになり、故障が絶えませんでした。

そんな陸上競技活動が続いた5年後、故障の多さを理由に退部を言い渡されました。プロの厳しさを痛感した瞬間でした。
その後、市民ランナーとして3年程競技を続けましたが、またしても大きな故障をしてしまい、これが原因で完全にランナーを辞めることとなりました。

そこから約2年、生活の中に「トレーニング」がない平凡な日常が続きましたが、折角これまで鍛え続けた身体。「何か他のスポーツに役立てることができないか?」と考えた結果が「自転車ロードレース」でした。

今年の修善寺大会で逃げに加わる永良今年の修善寺大会で逃げに加わる永良 photo:Hideaki.TAKAGI たまたま会社に自転車同好会があり、そこで知り合った先輩に「興味があるならレースを観に来ないか?」と誘われ、当時、神戸ポートアイランドで開催されたクリテリウムレースを見に行きました。
ロードレーサーが目の前を颯爽と駆け抜けていく姿は、ランナーとは違い、その迫力あるスピードに大変驚ろかされたと同時に、「来年はここで走りたい」という闘争心が芽生えました。

そこから約3ヶ月後に中古でロードレーサーを手に入れ、再び「トレーニングがある生活」が始まりました。もちろんフルタイムで働く傍ら、通勤をメインに限られた時間でのトレーニングです。

練習の甲斐あってか、翌年、この大会の未登録上級クラスで優勝することが出来ました。
再び勝負の世界で勝つ喜びを覚えた私は、その後も陸上時代のプライドからか、「やるからには強くなる」という「根性論」だけを胸に、ロードレースの魅力にどっぷりと浸かっていきました。

2005年、地元に「グランデパール播磨」と言うクラブチームが発足し、加入と同時に実業団登録。その年に開催された地元の加東ロードBR-3(現ER)で優勝することが出来ました。翌年にはBR-2での優勝もあって途中昇格をし、目標にしていたトップカテゴリーBR-1(現P1)で走ることが出来ましたが、完走するのがやっとで、プロ選手との力の差を肌で感じました。

しかしその反面、「何とかやれるかも」という手応えや、「プロ選手に一人でも多く勝ちたい」という闘志が沸々と湧き出しました。「このクラスで走るにはどうすればよいのだろうか?」 自問自答で得た結論は、「今より練習の量・質を上げればいい」、「努力をすれば、必ず報われる」と単純明快、根性論そのものでした。

2008年、プロに混じって初入賞の3位を手にする2008年、プロに混じって初入賞の3位を手にする photo:Hideaki.TAKAGI 2009年実業団加東ロードで、プロ選手に混じり逃げに加わる(写真中央)2009年実業団加東ロードで、プロ選手に混じり逃げに加わる(写真中央) photo:Hideaki.TAKAGI

通勤は遠回りをするようになり、週末の練習会前には早朝練習、そして練習会後にはさらに追加練習といった感じで、量・質ともに内容を上げていきました。もちろんサラリーマンである以上、残業や出張、休日出勤や付き合いなどの仕事をこなしながら…。

ときには夜中の2時や3時から、寝る間も惜しんで走り始めたり、他チームの練習会へお邪魔する時は片道100km以内の集合場所なら自走で行ったりもしました。周りから見れば常軌を逸した行動かもしれませんが、陸上時代に培った競技に対する志しや、挫折を繰り返した経験があるからこそ私をここまでさせているのかもしれません。

それから3年ほどでなんとか力も付きだし、2008年の実業団西日本ロードでは3位に入るなど、プロに混じって初めて表彰台へ上がることが出来ました。

「マトリックス・パワータグへ、覚悟の移籍」

翌年の7月、マトリックス主催の「はりちゅうロード」が播磨中央公園で開催され、練習ついでに友達の応援に行ったところ、安原監督より現チーム加入のオファーを頂きました。

「やる気があるのならウチのチームで走らないか?」、「若手選手の刺激になってほしい」。

これには流石に驚きました。まさかプロチームの目に留まるなんて思ってもみなかったのです。純粋に自分の走りを評価してもらえたことが本当に嬉しかったです。
ですが、「自分はサラリーマン。年齢も35歳になります。そちらの世界でやるには相当な覚悟が必要」であることを伝え、その時は即答出来ず、後日連絡をするということで会場を後にしました。

その日から真剣に移籍について悩みました。
「自分が本当にこのチームで戦っていけるのか?」「スポンサーからサポートを受けるということの意味とは」「周りからの期待と自分に課せられた責任」など、陸上競技時代に経験したことが頭を過ぎりました。

2011年開幕戦の西日本チャレンジ、マトリックスでアシストとして走る2011年開幕戦の西日本チャレンジ、マトリックスでアシストとして走る photo:Hideaki.TAKAGI シクロクロスにも積極的に参戦しているシクロクロスにも積極的に参戦している photo:Hideaki.TAKAGI

チームリーダーや友達にも相談し、悩みに悩んだ結果、移籍することを決意しました。
「誰にでも与えられるチャンスではない、自分の限界に挑戦しよう」と。
「こんな私でもチームの役に立つのなら」と、11月の回答期日ギリギリに返事をしました。
笑い話ですが、会社の同僚やチームメイト、他のクラブチームの知り合いから、「プロチームに入るんだって?会社辞めるの?」と言われました(笑)。

2010年からマトリックス・パワータグへ移籍をした矢先、1月下旬にお尻を故障し、そこをかばって走っていたせいで膝も故障。シーズンインから出遅れてしまい、監督やチームメイト、スポンサー様には本当に申し訳なく、「いつでもクビにして下さい。覚悟は出来ています。」とよく言ったものでした。
この故障を治すため、あちこちの治療所を駆けずり回り、陸上時代にお世話になった先生のところも訪ねたり・・。このチームだからこそ、責任を持って治療に専念しました。

関西シクロクロス2010-2011第1戦日吉ではC1優勝を果たした関西シクロクロス2010-2011第1戦日吉ではC1優勝を果たした photo:Akihiro.NAKAO
このチームで走るようになってから、今までとは違い、参加するレースやイベントの数は何倍にもなりました。
週末はチームと活動を共にすることが多いのですが、翌日は当たり前のように会社があり、レース会場によっては深夜に帰ることもあるので、翌朝は寝不足と疲労で体が動かないこともしばしば。
また、レースが続くと、移動日や調整などで、まとまった練習時間が出来ないことも悩ましいところ。
プロとは違い、限られた時間を工夫して練習するのがサラリーマンの凄みではありますが、競技と仕事を両立させる難しさはそう簡単ではないと、改めて痛感しています。

しかし、こうなることを承知で移籍したからには、「サラリーマンも、やればここまで出来るんだ!」と、世のサラリーマンレーサーに勇気と希望を与えられるような選手になりたい。
これからも自分に与えられた時間で、出来ることを限界まで挑戦し続けたいと思います。

プロフィール
永良 大誠 ながら だいせい
1974年7月9日生まれ(37歳)
兵庫県神崎郡出身
マトリックス・パワータグ 所属

サラリーマンでありながらプロ選手に負けない根性の走りで注目を浴び、2010年にプロチーム「マトリックス・パワータグ」に移籍。そのひたむきな姿と生き様は、気合いと根性を信条とするチームに欠かせない存在となっている。

主な戦績:
08-09年 美山ロード 優勝
08年 西日本ロード 3位
08年 小川村ロード 5位
08年 都道府県対抗 4位

09年 西日本チャレンジ 5位
09年 小川村ロード 7位
11年 西日本チャレンジ 8位
11年 修善寺ロード 10位

Panaracer 「エリート プラス リフレクト」
ケーシングの糸密度を25%アップし、さらに走行性能と耐久性能のバランスに優れたZSGコンパウンドのトレッド厚を20%アップすることで、耐久性と耐パンク性能を向上させたトレーニングタイヤの決定版「エリートプラス」に、反射テープを配置したリフレクトバージョンが登場!

日没が早くなるこれからの季節にオススメできる安心の一本。

商品名 Panaracer ELITE Plus Reflect
サイズおよび重量 700x23C(ave:270g)、
700x26C(ave:300g)
ビード アラミド
税込参考価格 3,870円
パナレーサー エリート プラス リフレクトパナレーサー エリート プラス リフレクト (c)Panaracer
※ご使用になる自転車がロードバイクの場合、タイヤがフレームと接触する可能性があります。タイヤのご購入前に必ずフレームとタイヤの間隔をご確認ください。


製品情報:リフレクターを装備したトレーニングタイヤ パナレーサー ELITE Plus Reflect
ソール・ソジャサン ニュース
ツール・デュ・リムザン2011(UCI 2.HC)
第3ステージ 3位 ジェレミー・ガラン選手(ソール・ソジャサン)
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第4ステージ 8位 ジェレミー・ガラン選手(ソール・ソジャサン)
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GPウエストフランス・プルエー2011(UCI 1.HC)
9位 ジュリアン・シモン選手(ソール・ソジャサン)
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パリ~ブリュッセル(UCI 1.HC)
10位 シリル・ルモワンヌ選手(ソール・ソジャサン)
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GPワロニー(UCI 1.1)
2位 ジュリアン・シモン選手(ソール・ソジャサン)
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Panaracerサポート選手の注目リザルト
ユニバーシアード競技大会2011 自転車ロードレース
3位 山本元喜選手(鹿屋体育大学)
U23男子 優勝 吉田隼人選手(鹿屋体育大学)

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トレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ2011(UCI 1.HC)
9位 ミゲルアンヘル・ルビアーノ選手(ダンジェロアンティヌッチィ・NIPPO)
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Jプロツアー2011第11戦 みやだロードレース2011
個人タイムトライアル 5位 増田成幸選手(宇都宮ブリッツェン)
クリテリウム 3位 山下貴宏選手(マトリックス・パワータグ)
個人総合 4位 増田成幸選手(宇都宮ブリッツェン)

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第13回全日本学生選手権クリテリウム大会
男子優勝 黒枝士揮選手(鹿屋体育大学)
女子優勝 木村亜美選手(鹿屋体育大学)

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シマノ鈴鹿国際ロードレース2011
5位 マリウス・ヴィズィアック選手(マトリックス・パワータグ)
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Jプロツアー2011第12戦 JBCFタイムトライアルチャンピオンシップ2011
優勝 増田成幸選手(宇都宮ブリッツェン)
2位 中村誠選手(宇都宮ブリッツェン)

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第67回全日本大学対抗選手権自転車競技大会2011
女子個人ロード 優勝 上野みなみ選手(鹿屋体育大学)
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全国都道府県対抗自転車競技大会2011
男子ロード 2位 山下貴宏選手(マトリックス・パワータグ)
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Jプロツアー2011第13戦 加東ロードレース2011
3位 マリウス・ヴィズィアック選手(マトリックス・パワータグ)
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ツール・ド・北海道(UCI 2.2)
個人総合優勝 チャヴェス・ルビアーノ選手(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)
個人総合山岳賞 1位 チャヴェス・ルビアーノ選手(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)
個人総合ポイント賞 1位 マッシミリアーノ・リケーゼ選手(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)
個人総合U23賞 1位 黒枝士揮選手(鹿屋体育大学)
団体総合時間賞 1位 ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO
第2ステージ 優勝 山下貴宏選手(マトリックス・パワータグ)
第3ステージ 優勝 佐野淳哉選手(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)
第4ステージ(個人TT) 優勝 チャヴェス・ルビアーノ選手(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)

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トライアスロン ITU世界選手権シリーズ・グランドファイナル北京大会
18位 細田雄一選手(グリーンタワー・稲毛インター) ※日本人最高位
トライアスロン ITU世界選手権シリーズ・横浜大会
10位 細田雄一選手(グリーンタワー・稲毛インター) ※日本人最高位
2011佐渡国際トライアスロン
国際の部A 優勝 飯田忠司選手(サニーフィッシュ)
ジャパンカップ第5戦 大阪国際トライアスロン舞洲大会
優勝 平野司選手(稲毛インター)
世界陸上 テグ大会 車イス女子
800m 銀メダル 土田和歌子選手(サノフィ・アベンティス)

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