2024/06/19(水) - 19:00
マキシスのロードタイヤにフォーカスする特集の第2弾は、普段からマキシスを愛用し、本社スタッフとも交流のあるフォーチュンバイクの錦織大祐店長がブランドの真髄に迫る。マキシスの開発姿勢、オールラウンドモデルのHigh Roadシリーズの実力、そしてブランドの未来への期待とは。
錦織大祐さん(フォーチュンバイク)
東京都江東区亀戸に店舗を構えるフォーチュンバイク店主。マキシスの本社、工場ともに見学した経験もあり、本社スタッフとも交流を持つ。代理店のマルイを通じて意見交換を行うほどマキシスのタイヤに通じている。自身もマウンテンバイクタイヤのCrossmarkやHighrollerを愛用していたこともあり、お気に入りのブランドの一つにマキシスを挙げる。
CWレコメンドショップページ
フォーチュンバイク HP
CW:工場や本社見学をしたことのある錦織さんが感じるマキシスの魅力とはなんでしょうか。
錦織:マキシスの魅力は、まず研究開発において地道で正直な姿勢にあります。彼らが想定しているライバルはコンチネンタルのGranPrixシリーズで、GranPrixが4000番台の時代に、マキシスの開発担当者に話を聞いたことがあって、その時マキシスは実験で数ポイントの差でライバルに負けていると教えてくれました。でも実際は何十回もテストをしていく中でライバルを上回るグッドデータが出ることもあるのですが、実験結果を平均化すると負けていると言うのです。
マキシスには突出した良いデータをもとにキャッチコピーを作る考えがありません。彼らは耐パンク性や製造精度など数値に置き換えにくい部分で特徴を出し、研究開発を徹底的に行う道を選んでいます。良い情報だけをフォーカスしたり、マーケティングでショートカットをしないところが、彼らの信頼できる部分であり、大きな魅力でもあります。
彼らはリサーチにも熱心で、日本のホビーレースにも顔を出してユーザーの動向調査をしていたりします。開発に協力しているプロレーサー目線だけではなく、ホビーレーサーの目線も大切にして自分たちの開発に反映させています。決して楽ではない道だと思いますが、非常に地道な作業に力を惜しまず使う姿勢には心からリスペクトしています。
CW:そんな彼らが開発したタイヤは、どのような部分が魅力なのでしょうか。
錦織:一番の魅力は、やはりコンパウンドにあります。品質やコンパウンドの変形感、グリップを含めバイクの挙動をコントロールする能力においては間違いなくトップだと思います。これが特に必要とされるマウンテンバイクではトップシェアを誇り、サポート外の選手もマキシスのロゴをマジックペンで塗りつぶしてビッグレースで使って勝っている実績もあるほどです。
ロードバイクのタイヤは路面との接地面積が微々たるものですが、タイヤがどのような働きをしているかをライダーに明確に伝えることに対してマキシスは責任があると考えていると思います。それは自転車ではない部門も含めて、質の悪いタイヤの怖さのことを十二分に理解しているからこそ、数値化できない性能にも手を抜かない。そのクオリティが特徴になっていると思います。
特に最近のロードバイクのディスクブレーキ化の影響でホイールのリム幅が広がり、タイヤの空気圧が下がることで、マキシスが一番得意とするコンパウンドやケーシングの変形をコントロールする技術力が光り始めています。
お客様からは、ライド中にタイヤが滑ったとか、アウトオブコントロールで怖い思いをしたというフィードバックは一度もなく、むしろ、自転車が怖くなくなった、タイヤで路面を掴む感覚を理解できて安心感が増したという声を聞きます。そして、それがライドを通した速さに繋がっている人はとても多いです。
CW:今回ピックアップしたHigh Roadについての印象を教えてください。
錦織:High Roadシリーズはマキシスのトライアンドエラーの中で行き着いたオールラウンドタイヤで、ライバルのトップグレードに匹敵するモデルです。ノーマルモデルとSLがあり、コンパウンドとケーシング全体を使ってタイヤを機能させるという特徴が共通しています。
ケーシングのTPIが170ですが、これはコンパウンドの性能を発揮させるための下地として狙って設計しているものです。なので適正な空気圧に設定することで、乗り心地とグリップ力、転がりの軽さがバランスよく引き出されるので、コントロールしやすいタイヤです。空気圧が少し低くてもタイヤが腰砕けになる心配もなく、安心して使えると思います。
High Road SLは軽量モデルで、コンパウンドの食い付き感を維持しつつも全体を軽量にすることで、より転がるタイヤを実現しています。直線的な滑走に特化しているわけではなく、曲がる・止まるの動作も意識して作られており、グリップ感がしっかり伝わってくるので、路面を急に掴まなくなるみたいな感じがありません。
フォーチュンバイクのお客様でパリ〜ブレスト〜パリ(PBP)に出場する方に普段からHigh Road SLを使っていただいている方がいます。その方にPBPでも使用してもらい、過酷な環境下で使用した後の状態をマキシスにフィードバックをしようと思っていましたが、イベントの道中でパンクすることはなく、タイヤのコンパウンドも削れすぎていないという結果になりました。過酷なイベントを経たことで、いい感じに使い込んだタイヤになることを想定していたのですが、綺麗な状態すぎたので拍子抜けしたことがありました。
SL=スーパーライトという印象から、軽すぎて、寿命も短いと考える方も少なくないと思いますが、実際にはPBPで問題がなかったように他社のトップモデルに匹敵する性能を実現しています。タイムトライアル系タイヤのカテゴリーではグリップ力も優れている方ですし、そういうタイヤでのコントロール性に心配があるのであれば、このタイヤを選んで間違いありません。タイヤの性能に対して積極的に投資したいユーザーさんには、High Road SLに注目してもらいたいです。
ノーマルバージョンのHigh Roadは厚手のクッション感覚があるタイヤで、トレッド面積が広く耐久性に優れています。レースではなく普段のライドで長距離を走ったり、路面が荒れた山に足を運ぶ方で耐パンク性能に気をつけたい方におすすめです。もちろんHigh Road自体もレーススペックですし、今年のツアー・オブ・ジャパンに出場していたブリッジレーンもHigh Roadを使っていました。僕もHigh Road(チューブレスレディ)の28Cを愛用していますよ。
また、製造精度の高さは自転車店のスタッフは誰もが感じているところだと思います。チューブレスタイヤのビード上げや着脱について心配している方にも、タイヤ精度の良さでおすすめできます。
High Roadは海外のレビューでも評価のテーブルに挙げられる件数が増えてきました。ブラインドテストを含むようなインプレッションでは最高評価を得ており、マキシスの実直な研究開発の成果が評価として現れはじめました。それでも彼らは自分らがライバルに負けている部分を意識して物作りをしているので、トップシーンに名前を連ねるブランドになるのは間違いないと思います。
他社にはない工夫点が多々あるブランドなので、取り扱いショップで相談しながらマキシスの奥深さに触れ、タイヤの選択肢の一つとして加えると絶対に面白いブランドです。世界的に知名度を上げる前夜である今、マキシスを知ってもらいたいですね。
フォーチュンバイク錦織店長が語るマキシス
「マキシスの開発姿勢を心からリスペクトしています」とはフォーチュンバイク店主の錦織大祐さん。その言葉は、自らがマキシスタイヤを愛用して感じたもの、マキシス本社や工場のスタッフとの交流で知り得た、彼らの誠実さに対する愛情が溢れるものだった。マキシスが声高に主張しない開発姿勢や、そこから誕生したオールラウンドタイヤHigh Roadの実力を深く知り、マキシスのロードタイヤの今後に大きな希望を寄せる錦織さんの言葉をお届けしよう。プロフィール
錦織大祐さん(フォーチュンバイク)
東京都江東区亀戸に店舗を構えるフォーチュンバイク店主。マキシスの本社、工場ともに見学した経験もあり、本社スタッフとも交流を持つ。代理店のマルイを通じて意見交換を行うほどマキシスのタイヤに通じている。自身もマウンテンバイクタイヤのCrossmarkやHighrollerを愛用していたこともあり、お気に入りのブランドの一つにマキシスを挙げる。
CWレコメンドショップページ
フォーチュンバイク HP
CW:工場や本社見学をしたことのある錦織さんが感じるマキシスの魅力とはなんでしょうか。
錦織:マキシスの魅力は、まず研究開発において地道で正直な姿勢にあります。彼らが想定しているライバルはコンチネンタルのGranPrixシリーズで、GranPrixが4000番台の時代に、マキシスの開発担当者に話を聞いたことがあって、その時マキシスは実験で数ポイントの差でライバルに負けていると教えてくれました。でも実際は何十回もテストをしていく中でライバルを上回るグッドデータが出ることもあるのですが、実験結果を平均化すると負けていると言うのです。
マキシスには突出した良いデータをもとにキャッチコピーを作る考えがありません。彼らは耐パンク性や製造精度など数値に置き換えにくい部分で特徴を出し、研究開発を徹底的に行う道を選んでいます。良い情報だけをフォーカスしたり、マーケティングでショートカットをしないところが、彼らの信頼できる部分であり、大きな魅力でもあります。
彼らはリサーチにも熱心で、日本のホビーレースにも顔を出してユーザーの動向調査をしていたりします。開発に協力しているプロレーサー目線だけではなく、ホビーレーサーの目線も大切にして自分たちの開発に反映させています。決して楽ではない道だと思いますが、非常に地道な作業に力を惜しまず使う姿勢には心からリスペクトしています。
CW:そんな彼らが開発したタイヤは、どのような部分が魅力なのでしょうか。
錦織:一番の魅力は、やはりコンパウンドにあります。品質やコンパウンドの変形感、グリップを含めバイクの挙動をコントロールする能力においては間違いなくトップだと思います。これが特に必要とされるマウンテンバイクではトップシェアを誇り、サポート外の選手もマキシスのロゴをマジックペンで塗りつぶしてビッグレースで使って勝っている実績もあるほどです。
ロードバイクのタイヤは路面との接地面積が微々たるものですが、タイヤがどのような働きをしているかをライダーに明確に伝えることに対してマキシスは責任があると考えていると思います。それは自転車ではない部門も含めて、質の悪いタイヤの怖さのことを十二分に理解しているからこそ、数値化できない性能にも手を抜かない。そのクオリティが特徴になっていると思います。
特に最近のロードバイクのディスクブレーキ化の影響でホイールのリム幅が広がり、タイヤの空気圧が下がることで、マキシスが一番得意とするコンパウンドやケーシングの変形をコントロールする技術力が光り始めています。
お客様からは、ライド中にタイヤが滑ったとか、アウトオブコントロールで怖い思いをしたというフィードバックは一度もなく、むしろ、自転車が怖くなくなった、タイヤで路面を掴む感覚を理解できて安心感が増したという声を聞きます。そして、それがライドを通した速さに繋がっている人はとても多いです。
CW:今回ピックアップしたHigh Roadについての印象を教えてください。
錦織:High Roadシリーズはマキシスのトライアンドエラーの中で行き着いたオールラウンドタイヤで、ライバルのトップグレードに匹敵するモデルです。ノーマルモデルとSLがあり、コンパウンドとケーシング全体を使ってタイヤを機能させるという特徴が共通しています。
ケーシングのTPIが170ですが、これはコンパウンドの性能を発揮させるための下地として狙って設計しているものです。なので適正な空気圧に設定することで、乗り心地とグリップ力、転がりの軽さがバランスよく引き出されるので、コントロールしやすいタイヤです。空気圧が少し低くてもタイヤが腰砕けになる心配もなく、安心して使えると思います。
High Road SLは軽量モデルで、コンパウンドの食い付き感を維持しつつも全体を軽量にすることで、より転がるタイヤを実現しています。直線的な滑走に特化しているわけではなく、曲がる・止まるの動作も意識して作られており、グリップ感がしっかり伝わってくるので、路面を急に掴まなくなるみたいな感じがありません。
フォーチュンバイクのお客様でパリ〜ブレスト〜パリ(PBP)に出場する方に普段からHigh Road SLを使っていただいている方がいます。その方にPBPでも使用してもらい、過酷な環境下で使用した後の状態をマキシスにフィードバックをしようと思っていましたが、イベントの道中でパンクすることはなく、タイヤのコンパウンドも削れすぎていないという結果になりました。過酷なイベントを経たことで、いい感じに使い込んだタイヤになることを想定していたのですが、綺麗な状態すぎたので拍子抜けしたことがありました。
SL=スーパーライトという印象から、軽すぎて、寿命も短いと考える方も少なくないと思いますが、実際にはPBPで問題がなかったように他社のトップモデルに匹敵する性能を実現しています。タイムトライアル系タイヤのカテゴリーではグリップ力も優れている方ですし、そういうタイヤでのコントロール性に心配があるのであれば、このタイヤを選んで間違いありません。タイヤの性能に対して積極的に投資したいユーザーさんには、High Road SLに注目してもらいたいです。
ノーマルバージョンのHigh Roadは厚手のクッション感覚があるタイヤで、トレッド面積が広く耐久性に優れています。レースではなく普段のライドで長距離を走ったり、路面が荒れた山に足を運ぶ方で耐パンク性能に気をつけたい方におすすめです。もちろんHigh Road自体もレーススペックですし、今年のツアー・オブ・ジャパンに出場していたブリッジレーンもHigh Roadを使っていました。僕もHigh Road(チューブレスレディ)の28Cを愛用していますよ。
また、製造精度の高さは自転車店のスタッフは誰もが感じているところだと思います。チューブレスタイヤのビード上げや着脱について心配している方にも、タイヤ精度の良さでおすすめできます。
High Roadは海外のレビューでも評価のテーブルに挙げられる件数が増えてきました。ブラインドテストを含むようなインプレッションでは最高評価を得ており、マキシスの実直な研究開発の成果が評価として現れはじめました。それでも彼らは自分らがライバルに負けている部分を意識して物作りをしているので、トップシーンに名前を連ねるブランドになるのは間違いないと思います。
他社にはない工夫点が多々あるブランドなので、取り扱いショップで相談しながらマキシスの奥深さに触れ、タイヤの選択肢の一つとして加えると絶対に面白いブランドです。世界的に知名度を上げる前夜である今、マキシスを知ってもらいたいですね。
マキシス High Roadシリーズ
High Road(チューブレスレディ)
サイズ | カラー | 重量 | 税込価格 |
25C、28C、32C | ブラック、 25Cのみタンウォールあり | 285g(25C、ブラック) 325g(25C、タンウォール) 315g(28C) 350g(32C) | 10,780円 タンウォール/11,660円 |
High Road(クリンチャー)
サイズ | カラー | 重量 | 税込価格 |
25C、28C、32C | ブラック、 25Cと28Cタンウォールあり | 185g(25C、ブラック) 215g(25C、タンウォール) 205g(28C、ブラック) 240g(28C、タンウォール) 225g(32C) | 9,680円 タンウォール/10,560円 |
High Road SL(チューブレスレディ)
サイズ | カラー | 重量 | 税込価格 |
25C | ブラック | 265g | 12,100円 |
High Road SL(クリンチャー)
サイズ | カラー | 重量 | 税込価格 |
25C、28C | ブラック | 170g(25C) 180g(28C) | 10,780円 |
提供:マルイ 制作:シクロワイアード編集部