2021/08/03(火) - 15:04
フカヤがリリースしたチェーンメンテナンス剤「デ・ラ・トレイル」を徹底的に掘り下げる特集記事の第2弾。製品の肝である洗浄効果にフォーカスしながら、デ・ラ・トレイルの持つ真価に迫りたい。
Vol.1ではデ・ラ・トレイルの成り立ちや性能といったスペック部分にフォーカスして、落合友樹さん(Team Rueda Nagoya)と湯町義宏さん(株式会社ヌマタ)のクロストークをお届けしてきた。Vol.2ではデ・ラ・トレイルの使い方の一つである洗浄について注目しながら、なぜオイルでのクリーンアップが良いのか、その理由とハウツーをお届けしよう。
まずは前提知識として頭の片隅に置いておいたほうが良い、デ・ラ・トレイルの基本的な使い方から記す。製品はクリーニングマシンが付属するスタートアップキットと大型ボトルの2種類が用意されているが、ここではスタートアップキットを用いた方法を中心とする。
以上が基本の作業だ。
洗浄器を使う理由はクリーンアップとオイルアップを一気にでき便利であるため。もちろん、通常のチェーンルブのように、デ・ラ・トレイルをスポイトに移し、一コマずつ滴下していくのも問題ない。チェーンメンテナンスを一気通貫で行えるという強みによって、非常に高い作業の自由度はを手に入れているのがこのオイルだ。
基本を押さえたところで、クロストークに戻ろう。
落合:前回、洗浄というワードが出てきましたが、一般的なサイクリストの観点からすると、ケミカルに対してオイル、コーティング剤、洗浄剤というカテゴリーがあると思っています。
例えばドライブトレインのメンテナンスは、ディグリーザーで油汚れを落とし、チェーンを濯ぎ、乾かし、オイルを塗布するという認識なんですね。ことデ・ラ・トレイルに関しては一気通貫で完了してしまうと言われても掴みどころがなく、複雑な存在だと感じています。どこのカテゴリーに属する製品なのでしょうか。
湯町:製品の成り立ちから考えるとオイルであることは間違いありません。デ・ラ・トレイルのコンセプトは「いつも最高のチェーンでライドをしよう」なんです。この標語を実現するにあたり、オイルとしての潤滑性、維持性はもちろん有しながら、性能を引き出すためのメンテナンス性にも優れていなければならないという発想に至りました。
ディグリーザーを使ったメンテナンスを毎週行うのは難しいかと思います。これができるのであれば、チェーンを錆びさせたり、汚れが堆積することも無い人でしょう。そうではなく、オイルで洗うことができたら、手間を省き簡略化することで、メンテナンス無精の方でもチェーンの状態を維持しやすいよね、というところに収まりました。
落合:なるほど。油洗いのオイル自体が潤滑剤で、メンテナンスの作業性を高めようとしているんですね。
湯町:その通りです。スタートアップキットでガラガラと作業をしていただく前にディグリーザーで洗浄する必要や、その後にルブを塗布する必要はありません。デ・ラ・トレイルだけで十分という考えです。クランクを回す回数は20回程度で十分ですので、あっという間に作業は終えられます。
湯町:油にはおなじ油の溶解性があるので、油汚れを落とすのに最適なんです。金属や機械に水を使って洗うというのは、古いサイクリストからみると驚きだったりします。灯油で洗うというのは一つのメンテナンスノウハウだったんですけどねえ。
水を使いたくないのは、チェーンだと奥に入り込んだ水分を排出するのが難しく、錆の原因になるからです。洗剤を使っていた場合は、コマの中に洗剤が残ってしまい、金属にダメージを与えてしまいます。水で濯いだ後は、水置換性のオイルで水を排出する必要があるなど、ひと手間増えますし、その分完璧に作業をこなすのにはノウハウが必要です。デ・ラ・トレイルのオイル洗いはチェーンに一切ダメージを与えないのが最大のメリットです。
落合:チェーンにとって水分は天敵でしか無いので、油で洗っておけば敵を寄せ付けることも無いんですよ。レース現場で水を大量に使って洗っているのは、エアーコンプレッサーなどで水分をある程度吹き飛ばせる環境があるから成り立っているんですよね。
湯町:レースと言えば、企画が立ち上がる前段階ではシクロクロスのレースでテストしてもらってたんです。スタートアップキットの洗浄器を利用するとレース現場で、洗浄からオイルアップまで手軽にできるところに魅力があり、この企画がスタートしました。
落合:確かにシクロクロスはレース後にパッと済ませられるのはいいかもしれないです。レース後って車体は泥々だけど、寒いから作業は後回しにしがちなんですよ。それで夜にメンテナンスをしようと思ったら、チェーンが既に錆び始めてたりするので、それを見てゲンナリなんてこともあります。
特に野辺山シクロクロスの2デイズでは活躍してくれそう。高圧洗浄機でバーっと洗うけど、それで満足してしまって温泉なんかに入ってしまうと、翌朝には凍りついているなんて話はよくあります。でも、寒い現場で一コマずつオイルアップする余裕もないし、高圧洗浄機で水をかけた後にチェーンの奥まで乾かすのは難しいです。水を押し出してくれる性能もあるのであれば、本当にデ・ラ・トレイルだけで作業が済んでしまいますね。
落合:スタートアップキットに付属する洗浄器は専用品として開発したのでしょうか。説明書にはハンドルを付けて使う写真が掲載されていますが、実際は洗浄機を手でホールドしたほうが良いと感じます。
湯町:使い方に関しては扱いやすい方法で大丈夫です。私も手でホールドしてますよ。あとは洗浄機自体は汎用品です。既に販売されている物を使っても良いのですが、大体はサイズが大きくて、デ・ラ・トレイルの使用量が多くなってしまいます。スタートアップキットに付属するものは、オイルが20mlでも十分に作業できるベストフィットな大きさなんです。
落合:作業中に洗浄器に溜まった汚れが、ブラシに巻き上げられ再びチェーンに付着してしまうのではないかと思ってしまいます。気にせず作業後に走れば、ゴミは自然に排出されるという考えですか。
湯町:デ・ラ・トレイルは作業後に少し時間を置くと、自然と汚れを含んだオイルが表面に浮いてきます。時間の経過とともにオイルがリンクの奥にある汚れを溶かして表に出してくれるので、ライドに出かける前に拭いてあげると良いでしょう。走行中もどんどん汚れは排出され、チェーン表面にはダストを含んだオイルが滲み出てきます。
落合:ディグリーザーのように汚れを全て落とし、輝きを取り戻すというアプローチではなく、絶え間なく汚れを排出し続けることで、チェーンを最良な状態に維持してくれるということですかね。見た目の綺麗さはひとまず置いておいて、性能としては適している、と。
湯町:チェーンの稼働環境というのは皆さんが思っているよりも過酷なんです。路面に一番近いところで、常に砂塵を吸い込み、それをチェーンの内部で粉砕しながら走っています。ライド後のBB下やダウンチューブの裏を見ればそのことがよくわかると思います。デ・ラ・トレイルは、リンク内の汚れを吐き出しながら潤滑性能をキープさせています。オイルは汚れているのが機能している証なんです。
磯部(CW編集部):それでもドライブトレインを綺麗にしておきたい人は多いと思います。塗布した後、ライド後などにしっかりと拭いてしまっても大丈夫でしょうか。
湯町:それは問題ありません。塗布後にCNTが落ち着くまで2時間程度で、1日2日と時間を置くとどんどん馴染むので、一晩ほど置くと汚れが表面に出てきます。ライドに出かける前に拭いてあげると良いでしょう。車体の綺麗さを気にする方の場合はもしかしたら向かないのかもしれませんが、ライドフィールを大事にする場合はその性能を堪能できるかと思います。
落合:見えないところの汚れが吐き出された結果、目の届くところが汚れて見えるわけですね。液体自体は粘度が低くシャビシャビだから拭き取りやすいと思うし、気になる方は細かく拭けば大丈夫ですね。
オイルが内部まで浸透していればオイルによる潤滑が効くし、常に汚れを吐き出してくれる。オイルが乾いたら飛散しない上にCNTの低フリクション性能が効くというのがデ・ラ・トレイルという認識になりました。
落合:ドライブトレインのノイズが減ることや、変速時の感触が良くなるのは感じ取れました。特に変速時に金属同士の擦れ合うギリギリというフィーリングがヌメヌメという感触に変わるのは実感できると思いますよ。変速の調整が甘くても、チェーンが暴れずにスパッと変速してくれるので、正直驚いてしまいました。
シマノのDURA-ACE DI2とXTどちらにも使ってみましたが、スパンスパンとギアは入っていくし、シフトタッチが軽くなった気がするほど軽妙に変速してくれ、シフト時のドライブトレインへのストレスが減っていると実感できると思います。フロントの時は特に顕著ですね。
CNTは目に見えないので、最初はどうかと思ってましたが、乗ってみると初めてわかる性能はあると思います。鈍感な自分でもわかるほどなので、実際に乗ってみて欲しいと思います。
湯町:変速が気持ち良いので積極的にギアチェンジしたくなりますよね。レースシーンに居られる方たちに使用感を聞いていくと、変速性能の良さを語ってくれますね。コンポーネントのグレード以上の変速体験を味わうことができると思います。ヌルヌルという表現が適しているのかな。
落合:確かに変速ショックは少ないかもしれません。レースシーンの場合はサイクリングの倍以上に変速回数が増えるので、変速にストレスを感じると、普段は気にならないことがレース中に気になってきてしまいます。そこでトルク管理を怠った変速をしても、ギアがスムーズに入ってくれるので、変速まで神経が回らないような極限状態で性能が光りますね。
デ・ラ・トレイルという名前からオフロードのイメージが先行しがちですが、話を聞いて実際に使ってみたらロードでも問題ないと感じますね。もちろんグラベルユースもいいです。
シクロクロスの場合は最大でも1時間ですが、グラベルライドともなれば1時間以上オンオフ入り交ぜながら走ったり、アドベンチャー的にツーリングするのであれば1週間も走り続けたりするじゃないですか。そんな時に山の中でチェーンが切れてしまったら笑うに笑えない。定期的にケアすることでチェーンを最適な状態に保っておければ、パーツの寿命も伸びていきます。そうするとライド中のトラブルも減ってくると思うし、それを考えるとメンテナンスのハードルが低いデ・ラ・トレイルで整備するのはありだと思います。
作業が簡単デ・ラ・トレイルの使い方
Vol.1ではデ・ラ・トレイルの成り立ちや性能といったスペック部分にフォーカスして、落合友樹さん(Team Rueda Nagoya)と湯町義宏さん(株式会社ヌマタ)のクロストークをお届けしてきた。Vol.2ではデ・ラ・トレイルの使い方の一つである洗浄について注目しながら、なぜオイルでのクリーンアップが良いのか、その理由とハウツーをお届けしよう。
まずは前提知識として頭の片隅に置いておいたほうが良い、デ・ラ・トレイルの基本的な使い方から記す。製品はクリーニングマシンが付属するスタートアップキットと大型ボトルの2種類が用意されているが、ここではスタートアップキットを用いた方法を中心とする。
- 洗浄器にデ・ラ・トレイルを20ml入れる
- 洗浄器をチェーンにセットする
- クランクを逆回転させる(20回ほど)
- 洗浄器をチェーンから外す
- チェーンから染み出た汚れとオイルをよく拭く
- ペーパーウエス等に余ったオイルを吸わせ、もえるゴミとして捨てる
以上が基本の作業だ。
洗浄器を使う理由はクリーンアップとオイルアップを一気にでき便利であるため。もちろん、通常のチェーンルブのように、デ・ラ・トレイルをスポイトに移し、一コマずつ滴下していくのも問題ない。チェーンメンテナンスを一気通貫で行えるという強みによって、非常に高い作業の自由度はを手に入れているのがこのオイルだ。
基本を押さえたところで、クロストークに戻ろう。
デ・ラ・トレイル
デ・ラ・トレイル クロストーク
油洗いとオイルアップのワンアクションがキーポイント
落合:前回、洗浄というワードが出てきましたが、一般的なサイクリストの観点からすると、ケミカルに対してオイル、コーティング剤、洗浄剤というカテゴリーがあると思っています。
例えばドライブトレインのメンテナンスは、ディグリーザーで油汚れを落とし、チェーンを濯ぎ、乾かし、オイルを塗布するという認識なんですね。ことデ・ラ・トレイルに関しては一気通貫で完了してしまうと言われても掴みどころがなく、複雑な存在だと感じています。どこのカテゴリーに属する製品なのでしょうか。
湯町:製品の成り立ちから考えるとオイルであることは間違いありません。デ・ラ・トレイルのコンセプトは「いつも最高のチェーンでライドをしよう」なんです。この標語を実現するにあたり、オイルとしての潤滑性、維持性はもちろん有しながら、性能を引き出すためのメンテナンス性にも優れていなければならないという発想に至りました。
ディグリーザーを使ったメンテナンスを毎週行うのは難しいかと思います。これができるのであれば、チェーンを錆びさせたり、汚れが堆積することも無い人でしょう。そうではなく、オイルで洗うことができたら、手間を省き簡略化することで、メンテナンス無精の方でもチェーンの状態を維持しやすいよね、というところに収まりました。
落合:なるほど。油洗いのオイル自体が潤滑剤で、メンテナンスの作業性を高めようとしているんですね。
湯町:その通りです。スタートアップキットでガラガラと作業をしていただく前にディグリーザーで洗浄する必要や、その後にルブを塗布する必要はありません。デ・ラ・トレイルだけで十分という考えです。クランクを回す回数は20回程度で十分ですので、あっという間に作業は終えられます。
油洗いってどんなメリットがあるのか
藤原(CW編集部):落合さんが先ほど仰っていたように、現在はディグリーザーや中性洗剤を使った洗い方がポピュラーな印象があります。オイルを使って洗浄ということについて補足をお願いしたいです。湯町:油にはおなじ油の溶解性があるので、油汚れを落とすのに最適なんです。金属や機械に水を使って洗うというのは、古いサイクリストからみると驚きだったりします。灯油で洗うというのは一つのメンテナンスノウハウだったんですけどねえ。
水を使いたくないのは、チェーンだと奥に入り込んだ水分を排出するのが難しく、錆の原因になるからです。洗剤を使っていた場合は、コマの中に洗剤が残ってしまい、金属にダメージを与えてしまいます。水で濯いだ後は、水置換性のオイルで水を排出する必要があるなど、ひと手間増えますし、その分完璧に作業をこなすのにはノウハウが必要です。デ・ラ・トレイルのオイル洗いはチェーンに一切ダメージを与えないのが最大のメリットです。
落合:チェーンにとって水分は天敵でしか無いので、油で洗っておけば敵を寄せ付けることも無いんですよ。レース現場で水を大量に使って洗っているのは、エアーコンプレッサーなどで水分をある程度吹き飛ばせる環境があるから成り立っているんですよね。
湯町:レースと言えば、企画が立ち上がる前段階ではシクロクロスのレースでテストしてもらってたんです。スタートアップキットの洗浄器を利用するとレース現場で、洗浄からオイルアップまで手軽にできるところに魅力があり、この企画がスタートしました。
落合:確かにシクロクロスはレース後にパッと済ませられるのはいいかもしれないです。レース後って車体は泥々だけど、寒いから作業は後回しにしがちなんですよ。それで夜にメンテナンスをしようと思ったら、チェーンが既に錆び始めてたりするので、それを見てゲンナリなんてこともあります。
特に野辺山シクロクロスの2デイズでは活躍してくれそう。高圧洗浄機でバーっと洗うけど、それで満足してしまって温泉なんかに入ってしまうと、翌朝には凍りついているなんて話はよくあります。でも、寒い現場で一コマずつオイルアップする余裕もないし、高圧洗浄機で水をかけた後にチェーンの奥まで乾かすのは難しいです。水を押し出してくれる性能もあるのであれば、本当にデ・ラ・トレイルだけで作業が済んでしまいますね。
黒いダスト混じりのオイルが浮き出てることが最適な状態
落合:スタートアップキットに付属する洗浄器は専用品として開発したのでしょうか。説明書にはハンドルを付けて使う写真が掲載されていますが、実際は洗浄機を手でホールドしたほうが良いと感じます。
湯町:使い方に関しては扱いやすい方法で大丈夫です。私も手でホールドしてますよ。あとは洗浄機自体は汎用品です。既に販売されている物を使っても良いのですが、大体はサイズが大きくて、デ・ラ・トレイルの使用量が多くなってしまいます。スタートアップキットに付属するものは、オイルが20mlでも十分に作業できるベストフィットな大きさなんです。
落合:作業中に洗浄器に溜まった汚れが、ブラシに巻き上げられ再びチェーンに付着してしまうのではないかと思ってしまいます。気にせず作業後に走れば、ゴミは自然に排出されるという考えですか。
湯町:デ・ラ・トレイルは作業後に少し時間を置くと、自然と汚れを含んだオイルが表面に浮いてきます。時間の経過とともにオイルがリンクの奥にある汚れを溶かして表に出してくれるので、ライドに出かける前に拭いてあげると良いでしょう。走行中もどんどん汚れは排出され、チェーン表面にはダストを含んだオイルが滲み出てきます。
落合:ディグリーザーのように汚れを全て落とし、輝きを取り戻すというアプローチではなく、絶え間なく汚れを排出し続けることで、チェーンを最良な状態に維持してくれるということですかね。見た目の綺麗さはひとまず置いておいて、性能としては適している、と。
湯町:チェーンの稼働環境というのは皆さんが思っているよりも過酷なんです。路面に一番近いところで、常に砂塵を吸い込み、それをチェーンの内部で粉砕しながら走っています。ライド後のBB下やダウンチューブの裏を見ればそのことがよくわかると思います。デ・ラ・トレイルは、リンク内の汚れを吐き出しながら潤滑性能をキープさせています。オイルは汚れているのが機能している証なんです。
磯部(CW編集部):それでもドライブトレインを綺麗にしておきたい人は多いと思います。塗布した後、ライド後などにしっかりと拭いてしまっても大丈夫でしょうか。
湯町:それは問題ありません。塗布後にCNTが落ち着くまで2時間程度で、1日2日と時間を置くとどんどん馴染むので、一晩ほど置くと汚れが表面に出てきます。ライドに出かける前に拭いてあげると良いでしょう。車体の綺麗さを気にする方の場合はもしかしたら向かないのかもしれませんが、ライドフィールを大事にする場合はその性能を堪能できるかと思います。
落合:見えないところの汚れが吐き出された結果、目の届くところが汚れて見えるわけですね。液体自体は粘度が低くシャビシャビだから拭き取りやすいと思うし、気になる方は細かく拭けば大丈夫ですね。
オイルが内部まで浸透していればオイルによる潤滑が効くし、常に汚れを吐き出してくれる。オイルが乾いたら飛散しない上にCNTの低フリクション性能が効くというのがデ・ラ・トレイルという認識になりました。
デ・ラ・トレイルを使ってみた感想は?
磯部:落合さんはデ・ラ・トレイルの性能はどう感じましたか。落合:ドライブトレインのノイズが減ることや、変速時の感触が良くなるのは感じ取れました。特に変速時に金属同士の擦れ合うギリギリというフィーリングがヌメヌメという感触に変わるのは実感できると思いますよ。変速の調整が甘くても、チェーンが暴れずにスパッと変速してくれるので、正直驚いてしまいました。
シマノのDURA-ACE DI2とXTどちらにも使ってみましたが、スパンスパンとギアは入っていくし、シフトタッチが軽くなった気がするほど軽妙に変速してくれ、シフト時のドライブトレインへのストレスが減っていると実感できると思います。フロントの時は特に顕著ですね。
CNTは目に見えないので、最初はどうかと思ってましたが、乗ってみると初めてわかる性能はあると思います。鈍感な自分でもわかるほどなので、実際に乗ってみて欲しいと思います。
湯町:変速が気持ち良いので積極的にギアチェンジしたくなりますよね。レースシーンに居られる方たちに使用感を聞いていくと、変速性能の良さを語ってくれますね。コンポーネントのグレード以上の変速体験を味わうことができると思います。ヌルヌルという表現が適しているのかな。
落合:確かに変速ショックは少ないかもしれません。レースシーンの場合はサイクリングの倍以上に変速回数が増えるので、変速にストレスを感じると、普段は気にならないことがレース中に気になってきてしまいます。そこでトルク管理を怠った変速をしても、ギアがスムーズに入ってくれるので、変速まで神経が回らないような極限状態で性能が光りますね。
デ・ラ・トレイルという名前からオフロードのイメージが先行しがちですが、話を聞いて実際に使ってみたらロードでも問題ないと感じますね。もちろんグラベルユースもいいです。
シクロクロスの場合は最大でも1時間ですが、グラベルライドともなれば1時間以上オンオフ入り交ぜながら走ったり、アドベンチャー的にツーリングするのであれば1週間も走り続けたりするじゃないですか。そんな時に山の中でチェーンが切れてしまったら笑うに笑えない。定期的にケアすることでチェーンを最適な状態に保っておければ、パーツの寿命も伸びていきます。そうするとライド中のトラブルも減ってくると思うし、それを考えるとメンテナンスのハードルが低いデ・ラ・トレイルで整備するのはありだと思います。
提供:フカヤ 制作:シクロワイアード編集部 撮影協力:ワイズロード東大和