2019/07/02(火) - 09:20
スポーツバイク×電動アシストという組み合わせによって、自転車の楽しみ方を広げてくれる新たなツールとして登場したE-スポーツバイク。ヨーロッパやアメリカを中心に世界的に受け入れられてきた新たなムーブメントが遂に日本にも本格的に到来しつつある。E-スポーツバイクの魅力と実力に迫る特集をお届けしよう。
これまでも日本の自転車文化において「電動アシスト車」という存在はかなりポピュラーなものだった。この記事をお読みの方のなかにも、家に1台あるよ、という方も多いのではないだろうか。坂の多い街に住む方や、子供の送り迎えが必要な方にとって、厳しい坂も押すことなく登れ、子供を乗せていてもふらつくことなく発進できる。まさに生活をアシストしてくれる存在として電動アシスト自転車はとても心強い味方であり、受け入れられてきた。
そして、その性能をスポーツバイクの世界まで昇華したのが、今「E-スポーツバイク」と呼ばれるカテゴリーの自転車だ。従来の電動アシスト自転車と全く異なリ、スポーティーな走りを実現するための専用のアシストユニットが搭載されている。
軽快車向けのユニットに比べて軽量でコンパクトに仕上がるE-スポーツバイク用ユニットは、走行性能を犠牲にせずアシストを得るために磨き上げられたもの。これまで諦めていた峠の先へ、いつか行ってみたいと思っていたあの場所へ。これまで体力によって規定してきた自分の限界を飛び越えて、新しい自転車の楽しみを教えてくれるのがE-スポーツバイクだ。
趣味としてサイクリングを楽しむ人々の期待に応えるダイレクトな反応性や100kmを超える航続力など、あらゆるシーンやシチュエーションで最大のハイパフォーマンスを発揮するべく、各社が鎬を削っている最先端のカテゴリーでもあるのがE-スポーツバイク用ユニットでもある。
コンパクトで高出力 自然なフィーリングを誇るSHIMANO STEPS E8080 シリーズ
様々なメーカーがアシストユニットを手掛ける中で、一際高い完成度を見せているのがシマノのSTEPS。ヨーロッパで展開してきたハイエンドスポーツバイク用ユニットE8000シリーズで培った技術をベースに、日本のフィールドとレギュレーションにローカライゼーションを行ったのがE8080シリーズだ。
その特徴は、スポーツバイクらしい運動性を損なわないジオメトリーを実現するためのコンパクトな設計と、それでいてパワフルでリニアなアシストを提供する出力特性にある。2.8kgという重量に抑えられたドライブユニットは、自転車の回頭性やペダリングに対する反応性の良さに直結するリアセンターへの影響を排除するために小型化が推し進められている。また、ペダリングフィールに大きな影響を与えるQファクターも同社のMTBコンポーネント”DEORE XT”と同等の177mmとされている。
さらに定格出力250w、最大トルクは70Nmとオフロードの激坂も楽々越えていけるパワフルな出力を持ちつつ、自然なペダリングフィールで扱いやすいアシスト特性を持っている。ECO、NORMAL、HIGHという3つのモードが用意されており、走っているコースによって柔軟にアシスト力をコントロールすることも出来る。
航続距離に直結するバッテリーは2種類が用意される。公称容量504Wh(36V、 14Ah)の大容量モデルと公称容量418Wh(36V、 11.6Ah)の標準モデルとなっている。ECOモードで走行時、大容量モデルが約140km、標準モデルが約115kmという航続距離を持っており、長距離サイクリングにも十分対応する。
なお、この航続距離はJISに合わせて制定されている業界統一テスト条件によって計測されている。65kgの人を乗せた状態で、それぞれ1kmの平坦路(勾配0%)を15km/h、登り坂(勾配7%)を10km/h、平坦路(勾配0%)を15km/h、下り坂(勾配7%)を20km/hで走るというものだ。つまり、コースプロフィールでいえば、大容量モデルを搭載するE-スポーツバイクは距離140km、獲得標高2450m、標準モデルであれば距離115km、獲得標高2000mほどのライドをこなすことが出来る計算だ。
パワフルでありながらも扱いやすいアシスト特性と、安心感のある長大な航続距離。SHIMANO STEPS E8080 シリーズは上級者も満足できる走行性能を実現しつつ、スポーツバイクが初めてという人でも安心して乗りこなすことが出来るユニットに仕上がっている。
そんな魅力に満ちたSHIMANO STEPSを搭載するE-スポーツバイクのラインアップも充実してきた。2019年6月現在、6ブランド8車種が販売されており、今後も続々と新車種が発売されることが発表されている。フルサス仕様の下り系E-MTBから、街乗りにぴったりなミニベロまで様々なカテゴリーのE-スポーツバイクが用意され、それぞれのニーズに合わせて選ぶことが出来る土壌は整っている。
ユニットの性能ばかりに目が向きがちなE-スポーツバイクだが、普通のスポーツバイクと同じくフレームやパーツの持つ基本的な性能もそれぞれの走りに大きな影響を与えている。初めてE-スポーツバイクを購入しようと考えている人にとっては、各モデルの性格の違いは気になるところだろう。
現在発売されているオンロード系モデル4車種、オフロード系モデル4車種全てのSHIMANO STEPS搭載E-スポーツバイクを乗り比べてインプレッション。前編となるこの企画ではオンロードモデル4台を乗り換えながら富士山1周へチャレンジ。テストライダーは現在はMERIDA X BASEにてE-スポーツバイクを含めたツーリングのアテンドやライディング講習の講師を務める元ロード選手の品川真寛さんと、宇都宮ブリッツェンフェアリー出身で、現在は様々なイベントMCやパーソナリティを務める杏寿沙(あずさ)さんの2人だ。
120km、獲得標高2,000mとカタログスペック以上のコースで見えてくるそれぞれのバイクの特性とは?そもそも走り切れるのか?スポーツバイク界のニューカマーに元プロ選手と女子ライダーが真っ向から向かい合うインプレッションは次のページから。
2005年に後のスキル・シマノとなるシマノ=メモリーコープに所属。2007年に日本人初となるパリ~ルーベに参戦。翌年から愛三工業レーシングチームへと移籍し、国内レースで戦績を残してきた。後に自転車ショップ勤務などを経て、現在はMERIDA X BASEで様々な講座やツアーのガイドを務める。現在はMTBレースで活躍し、全日本選手権マスターズ30において2連覇中。
MERIDA X BASE:http://www.merida.jp/x-base/
宇都宮ブリッツェンフェアリーに加入し、自転車競技部所属発足と共に本格的にロードバイクの道へと進み、現在はラジオパーソナリティ、栃木県内のイベントMC、スポーツジムでのインドアバイクトレーナー、JプロツアーイベントMC、自転車イベントのゲストライダー、宇都宮ブリッツェンコラムを担当するなど自転車を中心に幅広く活動中。心拍計POLARアンバサダー、サイクルアパレルブランドASSOSアンバサダー。
Instagram:@azuchari
Twitter:@m_azusa2go
スポーツバイクの楽しみ方が広がる電動アシストユニット
これまでも日本の自転車文化において「電動アシスト車」という存在はかなりポピュラーなものだった。この記事をお読みの方のなかにも、家に1台あるよ、という方も多いのではないだろうか。坂の多い街に住む方や、子供の送り迎えが必要な方にとって、厳しい坂も押すことなく登れ、子供を乗せていてもふらつくことなく発進できる。まさに生活をアシストしてくれる存在として電動アシスト自転車はとても心強い味方であり、受け入れられてきた。
そして、その性能をスポーツバイクの世界まで昇華したのが、今「E-スポーツバイク」と呼ばれるカテゴリーの自転車だ。従来の電動アシスト自転車と全く異なリ、スポーティーな走りを実現するための専用のアシストユニットが搭載されている。
軽快車向けのユニットに比べて軽量でコンパクトに仕上がるE-スポーツバイク用ユニットは、走行性能を犠牲にせずアシストを得るために磨き上げられたもの。これまで諦めていた峠の先へ、いつか行ってみたいと思っていたあの場所へ。これまで体力によって規定してきた自分の限界を飛び越えて、新しい自転車の楽しみを教えてくれるのがE-スポーツバイクだ。
趣味としてサイクリングを楽しむ人々の期待に応えるダイレクトな反応性や100kmを超える航続力など、あらゆるシーンやシチュエーションで最大のハイパフォーマンスを発揮するべく、各社が鎬を削っている最先端のカテゴリーでもあるのがE-スポーツバイク用ユニットでもある。
コンパクトで高出力 自然なフィーリングを誇るSHIMANO STEPS E8080 シリーズ
様々なメーカーがアシストユニットを手掛ける中で、一際高い完成度を見せているのがシマノのSTEPS。ヨーロッパで展開してきたハイエンドスポーツバイク用ユニットE8000シリーズで培った技術をベースに、日本のフィールドとレギュレーションにローカライゼーションを行ったのがE8080シリーズだ。
その特徴は、スポーツバイクらしい運動性を損なわないジオメトリーを実現するためのコンパクトな設計と、それでいてパワフルでリニアなアシストを提供する出力特性にある。2.8kgという重量に抑えられたドライブユニットは、自転車の回頭性やペダリングに対する反応性の良さに直結するリアセンターへの影響を排除するために小型化が推し進められている。また、ペダリングフィールに大きな影響を与えるQファクターも同社のMTBコンポーネント”DEORE XT”と同等の177mmとされている。
さらに定格出力250w、最大トルクは70Nmとオフロードの激坂も楽々越えていけるパワフルな出力を持ちつつ、自然なペダリングフィールで扱いやすいアシスト特性を持っている。ECO、NORMAL、HIGHという3つのモードが用意されており、走っているコースによって柔軟にアシスト力をコントロールすることも出来る。
航続距離に直結するバッテリーは2種類が用意される。公称容量504Wh(36V、 14Ah)の大容量モデルと公称容量418Wh(36V、 11.6Ah)の標準モデルとなっている。ECOモードで走行時、大容量モデルが約140km、標準モデルが約115kmという航続距離を持っており、長距離サイクリングにも十分対応する。
なお、この航続距離はJISに合わせて制定されている業界統一テスト条件によって計測されている。65kgの人を乗せた状態で、それぞれ1kmの平坦路(勾配0%)を15km/h、登り坂(勾配7%)を10km/h、平坦路(勾配0%)を15km/h、下り坂(勾配7%)を20km/hで走るというものだ。つまり、コースプロフィールでいえば、大容量モデルを搭載するE-スポーツバイクは距離140km、獲得標高2450m、標準モデルであれば距離115km、獲得標高2000mほどのライドをこなすことが出来る計算だ。
パワフルでありながらも扱いやすいアシスト特性と、安心感のある長大な航続距離。SHIMANO STEPS E8080 シリーズは上級者も満足できる走行性能を実現しつつ、スポーツバイクが初めてという人でも安心して乗りこなすことが出来るユニットに仕上がっている。
街乗り小径車から本格MTBまで広がるSHIMANO STEPS搭載E-スポーツバイク
そんな魅力に満ちたSHIMANO STEPSを搭載するE-スポーツバイクのラインアップも充実してきた。2019年6月現在、6ブランド8車種が販売されており、今後も続々と新車種が発売されることが発表されている。フルサス仕様の下り系E-MTBから、街乗りにぴったりなミニベロまで様々なカテゴリーのE-スポーツバイクが用意され、それぞれのニーズに合わせて選ぶことが出来る土壌は整っている。
ユニットの性能ばかりに目が向きがちなE-スポーツバイクだが、普通のスポーツバイクと同じくフレームやパーツの持つ基本的な性能もそれぞれの走りに大きな影響を与えている。初めてE-スポーツバイクを購入しようと考えている人にとっては、各モデルの性格の違いは気になるところだろう。
現在発売されているオンロード系モデル4車種、オフロード系モデル4車種全てのSHIMANO STEPS搭載E-スポーツバイクを乗り比べてインプレッション。前編となるこの企画ではオンロードモデル4台を乗り換えながら富士山1周へチャレンジ。テストライダーは現在はMERIDA X BASEにてE-スポーツバイクを含めたツーリングのアテンドやライディング講習の講師を務める元ロード選手の品川真寛さんと、宇都宮ブリッツェンフェアリー出身で、現在は様々なイベントMCやパーソナリティを務める杏寿沙(あずさ)さんの2人だ。
120km、獲得標高2,000mとカタログスペック以上のコースで見えてくるそれぞれのバイクの特性とは?そもそも走り切れるのか?スポーツバイク界のニューカマーに元プロ選手と女子ライダーが真っ向から向かい合うインプレッションは次のページから。
インプレッションライダープロフィール
品川真寛さん
2005年に後のスキル・シマノとなるシマノ=メモリーコープに所属。2007年に日本人初となるパリ~ルーベに参戦。翌年から愛三工業レーシングチームへと移籍し、国内レースで戦績を残してきた。後に自転車ショップ勤務などを経て、現在はMERIDA X BASEで様々な講座やツアーのガイドを務める。現在はMTBレースで活躍し、全日本選手権マスターズ30において2連覇中。
MERIDA X BASE:http://www.merida.jp/x-base/
杏寿沙(あずさ)さん
宇都宮ブリッツェンフェアリーに加入し、自転車競技部所属発足と共に本格的にロードバイクの道へと進み、現在はラジオパーソナリティ、栃木県内のイベントMC、スポーツジムでのインドアバイクトレーナー、JプロツアーイベントMC、自転車イベントのゲストライダー、宇都宮ブリッツェンコラムを担当するなど自転車を中心に幅広く活動中。心拍計POLARアンバサダー、サイクルアパレルブランドASSOSアンバサダー。
Instagram:@azuchari
Twitter:@m_azusa2go
SHIMANO STEPS搭載E-スポーツバイクカタログ ~オンロード編~
ミヤタ CRUISE
サイズ | 43cm、46cm |
カラー | ピュアホワイトパール、クリアブラック |
フレーム | アルミニウム |
フロントフォーク | アルミニウム |
ドライブユニット | SHIMANO STEPS E8080 |
バッテリー | SHIMANO STEPS BT-E6010 418Wh(36V、 11.6Ah) |
タイヤ | ケンダ 700×28C |
重量 | 18.7kg |
価格 | 269,000円(税抜) |
セラフ E-01S
サイズ | 500(165-175cm)、500S(155-165cm) |
カラー | パールホワイト |
フレーム | アルミ (T6061-T6) |
フロントフォーク | カーボン (1-1.8/1.5 Tapered) |
ドライブユニット | SHIMANO STEPS E8080 |
バッテリー | SHIMANO STEPS BT-E6010 418Wh(36V、 11.6Ah) |
タイヤ | コンチネンタル ウルトラスポーツ 700x32C |
重量 | 17.5kg |
価格 | 380,000円(税抜) |
ダボス E600
サイズ | 480 |
カラー | マッハシルバー |
フレーム | フカヤ オリジナル 4130 クロモリ |
フロントフォーク | フカヤ オリジナル 4130 クロモリ |
ドライブユニット | SHIMANO STEPS E8080 |
バッテリー | SHIMANO STEPS BT-E8010 504Wh(36V、 14Ah) |
タイヤ | IRC インテッツォ 700×32C |
重量 | 17.8kg |
価格 | 430,000円(税抜) |