2018/07/20(金) - 11:41
ピナレロ2019年モデルの注目株、PRINCEシリーズにフォーカスを当てる。これまで堅持してきたDOGMA 65.1世代のスタイルから脱却、DOGMA F10の特徴を引き継ぎつつブラッシュアップを果たした、GANに取って代わる次世代ハイパフォーマンスモデルを徹底的に掘り下げてみたい。
プレミアモデルのDOGMAと双璧を成す、ピナレロ伝統のネームがPRINCEだ。その初登場は1997年と2003年デビューのDOGMAよりも古く、97年のツール・ド・フランスではプロトタイプに乗ったヤン・ウルリッヒ(ドイツ、当時チームテレコム)の総合優勝を支え、ツール優勝という看板を引っさげて翌年のミラノショーで正式デビュー。世界初のカーボンバック、そしてインテグラルヘッドチューブ採用機としてプロアマ問わず莫大な人気を集め、ピナレロを世界屈指のトップブランドに押し上げる功労者となった。
PRINCEはその後ピナレロのアイコンとも言えるONDAフォークのデビューとともにPRINCE SLへと替わり、2008年には東レの50HM1Kを奢ったフラッグシップモデルとして初のフルカーボンフレームを採用したPRINCE CARBONへ。それまでのPARIS CARBONに替わる戦闘機としてケースデパーニュに供給され、アレハンドロ・バルベルデのアルデンヌクラシック制覇やツール・ド・フランスステージ優勝とマイヨジョーヌ着用を支えた。
PRINCE CARBONはDOGMA F8登場までの「ピナレロスタイル」を決定づけた名機であり、当時スペイン王者だったバルベルデが駆ったレッドとイエローのPRINCE CARBONは人々に強烈な印象を植え付けた。広く市販モデルが人気を集めたことは記憶にも新しい。
そして2009年にDOGMAが再びフラッグシップに返り咲いた後も、PRINCEは本格レーサー向けのハイパフォーマンスロードとしての立ち位置を崩さなかった。一時はラインナップから姿を消したが、2014年にはDOGMA 65.1と全く同じフォルムを得て復活。新たなミドルグレード「GAN」が登場してからもピナレロ伝統のスタイルを維持する人気車種としてその座を維持してきた。
そんな伝統モデルPRINCEが2019年モデルとして、GANシリーズを置き換える使命を掲げ再デビューを果たす。GANがDOGMA F8をベースとしていたのに対し、第5世代のPRINCEはDOGMA F10の特徴を引き継ぎつつ空力面など各所を改善している。つまり現在のラインナップにおいてPRINCEはピナレロの「最も進んだロードバイク」であり、そこにはDOGMAに次ぐピュアレーサーとしての威信が見え隠れする。
PRINCEのラインナップは上級の「PRINCE FX」と弟分「PRINCE」という2グレードで、セカンドグレードにはディスクブレーキを搭載モデルも用意される。特にGAN RSの後継に当たるPRINCE FXはDOGMA F10直系の弟分とあって東レのT900 3Kカーボンを使用し、フレーム重量940g、フレームセット価格455,000円(税抜)という「手の届くハイエンドモデル」としての役割を担っている。
新型PRINCEの基本ルックスはDOGMA F8から始まった現代ピナレロのスタンダードと言うべきものだ。フラットバック形状を採用した各種チューブ、ボトル取り付け部分を凹ませた「Concaveダウンチューブ」、フォーク先端に設けられた整流フィン「フォークフラップ」などはTTバイク「BOLIDE」の要素を加えたDOGMA F10を踏襲した要素。
更にPRINCEならではの最新構造としては、ダウンチューブ前側をフロントホイールに添わせ、更にフォーククラウンとヘッドチューブを一体化させる設計がより推し進められた点が挙げられる。ホイールとダウンチューブのクリアランスを40%詰めたことで気流の乱れを抑制し、更に前後リムブレーキを風から隠すデザインも進化。トータルとしてGANに対し10%もの空力性能向上を果たしているのだ。
空力面のみならず、PRINCEはピナレロが先鞭を付けた左右非対称デザインをより強化し、走行性能の最適化を測った。例えばトップチューブとダウンチューブのドライブ側ボリュームを増加させ、ダウンチューブセクションはDOGMA F10よりもワイド化することでカーボングレードの性能差をフレーム造形で補う設計が施されている。ジオメトリーはほぼGANと同じで、DOGMA F10よりも若干ヘッドチューブが長いが、あくまでレースを想定した「ピナレロ・ハンドリング」が追求されているという。
また、シマノDi2のジャンクションAをダウンチューブにセットするeLINKもDOGMA以外では初導入され、Di2コンポーネントでの使い勝手を大幅に向上させている。2箇所のボトルケージポジションを選べるよう、ボルト穴が3ヶ所用意されているのもGANには無かったポイントだ。
PRINCE FXには、R9150系デュラエースDi2とフルクラムのQUATTRO CARBONをセットした即レース投入可能なハイグレードと、機械式アルテグラ採用で手の届きやすい価格を実現した2種類の完成車とフレームセットの3パッケージ、そして普及価格帯のPRINCEにはアルテグラ、105、そしてカンパニョーロ POTENZAといった3種類の完成車が用意される。
また、PRINCE DISKは、機械式変速/油圧ディスクブレーキのR8050系アルテグラをセットアップした完成車と、フレームセットの2バリエーションだ。
今回インプレッションに充てがわれたのは、PRINCE FXのアルテグラ完成車と、PRINCEのアルテグラ完成車。DOGMA F10を所有しピナレロを知り尽くした小西裕介さん(なるしまフレンド)、そしてホビーレーサー最強クラスの脚を維持している西谷雅史(サイクルポイント オーベスト)さんというお二人に、ピナレロ次世代の価値あるレーシングバイクを試してもらった。
DOGMAよりも古い伝統の名 ピナレロの"王子"は第5世代へ
プレミアモデルのDOGMAと双璧を成す、ピナレロ伝統のネームがPRINCEだ。その初登場は1997年と2003年デビューのDOGMAよりも古く、97年のツール・ド・フランスではプロトタイプに乗ったヤン・ウルリッヒ(ドイツ、当時チームテレコム)の総合優勝を支え、ツール優勝という看板を引っさげて翌年のミラノショーで正式デビュー。世界初のカーボンバック、そしてインテグラルヘッドチューブ採用機としてプロアマ問わず莫大な人気を集め、ピナレロを世界屈指のトップブランドに押し上げる功労者となった。
PRINCEはその後ピナレロのアイコンとも言えるONDAフォークのデビューとともにPRINCE SLへと替わり、2008年には東レの50HM1Kを奢ったフラッグシップモデルとして初のフルカーボンフレームを採用したPRINCE CARBONへ。それまでのPARIS CARBONに替わる戦闘機としてケースデパーニュに供給され、アレハンドロ・バルベルデのアルデンヌクラシック制覇やツール・ド・フランスステージ優勝とマイヨジョーヌ着用を支えた。
PRINCE CARBONはDOGMA F8登場までの「ピナレロスタイル」を決定づけた名機であり、当時スペイン王者だったバルベルデが駆ったレッドとイエローのPRINCE CARBONは人々に強烈な印象を植え付けた。広く市販モデルが人気を集めたことは記憶にも新しい。
そして2009年にDOGMAが再びフラッグシップに返り咲いた後も、PRINCEは本格レーサー向けのハイパフォーマンスロードとしての立ち位置を崩さなかった。一時はラインナップから姿を消したが、2014年にはDOGMA 65.1と全く同じフォルムを得て復活。新たなミドルグレード「GAN」が登場してからもピナレロ伝統のスタイルを維持する人気車種としてその座を維持してきた。
そんな伝統モデルPRINCEが2019年モデルとして、GANシリーズを置き換える使命を掲げ再デビューを果たす。GANがDOGMA F8をベースとしていたのに対し、第5世代のPRINCEはDOGMA F10の特徴を引き継ぎつつ空力面など各所を改善している。つまり現在のラインナップにおいてPRINCEはピナレロの「最も進んだロードバイク」であり、そこにはDOGMAに次ぐピュアレーサーとしての威信が見え隠れする。
DOGMA F10の特徴を引き継ぎ改善した最新形
PRINCEのラインナップは上級の「PRINCE FX」と弟分「PRINCE」という2グレードで、セカンドグレードにはディスクブレーキを搭載モデルも用意される。特にGAN RSの後継に当たるPRINCE FXはDOGMA F10直系の弟分とあって東レのT900 3Kカーボンを使用し、フレーム重量940g、フレームセット価格455,000円(税抜)という「手の届くハイエンドモデル」としての役割を担っている。
新型PRINCEの基本ルックスはDOGMA F8から始まった現代ピナレロのスタンダードと言うべきものだ。フラットバック形状を採用した各種チューブ、ボトル取り付け部分を凹ませた「Concaveダウンチューブ」、フォーク先端に設けられた整流フィン「フォークフラップ」などはTTバイク「BOLIDE」の要素を加えたDOGMA F10を踏襲した要素。
更にPRINCEならではの最新構造としては、ダウンチューブ前側をフロントホイールに添わせ、更にフォーククラウンとヘッドチューブを一体化させる設計がより推し進められた点が挙げられる。ホイールとダウンチューブのクリアランスを40%詰めたことで気流の乱れを抑制し、更に前後リムブレーキを風から隠すデザインも進化。トータルとしてGANに対し10%もの空力性能向上を果たしているのだ。
空力面のみならず、PRINCEはピナレロが先鞭を付けた左右非対称デザインをより強化し、走行性能の最適化を測った。例えばトップチューブとダウンチューブのドライブ側ボリュームを増加させ、ダウンチューブセクションはDOGMA F10よりもワイド化することでカーボングレードの性能差をフレーム造形で補う設計が施されている。ジオメトリーはほぼGANと同じで、DOGMA F10よりも若干ヘッドチューブが長いが、あくまでレースを想定した「ピナレロ・ハンドリング」が追求されているという。
また、シマノDi2のジャンクションAをダウンチューブにセットするeLINKもDOGMA以外では初導入され、Di2コンポーネントでの使い勝手を大幅に向上させている。2箇所のボトルケージポジションを選べるよう、ボルト穴が3ヶ所用意されているのもGANには無かったポイントだ。
即レーススペックのDi2完成車から、ディスクブレーキ搭載モデルまで
PRINCE FXには、R9150系デュラエースDi2とフルクラムのQUATTRO CARBONをセットした即レース投入可能なハイグレードと、機械式アルテグラ採用で手の届きやすい価格を実現した2種類の完成車とフレームセットの3パッケージ、そして普及価格帯のPRINCEにはアルテグラ、105、そしてカンパニョーロ POTENZAといった3種類の完成車が用意される。
また、PRINCE DISKは、機械式変速/油圧ディスクブレーキのR8050系アルテグラをセットアップした完成車と、フレームセットの2バリエーションだ。
今回インプレッションに充てがわれたのは、PRINCE FXのアルテグラ完成車と、PRINCEのアルテグラ完成車。DOGMA F10を所有しピナレロを知り尽くした小西裕介さん(なるしまフレンド)、そしてホビーレーサー最強クラスの脚を維持している西谷雅史(サイクルポイント オーベスト)さんというお二人に、ピナレロ次世代の価値あるレーシングバイクを試してもらった。
ピナレロ PRINCE 各モデルスペック
ピナレロ PRINCE FX
フレーム素材 | ハイストレングスT900 3Kカーボン |
フレーム重量 | 940g(53サイズ) |
サイズ | 44SL、46.5SL、50、51.5、53、54、55、56、57.5、59.5、62(CC) |
カラー | 712/GRADIENT FLUORITE、711/GRADIENT VULCANO、747/BOB METAL、714/RED WHITE |
価格 | シマノDURA-ACE Di2完成車 970,000円(税抜) シマノULTEGRA完成車 528,000円(税抜) フレームセット 455,000円(税抜) |
ピナレロ PRINCE
フレーム素材 | ハイストレングスT700 12Kカーボン |
フレーム重量 | 960g(53サイズ) |
サイズ | 44SL、46.5SL、50、51.5、53、54、55、56、57.5、59.5、62(CC) |
カラー | 715/CARBON RED、716/BOB、717/WHITE ORANGE |
価格 | カンパニョーロPOTENZA完成車 435,000円(税抜) シマノULTEGRA完成車 435,000円(税抜) シマノ105完成車 385,000円(税抜) フレームセット 275,000円(税抜) ※105仕様のみEZ-fit 42の設定あり |
ピナレロ PRINCE DISK
フレーム素材 | ハイストレングスT700 12Kカーボン |
フレーム重量 | 980g(53サイズ) |
サイズ | 44SL、46.5SL、50、51.5、53、54、55、56、57.5、59.5、62(CC) |
カラー | 718/CARBON RED |
価格 | シマノULTEGRA完成車 478,000円(税抜) フレームセット 295,000円(税抜) |
提供:ピナレロジャパン 制作:シクロワイアード編集部