2009/03/13(金) - 23:33
レーシングモデルの性能を多くの人が享受できるようにアレンジ
プロツアーで活躍するTCR ADVANCED SLの流れを汲んだレース仕様モデルだが、大きく異なるのはフレーム素材。TCR ADVANCED SLシリーズが「Advanced SL-Grade Composite」のカーボンなのに対し、TCR ADVANCEDシリーズは「Advanced-Grade Composite」のカーボンフレームなのだ。もちろん価格はTCR ADVANCEDシリーズのほうが安い。しかし、価格の高低だけでは測れない価値がこのTCR ADVANCED 2には存在する。インプレッション
戸津井:325,000円の完成車ですが、フレームは純レース仕様。ホイールを上級グレードに交換すると、さらにポテンシャルアップが果たせると思います。山本:上位モデルに汎用性を加味した、レースを目指す1台ですね。ほとんど形状は同じ。でもピラーはISPではないので、サドル高は自由に上下できる分、取っ付きやすいです。
戸津井:上りでダッシュしてBB付近に負荷がかかる状態でも、力が横に逃げちゃうのではなくて、踏めば踏むほど進むという感じがありました。また、TCR ADVANCED SLと同じく、ヘッド周りの剛性が相当高い。ヘッド周りの剛性が高いと、メーカーによっては乗り心地が極端に悪くなるのですが、これはそんなことありません。スピードを出してコーナリングするとき、カラダをすっと倒すとオンザレール感覚で曲がっていくんです。コーナリングの途中で路面条件が変わっても、前後のバランスが崩れにくかった。
山本:確かに前後の重心バランスは最高ですね。今回試乗した中で、いちばん良いとも言えるんじゃないでしょうか。カーボン素材はSL Teamと異なりますが、加速性も安定感も良い。私は、TCR ADVANCED SLはプロレーサー向けと感じます。一方、こちらは同じような性能を持ちながら、万人向けにアレンジされているのではないでしょうか。
戸津井:高速でダッシュを繰り返して足がパンパンになってスピードが落ちるシチュエーションだと、ペダリングできなくなって極端にスピードが落ちてしまうバイクがあるんです。今回もわざとそこまで試してみましたが、スピードが落ちても、うまくペダリングして進むことができました。懐が深いと言えば良いのか……これなら平均スピードが遅い人でも乗りやすいですし、強く速くなったときにも受け止めるキャパシティがありますね。
山本:造形面でも、マスプロっぽさがないですね。そうそう、このモデルには専用のシートピラーが付属していますが。
戸津井:そのピラーのオフセットが変えられるのは、気が利いた発想ですね。専用ということは、つまりピラーが選べないわけですけど、これなら後退角を出したいという人にも対応できます。そういったことまで、しっかり考えて作っています。
山本:2009年からのニューモデルですけど、ものすごく完成度が高いと思いますね。
スペック
フレーム | Advanced-Grade Composite,VECTOR COMPOSITE Seat Pillar |
フォーク | Advanced-Grade Composite,Alloy Over Drive Column |
メインコンポーネント | SHIMANO ULTEGRA |
クランクセット | SHIMANO ULTEGRA |
ブレーキ | SHIMANO ULTEGRA |
ホイール | MAVIC AKSIUM |
タイヤ | MICHELIN PRO3 RACE 700x23C |
変速 | 20 Speed |
価格 | 325,500円(税込) |
提供:株式会社ジャイアント 企画/制作:シクロワイアード TEXT:須貝弦