2018/07/23(月) - 12:13
イタリアのヴェネト県アーゾロに構えられたセッレイタリアの本社で行われたメディアミーティング。新製品の発表とともに紹介されたidmatchの進化系であるBike Labをピックアップしよう。
自分の体にマッチしたサドルを探す作業は困難という考えに共感できるサイクリストは少なくないはずだ。サドルを選ぶ際の検討項目は、座面形状がフラット型かラウンド型か、幅狭か幅広か、パッド量、サドル中央部に設けられるホールの有無などと非常に多く、様々なニーズに応えられるように市場には無数のモデルが用意されている。
選択肢が非常に充実してしまったが故、自分にマッチするサドルを探す時、好みを把握していないと無数に存在するモデルからベストマッチの一つを見つけ出す必要が生まれる。もし見つけられなければ、サドルを購入しては試し、再び購入しては試し…という負のスパイラルに陥るか、異変を感じるものの検討項目のどこかを妥協するという結果になってしまう可能性がある。それでは楽しいサイクリングライフに水を差してしまう。
一方で、サドルの種類が豊かになり選ぶことが困難になると同時に、メーカー達は快適に着座できるサドルを提供できるようにフィッティングシステムを構築していった。老舗ブランドであるセッレイタリアも例外ではなく、イタリアスポーツ医学界の権威であるルカ・バルトリ医師が立ち上げたエルゴビューとタッグを組み「idmatch(アイディー・マッチ)」というシステムをローンチした。
idmatchはセッレイタリアとバルトリ博士が、5年間かけ3,000人のサイクリストのボディ計測から得たデータを基に構築されたシステム。体の柔軟性だけではなく、体の幅と脚の太さなどを加味することで、座面の幅とサドル中央部のホールの有無、大きさを一度に教えてくれる。座面のフラット、ラウンド、ウェービングなどはサイクリストの好みで決めることができる。
リリース当初のidmatchでは、身長、体重、年齢、性別、大転子の幅、左右の太ももの周囲長、骨盤の前傾角度のデータから、6つのサドルカテゴリーが導き出すというもの。メジャーや水平器で計測したデータをパソコンに打ち込む必要があり、結果が出るまでのプロセスが多めだった。
しかし、現在のシステムはidmatch SC(Smart Caliper)となっており、大きなノギスひとつの機器でカテゴリーを導き出すことが可能となっている。プロセスは骨盤幅、片方の太ももの幅、立位前屈の骨盤角度を計測する3ステップのみであり、時間にしては約3分程度ですべて完了する。わずかな時間で自分にマッチしそうなサドルを見つけることができるため、対応店舗でも気軽に計測してもらうということも可能だろう。
セッレイタリアのサドルラインナップの傾向は、SLRが幅広と幅狭、ホールサイズのバラエティが最も富んでいる。座面形状は若干のラウンド、ウェーブがかかっており、最もフィットする人が多そうなオーソドックスとなっているため、選択肢が多く選びやすいと言えるはずだ。
FLITEは前後左右どちらに対してもフラットな座面を持つサドルとなっている。ラインナップは、幅広の「Lカテゴリー」のみであり、ホールサイズによって選ぶ形だ。NOVUSはほぼ全てスーパーフロウの「3カテゴリー」で、2モデルのみ「2カテゴリー」が用意されている。幅はSとLどちらも用意されている。
SP-01は用意されているモデル全てが「3カテゴリー」のスーパーフロウ仕様であり、SとLのどちらの大きさとなっている。座面形状と大きめのホールが好みの方であれば、多くの人が受け入れやすいはずだ。
体にフィットしたサドルを提案することで、サイクリストに快適なサイクリングを提供するidmatch。セッレイタリアとルカ・バルトリ博士はネクストステップへと進み、Bike Lab(バイクラボ)というバイクフィッティングシステムを開発した。Bike Labではバイクポジションと共にクリートポジションを整えることができ、より快適でハイパフォーマンスを発揮できる自転車ライフに導いてくれる。
Bike Labの肝となるのはフィッティングの素早さ。バルトリ博士によるとシステムは約20分で被験者の理想となるポジションを導いてくれるという。Bike Labを構成するハードウェアとソフトウェアどちらも複雑に連携して短時間でのフィッティングを実現している。その中でも注目のポイントをピックアップしよう。
フィッティングで主に使用するのは「idmatch Smart Bike」というインドアフィットネスバイクのようなペダリングマシーンと、3Dスキャン用のカメラ。3Dスキャンした体のデータは、Smart Bikeを漕いでいる最中もリアルタイムで解析され、データをもとに理想となるポジションが計算される。そして、その結果を受け、Smart Bikeがハンドルとサドルの上下、前後位置をペダリング中に自動的に調整してくれるのだ。
フィッティングを受ける前、サイクリング中に痛みが発生する箇所を予め指定することで、バイクフィッティングはその痛みを軽減させる方向かつハイパフォーマンスを発揮できる方向性で行われることとなる。
「Bike Labのシステムは関節の角度、関節の動きの速さを計測し、蓄積されたデータから理想のポジションを導き出していきます。ペダルの漕ぎ始めから1分で計算が終わり、Smart Bikeのハンドルとサドルの位置が調整されます。再びシステムは計算をし始め、再調整を行います。20分間でフィッティングは終わります。」とバルトリ博士。
「オートマチックな調整が終わったとしてもフィッティングは終わりではありません。Smart Bikeは手動でポジションすることができるため、自分が理想的ではないと思ったときは調整することが可能です。再びシステムが調整後のポジションが良いかどうかを判断し、ポジションが再調整されます。」とも。
オートマチックにポジション変更が行われることは最大の時間短縮の要因となっている。これまでのフィッティングのように、プロフィッターがポジション変更を手作業で行い、再びソフトや目視などで解析する方法よりもスマートな方法と言えるだろう。
3Dスキャンを行うにあたって、体にマーカーを装着する必要がないため、準備の時間も僅かだ。そのうえ、ソフトウェア上で関節位置を把握するため、マーカーのズレなどが起きにくい。マーカーレスによってスマートなフィッティングが可能となっているのだ。
Bike Labの解析システムはロード、シクロクロス、MTB、TTバイクなどに対応。ハンドルバーをドロップからフラットバーに切り替えることも、サドルを好みのものに変更することも容易に行えるため、愛車に近い感覚でSmart Bikeのペダルを回すことが可能となっている。
そして、解析システムにはロード、タイムトライアル(トライアスロン)、MTB、シクロクロスバイク様々な車種、3Tなどのパーツ類、10,000を超えるバイクデータが収録されているため、Bike Labでは愛車のジオメトリーの範囲内で理想のポジションを導き出すことができる。バルトリ博士によると、このデータは常に更新されていくというため、最新バイクでも効果的なフィッティングを受けられるだろう。また、バイクを買い換える際もデータを活用することで、フレームサイズやマッチしたステム長などを把握することができる。
Bike LabとSmart Bikeで導き出されたバイクポジションは、PC上で数値として確認することができる。また、自動的に導き出されたポジションのデータはQRコードやメールを介し、手持ちのスマートフォンに送ることが可能だ。
このデータをもとにレーザーで正確に高さと横位置を計測できるメジャーシステムでバイクポジションを変更するのみ。ここは手作業となるが既に理想のポジションがでているため、パーツの位置を変えるだけのため、大きな手間とはならないはずだ。
Bike Labにはクリートポジションのフィッティングも含まれている。こちらは専用のアナログメジャーシステムを使用し、脚の大きさと幅を求めることでワンステップでクリート位置を把握することができる。クリートセッティングに使用する専用治具はレーザーでポジションを導いてくれるため、わざわざメジャーなどを用意する必要が無くなっている。もちろん、シマノ、ルック、タイムのクリートに対応する。
このフィッティングシステムは日本での展開は未定。プロフェッショナルなフィッターではなくてもシステムが理想的なポジションを導き出してくれるため、国内で開始されればフィッティングがより身近になるはずだ。
サイクリストの身体に合うサドルを提案してくれるidmatch(アイディー・マッチ)
自分の体にマッチしたサドルを探す作業は困難という考えに共感できるサイクリストは少なくないはずだ。サドルを選ぶ際の検討項目は、座面形状がフラット型かラウンド型か、幅狭か幅広か、パッド量、サドル中央部に設けられるホールの有無などと非常に多く、様々なニーズに応えられるように市場には無数のモデルが用意されている。
選択肢が非常に充実してしまったが故、自分にマッチするサドルを探す時、好みを把握していないと無数に存在するモデルからベストマッチの一つを見つけ出す必要が生まれる。もし見つけられなければ、サドルを購入しては試し、再び購入しては試し…という負のスパイラルに陥るか、異変を感じるものの検討項目のどこかを妥協するという結果になってしまう可能性がある。それでは楽しいサイクリングライフに水を差してしまう。
一方で、サドルの種類が豊かになり選ぶことが困難になると同時に、メーカー達は快適に着座できるサドルを提供できるようにフィッティングシステムを構築していった。老舗ブランドであるセッレイタリアも例外ではなく、イタリアスポーツ医学界の権威であるルカ・バルトリ医師が立ち上げたエルゴビューとタッグを組み「idmatch(アイディー・マッチ)」というシステムをローンチした。
idmatchはセッレイタリアとバルトリ博士が、5年間かけ3,000人のサイクリストのボディ計測から得たデータを基に構築されたシステム。体の柔軟性だけではなく、体の幅と脚の太さなどを加味することで、座面の幅とサドル中央部のホールの有無、大きさを一度に教えてくれる。座面のフラット、ラウンド、ウェービングなどはサイクリストの好みで決めることができる。
リリース当初のidmatchでは、身長、体重、年齢、性別、大転子の幅、左右の太ももの周囲長、骨盤の前傾角度のデータから、6つのサドルカテゴリーが導き出すというもの。メジャーや水平器で計測したデータをパソコンに打ち込む必要があり、結果が出るまでのプロセスが多めだった。
しかし、現在のシステムはidmatch SC(Smart Caliper)となっており、大きなノギスひとつの機器でカテゴリーを導き出すことが可能となっている。プロセスは骨盤幅、片方の太ももの幅、立位前屈の骨盤角度を計測する3ステップのみであり、時間にしては約3分程度ですべて完了する。わずかな時間で自分にマッチしそうなサドルを見つけることができるため、対応店舗でも気軽に計測してもらうということも可能だろう。
idmatch カテゴリー紹介
S1 | 坐骨の幅が狭く、ライド時に骨盤の前傾が少ない方 |
S2 | 坐骨の幅が狭く、ライド時に坐骨の前傾が標準的な方 |
S3 | 坐骨の幅が狭く、ライド時に骨盤の前傾が大きい方 |
L1 | 坐骨の幅が広く、ライド時に骨盤の前傾が少ない方 |
L2 | 坐骨の幅が広く、ライド時に骨盤の前傾が標準的な方 |
L3 | 坐骨の幅が広く、ライド時に骨盤の前傾が大きい方 |
セッレイタリアのサドルラインナップの傾向は、SLRが幅広と幅狭、ホールサイズのバラエティが最も富んでいる。座面形状は若干のラウンド、ウェーブがかかっており、最もフィットする人が多そうなオーソドックスとなっているため、選択肢が多く選びやすいと言えるはずだ。
FLITEは前後左右どちらに対してもフラットな座面を持つサドルとなっている。ラインナップは、幅広の「Lカテゴリー」のみであり、ホールサイズによって選ぶ形だ。NOVUSはほぼ全てスーパーフロウの「3カテゴリー」で、2モデルのみ「2カテゴリー」が用意されている。幅はSとLどちらも用意されている。
SP-01は用意されているモデル全てが「3カテゴリー」のスーパーフロウ仕様であり、SとLのどちらの大きさとなっている。座面形状と大きめのホールが好みの方であれば、多くの人が受け入れやすいはずだ。
ルカ・バルトリ博士とセッレイタリアが追求したidmatchの進化系「Bike Lab」
体にフィットしたサドルを提案することで、サイクリストに快適なサイクリングを提供するidmatch。セッレイタリアとルカ・バルトリ博士はネクストステップへと進み、Bike Lab(バイクラボ)というバイクフィッティングシステムを開発した。Bike Labではバイクポジションと共にクリートポジションを整えることができ、より快適でハイパフォーマンスを発揮できる自転車ライフに導いてくれる。
Bike Labの肝となるのはフィッティングの素早さ。バルトリ博士によるとシステムは約20分で被験者の理想となるポジションを導いてくれるという。Bike Labを構成するハードウェアとソフトウェアどちらも複雑に連携して短時間でのフィッティングを実現している。その中でも注目のポイントをピックアップしよう。
フィッティングで主に使用するのは「idmatch Smart Bike」というインドアフィットネスバイクのようなペダリングマシーンと、3Dスキャン用のカメラ。3Dスキャンした体のデータは、Smart Bikeを漕いでいる最中もリアルタイムで解析され、データをもとに理想となるポジションが計算される。そして、その結果を受け、Smart Bikeがハンドルとサドルの上下、前後位置をペダリング中に自動的に調整してくれるのだ。
フィッティングを受ける前、サイクリング中に痛みが発生する箇所を予め指定することで、バイクフィッティングはその痛みを軽減させる方向かつハイパフォーマンスを発揮できる方向性で行われることとなる。
「Bike Labのシステムは関節の角度、関節の動きの速さを計測し、蓄積されたデータから理想のポジションを導き出していきます。ペダルの漕ぎ始めから1分で計算が終わり、Smart Bikeのハンドルとサドルの位置が調整されます。再びシステムは計算をし始め、再調整を行います。20分間でフィッティングは終わります。」とバルトリ博士。
「オートマチックな調整が終わったとしてもフィッティングは終わりではありません。Smart Bikeは手動でポジションすることができるため、自分が理想的ではないと思ったときは調整することが可能です。再びシステムが調整後のポジションが良いかどうかを判断し、ポジションが再調整されます。」とも。
オートマチックにポジション変更が行われることは最大の時間短縮の要因となっている。これまでのフィッティングのように、プロフィッターがポジション変更を手作業で行い、再びソフトや目視などで解析する方法よりもスマートな方法と言えるだろう。
3Dスキャンを行うにあたって、体にマーカーを装着する必要がないため、準備の時間も僅かだ。そのうえ、ソフトウェア上で関節位置を把握するため、マーカーのズレなどが起きにくい。マーカーレスによってスマートなフィッティングが可能となっているのだ。
Bike Labの解析システムはロード、シクロクロス、MTB、TTバイクなどに対応。ハンドルバーをドロップからフラットバーに切り替えることも、サドルを好みのものに変更することも容易に行えるため、愛車に近い感覚でSmart Bikeのペダルを回すことが可能となっている。
そして、解析システムにはロード、タイムトライアル(トライアスロン)、MTB、シクロクロスバイク様々な車種、3Tなどのパーツ類、10,000を超えるバイクデータが収録されているため、Bike Labでは愛車のジオメトリーの範囲内で理想のポジションを導き出すことができる。バルトリ博士によると、このデータは常に更新されていくというため、最新バイクでも効果的なフィッティングを受けられるだろう。また、バイクを買い換える際もデータを活用することで、フレームサイズやマッチしたステム長などを把握することができる。
Bike LabとSmart Bikeで導き出されたバイクポジションは、PC上で数値として確認することができる。また、自動的に導き出されたポジションのデータはQRコードやメールを介し、手持ちのスマートフォンに送ることが可能だ。
このデータをもとにレーザーで正確に高さと横位置を計測できるメジャーシステムでバイクポジションを変更するのみ。ここは手作業となるが既に理想のポジションがでているため、パーツの位置を変えるだけのため、大きな手間とはならないはずだ。
Bike Labにはクリートポジションのフィッティングも含まれている。こちらは専用のアナログメジャーシステムを使用し、脚の大きさと幅を求めることでワンステップでクリート位置を把握することができる。クリートセッティングに使用する専用治具はレーザーでポジションを導いてくれるため、わざわざメジャーなどを用意する必要が無くなっている。もちろん、シマノ、ルック、タイムのクリートに対応する。
このフィッティングシステムは日本での展開は未定。プロフェッショナルなフィッターではなくてもシステムが理想的なポジションを導き出してくれるため、国内で開始されればフィッティングがより身近になるはずだ。
提供:日直商会 photo&text:藤原岳人(シクロワイアード編集部)