2017/11/02(木) - 11:05
ツール・ド・フランスやブエルタ・ア・エスパーニャといったグランツールのリーダージャージを製作するルコックスポルティフが、ベルギーのレーシングアパレルブランド・ビオレーサーとタッグを組んで開発した2つのウィンタータイツたち。一足早く冬がやってくる北海道にて、その実力をテストした。
気温が下がり、ついつい億劫になりがちな冬場のライド。とりあえずレーサーパンツと半袖ジャージを着ていれば大丈夫、という夏とは異なり、気温や天気によってレイヤリングを考える必要が出てくるというのも、冬場のライドを遠ざけてしまう原因の一つだろう。
ルコックスポルティフが今回発表したコラボタイツはそんな悩みをシンプルに解決してくれるラインアップとなっている。ハイエンドモデルであるテンペストビブタイツは推奨気温0℃~5℃、ミドルグレードとなるテンプコントロールタイツは10℃~15℃という推奨気温が定められているため、余計な悩みを抱える必要はない。本州であれば、真冬はテンペストビブタイツ、それ以外はテンプコントロールタイツと使い分けやすい展開だ。
さて、それでは実際に日本のウィンターライドでどれだけ活躍するのか、既に本格的な冬空が訪れている北海道にて行ったインプレッションをお届けしよう。今回のインプレッションライダーは、札幌の自転車店「札幌サイクルファクトリー」の風間代表、梅澤メカのおふたり。北の大地の過酷な冬を知る、道産子ライダーの目に映った実力やいかに。
真冬に外でライドを楽しむためには、生半可なウエアでは対応できません。寒さで血流が悪くなってしまうと途端に辛くなってしまうので、優れた保温性が求められますし、晴れていたとしても融雪箇所でウエアが濡れてしまうことは多々ありますから、ある程度の撥水性能を持っていることも必要です。
その一方で、サイクルウエアとしては動きやすさやフィット感、上がりすぎた体温を逃がすための通気性といったものが求められるのですが、これらはあちらを立てればこちらが立たず、ということが多いものです。温かく作ろうとすると、生地が分厚くなってしまう、防水性能を持たせるためのフィルムを入れるとゴワゴワした肌触りになってしまうといったように、両立するのは難しいものです。
とはいえ、寒いウエアは論外ですから、どうしてもストレッチ性を犠牲にしてでも温かいウエアが必要でしたし、そういった感覚が嫌で、冬場は外で自転車に乗らないという人も多いのではないでしょうか。このテンペストビブタイツは、そんな悩みを解決し、真冬のライドをぐっと身近にしてくれる一着だと感じましたね。
今回のテストでは気温10℃、小雨なども降る中でもライドを行いましたが、よく水を弾く撥水性を持っており、プロテクションに不安を感じることは一切ありませんでした。保温性に関してはテスト時の気温(約8℃)では少し高すぎるかなと感じるほどなので、実際に氷点下を窺うような状況でのライドでも使ってみたいですね。
一方で、フィット感に優れていることが大きな特徴です。このレベルの保温性能を持っているタイツとは思えない着心地で、例えていうならレーサーパンツとレッグウォーマーの組み合わせと同じくらいのストレスの少なさが印象的でした。最初、直立した状態で履いた時には、少し違和感があったのですが、いったんサドルに跨ってしまえば、そんな感覚は嘘のように消え失せてしまうほど。
乗車時の姿勢に合わせて立体的に裁断されていることや生地自体の伸縮性が相まって、突っ張るような感覚はゼロ。ぴったりと脚の動きに追従してくれ、ペダリングに集中することが出来ます。また、欧州系ブランドでは肩紐が短く、引っ張られるようなモデルも散見されますが、そんなこともありませんね。
細やかな点ではありますが、フットループも非常にいい出来です。とても薄く作られているので、ほぼ靴下を履いているのと変わらない感覚でありつつ、ずり上がってくることもない。ここが分厚いと足裏に違和感を覚えるので、とても良い設計だと感じました。
パッドも素晴らしいですね、最初見た時は装着位置が後ろ側へと寄せられているなというイメージだったのですが、いざ履いてみればちょうどいい塩梅でした。クッション性はもちろん優れているのは言うまでもないのですが、タイツ部分同様にこちらも非常に高いフィット感で、パッドの存在が意識から消えてしまうようでした。
真冬の時期にもしっかりと対応してくれるだけの基本性能を持ちながら、圧倒的に高いフィット感を有するタイツなので、これまでゴワゴワとしたウィンタータイツ特有の履き心地にハードルを感じていた人にこそ、一度試してみてもらいたいですね。本州であっても、冬場にヒルクライムを楽しみたい人などにはうってつけでしょう。
ルコックスポルティフのサイクリングウエアといえば、どちらかというとお洒落なイメージでしたが、このタイツは完全にレーシングブランドのトップモデルと遜色のない性能を持っています。ブランドイメージががらりと変わるほどのハイエンドな一着で、これから続くコラボモデルにも期待が持てますね。
こちらは対応気温10℃前後ということで、テスト時の気候にはぴったりな一着でした。適度な厚みで、豊かにストレッチする生地ですのでペダリングを妨げることも無いですし、アップテンポなライドでも活躍してくれるでしょう。こちらもある程度のはっ水性があるようで、小雨程度でしたら生地にも沁み込まず、しっかりと身体を守ってくれます。
肩ひもが無いということで、ずり下がってくる心配もしていたのですが、実際はそんなこともなく快適に使用できました。圧迫感が少ないので、ストレスにも感じません。腰骨あたりで保持しているイメージですが、欲を言えば、もう少し股上があるといいかとは思いました。もし、細身の方でどうしてもずり下がってきてしまうという方であれば、サスペンダーを併用してもいいでしょうね。
ロゴもルコックスポルティフとビオレーサー、両社のものが並び立っていてとてもスポーティーで、非常に上質なルックスだと感じます。肩ひもが無いことによる履きやすさは、初心者にとって大きなメリットになるでしょう。トイレなどの心配も減るでしょうし、心理的なハードルはとても低くなると思います。かっこいいデザイン、使いやすい対応気温と相まって、初めてのウィンタータイツとして手堅いチョイスになるのではないでしょうか。
ミドルグレードながら、クラスを超えた品質のパッドが装着されているのも特筆すべきポイントでしょう。ビオレーサーの技術が詰め込まれたパッドはしなやかで、お尻の曲線にピッタリとフィットしてくれます。クッションが必要なところにしっかりと当たるような設計で、お尻の痛みに悩まされるビギナーにとっては大きな助けとなりそうです。
北海道ではこれからの季節はどんどん冷え込んでいくので、もう少し保温性の高いタイツの出番も多いですけれど、本州であればこのテンプコントロールタイツはもっとも着まわしやすい一着になるでしょうね。とにかくオールラウンドに活躍できるタイツですね。脚も動かしやすいですし、しっかりと保温性もあり、ある程度の撥水性も持っているので、どんな状況でも使いやすい。
雪が積もっているような厳寒の真冬に山間部などへ走りに出かけるようなエクストリームなライドを目的とするのでなければ、選んで間違いないタイツでしょう。ワードローブの中でも回転率の高い一着として、ヘビーに使い込める汎用性の高いウィンターモデルとして、初中級者にオススメです。
風間貴之(サイクルファクトリー)
北海道札幌市のプロショップ、サイクルファクトリーにて店長を務める。中学生時代に出会った自転車競技にはまり、トラック、ロード、クロスカントリー、ダウンヒルと一通りのカテゴリーを嗜むオールラウンダー。ツール・ド・北海道にて30年以上メカニックとしてサポートを続けてきた熟練の腕で、お客さんのバイクライフをサポートする。お店のモットーは「自分の行きたいお店」。イベントも多数開催し、女性も訪れやすいオープンなショップを目指している。
梅澤和功(サイクルファクトリー)
サイクルファクトリーにてメカニックとして活躍する梅澤さん。トライアスロンをメインに楽しむアイアンマンで、競技歴は10年以上。アイアンマン西オーストラリアで過去に10回の完走経験を持ち、アイアンマンジャパンでも3回の完走を果たしている。その経験を活かし、アイアンマンへと挑戦する方へ的確なアドバイスを送り続けている。
真冬から初春まで 幅広いシチュエーションに対応する2つのモデル
気温が下がり、ついつい億劫になりがちな冬場のライド。とりあえずレーサーパンツと半袖ジャージを着ていれば大丈夫、という夏とは異なり、気温や天気によってレイヤリングを考える必要が出てくるというのも、冬場のライドを遠ざけてしまう原因の一つだろう。
ルコックスポルティフが今回発表したコラボタイツはそんな悩みをシンプルに解決してくれるラインアップとなっている。ハイエンドモデルであるテンペストビブタイツは推奨気温0℃~5℃、ミドルグレードとなるテンプコントロールタイツは10℃~15℃という推奨気温が定められているため、余計な悩みを抱える必要はない。本州であれば、真冬はテンペストビブタイツ、それ以外はテンプコントロールタイツと使い分けやすい展開だ。
さて、それでは実際に日本のウィンターライドでどれだけ活躍するのか、既に本格的な冬空が訪れている北海道にて行ったインプレッションをお届けしよう。今回のインプレッションライダーは、札幌の自転車店「札幌サイクルファクトリー」の風間代表、梅澤メカのおふたり。北の大地の過酷な冬を知る、道産子ライダーの目に映った実力やいかに。
テンペストビブタイツ インプレッション
「雪の積もるような酷寒でもしっかり守ってくれる安心感と、ストレスフリーなフィッティングが同居する稀有な一着」風間貴之(サイクルファクトリー)
真冬に外でライドを楽しむためには、生半可なウエアでは対応できません。寒さで血流が悪くなってしまうと途端に辛くなってしまうので、優れた保温性が求められますし、晴れていたとしても融雪箇所でウエアが濡れてしまうことは多々ありますから、ある程度の撥水性能を持っていることも必要です。
その一方で、サイクルウエアとしては動きやすさやフィット感、上がりすぎた体温を逃がすための通気性といったものが求められるのですが、これらはあちらを立てればこちらが立たず、ということが多いものです。温かく作ろうとすると、生地が分厚くなってしまう、防水性能を持たせるためのフィルムを入れるとゴワゴワした肌触りになってしまうといったように、両立するのは難しいものです。
とはいえ、寒いウエアは論外ですから、どうしてもストレッチ性を犠牲にしてでも温かいウエアが必要でしたし、そういった感覚が嫌で、冬場は外で自転車に乗らないという人も多いのではないでしょうか。このテンペストビブタイツは、そんな悩みを解決し、真冬のライドをぐっと身近にしてくれる一着だと感じましたね。
今回のテストでは気温10℃、小雨なども降る中でもライドを行いましたが、よく水を弾く撥水性を持っており、プロテクションに不安を感じることは一切ありませんでした。保温性に関してはテスト時の気温(約8℃)では少し高すぎるかなと感じるほどなので、実際に氷点下を窺うような状況でのライドでも使ってみたいですね。
一方で、フィット感に優れていることが大きな特徴です。このレベルの保温性能を持っているタイツとは思えない着心地で、例えていうならレーサーパンツとレッグウォーマーの組み合わせと同じくらいのストレスの少なさが印象的でした。最初、直立した状態で履いた時には、少し違和感があったのですが、いったんサドルに跨ってしまえば、そんな感覚は嘘のように消え失せてしまうほど。
乗車時の姿勢に合わせて立体的に裁断されていることや生地自体の伸縮性が相まって、突っ張るような感覚はゼロ。ぴったりと脚の動きに追従してくれ、ペダリングに集中することが出来ます。また、欧州系ブランドでは肩紐が短く、引っ張られるようなモデルも散見されますが、そんなこともありませんね。
細やかな点ではありますが、フットループも非常にいい出来です。とても薄く作られているので、ほぼ靴下を履いているのと変わらない感覚でありつつ、ずり上がってくることもない。ここが分厚いと足裏に違和感を覚えるので、とても良い設計だと感じました。
パッドも素晴らしいですね、最初見た時は装着位置が後ろ側へと寄せられているなというイメージだったのですが、いざ履いてみればちょうどいい塩梅でした。クッション性はもちろん優れているのは言うまでもないのですが、タイツ部分同様にこちらも非常に高いフィット感で、パッドの存在が意識から消えてしまうようでした。
真冬の時期にもしっかりと対応してくれるだけの基本性能を持ちながら、圧倒的に高いフィット感を有するタイツなので、これまでゴワゴワとしたウィンタータイツ特有の履き心地にハードルを感じていた人にこそ、一度試してみてもらいたいですね。本州であっても、冬場にヒルクライムを楽しみたい人などにはうってつけでしょう。
ルコックスポルティフのサイクリングウエアといえば、どちらかというとお洒落なイメージでしたが、このタイツは完全にレーシングブランドのトップモデルと遜色のない性能を持っています。ブランドイメージががらりと変わるほどのハイエンドな一着で、これから続くコラボモデルにも期待が持てますね。
テンプコントロールタイツ インプレッション
「秋の終わりから春先まで、長い期間活躍するオールマイティな一本」梅澤和功(サイクルファクトリー)
こちらは対応気温10℃前後ということで、テスト時の気候にはぴったりな一着でした。適度な厚みで、豊かにストレッチする生地ですのでペダリングを妨げることも無いですし、アップテンポなライドでも活躍してくれるでしょう。こちらもある程度のはっ水性があるようで、小雨程度でしたら生地にも沁み込まず、しっかりと身体を守ってくれます。
肩ひもが無いということで、ずり下がってくる心配もしていたのですが、実際はそんなこともなく快適に使用できました。圧迫感が少ないので、ストレスにも感じません。腰骨あたりで保持しているイメージですが、欲を言えば、もう少し股上があるといいかとは思いました。もし、細身の方でどうしてもずり下がってきてしまうという方であれば、サスペンダーを併用してもいいでしょうね。
ロゴもルコックスポルティフとビオレーサー、両社のものが並び立っていてとてもスポーティーで、非常に上質なルックスだと感じます。肩ひもが無いことによる履きやすさは、初心者にとって大きなメリットになるでしょう。トイレなどの心配も減るでしょうし、心理的なハードルはとても低くなると思います。かっこいいデザイン、使いやすい対応気温と相まって、初めてのウィンタータイツとして手堅いチョイスになるのではないでしょうか。
ミドルグレードながら、クラスを超えた品質のパッドが装着されているのも特筆すべきポイントでしょう。ビオレーサーの技術が詰め込まれたパッドはしなやかで、お尻の曲線にピッタリとフィットしてくれます。クッションが必要なところにしっかりと当たるような設計で、お尻の痛みに悩まされるビギナーにとっては大きな助けとなりそうです。
北海道ではこれからの季節はどんどん冷え込んでいくので、もう少し保温性の高いタイツの出番も多いですけれど、本州であればこのテンプコントロールタイツはもっとも着まわしやすい一着になるでしょうね。とにかくオールラウンドに活躍できるタイツですね。脚も動かしやすいですし、しっかりと保温性もあり、ある程度の撥水性も持っているので、どんな状況でも使いやすい。
雪が積もっているような厳寒の真冬に山間部などへ走りに出かけるようなエクストリームなライドを目的とするのでなければ、選んで間違いないタイツでしょう。ワードローブの中でも回転率の高い一着として、ヘビーに使い込める汎用性の高いウィンターモデルとして、初中級者にオススメです。
インプレッションライダーのプロフィール
風間貴之(サイクルファクトリー)
北海道札幌市のプロショップ、サイクルファクトリーにて店長を務める。中学生時代に出会った自転車競技にはまり、トラック、ロード、クロスカントリー、ダウンヒルと一通りのカテゴリーを嗜むオールラウンダー。ツール・ド・北海道にて30年以上メカニックとしてサポートを続けてきた熟練の腕で、お客さんのバイクライフをサポートする。お店のモットーは「自分の行きたいお店」。イベントも多数開催し、女性も訪れやすいオープンなショップを目指している。
梅澤和功(サイクルファクトリー)
サイクルファクトリーにてメカニックとして活躍する梅澤さん。トライアスロンをメインに楽しむアイアンマンで、競技歴は10年以上。アイアンマン西オーストラリアで過去に10回の完走経験を持ち、アイアンマンジャパンでも3回の完走を果たしている。その経験を活かし、アイアンマンへと挑戦する方へ的確なアドバイスを送り続けている。
提供:ルコックスポルティフ 製作:シクロワイアード text:Naoki.Yasuoka