2017/03/23(木) - 18:06

ボトル1本500mlに溶かせば280キロカロリーを摂取できるというエネルギー飲料「Challenger (チャレンジャー)」がデビューした。砂糖からつくることができる糖質「パラチノース」を主原料とするスーパードリンクがサイクルレース中の補給を変えそうだ。


スローカロリーと形容される「パラチノース」を主原料として誕生したChallengerは、ロードレースなどのサイクルレース、マラソンやトレイルランニング、アドベンチャーレースなど、長時間運動をし続けるスポーツに最適なエネルギードリンクに仕上がっている。テストしたトップサイクリストの声や、開発者の声により製品特性について掘り下げていこう。
製品データ
Challenger(チャレンジャー)
ゆっくり消化吸収されるパラチノースが主原料となる粉末清涼飲料で、1袋70gを500mlの水等に溶かすと280kcalの高エネルギー飲料が出来上がる。消化吸収がゆっくりで、「長持ち感」を得やすいアスリート待望の画期的飲料だ。味はグレープフルーツフレーバーに、心身のリラックス効果で良く知られているセレンゾをブレンド。株式会社パワースポーツと三井製糖株式会社の協働により、様々なスポーツシーンでアスリートの最高のパフォーマンスを引きだすために開発された。
商品名 | PowerDrink「Challenger」 |
名称 | パラチノース・ブドウ糖加工食品 |
原材料 | パラチノース、ブドウ糖、柑橘油粉末、クエン酸、香料 |
内容量 | 70g |
熱量 | 280kcal |
発売元 | 有限会社パワースポーツ |
本体価格 | 250円(税別) |
エネルギー補給の常識を変えるChallenger
秘密は糖質「パラチノース」にあり
Challengerのエネルギーの主原料となるのが、砂糖から造ることができる甘味料「パラチノース」だ。糖質としての特性を、三井製糖株式会社フードサイエンス本部の堀信之さんに解説してもらった。
パラチノースは、はちみつの中にも含まれていますが、非常に少量のため効率的に摂取することはできません。そこで三井製糖は、酵素による製造法を考え、世界で初めて量産化に成功したのです。ゆっくり消化吸収されることが特徴の新しい糖質です。


私たちが「スローカロリー」と呼んでいるように、パラチノースは小腸でゆっくり消化吸収されるため、これをエネルギー源とすると持久系スポーツでの使用に適していると言えます。多くのアスリートの皆様より「長続きする」という感想をお聞きします。また、精製された糖質である為、胃への負担が穏やかです。ダイエット時の栄養補給に用いたり、生活習慣対策の為に毎日の食事に加えたり、運動を持続しやすいなどのメリットが有り、健康面でも注目されています。三井製糖では、各食品メーカーと協業し、スポーツ分野への応用を進めています。

中村龍太郎のインプレッション
「サイクルレース中のエネルギー補給はドリンクで摂ることができればベスト。Challengerならそれができる」
2016年12月、Challengerの試作サンプル(パッケージデザインの無いほぼ製品版)を、サイパンのロードレース「ヘルオブマリアナ」に出場する中村龍太郎選手(イナーメ信濃山形)に実際に使用してもらい、使用感についてテストしてもらった。中村選手には製品の成分や特徴を伝え、日本国内で数日間試用してもらった後、レース決戦日の使用については自己判断でお任せした。
フルタイムのサラリーマンでありながら練習時間をやりくりし、2015年には全日本選手権タイムトライアルで優勝し、日本チャンピオンに輝いた。ロードレース、シクロクロス、エンデューロなどジャンルを問わずサイクルレースに参戦し、好成績を残している。サイパンの賞金レース「ヘルオブマリアナ」は2015年のプロクラスのチャンピオンで、2016年度は連覇のかかるレースとなっていた。

中村 まずChallengerは500mlで280kcalというハイカロリーが水分と一緒に摂ることができるというのがいちばんのメリットだと感じました。ロードレースでは、レース展開が厳しくなるとジェルでさえ摂ることが難しくなるという状況になります。そんなとき摂ることができるのはボトルの水分のみ。暑い日も同じように、固形物やジェルも積極的には摂りにくくなります。
Challengerは味も薄味でくどくなくて、さらっとしています。スポーツ中でも美味しく飲むことができる爽やかな味だと感じました。口の中に残らず、すっと飲み込むことができるんです。水に溶けやすかっため、ボトルの底にダマになって残ったりすることはありませんでした。


サイパンは常夏の国だけあって、非常に高温下のレースでした。暑い気候でのロング系のレースなら、レース後半になると味覚が変わってくるため、人によっては濃く感じることもあるかもしれません。ショートボトルの500mlでもいいですが、薄味が好みの人は750mlのロングボトルに溶かしても具合が良さそうだと感じました。
僕はロング系のレースでは15分に1度のペースでカロリーを摂取するようにしています。とくにカロリー計算して補給食を用意するわけではなく、食べたいもの・好みのものを用意してポケットに入れています。ジェルなどをメインにしていますが、飲料で十分なカロリーを摂取できるなら、それに越したことはありません。今回はジェルも併用しましたが、カロリーが高いChallengerは、1本でジェル2本分の代用になり、かつ飲みやすいと感じました。
また、甘味料を使ったスポーツドリンクはお腹を下しやすいと言われていますが、Challengerは自然由来だけあってまったくそんな感じはなかったですね。レースは落車をしてしまったので連覇はなりませんでしたが、いつもどおりの走りができました。Challengerはロードレースなどで積極的に使っていくことができるエネルギードリンクだと感じました。とくにツール・ド・おきなわ210kmの部など長距離レースには最適だと思います。

次ページでは、 challengerがどういった経緯で発案され、製品化されたのかを2人の開発者の話で紐解いてゆく。
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提供:三井製糖株式会社 取材・編集:綾野 真(シクロワイアード)