2016/08/31(水) - 11:43
国立京都国際会館の駐車場に設けられた試乗エリアでセッティングを整え、場外の試乗コースに繰り出して行くショップスタッフやジャーナリストたち。ドマーネ3グレードの印象を探るべく、トレックバイクを知り尽くし普段から愛車にしているお二人、岩崎正史さん(正屋)と、大西邦明さん(バイクプラス)にインプレッションして頂いた。
岩崎:やられました。軽いし、安定してるし、良く進むし…。ずっと私物バイクはトレックなのですが、またトレックに乗らざるを得なくなってしまいました(笑)。トレック製品の共通点はバランスに秀でていることですが、このドマーネも全く尖った部分がないのに、スーッと、とてもスムーズに軽く走る。またすごいバイクを作ったな、と。
大西:従来モデルは安定性重視の走り心地だったのですが、SLRは新型になってからだいぶ踏み出しの軽さが目立つようになりましたね!コーナーの立ち上がりからトップスピードに乗せるまでのタイミングがずっと早くなったように感じます。どっかりとした重さが消え、エモンダのようなフィーリングがプラスされたように思います。
岩崎:シートチューブのスライダーは最下部(:しなり量最大)に設定してテストしたのですが、IsoSpeedの効果はとても大きく感じます。乗り始めは「え?こんなに動いて影響はないのかな?」と疑問が浮かぶほどでしたが、少し乗っただけで慣れてしまうほどに全体の完成度が高く、バランス感に優れているんです。段差や道路の細かい凹凸を消し去るショック吸収能力は言わずもがな。フロントも横にはブレず、縦の大きな動きだけをしっかりと取り除いてくれるんです。コレは凄いですよ。
大西:反応性が良くなったので、全体的な性格はオールラウンダーに近づきましたね。これまでは直進安定の強さから登りでは若干の重たさがあったのですが、ダンシングでの車体の振りがとても行いやすいんです。第1世代と違ってシートチューブ部分とフレームが一体になったので、全体的な強度とバランスが調整されたことが大きく影響していると思います。スライダーの調整次第で、レースでも、ロングライドでも、何でも使える自転車になったのではないでしょうか。
岩崎:もうここまできたら、スライダーを手元で調整できるようになると嬉しいですよね(笑)。パーツ関連で見れば、ブレーキも全然悪くない。タッチの違和感もないし、セッティングも楽にできる。エモンダに採用されているものですから市場にもノウハウが浸透しているし。
大西:ブレーキは良いですよね。キャリパーの剛性感はアルテグラと同等レベルに仕上がっていると思いますよ。
岩崎:28cという太いタイヤも違和感は全くありませんね。外径が大きくなるので漕ぎ出しこそゆったりめですが、29erのMTBのような、グイグイと進んでいく感覚すら覚えます。バイクの反応性が軽くデメリットも潰せますし、グリップも、乗り心地も良い。デメリットよりメリットが上回るし、23cに戻す理由が見つからないようにも思います。一昔前はこんな時代になるとは思いませんでしたね(笑)。
大西:トップグレードのバイクとして考えればコスパも良いかと。この「ドマーネSLR」はアルテグラDi2組みで、ホイール重量も1500g程度と重くない。ハンドルもIsoCoreですし、トータルパッケージとして完成度が高いなぁと感じます。手への振動も普通のハンドルと比べて圧倒的に優しく、その部分に気持ち良さすら感じるほどでした。
岩崎:基本はレースバイクそのものの運動性能なのですが、ここまで乗り味が優しいと年配の方がツーリングのために使ってもメリットがありますね。レース機材として考えるならば、サーキットエンデューロやツール・ド・おきなわのような長距離レースでは武器になってくれるでしょう。オールマイティに使える素晴らしいバイクです。
大西:私はディスクブレーキモデルを試しました。SLRよりも重量が増えてこそいるのですが、その分どっしり感が増して、直進安定性が一際伸びているように思います。もちろん32cスリックというタイヤの効果もあるはずですが、こちらの方がこれまでのドマーネのフィーリングに近いかもしれません。
SLRと比較すると反応性に違いが出てきますね。タイヤやディスクブレーキの違いがあるのはもちろんですが、ダンシングのしやすさや、登りでの軽やかさが少し薄い。でも代わりに安定性を手に入れているので、ロングライド後半に疲れてしまっても、まっすぐと走ってくれるはず。基本のきですが、これってすごく大事なこと。下りが苦手な方でも安心してクリアできそうです。
岩崎:SLRと違ってリアのスライダーが用意されていませんが、実際問題その日の気分で乗り味を変える方も少ないでしょうから、特段問題はありませんね。しなり量は丁度良い部分で味付けされていますし、何も不安はありません。フロントのIsoSpeedはSLRと全く同じ構造ですし、とても扱いやすいです。SLRとはカーボンのグレードこそ落ちますが、普及価格帯のバイクとして反応性は全く悪くありませんよ。
大西:ディスクブレーキや32cタイヤなど、乗る前こそ重いフィーリングかと想像していましたが、実際に乗ったらスパスパ走ってくれるんです。太タイヤのふわっとした乗り味は気持ちが良いし、ちょっとしたダートだったら空気圧を落とさずにダダダッとクリアできてしまう。23cでは怖い舗装の林道もひとたび山に入ればたくさんありますし、そういう場面でこのバイクは実力を発揮してくれそうです。
岩崎:普及価格帯のバイクですから、皆さんが一番気にするモデルですよね。そういう意味でも「買い」の一台だし、コストパフォーマンスで見れば、新しいドマーネの中で最高得点かもしれません。
大西:とても良かったです。想像以上に軽快感があって優秀なロードバイクですね。もちろんカーボンドマーネと比べれば重さを感じますが、エントリーアルミロードにありがちなゴチッとした固さが少なく乗りやすいんです。
岩崎:上から一つづつ乗り比べると少しづつ違いがありますが、このアルミバイクも乗るとすぐにドマーネらしい良さを体感できるはずです。安定性もあるし、ブレーキも効くし、アルミだから重いという雰囲気は全く感じませんね。安心して乗れるますし、これもよくできているバイクですね。カーボン全盛期ですが、トレックではアルミバイクも全く無視されていませんよ。キチンと作った良いバイクです。
大西:カーボンバイクのような乗り心地も感じますし、油圧ディスクブレーキが搭載されている部分に値段以上の価値を感じます。もとよりロングライド向けのドマーネですから、疲れた時にしっかり止まることができる。峠の長い下りや、ウェットコンディションでの疲れ度合いは全く違ってきますし。
岩崎:ディスクブレーキは絶対に楽ですよ。指一本で簡単にブレーキングできるので、ハンドルをしっかり握っていられる。STIレバーだけは少し野暮ったいデザインに感じますが、性能的には本当にオススメしたい。普段乗りでも全く不自由なく使えると思いますよ。
3モデルを乗り比べてみて、どのバイクにもドマーネらしい安定感が宿っている。ピュアレーサーのような軽さこそ少し薄れますが、路面にピタッと吸い付くような感覚はとても頼もしい。トータルで一番欲しいなと感じたのはSL6 DISCかな。ディスクブレーキにも関わずハンドリングがとても軽く、狙ったラインをスパッと突けるのが楽しかった。
大西:私が一番気に入ったのはALRでした。頑丈なアルミフレームと油圧ディスクブレーキの組み合わせに、「何にでも使って欲しい」というトレックのメッセージを感じました。セミブロックの太いタイヤを付けて、グラベルロード探検に行きたくなってしまいました。リーズナブルで性能が良く、冒険心のくすぐられるワクワクできるバイクでした。
岩崎正史(正屋)
福岡市南区の「大人の秘密基地」プロショップ正屋代表。27歳で独立し、店舗経営と同時にプロMTBチームの監督兼メカニックも務め、現在でも山本幸平が国内レースを走る際のチーフメカを務める。30年以上の自転車歴の中で乗ってきたバイクは数知れず、そのジャンルは多岐にわたる。現在の愛車はエモンダSLRとブーン9。
正屋(CWレコメンドショップページ)
店舗ホームページ
大西邦明(バイクプラス)
埼玉県さいたま市のトレックコンセプトストア「バイクプラス大宮店」スタッフ。プレシジョンフィットの認定フィッター。「自転車でしか味わえない楽しさや自由さを伝えていきたい」と言い、MTBやグラベルライドも守備範囲。愛車はドマーネ6だが、新型SLRのプロジェクトワン仕様とブーンを購入したばかり。趣味は銭湯巡り。
バイクプラス大宮店(CWレコメンドショップページ)
店舗ホームページ
SLR:「エモンダの軽さが加わった。またすごいバイクを作ったな、と」
岩崎:やられました。軽いし、安定してるし、良く進むし…。ずっと私物バイクはトレックなのですが、またトレックに乗らざるを得なくなってしまいました(笑)。トレック製品の共通点はバランスに秀でていることですが、このドマーネも全く尖った部分がないのに、スーッと、とてもスムーズに軽く走る。またすごいバイクを作ったな、と。
大西:従来モデルは安定性重視の走り心地だったのですが、SLRは新型になってからだいぶ踏み出しの軽さが目立つようになりましたね!コーナーの立ち上がりからトップスピードに乗せるまでのタイミングがずっと早くなったように感じます。どっかりとした重さが消え、エモンダのようなフィーリングがプラスされたように思います。
岩崎:シートチューブのスライダーは最下部(:しなり量最大)に設定してテストしたのですが、IsoSpeedの効果はとても大きく感じます。乗り始めは「え?こんなに動いて影響はないのかな?」と疑問が浮かぶほどでしたが、少し乗っただけで慣れてしまうほどに全体の完成度が高く、バランス感に優れているんです。段差や道路の細かい凹凸を消し去るショック吸収能力は言わずもがな。フロントも横にはブレず、縦の大きな動きだけをしっかりと取り除いてくれるんです。コレは凄いですよ。
大西:反応性が良くなったので、全体的な性格はオールラウンダーに近づきましたね。これまでは直進安定の強さから登りでは若干の重たさがあったのですが、ダンシングでの車体の振りがとても行いやすいんです。第1世代と違ってシートチューブ部分とフレームが一体になったので、全体的な強度とバランスが調整されたことが大きく影響していると思います。スライダーの調整次第で、レースでも、ロングライドでも、何でも使える自転車になったのではないでしょうか。
岩崎:もうここまできたら、スライダーを手元で調整できるようになると嬉しいですよね(笑)。パーツ関連で見れば、ブレーキも全然悪くない。タッチの違和感もないし、セッティングも楽にできる。エモンダに採用されているものですから市場にもノウハウが浸透しているし。
大西:ブレーキは良いですよね。キャリパーの剛性感はアルテグラと同等レベルに仕上がっていると思いますよ。
岩崎:28cという太いタイヤも違和感は全くありませんね。外径が大きくなるので漕ぎ出しこそゆったりめですが、29erのMTBのような、グイグイと進んでいく感覚すら覚えます。バイクの反応性が軽くデメリットも潰せますし、グリップも、乗り心地も良い。デメリットよりメリットが上回るし、23cに戻す理由が見つからないようにも思います。一昔前はこんな時代になるとは思いませんでしたね(笑)。
大西:トップグレードのバイクとして考えればコスパも良いかと。この「ドマーネSLR」はアルテグラDi2組みで、ホイール重量も1500g程度と重くない。ハンドルもIsoCoreですし、トータルパッケージとして完成度が高いなぁと感じます。手への振動も普通のハンドルと比べて圧倒的に優しく、その部分に気持ち良さすら感じるほどでした。
岩崎:基本はレースバイクそのものの運動性能なのですが、ここまで乗り味が優しいと年配の方がツーリングのために使ってもメリットがありますね。レース機材として考えるならば、サーキットエンデューロやツール・ド・おきなわのような長距離レースでは武器になってくれるでしょう。オールマイティに使える素晴らしいバイクです。
SL「コストパフォーマンスが断然良い。ディスクブレーキモデルも走りが軽い」
岩崎:普及価格帯のバイクとして他のブランドと比較すれば、断然ドマーネですね。SLRとも共通するのですが、とにかく性能バランスに優れているので、何も不得意とする場面がありません。それでいてこの価格ですから、コストパフォーマンスは抜群ですね。モデルチェンジをしたことによって、お店でもお客様に対して一層オススメしやすいバイクになりました。大西:私はディスクブレーキモデルを試しました。SLRよりも重量が増えてこそいるのですが、その分どっしり感が増して、直進安定性が一際伸びているように思います。もちろん32cスリックというタイヤの効果もあるはずですが、こちらの方がこれまでのドマーネのフィーリングに近いかもしれません。
SLRと比較すると反応性に違いが出てきますね。タイヤやディスクブレーキの違いがあるのはもちろんですが、ダンシングのしやすさや、登りでの軽やかさが少し薄い。でも代わりに安定性を手に入れているので、ロングライド後半に疲れてしまっても、まっすぐと走ってくれるはず。基本のきですが、これってすごく大事なこと。下りが苦手な方でも安心してクリアできそうです。
岩崎:SLRと違ってリアのスライダーが用意されていませんが、実際問題その日の気分で乗り味を変える方も少ないでしょうから、特段問題はありませんね。しなり量は丁度良い部分で味付けされていますし、何も不安はありません。フロントのIsoSpeedはSLRと全く同じ構造ですし、とても扱いやすいです。SLRとはカーボンのグレードこそ落ちますが、普及価格帯のバイクとして反応性は全く悪くありませんよ。
大西:ディスクブレーキや32cタイヤなど、乗る前こそ重いフィーリングかと想像していましたが、実際に乗ったらスパスパ走ってくれるんです。太タイヤのふわっとした乗り味は気持ちが良いし、ちょっとしたダートだったら空気圧を落とさずにダダダッとクリアできてしまう。23cでは怖い舗装の林道もひとたび山に入ればたくさんありますし、そういう場面でこのバイクは実力を発揮してくれそうです。
岩崎:普及価格帯のバイクですから、皆さんが一番気にするモデルですよね。そういう意味でも「買い」の一台だし、コストパフォーマンスで見れば、新しいドマーネの中で最高得点かもしれません。
ALR:「カーボンモデルと共通する乗り味。完成車パッケージも優秀」
大西:とても良かったです。想像以上に軽快感があって優秀なロードバイクですね。もちろんカーボンドマーネと比べれば重さを感じますが、エントリーアルミロードにありがちなゴチッとした固さが少なく乗りやすいんです。
岩崎:上から一つづつ乗り比べると少しづつ違いがありますが、このアルミバイクも乗るとすぐにドマーネらしい良さを体感できるはずです。安定性もあるし、ブレーキも効くし、アルミだから重いという雰囲気は全く感じませんね。安心して乗れるますし、これもよくできているバイクですね。カーボン全盛期ですが、トレックではアルミバイクも全く無視されていませんよ。キチンと作った良いバイクです。
大西:カーボンバイクのような乗り心地も感じますし、油圧ディスクブレーキが搭載されている部分に値段以上の価値を感じます。もとよりロングライド向けのドマーネですから、疲れた時にしっかり止まることができる。峠の長い下りや、ウェットコンディションでの疲れ度合いは全く違ってきますし。
岩崎:ディスクブレーキは絶対に楽ですよ。指一本で簡単にブレーキングできるので、ハンドルをしっかり握っていられる。STIレバーだけは少し野暮ったいデザインに感じますが、性能的には本当にオススメしたい。普段乗りでも全く不自由なく使えると思いますよ。
3モデルを乗り比べてみて、どのバイクにもドマーネらしい安定感が宿っている。ピュアレーサーのような軽さこそ少し薄れますが、路面にピタッと吸い付くような感覚はとても頼もしい。トータルで一番欲しいなと感じたのはSL6 DISCかな。ディスクブレーキにも関わずハンドリングがとても軽く、狙ったラインをスパッと突けるのが楽しかった。
大西:私が一番気に入ったのはALRでした。頑丈なアルミフレームと油圧ディスクブレーキの組み合わせに、「何にでも使って欲しい」というトレックのメッセージを感じました。セミブロックの太いタイヤを付けて、グラベルロード探検に行きたくなってしまいました。リーズナブルで性能が良く、冒険心のくすぐられるワクワクできるバイクでした。
ライダープロフィール
岩崎正史(正屋)
福岡市南区の「大人の秘密基地」プロショップ正屋代表。27歳で独立し、店舗経営と同時にプロMTBチームの監督兼メカニックも務め、現在でも山本幸平が国内レースを走る際のチーフメカを務める。30年以上の自転車歴の中で乗ってきたバイクは数知れず、そのジャンルは多岐にわたる。現在の愛車はエモンダSLRとブーン9。
正屋(CWレコメンドショップページ)
店舗ホームページ
大西邦明(バイクプラス)
埼玉県さいたま市のトレックコンセプトストア「バイクプラス大宮店」スタッフ。プレシジョンフィットの認定フィッター。「自転車でしか味わえない楽しさや自由さを伝えていきたい」と言い、MTBやグラベルライドも守備範囲。愛車はドマーネ6だが、新型SLRのプロジェクトワン仕様とブーンを購入したばかり。趣味は銭湯巡り。
バイクプラス大宮店(CWレコメンドショップページ)
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提供:トレック・ジャパン、制作:シクロワイアード