2015/07/17(金) - 12:01
ジャイアントのレーシングバイク「TCR」が4年ぶりにフルモデルチェンジを果たした。新型は「TOTAL RACE BIKE」をコンセプトに掲げる通り全方位に性能を高めており、ロードバイクに求められる様々な性能を高い次元で兼ね備えることに成功。オールラウンダーとしての走りに磨きをかけている。
ジャイアント不動のレーシングロードバイクとして数々の戦歴を誇るTCR。その誕生は1997年で、「コンパクトロード」コンセプトに基づき、MTBの様に大きくトップチューブが傾けられたフレーム設計は大きな話題となった。当時、この「スローピングフレーム」には懐疑的な意見が多く寄せられたが、ジャイアントは明確な高性能やメリットと高品質なものづくりによって、疑念を払拭。多くのバイクブランドが後に続くことになる。
2002年モデルではハイエンドモデルにカーボン素材を導入し、2006年モデルではISP(インテグレーテッドシートポスト)をいち早く採用。2009年には基本設計を一新する大幅なモデルチェンジを行い、「MEGADRIVE」「OVERDRIVE」「POWERCORE」といった現行モデルまで継続されているテクノロジーの基礎を確立させた。
そして、2012年モデルとして誕生した先代は、超大径ステアリングコラム「OVERDRIVE 2」などのテクノロジーのを追加して圧倒的なパフォーマンスを獲得。年を重ねるごとにアップデートを施し、TCRは常にその世代のベンチマークであり続けてきた。
そんなTCRが世界トップクラスのバイクであり続ける背景には、サポートライダーの活躍と、彼らからのフィードバックがある。TCR誕生期の1998年からスペインの強豪チームONCEに機材供給すると形でプロロードレース界へ参入し、その後もT-モバイル、HTCハイロード、ラボバンクなど強豪チームをサポート。
この間に、デニス・メンショフ(ロシア・当時ラボバンク)によるジロ・デ・イタリア個人総合優勝を始めとして数多くのビッグレースで勝利に貢献。また2012年にマリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク・リブ)がロンドン五輪と世界選手権の女子ロードレースを制した際のバイクもまたTCRであった。
そして、4年ぶりのモデルチェンジとなったTCRは従来モデルよりもスレンダーなフォルムへと変貌を遂げた。昨年のジャイアント・シマノから継続してサポートするジャイアント・アルペシンの選手で実戦投入されており、6月のツール・ド・スイスではトム・ドゥムラン(オランダ)の総合優勝争いをサポート。そして、ツール・ド・フランスでも超級山岳から平坦路に至るまで様々なコースでその活躍を目にされている。
新型TCRに開発に際しては、スプリントを想定してバイクを10°傾けた状態で剛性試験を行ったりと、PROPELや新型DEFYなどと同様に、より実際の走行環境に近い条件を想定。従来モデルと同水準の高い剛性を維持しながらも、大幅な軽量化にも成功し、結果として各チューブの形状は写真で見るよりも大幅な変化を遂げたのである。
まず、注目したいのがインテグレーテッドシートポスト部。従来型TCRで採用されていたエアロ形状の「Vector」と、DEFYやTCXに優れた衝撃吸収性をもたらした「D-Fuse」をミックスした「Variant ISP」デザインを新たに採用。軽量化に貢献するだけ無く、空力性能を維持しながらの快適性向上を可能とした。
従来モデルと比較して大幅に小径化されたトップチューブ及びシートステーの断面形状を長方形から楕円形へと改め、シートステーのシートチューブ側接合部を双胴式から中空構造の一体式に、ヘッドチューブの幅も狭めることで、徹底的に無駄を排除。結果、従来モデルよりフレーム単体で84g減の856gを達成した。
これを後押しするべく、従来モデルとの比較でフロントフォークは-30g、ISPとサドルを仲介するクランプに至っては-39gもの軽量化に成功。フレームにフォーク、シートポスト、各小物を装着した状態で、従来モデルより12%(181g)減とし、ジャイアント史上最軽量のフレームセット重量(1376g)をマークするに至った。
一方、素材に変更はないものの、チューブ形状やレイアップを始めとした各部の最適化を実施。同時に、力学的な基礎に立ち返り、各チューブの接続部やフォークショルダーをより滑らかな形状に。さらに「CONTINUOUS FIBER TECHNOLOGY(連続炭素繊維工法)」を進化させ、使用するカーボンシートの総枚数を100枚減らした250枚とし、接着箇所を減らすことで軽量化に貢献。
これらの見直しと「OVERDRIVE2」や「POWERCORE BB」など、これまでジャイアントが培ってきたテクノロジーを組み合わせることで軽量性と剛性を両立し、新型TCRは世界で最も優れた重量剛性比を獲得するに至ったのである。
そして、ジャイアントが予てよりこだわってきた操作性を更に向上させた新型TCR。軽量化を果たしたと同時にフォークは剛性も強化されており、ステムの選択肢が狭まるデメリットと引き換えに独自の超大径コラムによって優れた安定感をもたらす「OVERDRIVE2」ヘッドチューブと合わせて、優れたハンドリング性能を実現した。
加えて、TCRとのマッチングを考慮したオリジナルのチューブレス対応フルカーボンホイール「SLR0」のデビューもトピックス。設計からリムの製造、アッセンブルまでをジャイアントが手掛けた新型ホイールは、新テクノロジー「DYANMIC BALANCED LACING」によって、ペダリング時のスポークテンションを均衡化し剛性を向上。フレームセットと組み合わせた状態における重量剛性比も競合他社と比較して高い結果が出ている。
なお、新型TCRはジャイアント・アルペシンが使用するISP仕様のハイエンドモデル「Advanced SL」、シートポスト式を採用したミドルグレードの「Advanced Pro」、エントリー向けの「Advanced 」の3グレード展開となる。この内、Advanced SLの一部でフルカーボンホイール「SLR0」を装着した完成車がラインアップされる。
スローピングスタイルで業界に革新をもたらした「TCR」
台湾第三の都市である台中。そこから車で1時間ほどの工業団地の中にあるのが、世界最大の規模を誇る自転車メーカー・ジャイアントの本社。「世界の自転車工場」の中枢で、日本、台湾、韓国、中国を始めとしたアジア各国のプレスを待っていたのが、新型TCRであった。ジャイアント不動のレーシングロードバイクとして数々の戦歴を誇るTCR。その誕生は1997年で、「コンパクトロード」コンセプトに基づき、MTBの様に大きくトップチューブが傾けられたフレーム設計は大きな話題となった。当時、この「スローピングフレーム」には懐疑的な意見が多く寄せられたが、ジャイアントは明確な高性能やメリットと高品質なものづくりによって、疑念を払拭。多くのバイクブランドが後に続くことになる。
2002年モデルではハイエンドモデルにカーボン素材を導入し、2006年モデルではISP(インテグレーテッドシートポスト)をいち早く採用。2009年には基本設計を一新する大幅なモデルチェンジを行い、「MEGADRIVE」「OVERDRIVE」「POWERCORE」といった現行モデルまで継続されているテクノロジーの基礎を確立させた。
そして、2012年モデルとして誕生した先代は、超大径ステアリングコラム「OVERDRIVE 2」などのテクノロジーのを追加して圧倒的なパフォーマンスを獲得。年を重ねるごとにアップデートを施し、TCRは常にその世代のベンチマークであり続けてきた。
そんなTCRが世界トップクラスのバイクであり続ける背景には、サポートライダーの活躍と、彼らからのフィードバックがある。TCR誕生期の1998年からスペインの強豪チームONCEに機材供給すると形でプロロードレース界へ参入し、その後もT-モバイル、HTCハイロード、ラボバンクなど強豪チームをサポート。
この間に、デニス・メンショフ(ロシア・当時ラボバンク)によるジロ・デ・イタリア個人総合優勝を始めとして数多くのビッグレースで勝利に貢献。また2012年にマリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク・リブ)がロンドン五輪と世界選手権の女子ロードレースを制した際のバイクもまたTCRであった。
そして、4年ぶりのモデルチェンジとなったTCRは従来モデルよりもスレンダーなフォルムへと変貌を遂げた。昨年のジャイアント・シマノから継続してサポートするジャイアント・アルペシンの選手で実戦投入されており、6月のツール・ド・スイスではトム・ドゥムラン(オランダ)の総合優勝争いをサポート。そして、ツール・ド・フランスでも超級山岳から平坦路に至るまで様々なコースでその活躍を目にされている。
「TOTAL RACE BIKE」重量剛性比、操作性、快適性の全方位に進化した新型TCR
前作より4年ぶりのモデルチェンジとなったTCRの開発コンセプトは「TOTAL RACE BIKE」。エアロロードのPROPELとエンデュランスモデルのDEFYに対して、重量剛性比、ハンドリング性能、快適性というレーシングバイクに求められる3つの性能をトータルで向上させ、それらを高次元でバランスさせたことが特徴である。新型TCRに開発に際しては、スプリントを想定してバイクを10°傾けた状態で剛性試験を行ったりと、PROPELや新型DEFYなどと同様に、より実際の走行環境に近い条件を想定。従来モデルと同水準の高い剛性を維持しながらも、大幅な軽量化にも成功し、結果として各チューブの形状は写真で見るよりも大幅な変化を遂げたのである。
まず、注目したいのがインテグレーテッドシートポスト部。従来型TCRで採用されていたエアロ形状の「Vector」と、DEFYやTCXに優れた衝撃吸収性をもたらした「D-Fuse」をミックスした「Variant ISP」デザインを新たに採用。軽量化に貢献するだけ無く、空力性能を維持しながらの快適性向上を可能とした。
従来モデルと比較して大幅に小径化されたトップチューブ及びシートステーの断面形状を長方形から楕円形へと改め、シートステーのシートチューブ側接合部を双胴式から中空構造の一体式に、ヘッドチューブの幅も狭めることで、徹底的に無駄を排除。結果、従来モデルよりフレーム単体で84g減の856gを達成した。
これを後押しするべく、従来モデルとの比較でフロントフォークは-30g、ISPとサドルを仲介するクランプに至っては-39gもの軽量化に成功。フレームにフォーク、シートポスト、各小物を装着した状態で、従来モデルより12%(181g)減とし、ジャイアント史上最軽量のフレームセット重量(1376g)をマークするに至った。
一方、素材に変更はないものの、チューブ形状やレイアップを始めとした各部の最適化を実施。同時に、力学的な基礎に立ち返り、各チューブの接続部やフォークショルダーをより滑らかな形状に。さらに「CONTINUOUS FIBER TECHNOLOGY(連続炭素繊維工法)」を進化させ、使用するカーボンシートの総枚数を100枚減らした250枚とし、接着箇所を減らすことで軽量化に貢献。
これらの見直しと「OVERDRIVE2」や「POWERCORE BB」など、これまでジャイアントが培ってきたテクノロジーを組み合わせることで軽量性と剛性を両立し、新型TCRは世界で最も優れた重量剛性比を獲得するに至ったのである。
そして、ジャイアントが予てよりこだわってきた操作性を更に向上させた新型TCR。軽量化を果たしたと同時にフォークは剛性も強化されており、ステムの選択肢が狭まるデメリットと引き換えに独自の超大径コラムによって優れた安定感をもたらす「OVERDRIVE2」ヘッドチューブと合わせて、優れたハンドリング性能を実現した。
加えて、TCRとのマッチングを考慮したオリジナルのチューブレス対応フルカーボンホイール「SLR0」のデビューもトピックス。設計からリムの製造、アッセンブルまでをジャイアントが手掛けた新型ホイールは、新テクノロジー「DYANMIC BALANCED LACING」によって、ペダリング時のスポークテンションを均衡化し剛性を向上。フレームセットと組み合わせた状態における重量剛性比も競合他社と比較して高い結果が出ている。
なお、新型TCRはジャイアント・アルペシンが使用するISP仕様のハイエンドモデル「Advanced SL」、シートポスト式を採用したミドルグレードの「Advanced Pro」、エントリー向けの「Advanced 」の3グレード展開となる。この内、Advanced SLの一部でフルカーボンホイール「SLR0」を装着した完成車がラインアップされる。
提供:ジャイアント text:シクロワイアード編集部