2013/09/29(日) - 13:28
7車種が27.5インチにモデルチェンジしたジャイアントの2014MTBラインナップ。今回はTRANCE、ANTHEM、XTCの主要3モデルの上位グレードにあたり、プロのレーサーが使用する「ADVANCED」シリーズをテスト。MTBライター墨崎大輔のインプレッションでお届けする。
ジャイアント TRANCE ADVANCED 27.5 0 TEAM
メインフレームには軽量性と剛性、信頼性を兼ね備えたセカンドグレードのADVANCEDカーボンを使用。これにハイドロフォーミングや強度を損なわない溶接など高度な技術によって成型されたALUXX SLアルミニウム製スイングアームを組み合わせる。リアエンドは142×12mmと135×5mmの両規格に対応するコンパチブルドロップアウトとした。
フレーム各部にはライド中に考えられる様々なトラブルに備えた設計が施されている。ステーには飛び石やチェーン暴れからフレームを守るプロテクターと、チェーンデバイスをADVANCEDの全グレードで装備。チェーンガード台座は汎用的なISCG-05規格を採用。ケーブル類は全てフレーム内に内蔵される。
独自規格の大径ヘッドチューブを採用し優れたハンドリング性能を実現
今回テストを行ったモデルは前後サスにロックショックスのRevelation RLT3とMonarch RT3を組み合わせたTRANCE ADVANCED 27.5 0 TEAM。フロントフォークのストロークは120~140mmの可変式だ。コンポーネントは1×11のスラムXX1、ホイールはジャイアントのP-TXR0、タイヤはシュワルベNobby Nic Evo チューブレスレディ 27.5x2.25となっている。なおこのモデルは日本発売モデルとは異なる。
「重心が低い故に安定性が高く、26インチ同様のコントロール性も持ち合わせている」
低重心に感じたもう一つの要因として、26インチモデル比でフロントセンターを大幅に伸ばして安定感を増したジオメトリーも関係しているのだろう。同時にトップチューブ長も伸びているが、完成車ではその分ステムを短くし、安定感とハンドリングの軽快さをうまく両立させている。
26インチモデルは荷重移動に対する反応性が良く、小回りが利くという印象だったが、ハイスピードになると時折不安定に感じるところもあった。しかし、27.5インチモデルはハイスピードでも非常に安定していながら、上下左右の細かいうねりを取り入れたコースでもリズミカルに走ることができて、コントロール性も非常に良かった。
コギの軽さに関してはANTHEM27.5インチには及ばないものの、このクラスのフルサスとしてはかなり軽快だ。ホイールやコンポーネントが軽かったことを差し引いても走破性や軽快さは非常に高く、タイヤとの組み合わせが非常に良いと感じた。また、タイヤ幅を2.1インチ程度にすることでSDA王滝の様なエンデュランスレースや標高差1000m級の山岳ライドにも対応出来るだろう。
ジャイアント ANTHEM ADVANCED 27.5 0 TEAM
TRANCE同様にメインフレームにはADVANCEDカーボン、スイングアームにはALUXX SLアルミニウムを使用し、XCレースで要求される軽さを実現するため徹底的な軽量化が図られている。そして、あらゆる体格のライダーにとって最適なポジションが実現出来る様にヘッドチューブ長さをXSとSサイズでは95mm、MとLサイズでは100mmとした。
レース中に必要なあらゆる性能を実現するため、高い操作性を実現する大口径ヘッドチューブ「OVER DRIVE2」や、ライダーのパワーを余すことなく推進力に変換するBB89規格の「POWER CORE」ボトムブラケット、大きな衝撃による推進力のロスを低減する142×12mmスルーアクスルなどの最新規格を多く取り入れている。
フロントフォークはロックショックスのレースモデル「SID XX」
テストバイクは日本でも販売されるハイエンドモデルの「ANTHEM ADVANCED 27.5 0 TEAM」。フロントフォークはOVER DRIVE2規格に合わせた100mmストロークのロックショックス SID XX、リアには同じくMONARCH RLを採用。コンポーネントはフレームカラーに合わせたカラーのスラムXX1、ホイールはジャイアントのP-CXR0、タイヤはシュワルベ RACING RALPH EVOチューブレスレディ27.5x2.25となっている。
「オールマウンテン的な走りにも対応出来る安定感と適度なリジッド感が魅力的」 ヘッド角を寝かせ、ホイールベースを長くするなど高速安定性を高めた印象があるANTHEMの27.5インチモデルだが、意図したものが乗り味にもしっかりと現れていた。通常、軽量XCバイクでオールマウンテンの様な走り方をすると、フルサスであっても接地感に乏しくアグレッシブに走りにくいのが常であるが、そういった不安感が全く無い。
さらに、ステムを標準で付属する90mmから50mmへ変更したところ、下りのハンドリングが更に軽快になり、トレイルバイク顔負けのハンドリング性能となった。ハンドルはトレンドとなっている700mm超のワイドバーが装着されているため、ステムが短くても違和感が無いように感じた。
もちろんトランスとの違いも明確にあり、良い意味でのリジッド感を感じる。埋まった岩やギャップの連続でなければ100mmトラベルはトレイルで扱いやすいサスボリュームで、動き過ぎること無くダイレクトに荷重移動に反応してくれる。上り返しでもスピードが落ち過ぎること無く上り切ることができ、走りのリズムが途切れないため、レースでは非常に大きなアドバンテージとなるだろう。
ジャイアント XTC ADVANCED 27.5 0 TEAM
シートクランプを廃したシンプルな造形
ボトムブラケットはプレスフィット式のBB89規格を採用する
フレームにはADVANCEDカーボンを使用し、正方形断面のダウンチューブやマッシブなチェーンステー、幅広BBシェルなどライダーのパワーをロス無く推進力に変換するデザインを採用している。同時にシートポストの固定方法をシートクランプではなくウスによる固定に変更し、シートポスト径を27.2mmとすることでフルサスバイクのような衝撃吸収性と様々な路面状況での高トラクションを実現した。
インプレッションには8.7kgという驚きの軽さを実現したリアルレーシングスペックの「XTC ADVANCED 27.5 0 TEAM」を使用した。パーツはフレームの軽さをさらに際立たせるチョイスがなされ、フロントサスペンションにはフレームカラーと同じブルーのロックショックス SID XX、コンポーネントにはフロントシングルとして軽量化を果たしたスラムXX1、ホイールにはカーボンリム採用のジャイアントP-XCR0、タイヤはシュワルベTHUNDER BURT EVO チューブレスレディ 27.5x2.1がアッセンブルされる。
「トレイル系バイクにも近い安定感、フルサスに迫るトラクションと振動吸収性」
フルサスの2モデル同様に、長めのフロントセンターによって高速安定性を重視したXTC ADVANCED 27.5インチモデル。普段からトレイル系のバイクに乗り慣れているライダーにも扱いやすいハンドリングとなっており、先日行われた世界選手権のように急斜面のドロップを駆け抜けるようなワールドカップサーキットを考慮して設計されたと思われる。トップチューブの下側から固定するシートポストの固定方式は少し調整し難いと感じたが、振動吸収性と高いトラクションへの貢献を考えると非常に有効と感じた。
日本国内での使用を考えてハンドリングの軽快さを狙うなら、ヘッド角が立ったアルミフレームの XTC 27.5もおススメだ。フレーム単体重量は1390gと軽量なため、シリアスなXCレースに十分に対応してくれるだろう。また、シートポストは一般的なクランプバンドで固定する方法のため、普段のトレイルライドにもオススメできる。
TRANCE ADVANCED 27.5 0 TEAM XCバイクに迫る軽さのオールマウンテンバイク
5.5インチトラベルのマエストロシステムによって27.5インチホイールに最適化したオールマウンテン向きバイクのTRANCE ADVANCED(トランス アドバンスド)。XCバイクに迫る軽量性を実現しながら、ゲレンデDHからマラソンレースまで幅広いシチュエーションをカバーする走破性を持ち合わせる。
メインフレームには軽量性と剛性、信頼性を兼ね備えたセカンドグレードのADVANCEDカーボンを使用。これにハイドロフォーミングや強度を損なわない溶接など高度な技術によって成型されたALUXX SLアルミニウム製スイングアームを組み合わせる。リアエンドは142×12mmと135×5mmの両規格に対応するコンパチブルドロップアウトとした。
フレーム各部にはライド中に考えられる様々なトラブルに備えた設計が施されている。ステーには飛び石やチェーン暴れからフレームを守るプロテクターと、チェーンデバイスをADVANCEDの全グレードで装備。チェーンガード台座は汎用的なISCG-05規格を採用。ケーブル類は全てフレーム内に内蔵される。
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今回テストを行ったモデルは前後サスにロックショックスのRevelation RLT3とMonarch RT3を組み合わせたTRANCE ADVANCED 27.5 0 TEAM。フロントフォークのストロークは120~140mmの可変式だ。コンポーネントは1×11のスラムXX1、ホイールはジャイアントのP-TXR0、タイヤはシュワルベNobby Nic Evo チューブレスレディ 27.5x2.25となっている。なおこのモデルは日本発売モデルとは異なる。
インプレッション by 墨崎大輔
オフロードバイクとしてはかなり低重心な印象を受けたが、26インチモデルに対してホイール径が大きくなった代わりにBBハイトを下げているため、特にBB高が低いわけではない。前後サスが偏ることなくキレイに動いている感触からくるものだろう。サスの動きは非常に滑らかだが、パラレルリンク式のマエストロサスらしく、ペダリングで無駄に動いている印象は少ない。
低重心に感じたもう一つの要因として、26インチモデル比でフロントセンターを大幅に伸ばして安定感を増したジオメトリーも関係しているのだろう。同時にトップチューブ長も伸びているが、完成車ではその分ステムを短くし、安定感とハンドリングの軽快さをうまく両立させている。
26インチモデルは荷重移動に対する反応性が良く、小回りが利くという印象だったが、ハイスピードになると時折不安定に感じるところもあった。しかし、27.5インチモデルはハイスピードでも非常に安定していながら、上下左右の細かいうねりを取り入れたコースでもリズミカルに走ることができて、コントロール性も非常に良かった。
コギの軽さに関してはANTHEM27.5インチには及ばないものの、このクラスのフルサスとしてはかなり軽快だ。ホイールやコンポーネントが軽かったことを差し引いても走破性や軽快さは非常に高く、タイヤとの組み合わせが非常に良いと感じた。また、タイヤ幅を2.1インチ程度にすることでSDA王滝の様なエンデュランスレースや標高差1000m級の山岳ライドにも対応出来るだろう。
ANTHEM ADVANCED 27.5 0 TEAM 下り性能に優れた軽量フルサスXCレーサー
ANTHEM ADVANCED(アンセム アドバンスド)は4インチトラベルのマエストロシステムを搭載したフルサスXCバイクだ。27.5インチに最適化されたジオメトリーによって170cm以下のライダーでも最適なレーシングポジションを実現可能としながらも、高い走破性を維持している。
TRANCE同様にメインフレームにはADVANCEDカーボン、スイングアームにはALUXX SLアルミニウムを使用し、XCレースで要求される軽さを実現するため徹底的な軽量化が図られている。そして、あらゆる体格のライダーにとって最適なポジションが実現出来る様にヘッドチューブ長さをXSとSサイズでは95mm、MとLサイズでは100mmとした。
レース中に必要なあらゆる性能を実現するため、高い操作性を実現する大口径ヘッドチューブ「OVER DRIVE2」や、ライダーのパワーを余すことなく推進力に変換するBB89規格の「POWER CORE」ボトムブラケット、大きな衝撃による推進力のロスを低減する142×12mmスルーアクスルなどの最新規格を多く取り入れている。
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テストバイクは日本でも販売されるハイエンドモデルの「ANTHEM ADVANCED 27.5 0 TEAM」。フロントフォークはOVER DRIVE2規格に合わせた100mmストロークのロックショックス SID XX、リアには同じくMONARCH RLを採用。コンポーネントはフレームカラーに合わせたカラーのスラムXX1、ホイールはジャイアントのP-CXR0、タイヤはシュワルベ RACING RALPH EVOチューブレスレディ27.5x2.25となっている。
インプレッション by 墨崎大輔
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もちろんトランスとの違いも明確にあり、良い意味でのリジッド感を感じる。埋まった岩やギャップの連続でなければ100mmトラベルはトレイルで扱いやすいサスボリュームで、動き過ぎること無くダイレクトに荷重移動に反応してくれる。上り返しでもスピードが落ち過ぎること無く上り切ることができ、走りのリズムが途切れないため、レースでは非常に大きなアドバンテージとなるだろう。
XTC ADVANCED 27.5 0 TEAM 高速安定性が魅力のリアリジッドXCレーサー
XTC ADVANCEDは日本国内のレースコースにも適する小回りが利くハンドリング特性と、ロードバイクに迫る軽量性を兼ね備えたリアリジッドのレーシングXCバイクだ。ANTHEM同様の比較的短いヘッドチューブ長など、身長が170cm以下のライダーでも最適なポジションが実現できるジオメトリーを採用している。
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インプレッションには8.7kgという驚きの軽さを実現したリアルレーシングスペックの「XTC ADVANCED 27.5 0 TEAM」を使用した。パーツはフレームの軽さをさらに際立たせるチョイスがなされ、フロントサスペンションにはフレームカラーと同じブルーのロックショックス SID XX、コンポーネントにはフロントシングルとして軽量化を果たしたスラムXX1、ホイールにはカーボンリム採用のジャイアントP-XCR0、タイヤはシュワルベTHUNDER BURT EVO チューブレスレディ 27.5x2.1がアッセンブルされる。
インプレッション by 墨崎大輔
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フルサスの2モデル同様に、長めのフロントセンターによって高速安定性を重視したXTC ADVANCED 27.5インチモデル。普段からトレイル系のバイクに乗り慣れているライダーにも扱いやすいハンドリングとなっており、先日行われた世界選手権のように急斜面のドロップを駆け抜けるようなワールドカップサーキットを考慮して設計されたと思われる。トップチューブの下側から固定するシートポストの固定方式は少し調整し難いと感じたが、振動吸収性と高いトラクションへの貢献を考えると非常に有効と感じた。
日本国内での使用を考えてハンドリングの軽快さを狙うなら、ヘッド角が立ったアルミフレームの XTC 27.5もおススメだ。フレーム単体重量は1390gと軽量なため、シリアスなXCレースに十分に対応してくれるだろう。また、シートポストは一般的なクランプバンドで固定する方法のため、普段のトレイルライドにもオススメできる。
提供:ジャイアント text:シクロワイアード編集部