2013/03/13(水) - 18:53
カーボンクリンチャーの弱点を徹底的に払拭したホイール「コスミックカーボン40C」が遂にメディアに披露された。超軽量なアルミ製の「背骨」を内蔵するという斬新なアイデアや、MAVIC独自のテクノロジーを取り入れた万能ホイールの詳細を速報でお伝えする。
パリ〜ニースの閉幕から一夜明けた3月11日、崖の村ペイヨンにあるホテル「オーベルジュ・ド・ラ・マドン」で行なわれたマヴィックの新製品プレスローンチ(発表)イベント。中世の時代から時間が止まったような佇まいの村に、意欲的な目つきの各国サイクルジャーナリストが集まった。
プレスローンチまで極秘裏に開発が進められていたホイール「コスミックカーボン40C(CC40C)」が、ジャーナリストたちの前に姿を現した。
40mmのリム高だけを見ると、プロチーム内で使用頻度の高いコスミックカーボン・アルチメイトに似ている。しかし今回発表されたコスミックカーボンは「40C」という名前からも分かるようにクリンチャーホイールであり、既存のコスミックカーボン・アルチメイトやコスミックカーボンSLR、コスミックカーボンSLとは別基軸。新コンセプトのホイールセットが誕生した。
「最軽量」や「高いエアロ効果」を謳うような、究極を目指したプロスペックのホイールではなく、MAVICが目指したのは耐久性やブレーキング性能にも着目したバランスの良いバーサタイル(万能な)ホイール。クリンチャーホイールのローンチイベントに世界各国からジャーナリストを招待するところに、新製品に対するマヴィックの本気度が感じられる。
開発陣の熱のこもった製品説明を受けた翌日には、プロヴァンスの山々を舞台にしたテストライドを開催。シクロワイアードはコスミックカーボン40Cを徹底的にテストする機会を得た。
まずはニューホイールの概要を説明して行こう。
スポークとハブはCXR80と同様で、ダブルバテッドのステンレス製スポークに、アルミ製ワイドフランジ&本体がカーボン製のハブが組み合わされる。
コスミックカーボン40Cの注目すべき点は、40mmのリムに詰まっていると言っていいだろう。
構造上、従来のカーボンクリンチャーホイールにはハードブレーキング時の熱上昇による破損のリスクが伴った。事実、カーボンクリンチャーホイールの使用を控えるよう事前に通達を出すグランフォンドイベントもあるほど。
カーボンクリンチャーホイールの最大の弱点は、様々な方向からかかる圧力に耐えるブレーキ面だった。ブレーキパッドが内側に押さえ込む圧力や、外側に広げようとするタイヤプレッシャー、さらに路面からの衝撃に耐えなければならない。それらの圧力に耐えるためには、必然的にカーボンは厚くなり、重くなる。加えてブレーキング時の熱にも耐えなければならない。
他社がこぞってカーボンクリンチャーホイールをリリースする中、MAVICは研究に研究を重ね、3年の開発期間を経て一つの解決策を導き出した。カーボンリムの内部にアルミの「背骨」を組み合わせたのだ。
矛盾しているように聞こえるかも知れないが、アルミの「背骨」を採用することがリム自体の軽量化をもたらした。ホイールの外周が軽くなることで慣性モーメントが下がり、ハンドリングの良さに繋がる。更に熱伝導率の高いアルミが局所的な熱上昇を抑えるとともに、リム自体の剛性アップ、そしてスムースかつ耐久性の高いブレーキ面を実現する。特にカーボンクリンチャーの弱点だったブレーキ面について開発陣は胸を張る。
細かなテクノロジーは後日アップする次ページを参照していただくとして、種類の異なるレジンを組み合わせることで耐久性と耐熱性の高いブレーキ面を実現したTgMAXテクノロジーや、アルミ素材を溶かしながらニップルのネジ山を成形するFOREテクノロジーを採用。MAVICが提唱するWTS(ホイール・タイヤ・システム)のコンセプトはもちろんこのコスミックカーボン40Cにも応用されており、タイヤ、リム、スポーク、ハブ全てを包括したホイール作りが行なわれている。販売はもちろん前後で設計が異なるタイヤを含む。
製品のターゲットはまさにシクロワイアード読者のような一般ライダーであり、重量、慣性モーメント、エアロ性能、縦剛性、横剛性、ブレーキング性能、耐久性をバランス良く組み合わせた万能ホイールだと言える。40mmのリムこそ、MAVICが導き出した一つの答えだ。
次回はコスミックカーボン40Cに詰め込まれたテクノロジーについて細かく見ていく。
万能ホイール「コスミックカーボン40C」がデビュー
コートダジュールの中心都市ニースから車で内陸に約20分。オリーブの樹々が生い茂る山を抜けると、切り立った崖の上にレンガ作りの村が見えてきた。パリ〜ニースの閉幕から一夜明けた3月11日、崖の村ペイヨンにあるホテル「オーベルジュ・ド・ラ・マドン」で行なわれたマヴィックの新製品プレスローンチ(発表)イベント。中世の時代から時間が止まったような佇まいの村に、意欲的な目つきの各国サイクルジャーナリストが集まった。
プレスローンチまで極秘裏に開発が進められていたホイール「コスミックカーボン40C(CC40C)」が、ジャーナリストたちの前に姿を現した。
40mmのリム高だけを見ると、プロチーム内で使用頻度の高いコスミックカーボン・アルチメイトに似ている。しかし今回発表されたコスミックカーボンは「40C」という名前からも分かるようにクリンチャーホイールであり、既存のコスミックカーボン・アルチメイトやコスミックカーボンSLR、コスミックカーボンSLとは別基軸。新コンセプトのホイールセットが誕生した。
「最軽量」や「高いエアロ効果」を謳うような、究極を目指したプロスペックのホイールではなく、MAVICが目指したのは耐久性やブレーキング性能にも着目したバランスの良いバーサタイル(万能な)ホイール。クリンチャーホイールのローンチイベントに世界各国からジャーナリストを招待するところに、新製品に対するマヴィックの本気度が感じられる。
開発陣の熱のこもった製品説明を受けた翌日には、プロヴァンスの山々を舞台にしたテストライドを開催。シクロワイアードはコスミックカーボン40Cを徹底的にテストする機会を得た。
まずはニューホイールの概要を説明して行こう。
カーボンクリンチャーの弱点を克服した高バランスホイール
一見すると、コスミックカーボン40Cはシンプルなフルカーボンのクリンチャーホイールだ。外観に奇抜な特徴は無く、既存ラインナップのホイールと見間違えることもあるだろう。スポークとハブはCXR80と同様で、ダブルバテッドのステンレス製スポークに、アルミ製ワイドフランジ&本体がカーボン製のハブが組み合わされる。
コスミックカーボン40Cの注目すべき点は、40mmのリムに詰まっていると言っていいだろう。
構造上、従来のカーボンクリンチャーホイールにはハードブレーキング時の熱上昇による破損のリスクが伴った。事実、カーボンクリンチャーホイールの使用を控えるよう事前に通達を出すグランフォンドイベントもあるほど。
カーボンクリンチャーホイールの最大の弱点は、様々な方向からかかる圧力に耐えるブレーキ面だった。ブレーキパッドが内側に押さえ込む圧力や、外側に広げようとするタイヤプレッシャー、さらに路面からの衝撃に耐えなければならない。それらの圧力に耐えるためには、必然的にカーボンは厚くなり、重くなる。加えてブレーキング時の熱にも耐えなければならない。
他社がこぞってカーボンクリンチャーホイールをリリースする中、MAVICは研究に研究を重ね、3年の開発期間を経て一つの解決策を導き出した。カーボンリムの内部にアルミの「背骨」を組み合わせたのだ。
矛盾しているように聞こえるかも知れないが、アルミの「背骨」を採用することがリム自体の軽量化をもたらした。ホイールの外周が軽くなることで慣性モーメントが下がり、ハンドリングの良さに繋がる。更に熱伝導率の高いアルミが局所的な熱上昇を抑えるとともに、リム自体の剛性アップ、そしてスムースかつ耐久性の高いブレーキ面を実現する。特にカーボンクリンチャーの弱点だったブレーキ面について開発陣は胸を張る。
細かなテクノロジーは後日アップする次ページを参照していただくとして、種類の異なるレジンを組み合わせることで耐久性と耐熱性の高いブレーキ面を実現したTgMAXテクノロジーや、アルミ素材を溶かしながらニップルのネジ山を成形するFOREテクノロジーを採用。MAVICが提唱するWTS(ホイール・タイヤ・システム)のコンセプトはもちろんこのコスミックカーボン40Cにも応用されており、タイヤ、リム、スポーク、ハブ全てを包括したホイール作りが行なわれている。販売はもちろん前後で設計が異なるタイヤを含む。
製品のターゲットはまさにシクロワイアード読者のような一般ライダーであり、重量、慣性モーメント、エアロ性能、縦剛性、横剛性、ブレーキング性能、耐久性をバランス良く組み合わせた万能ホイールだと言える。40mmのリムこそ、MAVICが導き出した一つの答えだ。
MAVIC COSMIC CARBON 40C Introduction
次回はコスミックカーボン40Cに詰め込まれたテクノロジーについて細かく見ていく。
提供:アメアスポーツジャパン 編集/取材:シクロワイアード/Kei Tsuji