2012/07/18(水) - 07:18
北アルプスの雄大な景観と初秋の自然を走りながらに満喫できるのが、今年初開催の「北アルプス山麓グランフォンド」。100kmコースの事前試走にお招き頂いたCW編集部によるコース攻略ガイドをお届けします。参加を考えている方は必見だ!
北アルプス山麓グランフォンドが開催されるのは、アルプスあづみのセンチュリーライドなど、人気のロングライドイベントが開催されている地、長野県。安曇野や白馬といった信州一帯は、9月上旬には秋の気配となり、ロングライドには最適な時期・気候となる。
アルプスの間近に見える荒々しい山々の姿のほか、仁科三湖(青木湖・中綱湖・木崎湖)や里山風景、田園風景などの見事な景観を楽しみながらサイクリングを楽しむことができるだろう。コースは約100kmを走り、獲得標高1500mのロングコースと、60kmのミドルコース、30kmを走るエンジョイコースの3種類が用意される。
我々シクロワイアード編集部は、実行委員を務める鹿島槍スポーツヴィレッジの西沢さんにお招き頂き、7月11日に実際に自転車に乗ってのロングコースの下見へと向かった。なぜかメタボ会長までもが付いて来てしまったのが残念なのだが...。
◆スタート~5km地点:中綱湖・青木湖を眺めながら畔を走る
スタート地点となるのは鹿島槍スポーツヴィレッジから少し下った場所にある大きな駐車場。スポーツヴィレッジからは急坂を下る必要があるため、アクシデントを防ぐために取られた配慮だ。スタートしてすぐ出迎えてくれるのは、仁科三湖の一つ、中綱湖。そして湧水を水源とする青木湖が続き、青い湖水を横目に見ながらの爽快なライドを楽しむことができる。
ロングコースとミドルコースは青木湖東側の幅の広い道を駆け抜け、エンジョイコースは西側の緑が眩しい細く曲がりくねった林道を通過し、湖の青と林の緑のコントラストを目に楽しみながら走り抜ける。
◆5km地点~白馬ジャンプ競技場エイド~ぽかぽかランド美麻
100kmコースと60kmコースは青木湖を抜け、白馬ジャンプ競技場に設けられたエイドステーションを目指して北上する。残雪を頂き、目の前にそびえる雄大な北アルプスに向かって走るこの区間は、今大会の白眉だ。
このエリアは交通量が少ない上に道幅が広く、まさにストレスフリーで駆け抜けることができる。アルプスあづみのセンチュリーランでも通過するエリアなので、田んぼが広がる長閑な景色を覚えている方も多いだろう。しかしグランフォンドが行われるのは秋の気配を感じられる9月。頭を垂れ始めた稲穂が辺りに広がるその光景は、きっと「アルプスあづみの」とはまた違った感動を感じる事ができるはずだ。
19km地点の白馬エイドで折り返したら、10km先のトイレが設置された美麻エイドへと進む。復路も平坦基調なのでそう苦労することは無いだろう。
◆ぽかぽかランド美麻~大峰高原エイド~57km地点
ぽかぽかランド美麻を出発すると、ここからは本格的な山道がずっと続く区間が始まる。出発直後に現れる上りは今大会一番の難関。山の尾根を目指して駆け上がる急峻な峠道は、距離4kmで標高差270mを稼ぎだす。平均斜度は7%を超え、つづら折れカーブの内側では10%を優に超える場所もあるが、林の中を行くコースのために「走る楽しみ」は充分に味わうことができるはずだ。
ここを登りきると美麻支所が見えてくる。ここは給水所となっているので、疲れた身体を少し休めよう。
標高差150mを下り、また再び2.5kmを掛けて下った分を取り返すといったアップダウンが続く。コース断面図を見る限りではそれほどまで厳しくは無いものの、実際は急勾配のカーブを細く繰り返しながらクリアする厳しい線形だ。中・上級のライダーならば問題ないが、ビギナーさんは心の準備をしておいたほうが良いだろう。
そしてそれ以上に注意をして欲しいのが、この区間終盤の下り。道幅はずっと細いまま急カーブを繰り返すテクニカルなコーナーが続き、場所によっては車の行き違いができないような部分も存在する。調子に乗って下りを飛ばしていたメタボ会長も、ガードレールの無い急カーブで飛び出しそうになったほどだ。イベント当日は一般車両も走るため細心注意を払っていて損することは無いと強く感じる。立哨スタッフの注意に快く応じて安全をキープしよう。
◆57km地点~大町温泉郷エイド~ゴール
ダウンヒルをクリアしてしまえば、そこからは走りやすい道がずっとゴールまで続く。68km地点のちひろ美術館エイドでは販売されているソフトクリームで元気をチャージ。コース断面図ではずっと上りに見えるが、実際は登っているのを感じないほどの緩やかさだ。
最後のエイドステーションが設置された大町温泉郷を出れば、コースは市街地を離れ、長閑な信州の田舎道へとゴール目指して分け入っていく。清らかな鹿島川の水の流れを聴きながら走りやすい適度なアップダウンをこなし、最後は鹿島槍スポーツヴィレッジへと続く1kmほどの上りを越えてゴールへと到着する。距離はほぼ100kmちょうど。獲得標高は1500mだ。
◆充実のエイドステーション&前日イベント
北アルプス山麓グランフォンドは、「おもてなしの心」を大事にサイクリストを歓迎してくれる。下見ではエイドステーションで供される予定のご当地うどん「おざんざ」を始め、地元の食材を使った美味しい食べ物を味わうことができるというから楽しみにしたい。
特に大町温泉郷エイドでは、エイドステーションの向かいにある洋菓子屋さん、コンディトライ・アン・マリーレのシェフパティシエール・杏さんの好意で「パリ・ブレスト」が振舞われる予定だ。パリ・ブレストとは1600kmを走るブルベの最高峰にちなんで車輪の形に作られたシュー菓子のことで、優しい甘みはロングライドイベントの糖分補給にはピッタリだし、普段お店に並べていないお菓子を特別に作って下さるのはとってもありがたい。イベント当日は通常営業しているので、店内のカフェスペースで自家製ジンジャーエールやコーヒーなどをいただくこともできるという。
また、大会前日の土曜日には地元3社の酒蔵が主催するイベント「三蔵呑み歩き」が開催され、大吟醸・限定仕込みや、蔵元秘伝の漬物も頂くことができる。
その日の夕方からは地元の神社のローカルな花火大会にも脚を運んだりすることができるというから魅力的。「大会の前日は、呑み歩きに参加したり、信州ならではのゆっくりとした雰囲気の中でリラックスしていただきたいと思います」とは、お邪魔させて頂いた「北安醸造」のご主人の談。
私が100kmコースを試走して感じたのは、同じエリアで行われる「アルプスあづみのセンチュリーライド」とは違い、かなりしっかりとした山岳ライドだという点だ。
しかし山道は険しくとも、距離は100kmとそこまで長くないため、ただひたすらに距離を消化する大会とは違って変化に富んだコースを飽きること無く楽しむことが出来るだろう。この緩急のバランスがちょうど良い感じで、コースに「走り」を求める上級ライダーでも、脱ビギナーを目指すライダーにもうってつけだと強く感じた。
最後に、参加を考えている方に向けて、自転車歴3年で若葉マークの域をやっと脱出したように思えるメタボ会長のコメントをお届けします。
「今春に参加させて頂いた”アルプスあづみのセンチュリーライド”のイメージを持ったまま、軽い気持ちで取材に同行しましたがエライ目に遭いました。コース自体は約100kmと短いのですが、AACRの160kmコースよりも疲れた気がします。スタート地点から美麻郵便局辺りまでは気持ち良い平坦サイクリングでしたが、28km地点のぽかぽかランドを曲がってからは様相が一変し、同行したことを後悔した程です。ここからの30km区間はまさにグランフォンドでしたね。」
「コース図を見ると3kmほどの登坂が3発あるだけなのですが、それ以上にハードな印象でした。また、途中の林道区間の下り坂がかなりテクニカルで油断できません。このテクニカルな下り区間では安全運転を強くお勧めします。油断してるとスリップダウンなどで、せっかくの楽しい一日が台無しになりかねませんからね。この山間区間を超えてしまえば残りはサイクリングです。今回走った100kmコースは中上級者さんには全く問題ありませんが、全くの初心者さんには厳しいかも知れません。私レベルの初級者さんが山岳ライドに初めて挑戦するには丁度良いコース設定ではないでしょうか?ゴール地点ではお風呂も待っていますから、安全運転で頑張ってみてください!」
report:So.Isobe
北アルプス山麓グランフォンドが開催されるのは、アルプスあづみのセンチュリーライドなど、人気のロングライドイベントが開催されている地、長野県。安曇野や白馬といった信州一帯は、9月上旬には秋の気配となり、ロングライドには最適な時期・気候となる。
アルプスの間近に見える荒々しい山々の姿のほか、仁科三湖(青木湖・中綱湖・木崎湖)や里山風景、田園風景などの見事な景観を楽しみながらサイクリングを楽しむことができるだろう。コースは約100kmを走り、獲得標高1500mのロングコースと、60kmのミドルコース、30kmを走るエンジョイコースの3種類が用意される。
我々シクロワイアード編集部は、実行委員を務める鹿島槍スポーツヴィレッジの西沢さんにお招き頂き、7月11日に実際に自転車に乗ってのロングコースの下見へと向かった。なぜかメタボ会長までもが付いて来てしまったのが残念なのだが...。
◆スタート~5km地点:中綱湖・青木湖を眺めながら畔を走る
スタート地点となるのは鹿島槍スポーツヴィレッジから少し下った場所にある大きな駐車場。スポーツヴィレッジからは急坂を下る必要があるため、アクシデントを防ぐために取られた配慮だ。スタートしてすぐ出迎えてくれるのは、仁科三湖の一つ、中綱湖。そして湧水を水源とする青木湖が続き、青い湖水を横目に見ながらの爽快なライドを楽しむことができる。
ロングコースとミドルコースは青木湖東側の幅の広い道を駆け抜け、エンジョイコースは西側の緑が眩しい細く曲がりくねった林道を通過し、湖の青と林の緑のコントラストを目に楽しみながら走り抜ける。
◆5km地点~白馬ジャンプ競技場エイド~ぽかぽかランド美麻
100kmコースと60kmコースは青木湖を抜け、白馬ジャンプ競技場に設けられたエイドステーションを目指して北上する。残雪を頂き、目の前にそびえる雄大な北アルプスに向かって走るこの区間は、今大会の白眉だ。
このエリアは交通量が少ない上に道幅が広く、まさにストレスフリーで駆け抜けることができる。アルプスあづみのセンチュリーランでも通過するエリアなので、田んぼが広がる長閑な景色を覚えている方も多いだろう。しかしグランフォンドが行われるのは秋の気配を感じられる9月。頭を垂れ始めた稲穂が辺りに広がるその光景は、きっと「アルプスあづみの」とはまた違った感動を感じる事ができるはずだ。
19km地点の白馬エイドで折り返したら、10km先のトイレが設置された美麻エイドへと進む。復路も平坦基調なのでそう苦労することは無いだろう。
◆ぽかぽかランド美麻~大峰高原エイド~57km地点
ぽかぽかランド美麻を出発すると、ここからは本格的な山道がずっと続く区間が始まる。出発直後に現れる上りは今大会一番の難関。山の尾根を目指して駆け上がる急峻な峠道は、距離4kmで標高差270mを稼ぎだす。平均斜度は7%を超え、つづら折れカーブの内側では10%を優に超える場所もあるが、林の中を行くコースのために「走る楽しみ」は充分に味わうことができるはずだ。
ここを登りきると美麻支所が見えてくる。ここは給水所となっているので、疲れた身体を少し休めよう。
標高差150mを下り、また再び2.5kmを掛けて下った分を取り返すといったアップダウンが続く。コース断面図を見る限りではそれほどまで厳しくは無いものの、実際は急勾配のカーブを細く繰り返しながらクリアする厳しい線形だ。中・上級のライダーならば問題ないが、ビギナーさんは心の準備をしておいたほうが良いだろう。
そしてそれ以上に注意をして欲しいのが、この区間終盤の下り。道幅はずっと細いまま急カーブを繰り返すテクニカルなコーナーが続き、場所によっては車の行き違いができないような部分も存在する。調子に乗って下りを飛ばしていたメタボ会長も、ガードレールの無い急カーブで飛び出しそうになったほどだ。イベント当日は一般車両も走るため細心注意を払っていて損することは無いと強く感じる。立哨スタッフの注意に快く応じて安全をキープしよう。
◆57km地点~大町温泉郷エイド~ゴール
ダウンヒルをクリアしてしまえば、そこからは走りやすい道がずっとゴールまで続く。68km地点のちひろ美術館エイドでは販売されているソフトクリームで元気をチャージ。コース断面図ではずっと上りに見えるが、実際は登っているのを感じないほどの緩やかさだ。
最後のエイドステーションが設置された大町温泉郷を出れば、コースは市街地を離れ、長閑な信州の田舎道へとゴール目指して分け入っていく。清らかな鹿島川の水の流れを聴きながら走りやすい適度なアップダウンをこなし、最後は鹿島槍スポーツヴィレッジへと続く1kmほどの上りを越えてゴールへと到着する。距離はほぼ100kmちょうど。獲得標高は1500mだ。
◆充実のエイドステーション&前日イベント
北アルプス山麓グランフォンドは、「おもてなしの心」を大事にサイクリストを歓迎してくれる。下見ではエイドステーションで供される予定のご当地うどん「おざんざ」を始め、地元の食材を使った美味しい食べ物を味わうことができるというから楽しみにしたい。
特に大町温泉郷エイドでは、エイドステーションの向かいにある洋菓子屋さん、コンディトライ・アン・マリーレのシェフパティシエール・杏さんの好意で「パリ・ブレスト」が振舞われる予定だ。パリ・ブレストとは1600kmを走るブルベの最高峰にちなんで車輪の形に作られたシュー菓子のことで、優しい甘みはロングライドイベントの糖分補給にはピッタリだし、普段お店に並べていないお菓子を特別に作って下さるのはとってもありがたい。イベント当日は通常営業しているので、店内のカフェスペースで自家製ジンジャーエールやコーヒーなどをいただくこともできるという。
また、大会前日の土曜日には地元3社の酒蔵が主催するイベント「三蔵呑み歩き」が開催され、大吟醸・限定仕込みや、蔵元秘伝の漬物も頂くことができる。
その日の夕方からは地元の神社のローカルな花火大会にも脚を運んだりすることができるというから魅力的。「大会の前日は、呑み歩きに参加したり、信州ならではのゆっくりとした雰囲気の中でリラックスしていただきたいと思います」とは、お邪魔させて頂いた「北安醸造」のご主人の談。
私が100kmコースを試走して感じたのは、同じエリアで行われる「アルプスあづみのセンチュリーライド」とは違い、かなりしっかりとした山岳ライドだという点だ。
しかし山道は険しくとも、距離は100kmとそこまで長くないため、ただひたすらに距離を消化する大会とは違って変化に富んだコースを飽きること無く楽しむことが出来るだろう。この緩急のバランスがちょうど良い感じで、コースに「走り」を求める上級ライダーでも、脱ビギナーを目指すライダーにもうってつけだと強く感じた。
最後に、参加を考えている方に向けて、自転車歴3年で若葉マークの域をやっと脱出したように思えるメタボ会長のコメントをお届けします。
「今春に参加させて頂いた”アルプスあづみのセンチュリーライド”のイメージを持ったまま、軽い気持ちで取材に同行しましたがエライ目に遭いました。コース自体は約100kmと短いのですが、AACRの160kmコースよりも疲れた気がします。スタート地点から美麻郵便局辺りまでは気持ち良い平坦サイクリングでしたが、28km地点のぽかぽかランドを曲がってからは様相が一変し、同行したことを後悔した程です。ここからの30km区間はまさにグランフォンドでしたね。」
「コース図を見ると3kmほどの登坂が3発あるだけなのですが、それ以上にハードな印象でした。また、途中の林道区間の下り坂がかなりテクニカルで油断できません。このテクニカルな下り区間では安全運転を強くお勧めします。油断してるとスリップダウンなどで、せっかくの楽しい一日が台無しになりかねませんからね。この山間区間を超えてしまえば残りはサイクリングです。今回走った100kmコースは中上級者さんには全く問題ありませんが、全くの初心者さんには厳しいかも知れません。私レベルの初級者さんが山岳ライドに初めて挑戦するには丁度良いコース設定ではないでしょうか?ゴール地点ではお風呂も待っていますから、安全運転で頑張ってみてください!」
report:So.Isobe
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