2012/02/13(月) - 11:16
晴天に恵まれた2月11日、お台場海浜公園でCyclo Cross Tokyo 2012が初開催された。シクロクロス熱が高まる関東圏、しかも臨海副都心の中心とあって非常に注目を受けたこの大会には、大勢の参加者と観客が集まり、大きな盛り上がりを見せた。
臨海副都心で行われたシクロクロスイベント Cyclo Cross Tokyo 2012
記念すべき初開催を迎えたCyclo Cross Tokyo 2012。最大の話題は、何といってもその開催に選ばれた場所だろう。今までシクロクロスの大会と言うと河川敷や公園などで行われるケースが多かったが、今大会の開催地は東京の臨海副都心の中心。レインボーブリッジのふもとにあるお台場海浜公園という、東京の中心で初めて行われたシクロクロスイベントとなった。
我々シクロワイアード取材班も朝7時ごろから会場に入った。周りにビルが立ち並ぶ、朝陽まぶしい海浜公園の砂浜にメーカーブースのテントがずらり並ぶ様子はまさに圧巻だ。テキパキと準備の進むブース設置に合わせて、こんな場所で自転車イベントが始まるんだ、というワクワク感が高まってくる。
MCを務めた白戸太郎さん、美咲悠さんとゲストの荻島美香選手
今大会最大の難関である砂地を試走する
8時を過ぎるといよいよ試走の開始だ。参加者の皆さんは待ってましたとばかりに普段走ることのできないお台場の特設コースへと飛び出していく。全長1.5kmのコースには海岸を走る700mもの砂地区間が用意され、難しいコースレイアウトとなっている。見るとふかふかの砂に車輪をとられてしまい、ほとんど担ぎになっている。
試走から帰ってきた人に話を聞くと、口を揃えたように「砂地が長くてキツい!」と苦しいことを言うものの、皆さんの表情はイキイキととても輝いて見える。普段ではありえないコースで自転車に乗れることを心から楽しんでいる様子が見て取れた。
9時を迎え、スポーツカテゴリーがスタートしていく
転倒も多いけれど、地面がふかふかだから平気!
続々とギャラリーや参加者が集まる中9時を迎え、スポーツカテゴリーにエントリーした選手たちがスタートを切っていく。当日は雲も少なく、この頃になると気温もだいぶ上がって2月としては比較的過ごしやすい、まさに絶好のイベント日和だ。太陽の光がお台場の海や高層ビル群のガラスに反射してとてもまぶしく感じる。
シクロクロスという競技は基本的に未舗装のコース上で行うもの。土手や砂地を駆け抜け、階段ではバイクを担ぎ、
人工的に設けられたシケインと呼ばれる障害物を越えてゆく。ロードレースとは違って基本的に個人競技で、短距離のコースを周回するためわかりやすく、実際走っても観戦だけでも大いに楽しめるのが特長だ。会場にはコスプレしたギャラリーも訪れ、皆思い思いにイベントを楽しんでいた。
ピンク色のクマが会場に現る。中身は某有名レーサー
3頭のウシさんも応援に登場 大いに盛り上げに買っていた
気温の上昇とともに、大会スケジュールも滞り無く進行していく。9時40分から始まったエキスパートクラスには、シクロクロス競技に長けたホビーレーサー達が多数出場し、トップグループは白熱したバトルを繰り広げていく。
本来走りにくいコース設定のシクロクロス競技だけにスリップや転倒もあちこちで見受けられるが、スピードが出ていない上に未舗装区間がほとんどであるため、転倒によるダメージはスピードの出るロードレースと比べてとても低い。
シートを敷いてみんなでレース観戦 正統派スタイルです
こんなバイクも走行オーケーなのがシクロクロスのユルさ
シクロクロスに使うバイクにも大きな特徴がある。見ためこそロードバイクと変わらないが、不整地用の太いタイヤを履かせるため、また泥や砂詰まりを無くすため様々な工夫がされている。上級カテゴリーで無ければシクロクロス用バイクでなくともエントリーが可能となっていて、マウンテンバイクで参加している方も多かった。
シクロクロスバイクを持っていなくてもMTBやクロスバイクで参加できる。出場して楽しく、大きなケガのリスクも少ないという、実はエントリーの敷居が非常に低いのもシクロクロス競技の特長なのだ。
数え切れないほどのギャラリーが訪れた砂浜区間
長い砂浜セクションがキツい!けれどとっても楽しそう
ビギナークラスが終了するころにはエリート選手たちがコースの試走を始めた。この日のために来日した海外招待選手や、日本トップクラスの選手達が難コースを確かめに走りだすと、大きく膨れ上がった大観衆のボルテージは一気に最高潮を迎えた。選手たちはみなゆっくりながらも流れるような走りを披露していく。
ところで、シクロクロスの本場ベルギーや、この大会のモデルとなったアメリカのクロスベガスでは、ビール大国らしくビールを飲みながら観戦するのが正統派。それにならってCyclo Cross Tokyo 2012でもビールを販売するテントが出店され、"ミラービール"をはじめとした世界中のレアなビールが販売。人気銘柄は早くに売り切れてしまうほどの人気を博していた。
応援をしに来た人も、走り終わった後の1杯(もっと飲んでた人も!)を楽しむ人も本場の観戦スタイルを大いに楽しんでいた様子だった。
世界中のレアなビールが多数販売された
本場の観戦スタイルを思う存分堪能しているご様子
エリートカテゴリー最初のスタートはWomen'sクラス。L1カテゴリーでは全日本選手権連覇を達成中の女王・豊岡英子がさすがの走りを見せての優勝を飾った。オランダから来日した青いのアルカンシェルを着る荻島美香も砂地を乗り切るなど見せ場を作り、観客を大いに盛り上げた。
他を圧倒したベン・ベルデン(ベルギー、Ops Ale-Stoemper)の走り
全日本チャンピオン竹之内には一番の声援が飛んでいた
続いてはいよいよエリート男子カテゴリーの出走を迎えた。スタートが切られると今までとは別次元の圧倒的なスピードとテクニックで走る選手たちの姿に、会場は歓声とともに大きなどよめきに包まれた。非常にスムースかつ豪快な走りを見せる選手たちに、観客は声援とカウベルを惜しまない。その勢いにここはヨーロッパかと錯覚してしまうほど。レースは海外選手の優勝となったが全日本チャンピオンジャージを着る竹之内悠も健闘し、会場では一番の声援を受けていた。
気さくにファンサービスに応えるティム・ジョンソン
荻島美香選手のシクロクロス講座は大盛況を見せた
一休みをおいて、午後からは親のほうがついつい本気になってしまうキッズレースや、荻島選手のシクロクロス講座が行われた。会場は先程とうって変わって和やかな雰囲気に。レースを終えた選手たちもファンサービスを忘れずにサインや写真に笑顔で応えていて、お台場でのイベントをを思う存分楽しんでいる様子が見て取れる。普段は写真でしか見ることのできない海外選手との交流ができるのも、Cyclo Cross Tokyoならではと言えるだろう。
かなり完成度の高いコスプレチームの登場に会場は大盛り上がり
応援している大人が本気になってしまうキッズレース
午後2時過ぎからは最終種目となるエンデューロがスタート。かなり本気度の高い仮装で参加したチームもあり、マジンガーZやキューティーハニーががお台場を激走!個人の選手も何人かで参加したチームも、90分の制限時間いっぱいに耐久レースを楽しんでいた。
夕焼けの中最終種目ののエンデューロがゴールを迎える お疲れ様でした
Cyclo Cross Tokyo 2012は、都心地区での新たな自転車イベントの可能性を見出した、画期的な大会となったのではないだろうか。参加した人もギャラリーや応援に訪れた人も、全員がシクロクロスを満喫した一日となった。主催者によると、来年以降の継続開催も強く検討中だという。観て走って楽しめる Cyclo Cross Tokyoの飛躍に注目したい。
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO、Kei.Tsuji、So.Isobe
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記念すべき初開催を迎えたCyclo Cross Tokyo 2012。最大の話題は、何といってもその開催に選ばれた場所だろう。今までシクロクロスの大会と言うと河川敷や公園などで行われるケースが多かったが、今大会の開催地は東京の臨海副都心の中心。レインボーブリッジのふもとにあるお台場海浜公園という、東京の中心で初めて行われたシクロクロスイベントとなった。
我々シクロワイアード取材班も朝7時ごろから会場に入った。周りにビルが立ち並ぶ、朝陽まぶしい海浜公園の砂浜にメーカーブースのテントがずらり並ぶ様子はまさに圧巻だ。テキパキと準備の進むブース設置に合わせて、こんな場所で自転車イベントが始まるんだ、というワクワク感が高まってくる。
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試走から帰ってきた人に話を聞くと、口を揃えたように「砂地が長くてキツい!」と苦しいことを言うものの、皆さんの表情はイキイキととても輝いて見える。普段ではありえないコースで自転車に乗れることを心から楽しんでいる様子が見て取れた。
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シクロクロスという競技は基本的に未舗装のコース上で行うもの。土手や砂地を駆け抜け、階段ではバイクを担ぎ、
人工的に設けられたシケインと呼ばれる障害物を越えてゆく。ロードレースとは違って基本的に個人競技で、短距離のコースを周回するためわかりやすく、実際走っても観戦だけでも大いに楽しめるのが特長だ。会場にはコスプレしたギャラリーも訪れ、皆思い思いにイベントを楽しんでいた。
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シクロクロスバイクを持っていなくてもMTBやクロスバイクで参加できる。出場して楽しく、大きなケガのリスクも少ないという、実はエントリーの敷居が非常に低いのもシクロクロス競技の特長なのだ。
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ところで、シクロクロスの本場ベルギーや、この大会のモデルとなったアメリカのクロスベガスでは、ビール大国らしくビールを飲みながら観戦するのが正統派。それにならってCyclo Cross Tokyo 2012でもビールを販売するテントが出店され、"ミラービール"をはじめとした世界中のレアなビールが販売。人気銘柄は早くに売り切れてしまうほどの人気を博していた。
応援をしに来た人も、走り終わった後の1杯(もっと飲んでた人も!)を楽しむ人も本場の観戦スタイルを大いに楽しんでいた様子だった。
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Cyclo Cross Tokyo 2012は、都心地区での新たな自転車イベントの可能性を見出した、画期的な大会となったのではないだろうか。参加した人もギャラリーや応援に訪れた人も、全員がシクロクロスを満喫した一日となった。主催者によると、来年以降の継続開催も強く検討中だという。観て走って楽しめる Cyclo Cross Tokyoの飛躍に注目したい。
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO、Kei.Tsuji、So.Isobe
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