2011/01/11(火) - 08:52
東京の会計事務所に務める、自転車素人女性4人組がヘルオブマリアナのリレー部門に挑戦した。厳しい100kmコースを4人でリレーしてつなぐ。終わってみれば部門別優勝のご褒美が待っていた。ちょっと風変わりな社員旅行を楽しんだ4人のリレー形式のレポートだ。
私たちは東京の会計事務所「コヤマ・アンド・アソシエイツ」勤務の明るく元気いっぱい、旨いものとお酒好きの4人組です。3人が所長の影響(?)でクロスバイクを購入。といっても、乗っているのは通勤くらいで、ロングライドの経験はほとんどなく、残りの1名はママチャリ経験のみでクロスもロードも興味なしだったという、全くの素人4人です。そんな私たちのヘルオブマリアナ挑戦記を綴ってみます。
~参加のいきさつ~
ずぶの素人4人組で挑戦。でもホントに大丈夫?
夏の終わりだったか、所長が「サイパンの自転車レース、ヘルオブマリアナに挑戦しようかな」と言い出し、「みんなも、リレーでHOMに出ればいいじゃないか?」と提案される。
「アップダウンはあるけど、4人で走れば1人25Kmだし走れるよ(^^)」と、軽いアプローチ。
しかし、私たちの乗ってる距離といえば通勤の片道10Km弱くらいで、まともにロングライドを経験したメンバーはいない上に、クロスバイクさえ持っていない者が約1名...(^^;
「ママチャリ経験のみでどうすんだっ」て話で...(笑)
とはいえ正直、HOMの開催日の12月は超繁忙期! 仕事一筋の所長がまさか本気で言ってるとは、そのときの私たちも思ってなかったと思う。いや、「もしかしたら所長だけ行くと思ってた」が正解かもしれない(笑)。
そんな予想は見事にはずれ、「せっかくだし、社員旅行にしちゃおう!!」という所長のツルの一声により、HOM参加が決定し、一同不安がよぎる。
~出走順決めと自転車の準備・練習は~
誰が厳しい区間を走る? 練習はどうする?
参加することが決まり、出走順の頭を悩ます...。
まず、一番の問題が、一番キツイ第2区間を誰が走るか...(大汗)
「この区間を走る人には僕のロードバイクを特別に貸します!」と所長は言う。
しかし自転車を貸し出すといっても、サイズの合う人は長身の大畠しかいなくて、大畠は有無を言わせず第2走者に決定してしまう。誠に残念な決まり方だった(笑)。
第3走者は2番目にキツイと聞かされていたため、当然立候補なんて出るはずもなく...。
今回の参加メンバーで唯一ママチャリ経験しかないということで、第4走者に決定していた吉田だが、このレースのためにロードバイクを購入するという、思い切っての「大人買い」。
「ロードバイクの人は第4走者じゃダメダメ!」ってなことで、こちらも有無を言わせず所長に第3走者に任命されてしまう。
第1走者と第4走者は、クロスバイク参加の天野と児山。その2区間はゆるやかな登り坂が続くけどたいしたことないし、人一倍心配性の天野だから先に走らせてしまおうってことで、第1走者に決定。
そして、25km以上出せないと豪語していた一番最年少の児山が第4走者となった。
これでもう頑張るしかなくなった我々4人。第2走者のエース大畠は、荒川サイクリングロードや奥多摩の都民の森往復ライドなど、所長直々に特訓を受けた。
ロードを購入したばかりの吉田は、多摩川サイクリングロード等でトレーニング。
天野と児山はジテツウの回数を増やすといった個人練習をしていたが、レース約2週間前、コースマップと高低差表を所長が分析していたところ、予想以上にキツイらしいことが判明する。中でも、第1走者の区間が当初の説明とだいぶ違い、ヘコむ天野。
さらに、第2走者までで足きり時間が設定されていることをその時に聞かされ、マジで焦るメンバー。といっても今更トレーニング時間もなく、気がつけば、自転車は輪行函の中へ...一足お先に空港へと旅立った。
到着したらリゾートライフ満喫
到着翌日は終日フリーだったため、私たちはPICホテル・サイパンのアクティビティを楽しんだり、サイパンの街に買い物に出かけたりと、各々リゾートライフを満喫した。
ウォータースライダーは滑り降りるコツをつかむと楽しさ倍増! 流れるプールでカッパのように流れ、海ではヨットなどにも乗ることができて、すごく楽しかった。
白い砂浜のビーチで仲間とお酒を飲みながらサンセットを眺め、日頃の疲れが癒され、とても素敵な思い出になりました。明日レースがあることなんてすっかり忘れて、時間の限り遊びまくり、とにかく時間を余すことなくフリータイムを過ごすことができました。
そして、いよいよレース当日を迎えたのです。第1区間を走る天野がスタートラインにつき、他の3人はサポートカーでそれぞれの区間のスタート地点に向かったのです。
第1区 スタート~25km補給地点 ライダー:天野亜美
話が違う! 思った以上にキツかった
「登り坂はあるけど傾斜は緩いし、のんびり走る人もいるから大丈夫だよ」と、まんまと所長に騙されてエントリーしてしまいましたが、そのはずの第1区間は実際は初心者にとっては相当きつい登り坂や未舗装の道路の連続で、さらにはスタート後にあっという間に皆に置いていかれてしまい、そのあまりの過酷さと孤独さに、何度も泣きそうになりました。
坂を登り切れずに足を着いては「もうやだ、もうやめる」と思うのですが、そのたびにほかの参加者の方やスタッフさん、さらに現地の方に励まされ、また、次に待っている仲間のためにも諦めないで走らなければ、という使命感も湧いてきて、結果どうにか25キロを走りきることができました。
私はクロスバイクでの参加でしたので、いま振り返ると無謀な参加だったと思いますが、無事に走りきれてよかったです。
第2区 25km地点~レーダータワー ライダー:大畠 美穂
天野さんとタッチ!恐怖の25キロが始まった。
いざ走り出すも足が重い。「やばい、昨日プールではしゃぎすぎた!」とやや後悔。
まずは第一関門のキングフィッシャーゴルフコースへの下りと、登り返し。すれ違う人の必死な形相に恐怖を覚えた。こいでもこいでも進まない、歩いても何故か進まない、変わらない景色。キツイ・苦しい以外はっきりいってあまり記憶がない。
そんなこんなで、坂がどんどん嫌いになっていく私の目の前に天野さんが見えた。中間の12キロ地点に応援に来てくれていたのだ。なんだかとっても嬉しい♪
しばし休憩し、「残り半分がんばれるかも!」と出発。
そこからレーダータワーへ向かう下り坂は最高の景色。やっと青い海が見えた。「ぶっ飛ばしてやる!」と坂を下った最高時速は60.5km/hで、一気にテンションアップ。
「吉田さーん、待っててー、私行くからー、タッチするからー」と心で叫び、行ける!と思った。
が、甘かった。第二関門レーダータワーへの上り坂登場。上を見ると絶望するから下を向いて進む。地味に地味に、上へ上へ、ちょっとずつだけど進んでた。
ゴール1キロくらい手前の所で現地スタッフの人が現れた。上を指さしながら「ゴールってもうちょっと?」と思いっきり日本語で聞いてみた。すると「Already finish」と...。それは聞きたくなかった。タイムアップだ。
足きりスタートの吉田さんが上から降りてきた。「みぽりん頑張れ!」とすれ違いざまに声をかけてくれたが、言葉も出ず。それでも一応てっぺんまで行った。迎えてくれた天野さんとまたまたタッチ! 地獄の25キロ終了!
第二走者、まさかの時間オーバー。K&A Ladiesのみんな、ぼんくらエースでごめんね。でも終わってみると何だかめちゃめちゃ楽しかったなー。
第3走者 レーダータワー~バンザイクリフ ライダー:吉田亮子
最難関スーサイドクリフを制覇! でも道間違えた...。
レーダータワーの坂を険しい顔をしながら登る選手たちを横目に見ながら、スタート地点に車で向かう。
「50Km地点で3時間30分の足切り時間が設定されている」と聞いていたので、とにかく無事にタスキがつながることを祈って、ひとり第2走者の大畠を待つ。
応援にかけつけた天野から、大畠が近くに来ているという情報を聞きつつも、刻々と迫る足切り時間。他のリレーチームの第2走者が続々と到着する中、とにかく祈るような気持ちで待つ。しかし...無情にも足切り時間を迎え、タスキは残念ながら繋がらなかった。
レーダータワーを下る途中に、必死に登る大畠とすれ違う。いつも飄々としている彼女が、見たことのない形相で必死に頑張っている姿を見て、先に走った天野と大畠の頑張りを無駄にしてはいけないと思い、ベストを尽くすことを誓いながら、本丸のスーサイドクリフに向かう。
そして目の前に、本丸が現れる!!「・・・・げげげっ∑( ̄□ ̄;;;」登り坂、どこまでも続くよ登り坂~(ーー;
「サイパンまで来て私は何でこんなしんどいことをやってんだろう...」と、自問自答を繰り返しながら歩いて登っても変わらないスピードで坂をひたすら登る。
勾配がきつくなり、それまでの暑さと苦しさで、自転車ごと倒れてしまい、ついに心が折れたその時!先に走った天野と大畠がクルマで応援に駆けつけてくれた。
何の返しも出来なかったが、すごく嬉しかった。「もうひと踏ん張りだ」と力を振り絞ってスーサイドクリフに到着!のんびり登ってしまったので、取り返すかの如く登ってきた坂を必死で下ると、碧い海のパノラマが、眼下に広がる。さっきまで、辛かったことが一気に吹っ飛ぶ!
「この景色を見るために登ってきたんだなぁ」と思った。
スーサイドクリフの長い下り坂を終え、バードアイランドとグロットの折り返しを難なくクリア。そしていよいよ最後のポイントである、バンザイクリフへ!
1時間30分で走破することを目標に走ってきた。時計を見ると、グロット通過が55分。ムムムッ!これはいける、と思ったら、途端にペダルをこぐスピードが速くなった。待ってろ~みんな!!と意気込んだ私の目の前に、またも息の根を止める登り坂が現れる...。
前のライダーがキツイ坂を一生懸命登る姿に、すごいたくさんの勇気をもらう。最後の坂を登り切り、その後の直線のコースで、初めて自転車との一体感みたいなものを感じ、「私・・・今、超カッコ良くない!?(にやり)」と自画自賛。
気持ちよく走りすぎてメーターをみたら既に25Kmをオーバーしていて、道を間違ったんじゃないかと不安になる。
ほどなくすると、前方に見えてきた看板が「80Km」。ああー、やっちゃったなと思った。分岐を通りすぎて、道を間違えてしまったのだ。
HOMのスタッフが私を親切に救助してくれているところに、仲間が80Km地点に到着し、無事に児山がスタートしていることを聞いて安心した。
私のHOM初挑戦はこんなお粗末な感じで幕を閉じることになったけど、素敵な仲間と出会い、忘れてかけていた何かを見つけることの出来たHOMでした。
第4区 75km地点バンザイクリフ~100km地点ゴール PICホテル ライダー:児山麻子
まっ平らな区間を快走! みんなの気持ちを背負って感動のゴール
バンザイクリフまでPICホテルの方に車で送ってもらいました。バンザイクリフはとても景色がよく、遠くの方まで海が見渡せます。
バンザイクリフには戦争に由来する石碑などが立ち並んでいて、「この壮大な景色の背景にいろいろな歴史があったんだ」、と複雑な思いを抱きました。その間にも参加者の方たちがたくさんやってきます。
75㎞地点にいるスタッフの方は参加者の皆さんを励ますように「Go! Go!」と声をかけていました。最初はその雰囲気になじめずにいましたが、日本人スタッフの方が声をかけてくださり、私も他の参加者の皆さんを応援しました。自転車を漕ぐことで精一杯の方もいましたが、多くの参加者の皆さんが声をかけると笑顔で答えてくださり、それが嬉しくて、私も頑張ろう!と思いました。
私たちのチームが最後尾を走っているということは分かっていたので、多くの参加者の皆さんを見送り、「そろそろかな」と思っていたところに第一走者の天野さんと第二走者の大畠さんがかけつけてくれました。この時に第2走者の時点で失格になっていることを知りましたが、完走することに意味があるよね!とお互いの健闘を称え、そして励ましを貰いました。
すでに走り終えた2人の助言により、暑さで体力が奪われないよう本部のテントで休ませてもらっていたのですが、一向に第三走者の吉田さんがきません。
辺りが騒がしくなったと思ったらどうやら吉田さんが道に迷ったとのこと。PICの方にもうスタートして下さい!と言われ慌ただしく用意してスタートしました。
本当は吉田さんとバトン代わりにハイタッチをする予定でしたが、天野さん、大畠さん、そしてスタッフのみなさんが吉田さんの代わりにハイタッチをしてくれました。それがとっても嬉しかったです。
さて、いよいよスタートしたわけですが、最初に少しだけ上りがあったものの、コースはほとんどが平面な道か下り坂。車も人もいない海外の道を思い切り下るのです。目の前には青い空が広がり、思わず「気持ちいい!」と口にだしてしまいました。
スピードを出すのが怖いと思っていましたが、なにもない道路を思い切り走る気持ちよさで、いつもよりかなりスピードをだしていました。
けれどもどうしても迷子になった吉田さんの安否が気になって仕方ありませんでした。
順調に進んで80㎞を過ぎたときでしょうか。うしろから私を呼ぶ声が聞こえて振り返ってみると、そこには車に乗った吉田さんとほかのチームメンバーがいました。その姿を見て、心底ホッとしたのを覚えています。そしてそこからは何を考えることなくひたすらゴールを目指しました。
少し市街地に近づいて来たときに、現地の白バイが後ろについてくれて信号を渡らせてくれたり、道を誘導してくれたりしました。これはちょっと快感でした。そして車で横を通る全く関係のない現地の人が応援してくれたり、バンザイクリフにいたスタッフの方達が車でPICホテルに帰る際に応援してくれたりして、走っている間は本当に色々な励まされました。
とにかく思い切り漕いで、漕いで、漕いだ覚えしかありません。最後にゴールが見えた時は本当に嬉しかったです。
ゴールは日本人参加者の皆さんが私を迎えてくれて、最後の最後まで、ただ走るレースではなく、いろいろな人から元気と励ましと感動をもらうことができました。とにかく、とってもとっても楽しかったです!
~レースを終えて~
クォッド部門で1位の表彰を受けるサプライズ!
レースを終えて参加した表彰式に他人事のように参加していたら、部門別で私達が1位で表彰されちゃって、びっくり。みんなお互いの頑張りを讃え合い、気がつけば思わず涙があふれてしまった。
ごきげんなアワードパーティの壇上に4人であがり、拍手喝采を受ける。そして賞金やホテルのアクティビティチケット、ビール2ダースなどの副賞を一杯もらって大ご機嫌。
終わってみればヘル・オブ・マリアナは、素人の私達にはちょっと過酷だったけど、言葉では言い表せないほどの爽快感と達成感がありました。
私たちの会社の部署はパーティションに区切られて各々独立した仕事をしているので、日頃あまり会話をする機会がないのですが、今回のレースに参加したことによって、お互いの絆をより深めることが出来たような気がします。
最後に、PICのスタッフはじめHOMスタッフその他参加した日本人ライダーの皆さんに、いろいろ親切にして頂き、人の優しさや出会いの素晴らしさを感じました。本当に素敵な思い出をくれたこの大会に感謝感謝です。ありがとうございました。
私たちは東京の会計事務所「コヤマ・アンド・アソシエイツ」勤務の明るく元気いっぱい、旨いものとお酒好きの4人組です。3人が所長の影響(?)でクロスバイクを購入。といっても、乗っているのは通勤くらいで、ロングライドの経験はほとんどなく、残りの1名はママチャリ経験のみでクロスもロードも興味なしだったという、全くの素人4人です。そんな私たちのヘルオブマリアナ挑戦記を綴ってみます。
~参加のいきさつ~
ずぶの素人4人組で挑戦。でもホントに大丈夫?
夏の終わりだったか、所長が「サイパンの自転車レース、ヘルオブマリアナに挑戦しようかな」と言い出し、「みんなも、リレーでHOMに出ればいいじゃないか?」と提案される。
「アップダウンはあるけど、4人で走れば1人25Kmだし走れるよ(^^)」と、軽いアプローチ。
しかし、私たちの乗ってる距離といえば通勤の片道10Km弱くらいで、まともにロングライドを経験したメンバーはいない上に、クロスバイクさえ持っていない者が約1名...(^^;
「ママチャリ経験のみでどうすんだっ」て話で...(笑)
とはいえ正直、HOMの開催日の12月は超繁忙期! 仕事一筋の所長がまさか本気で言ってるとは、そのときの私たちも思ってなかったと思う。いや、「もしかしたら所長だけ行くと思ってた」が正解かもしれない(笑)。
そんな予想は見事にはずれ、「せっかくだし、社員旅行にしちゃおう!!」という所長のツルの一声により、HOM参加が決定し、一同不安がよぎる。
~出走順決めと自転車の準備・練習は~
誰が厳しい区間を走る? 練習はどうする?
参加することが決まり、出走順の頭を悩ます...。
まず、一番の問題が、一番キツイ第2区間を誰が走るか...(大汗)
「この区間を走る人には僕のロードバイクを特別に貸します!」と所長は言う。
しかし自転車を貸し出すといっても、サイズの合う人は長身の大畠しかいなくて、大畠は有無を言わせず第2走者に決定してしまう。誠に残念な決まり方だった(笑)。
第3走者は2番目にキツイと聞かされていたため、当然立候補なんて出るはずもなく...。
今回の参加メンバーで唯一ママチャリ経験しかないということで、第4走者に決定していた吉田だが、このレースのためにロードバイクを購入するという、思い切っての「大人買い」。
「ロードバイクの人は第4走者じゃダメダメ!」ってなことで、こちらも有無を言わせず所長に第3走者に任命されてしまう。
第1走者と第4走者は、クロスバイク参加の天野と児山。その2区間はゆるやかな登り坂が続くけどたいしたことないし、人一倍心配性の天野だから先に走らせてしまおうってことで、第1走者に決定。
そして、25km以上出せないと豪語していた一番最年少の児山が第4走者となった。
これでもう頑張るしかなくなった我々4人。第2走者のエース大畠は、荒川サイクリングロードや奥多摩の都民の森往復ライドなど、所長直々に特訓を受けた。
ロードを購入したばかりの吉田は、多摩川サイクリングロード等でトレーニング。
天野と児山はジテツウの回数を増やすといった個人練習をしていたが、レース約2週間前、コースマップと高低差表を所長が分析していたところ、予想以上にキツイらしいことが判明する。中でも、第1走者の区間が当初の説明とだいぶ違い、ヘコむ天野。
さらに、第2走者までで足きり時間が設定されていることをその時に聞かされ、マジで焦るメンバー。といっても今更トレーニング時間もなく、気がつけば、自転車は輪行函の中へ...一足お先に空港へと旅立った。
到着したらリゾートライフ満喫
到着翌日は終日フリーだったため、私たちはPICホテル・サイパンのアクティビティを楽しんだり、サイパンの街に買い物に出かけたりと、各々リゾートライフを満喫した。
ウォータースライダーは滑り降りるコツをつかむと楽しさ倍増! 流れるプールでカッパのように流れ、海ではヨットなどにも乗ることができて、すごく楽しかった。
白い砂浜のビーチで仲間とお酒を飲みながらサンセットを眺め、日頃の疲れが癒され、とても素敵な思い出になりました。明日レースがあることなんてすっかり忘れて、時間の限り遊びまくり、とにかく時間を余すことなくフリータイムを過ごすことができました。
そして、いよいよレース当日を迎えたのです。第1区間を走る天野がスタートラインにつき、他の3人はサポートカーでそれぞれの区間のスタート地点に向かったのです。
第1区 スタート~25km補給地点 ライダー:天野亜美
話が違う! 思った以上にキツかった
「登り坂はあるけど傾斜は緩いし、のんびり走る人もいるから大丈夫だよ」と、まんまと所長に騙されてエントリーしてしまいましたが、そのはずの第1区間は実際は初心者にとっては相当きつい登り坂や未舗装の道路の連続で、さらにはスタート後にあっという間に皆に置いていかれてしまい、そのあまりの過酷さと孤独さに、何度も泣きそうになりました。
坂を登り切れずに足を着いては「もうやだ、もうやめる」と思うのですが、そのたびにほかの参加者の方やスタッフさん、さらに現地の方に励まされ、また、次に待っている仲間のためにも諦めないで走らなければ、という使命感も湧いてきて、結果どうにか25キロを走りきることができました。
私はクロスバイクでの参加でしたので、いま振り返ると無謀な参加だったと思いますが、無事に走りきれてよかったです。
第2区 25km地点~レーダータワー ライダー:大畠 美穂
天野さんとタッチ!恐怖の25キロが始まった。
いざ走り出すも足が重い。「やばい、昨日プールではしゃぎすぎた!」とやや後悔。
まずは第一関門のキングフィッシャーゴルフコースへの下りと、登り返し。すれ違う人の必死な形相に恐怖を覚えた。こいでもこいでも進まない、歩いても何故か進まない、変わらない景色。キツイ・苦しい以外はっきりいってあまり記憶がない。
そんなこんなで、坂がどんどん嫌いになっていく私の目の前に天野さんが見えた。中間の12キロ地点に応援に来てくれていたのだ。なんだかとっても嬉しい♪
しばし休憩し、「残り半分がんばれるかも!」と出発。
そこからレーダータワーへ向かう下り坂は最高の景色。やっと青い海が見えた。「ぶっ飛ばしてやる!」と坂を下った最高時速は60.5km/hで、一気にテンションアップ。
「吉田さーん、待っててー、私行くからー、タッチするからー」と心で叫び、行ける!と思った。
が、甘かった。第二関門レーダータワーへの上り坂登場。上を見ると絶望するから下を向いて進む。地味に地味に、上へ上へ、ちょっとずつだけど進んでた。
ゴール1キロくらい手前の所で現地スタッフの人が現れた。上を指さしながら「ゴールってもうちょっと?」と思いっきり日本語で聞いてみた。すると「Already finish」と...。それは聞きたくなかった。タイムアップだ。
足きりスタートの吉田さんが上から降りてきた。「みぽりん頑張れ!」とすれ違いざまに声をかけてくれたが、言葉も出ず。それでも一応てっぺんまで行った。迎えてくれた天野さんとまたまたタッチ! 地獄の25キロ終了!
第二走者、まさかの時間オーバー。K&A Ladiesのみんな、ぼんくらエースでごめんね。でも終わってみると何だかめちゃめちゃ楽しかったなー。
第3走者 レーダータワー~バンザイクリフ ライダー:吉田亮子
最難関スーサイドクリフを制覇! でも道間違えた...。
レーダータワーの坂を険しい顔をしながら登る選手たちを横目に見ながら、スタート地点に車で向かう。
「50Km地点で3時間30分の足切り時間が設定されている」と聞いていたので、とにかく無事にタスキがつながることを祈って、ひとり第2走者の大畠を待つ。
応援にかけつけた天野から、大畠が近くに来ているという情報を聞きつつも、刻々と迫る足切り時間。他のリレーチームの第2走者が続々と到着する中、とにかく祈るような気持ちで待つ。しかし...無情にも足切り時間を迎え、タスキは残念ながら繋がらなかった。
レーダータワーを下る途中に、必死に登る大畠とすれ違う。いつも飄々としている彼女が、見たことのない形相で必死に頑張っている姿を見て、先に走った天野と大畠の頑張りを無駄にしてはいけないと思い、ベストを尽くすことを誓いながら、本丸のスーサイドクリフに向かう。
そして目の前に、本丸が現れる!!「・・・・げげげっ∑( ̄□ ̄;;;」登り坂、どこまでも続くよ登り坂~(ーー;
「サイパンまで来て私は何でこんなしんどいことをやってんだろう...」と、自問自答を繰り返しながら歩いて登っても変わらないスピードで坂をひたすら登る。
勾配がきつくなり、それまでの暑さと苦しさで、自転車ごと倒れてしまい、ついに心が折れたその時!先に走った天野と大畠がクルマで応援に駆けつけてくれた。
何の返しも出来なかったが、すごく嬉しかった。「もうひと踏ん張りだ」と力を振り絞ってスーサイドクリフに到着!のんびり登ってしまったので、取り返すかの如く登ってきた坂を必死で下ると、碧い海のパノラマが、眼下に広がる。さっきまで、辛かったことが一気に吹っ飛ぶ!
「この景色を見るために登ってきたんだなぁ」と思った。
スーサイドクリフの長い下り坂を終え、バードアイランドとグロットの折り返しを難なくクリア。そしていよいよ最後のポイントである、バンザイクリフへ!
1時間30分で走破することを目標に走ってきた。時計を見ると、グロット通過が55分。ムムムッ!これはいける、と思ったら、途端にペダルをこぐスピードが速くなった。待ってろ~みんな!!と意気込んだ私の目の前に、またも息の根を止める登り坂が現れる...。
前のライダーがキツイ坂を一生懸命登る姿に、すごいたくさんの勇気をもらう。最後の坂を登り切り、その後の直線のコースで、初めて自転車との一体感みたいなものを感じ、「私・・・今、超カッコ良くない!?(にやり)」と自画自賛。
気持ちよく走りすぎてメーターをみたら既に25Kmをオーバーしていて、道を間違ったんじゃないかと不安になる。
ほどなくすると、前方に見えてきた看板が「80Km」。ああー、やっちゃったなと思った。分岐を通りすぎて、道を間違えてしまったのだ。
HOMのスタッフが私を親切に救助してくれているところに、仲間が80Km地点に到着し、無事に児山がスタートしていることを聞いて安心した。
私のHOM初挑戦はこんなお粗末な感じで幕を閉じることになったけど、素敵な仲間と出会い、忘れてかけていた何かを見つけることの出来たHOMでした。
第4区 75km地点バンザイクリフ~100km地点ゴール PICホテル ライダー:児山麻子
まっ平らな区間を快走! みんなの気持ちを背負って感動のゴール
バンザイクリフまでPICホテルの方に車で送ってもらいました。バンザイクリフはとても景色がよく、遠くの方まで海が見渡せます。
バンザイクリフには戦争に由来する石碑などが立ち並んでいて、「この壮大な景色の背景にいろいろな歴史があったんだ」、と複雑な思いを抱きました。その間にも参加者の方たちがたくさんやってきます。
75㎞地点にいるスタッフの方は参加者の皆さんを励ますように「Go! Go!」と声をかけていました。最初はその雰囲気になじめずにいましたが、日本人スタッフの方が声をかけてくださり、私も他の参加者の皆さんを応援しました。自転車を漕ぐことで精一杯の方もいましたが、多くの参加者の皆さんが声をかけると笑顔で答えてくださり、それが嬉しくて、私も頑張ろう!と思いました。
私たちのチームが最後尾を走っているということは分かっていたので、多くの参加者の皆さんを見送り、「そろそろかな」と思っていたところに第一走者の天野さんと第二走者の大畠さんがかけつけてくれました。この時に第2走者の時点で失格になっていることを知りましたが、完走することに意味があるよね!とお互いの健闘を称え、そして励ましを貰いました。
すでに走り終えた2人の助言により、暑さで体力が奪われないよう本部のテントで休ませてもらっていたのですが、一向に第三走者の吉田さんがきません。
辺りが騒がしくなったと思ったらどうやら吉田さんが道に迷ったとのこと。PICの方にもうスタートして下さい!と言われ慌ただしく用意してスタートしました。
本当は吉田さんとバトン代わりにハイタッチをする予定でしたが、天野さん、大畠さん、そしてスタッフのみなさんが吉田さんの代わりにハイタッチをしてくれました。それがとっても嬉しかったです。
さて、いよいよスタートしたわけですが、最初に少しだけ上りがあったものの、コースはほとんどが平面な道か下り坂。車も人もいない海外の道を思い切り下るのです。目の前には青い空が広がり、思わず「気持ちいい!」と口にだしてしまいました。
スピードを出すのが怖いと思っていましたが、なにもない道路を思い切り走る気持ちよさで、いつもよりかなりスピードをだしていました。
けれどもどうしても迷子になった吉田さんの安否が気になって仕方ありませんでした。
順調に進んで80㎞を過ぎたときでしょうか。うしろから私を呼ぶ声が聞こえて振り返ってみると、そこには車に乗った吉田さんとほかのチームメンバーがいました。その姿を見て、心底ホッとしたのを覚えています。そしてそこからは何を考えることなくひたすらゴールを目指しました。
少し市街地に近づいて来たときに、現地の白バイが後ろについてくれて信号を渡らせてくれたり、道を誘導してくれたりしました。これはちょっと快感でした。そして車で横を通る全く関係のない現地の人が応援してくれたり、バンザイクリフにいたスタッフの方達が車でPICホテルに帰る際に応援してくれたりして、走っている間は本当に色々な励まされました。
とにかく思い切り漕いで、漕いで、漕いだ覚えしかありません。最後にゴールが見えた時は本当に嬉しかったです。
ゴールは日本人参加者の皆さんが私を迎えてくれて、最後の最後まで、ただ走るレースではなく、いろいろな人から元気と励ましと感動をもらうことができました。とにかく、とってもとっても楽しかったです!
~レースを終えて~
クォッド部門で1位の表彰を受けるサプライズ!
レースを終えて参加した表彰式に他人事のように参加していたら、部門別で私達が1位で表彰されちゃって、びっくり。みんなお互いの頑張りを讃え合い、気がつけば思わず涙があふれてしまった。
ごきげんなアワードパーティの壇上に4人であがり、拍手喝采を受ける。そして賞金やホテルのアクティビティチケット、ビール2ダースなどの副賞を一杯もらって大ご機嫌。
終わってみればヘル・オブ・マリアナは、素人の私達にはちょっと過酷だったけど、言葉では言い表せないほどの爽快感と達成感がありました。
私たちの会社の部署はパーティションに区切られて各々独立した仕事をしているので、日頃あまり会話をする機会がないのですが、今回のレースに参加したことによって、お互いの絆をより深めることが出来たような気がします。
最後に、PICのスタッフはじめHOMスタッフその他参加した日本人ライダーの皆さんに、いろいろ親切にして頂き、人の優しさや出会いの素晴らしさを感じました。本当に素敵な思い出をくれたこの大会に感謝感謝です。ありがとうございました。
Amazon.co.jp
銀輪の風 ツアー・オブ・ジャパン2010スペシャルDVD
シクロチャンネル