秋晴れの袖ヶ浦サーキットで開催されたエンデューロレース「サイクルジャンボリー袖ケ浦 ディスタンスチャレンジ」の上位入賞者バイクを紹介する後編。男子160km&50km優勝者や女子100km優勝者と、そのバイクを紹介します。



160kmチャレンジ優勝:雑賀大輔さん(湾岸カレーユナイテッド) スペシャライズド S-WORKS VENGE

160kmチャレンジ優勝:雑賀大輔さん(湾岸カレーユナイテッド)とスペシャライズド S-WORKS VENGE160kmチャレンジ優勝:雑賀大輔さん(湾岸カレーユナイテッド)とスペシャライズド S-WORKS VENGE
2017年にツール・ド・宮古島を制し、今年もマスターズ全日本選手権40代の部で2位に入るなど強豪ホビーレーサーの一人に数えられる雑賀大輔さん(湾岸カレーユナイテッド)。湾岸チームとして160kmクラスを動かし、得意の独走に持ち込み優勝した雑賀さんの愛車はスペシャライズドのVENGE PROだ。

雑賀さん曰く、VENGE PROを選んだ大きな理由は「ディスクブレーキロードに乗り換えるタイミングで周りの知り合いが多く乗っていて、特に直線が速いと身を持って理解していた」から。平坦だけではなく、登りも含めてどんなレースにも対応してくれるよう機材選びをしているという。

ハンドル周りにこだわる雑賀さん。フレア形状のエンヴィ SES AEROロードハンドルを使うハンドル周りにこだわる雑賀さん。フレア形状のエンヴィ SES AEROロードハンドルを使う
握りやすさを重視してSTIレバーはGRX Di2握りやすさを重視してSTIレバーはGRX Di2 ホイールはITLAB EngineeredのITLAB45ホイールはITLAB EngineeredのITLAB45


最もこだわりが凝縮されているのがハンドル周りだ。コンポーネントはシマノのアルテグラDi2だが、ブラケットポジションを多用するため、その状態でブレーキをかけやすいようSTIレバーは評判の良いGRX Di2に変更。ブラケットポジションはエアロを、下ハンドルを握るスプリント時では力を入れやすいように、ドロップ部分がフレア形状になっているエンヴィ SES AEROロードハンドルを使っている。ホイールはITLAB EngineeredのITLAB45だ。

手に入れてから2年少々経っているものの、「気に入っているし、今のところ他に欲しいバイクもないので使い潰す勢いでいます(笑)」と買い換えるつもりは全くないご様子。「もっとこのバイクでレース上位入賞や優勝を重ねていきたい」とのことでした。



100kmチャレンジ女子優勝:今村桜子さん(内房レーシングクラブ)サーヴェロ R3

100kmチャレンジ女子優勝:今村桜子さん(内房レーシングクラブ)とサーヴェロ R3100kmチャレンジ女子優勝:今村桜子さん(内房レーシングクラブ)とサーヴェロ R3
「ちゃんとロードバイクのトレーニングを始めたのはここ1年くらい」なのに、100kmクラスの先頭グループに最後まで食らいつき、女子カテゴリー優勝に輝いたのが今村桜子さん(内房レーシングクラブ)。元々陸上競技に取り組んでいたというフィジカルを支える愛車は、サーヴェロのオールラウンドモデル、R3だ。

お下がりの初代機に続く、「初めて自分で購入したバイク」というサーヴェロは、オレンジにネイビーのロゴがカッコ良くて一目惚れで購入したとのこと。「登りも下りもスイスイ進んでくれますし、すごく気に入ってます」と言う。


トップチューブには大好きなスヌーピーのシールをトップチューブには大好きなスヌーピーのシールを
玄人感溢れる駆動系。チェーンリングは摩耗交換でデュラエースに玄人感溢れる駆動系。チェーンリングは摩耗交換でデュラエースに 「オレンジにネイビーのロゴがカッコ良くて購入しました」「オレンジにネイビーのロゴがカッコ良くて購入しました」


コンポーネントなどは先代バイクから移し替えたもので、チェーンリングをデュラエースにしているのは歯こぼれするほど練習した証。ブレーキキャリパーもデュラエースを選ぶなど、走り志向の組み合わせだ。ホイールはジップの303 NSWで、ロード乗りであるお父様から譲り受けたものだという。「出身のTEAM BEEや内房レーシングで練習させてもらいながら、走るレベルを少しずつ上げていきたい」と話してくれた。



50kmチャレンジ優勝:遠藤優さん(Roppongi Express) スペシャライズド S-WORKS VENGE

50kmチャレンジ優勝:遠藤優さん(Roppongi Express)とスペシャライズド S-WORKS VENGE50kmチャレンジ優勝:遠藤優さん(Roppongi Express)とスペシャライズド S-WORKS VENGE
「逃げるつもりは全くなかったんですが、下りで踏んだら2人逃げになっちゃって(笑)そのまま頑張りました。普段逃げないので脚はプルプル状態でしたけど、勝ててよかった」と言うのは、小仁田充選手と共に逃げ、得意のゴールスプリントで50kmクラスを制した遠藤優さん(Roppongi Express)。ツール・ド・おきなわ市民50kmクラスを過去6度制しているスプリンターの愛機はご存知、スペシャライズドのS-WORKS VENGEだ。

遠藤さんにとってこの最終世代となるS-WORKS VENGEは、共通フレームを持つ「VENGE PRO」に続く2代目。「硬すぎないし平坦は伸びるし、ラインナップから消えちゃったのが残念なほど良いバイク」とお気に入りだという。スプリンターらしく「低く遠い」セッティングだが、ステムを以前の130mmから120mmにするなど、チームメイトのアドバイスやフィッティングで変化しているんだとか。なおステムは「純正ステムはとにかく重量がかさみバイクの挙動が悪くなるので」Tarmac用のものに変更されている。

クランクセットはデュラエースの54-42TビッグチェーンリングとS-WORKSクランクを組み合わせた、いわゆるIT仕様。リアカセットは11-30Tを取り付けてどんな場面も走れるように対応しているという。ズイフトトレーニングに打ち込んだことでトルク型でも回転型でも踏めるようになり、結果的に現在はこのギア構成に落ち着いているとのことだ。

軽量化のためにTarmac用の純正ステムに換装している軽量化のためにTarmac用の純正ステムに換装している カーボンドライジャパンのビッグプーリーをインストールカーボンドライジャパンのビッグプーリーをインストール


デュラエースのチェーンリング(54-42T)とS-WORKSクランクを組み合わせるデュラエースのチェーンリング(54-42T)とS-WORKSクランクを組み合わせる
バイクはほぼスペシャライズド製品で構成されているものの、サドルだけはスコット傘下のシンクロス。クリストファー・フルームが愛用するのと同じTofinoであり、「知り合いのスコットのバイクについていたサドルがこれと同じモデルで、借りたところすごく乗り心地が良くて調子が良かったんです」とお気に入りのご様子。ホイールはロヴァールのRAPIDE CLXだ。

「数年前に病気をしてから長距離レースを走れなくなってしまったのですが、2時間くらいならギリギリ大丈夫なので余計に短距離専門になってしまいました」、と笑う遠藤さん。おきなわが再開された時にはまた表彰台の一番上に立ちたいですね、と話してくれた。



50kmチャレンジ女子4位:黒川真理子さん(Cinq Morceau) ボーマ ALLUMER-α

黒川真理子さん(Cinq Morceau)とボーマ ALLUMER-α黒川真理子さん(Cinq Morceau)とボーマ ALLUMER-α
素敵な笑顔で表彰式に臨んでいた50kmチャレンジ女子4位の黒川真理子さん(Cinq Morceau)にもご登場をお声がけ。ネオンイエローが眩しいボーマ のALLUMER-αは、去年この袖ヶ浦サーキットで開催されたイベントの出展ブースで(セールになっていたものを)購入したんだとか。

黒川さんにとってALLUMER-αは所有2台目のバイクで、「初めてのカーボンフレームは軽いし、スッと進んでくれます。とにかくお気に入りなんです」との評。コンポーネントやホイールは前に乗っていたバイクから移し替えて使っているという。ブレーキワイヤーの先にいるキツネのマスコットは、落車しないためのお守りなんだとか。

キツネのマスコットは落車しないためのお守りキツネのマスコットは落車しないためのお守り ブレーキワイヤー(日泉ケーブル)でカラーコーディネイトブレーキワイヤー(日泉ケーブル)でカラーコーディネイト

「Cinq Morceau(サンクモルソー)のみんなと房総でサイクリングを楽しんでいます」「Cinq Morceau(サンクモルソー)のみんなと房総でサイクリングを楽しんでいます」
チーム名のCinq Morceau(サンクモルソー)とは、フランス語で「5つのかけら」を意味する言葉。同じ高校の卒業生で立ち上げた「未熟な5人で始めたチームだから」がその由来で、競技レベルに関係なく自転車を楽しむことを目的としているんだという。普段は房総半島で練習やサイクリングを楽しみつつ、たまにレースイベントにも参加しているそう。

ちゃんとレースに出たのは2回目なのに入賞できてびっくりと言う黒川さん。「千葉県は平坦ばっかりなので、遠征して長い登りにチャレンジしてみたいなって思います♡」とのこと。

黒川さんが所属しているCinq Morceauは、今回参加していた数あるチームの中でもひときわ良い雰囲気だったことが印象的。自転車で繋がる同級生チームだなんてめちゃめちゃ素敵だなぁと取材班は思いました(羨)。



100kmチャレンジ参戦:藤巻仁さん(MGM GROMA)キャノンデール SuperSix EVO Hi-Mod

藤巻仁さん(MGM GROMA)とキャノンデール SuperSix EVO Hi-Mod藤巻仁さん(MGM GROMA)とキャノンデール SuperSix EVO Hi-Mod
風磨横浜/キャノンデール横浜の高木店長に「すごく機材にこだわっているクラブ員を出してあげてください!」と熱烈オファーを頂き、登場と相成ったのがこちらの藤巻仁さん(MGM GROMA)。この日仲間たちと100kmクラスに出場し、メイン集団でフィニッシュ(22位)した藤巻さんは、聞くところによれば大のキャノンデール&エンヴィファン。見れば納得のこだわりバイクだ。

車体はキャノンデールのハイエンドモデルであるSuperSix EVO Hi-Modで、ラファとのコラボレーションで発売されたEFエデュケーションカラー。「CAAD7と先代のSuperSix EVO(2016モデル)から他ブランドに乗り換えたんですが、やっぱりキャノンデールに戻りたいなと思い、カラーが気に入ったこのバイクを購入したんです」と言う。乗り味を聞くと「進みますね!力を余すことなく伝えてくれる感じがしますし、フィーリングも素直なんです。万人受けするバイクかな、と思いますよ」との評価が返ってきた。

大のエンヴィフリークだという藤巻さん。ホイールはもちろんタイヤまで揃えている大のエンヴィフリークだという藤巻さん。ホイールはもちろんタイヤまで揃えている
「もともとエンヴィでしたが、カヴに憧れて...」と、ハンドルはスペシャライズドのS-WORKS CARBON AEROFLY II「もともとエンヴィでしたが、カヴに憧れて...」と、ハンドルはスペシャライズドのS-WORKS CARBON AEROFLY II ブレーキホースの窮屈さを解消させるための工夫が施されていたブレーキホースの窮屈さを解消させるための工夫が施されていた


「アメリカンな雰囲気だし、航空宇宙系カーボンを使っているって言う謳い文句が僕のメカニカル的な魂をゆさぶってくる」とぞっこんなエンヴィは、3.4SESの完組ホイールセットにはじまり、タイヤやステムまで統一。ただしハンドルはスペシャライズドのS-WORKS CARBON AEROFLY IIで、「前はエンヴィのハンドルだったんですが、ツールでカヴェンディッシュが勝つ姿を見て良いなあ〜って...あ、いや、もう一台のEVOは全部エンヴィですよ!」とのこと(笑)。

お仕事で大阪に長期出張中という藤巻さんだが、このSuperSix EVOを一緒に連れていき、出張ライフを共に過ごしているという。「長期出張って生活自体がつまらなくなりがちですが、このバイクのおかげで充実しています。これからもいろいろな場所を走らせてあげたいと思いますね」と話してくれた。

text&photo:So Isobe

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