2021/11/26(金) - 16:35
この秋、赤城山を中心としたエリアで開催されているサイクリング赤城2021。そのアイコニックなイベントとして10月30日に開かれた赤城山一周ライドに、ブリヂストンの最新E-BIKEで挑戦するツアーへ参加したレポートをお届けしよう。
コロナ禍で多くの人が集まる大規模なイベントが軒並み開催中止となる中で、感染症に配慮した新たな方式として、スタンプラリーや地域周遊型のイベントが各地で開催されている。現在開催中の「サイクリング赤城2021」も、その名の通り群馬の名峰である赤城山エリアを中心に催されているエリア周遊イベント。
そのサイクリング赤城の中でも、いわゆるロングライドイベントに属するのが赤城山一周ライド。200名の定員を集めるイベントだが、スタート地点を分散させることで、密にならない規模での開催を実現した。
赤城山一周、ということでコースは114㎞と雄大なロケーションである一方、赤城山の裾野を行く平坦コースで初心者にもぴったり……と思いきや2,200m以上登るというかなり本格的な山岳コース。あれ?赤城山には登らないんですよね?なのになぜそんな獲得標高になってしまうのでしょうか……というある意味当然の疑問を抱いたのは今回の取材担当に任命された私、ヤスオカである。
基本的にイベント取材をメインとしているのだが、ここ2年ほどイベントが全滅してしまい走る機会もめっきり減少、もちろん体重はばっちり増量。平坦であればともかくそんなに登りまくるコースははっきり言って荷(体重)が重い。
どうしたものか、と考えあぐねた私の目に映ったのはイベント内イベントであるE-BIKEツアーの案内だ。脚に自信が無い初心者向けの企画として用意されているのが「オリンピアンとe-Bikeで赤城山1周ライドに参加!!赤城山 100kmチャレンジ!」というプログラム、なるほどまさに今の私が求めていた企画である。
残る問題はどうすればこのツアーの帯同取材という名目を立てつつ、ペダルバイク目線のイベントレポートを掲載するかという点。悩みつつパラパラと目を通していたゲストライダーの名簿の中にその答えはあった。そう、「坂バカ夫妻」として界隈に名高いハシケン&日向涼子夫妻が参加されるという。もう決まりである。メタボ編集部員はE-BIKEで、坂バカ夫妻はペダルバイクで、それぞれイベントをレポートする。パズルのピースが嵌った瞬間だ。
坂バカ夫妻へ打診させていただいた結果は、既に掲載させていただいたレポートの通り。業界屈指の登坂力を持つ夫婦によるレポートで読者の皆さんは既に満足されているかもしれないが、こちらのE-BIKEツアーレポートにもぜひお付き合いいただきたい。
まず今回のツアーを取り巻く環境について簡単に説明しよう。現在、前橋を中心に「まえばしcogbe(コグべ)」というシェアサイクルが整備されており、普段の買い物から軽いサイクリングまで活用できるサービスとして人気を集めている。その成功を受けて、更に観光へと重きを置いたサービスとして電動アシストクロスバイクを借りられることが出来る「あかぎcogbe」がこの10月末に始まった。
今回のツアーは、そのあかぎcogbeで借りることの出来るブリヂストンサイクルのE-クロスバイクである「TB1e」を使用して赤城山1周へとチャレンジしようというもの。しかもツアーをアテンドしてくれるのはオリンピアンであり、現在はロードレースの解説などでもおなじみの飯島誠さんという豪華な企画。それでいて、通常の参加料と同じ価格で問題ないという破格なプランとなっている。その秘密は、ブリヂストンサイクルが競輪の補助を受けた自転車の普及活動としてこのイベントを実施したからなのだとか。
さて、4つあるスタート地点の中から、このE-BIKEツアーの集合場所として選ばれたのは、前橋市からもっとも近い「ぐりーんふらわー牧場・大胡」。赤城山南麓に位置する国道353号線沿いに位置するアクセス抜群のロケーションとあって、今回のイベントでも最も多くの参加者から選ばれたスタート地点だ。
高さ22mのオランダ型風車が見下ろすスタート地点には、ズラリとTB1eが勢揃い。これらはまさにあかぎcogbeでレンタル出来る自転車そのもの。今回は県内外から来た6名がツアーに参加するが、参加者の層はばらばら。ロードバイク歴の長い人もいれば、スポーツバイク自体がほぼ初めて、という方も。
そんな6人6色な皆さんに、飯島さんがスポーツバイクの基本的な乗り方から優しくレクチャー。E-BIKEならではの操作方法や注意点なども説明いただき、ペダルバイクの皆さんが全員スタートした後からゆっくり出発!
スタートしたら、早速小さな丘が登場。普通の初心者向けのツアーならここでペースが落ちるところなのだけれど、お構いなしに平坦とほぼ同じスピードを維持してグイグイと登っていく。皆さんの口からは「すごい!」「めっちゃ進みますね!」と感嘆の言葉が漏れてくる。
さて、登りの後にはもちろん下りがある。初心者の方にとっては実は登り以上に鬼門となるのが下り。スピードに怖さを感じてついついブレーキを握りしめ、握力が無くなってしまうというのが典型的なパターンだ。だがTB1eならそんな心配はご無用。フロントハブ内蔵型のパワーユニットには回生ブレーキが搭載されており、適度に速度を抑制しつつ登りで消耗した電力を回収してくれるのだ。
まさに一石二鳥であり、こういったロングライドに初めて挑戦するようなビギナーを狙い撃ちするような一台である。そんなTB1eの実力に感嘆させられているとあっという間に1つ目のエイドステーションであるみどり市の小平の里に到着。朝食替わりにあったかいけんちん汁に練りようかんを頂きほっと一息。さて、出発!というタイミングで渋川スタートの先頭組がちょうどエイドに駆け込んできた。
先頭グループには日向涼子さんとハシケンさんの姿も。人数の多い前橋スタートの最後尾ということを差し引いても、やはり細かなアップダウンが続くコースだと脚自慢のサイクリストのほうがペース自体は速いようだ。
だが、ここからは赤城山の東側の山岳地帯を北上していく登り基調のコース。第2エイドの桐生市水沼駅温泉センターでとろろそばを頂いたのち、県道62号線をひたすら登っていく。
紅葉に色づく山の中を談笑しながらひとかたまりになってみんなで仲良くヒルクライム。飯島さんに選手時代のエピソードやE-BIKEの乗り方のコツを教えてもらいながら、和気あいあいと走っていく。まさに理想のサイクリングといった風情で、実は10%を超えるような勾配のある本格的な峠を走っているとは微塵も感じさせない雰囲気だ。
多分、ペダルバイクで登っていれば息もたえだえ、前走者のハブのロゴかサイクルコンピューターのパワー値の記憶しかないだろう。こうしてレポートを書いている今、赤城山麓の美しい紅葉やみなさんの笑顔を思い出せるのは、TB1eのおかげである。
峠のピークから少し下った先の東京電力東群馬変電所に設置されたチャージステーションで水分と糖分を補給。一つ目のエイドで遭遇した後続グループは、レースペースで踏んだというヒルクライマーのハシケンさんが出発直前に追いついた以外は影を踏ませることもなく、E-BIKEのポテンシャルを改めて感じることに。
更に、このエイドではPHEVからコンバーターを利用したスマホ充電サービスなんてものも。残念ながらE-BIKEのバッテリーの充電は出来なかったものの、ここから先は長めの下り。TB1eにとっては発電所と同じようなセクションだ。
距離11㎞、標高差500mを下り、電池残量も5%以上回復したころに沼田市の南郷の曲家エイドに到着。こちらでは羽釜で煮込まれたすいとんとおにぎりが。ぽかぽか陽射しの縁側に腰かけつつ、すいとんを頂くと下りで冷えた身体もあったまる。裏手には足湯と手湯が設置されており、身体の外側からも暖を取れる。
ほっと一息ついた後、薗原ダムを経由した後「望郷ライン」へ。その名前に相応しい郷愁を掻き立てる景観が広がる……かと思いきや、登場したのは北海道を思わせる丘陵地帯を貫く絶景ロード。私の故郷である大阪南部にこんな光景は確か無かったはず……なのだが、なんだか走っているうちにこんにゃく畑で幼馴染の少女と毎日やんちゃして遊び、なんとなれば将来を誓い合ったような幼少期があったような気がしてくる。
「いつの日か赤城山を自転車で一周できるような大人になったら迎えに来るから!」そんな存在しない別れの記憶を捏造していると、あっという間に次のエイドであるあぐりーむ昭和に到着だ。
私が少年時代を過ごした(※妄想です)こんにゃく畑で取れた芋から作られた手作りこんにゃくの入った味噌汁を頂く。ちなみに、地面がキラキラと光っているのは、思い出の輝きなどではなく、赤城山や榛名山が噴火した際の火山灰の名残なのだとか。軽石を多く含む土壌はこんにゃくの栽培に最適で、国内生産の9割を群馬県が占めているのだとか。
ここまでくれば残すエイドはあと一つ。いくつかのアップダウンをこなしていくと、一つ前にスタートしたグループに追いついた。かなりお疲れの様子のグループを登りでスルスルとパスしていくと、E-BIKEすごいな……という賞賛(?)の声が。実際、100㎞に迫る距離を走ってもペースを保ち続けられるというのは、ペダルバイクであれば相当ペース配分に長けた上級者にしかなしえないことだ。その点確かにE-BIKEはスゴイ。
羨望のまなざしを浴びながら、最後のエイドである渋川市の赤城総合運動自然公園に到着。こちらで振舞われたのは上州名物の豚のホルモン焼き。ピリ辛で、呑兵衛なら間違いなくビールが欲しくなる展開である。渋川スタート/ゴールの人を羨ましく思いつつ、フィニッシュ地点であるぐりーんふらわー牧場まで、下り基調のコースを快走。
最後にちょっとした登りを走りきれば、朝スタートした駐車場が見えてくる。ついに114kmを走り切ったのだ。今回の参加者の中にはもちろん100kmを越えるライドは初めてという方もおり、人生初のチャレンジを達成した喜びを噛み締めていた。
今回アテンドしてくれた飯島さんも「初対面の方とでも、こうやって同じペースで無理なく走れるのはE-BIKEならでは。最近はソロで走ることが多かったのですが、久しぶりにこんな風にグループで走れたのが楽しかったです!」と満面の笑顔。
これは実際その通りで、E-BIKEでなければ自分も疲労困憊だったハズ。アップダウンが多く、平坦がほぼ無いともいえるこの一帯はまさにE-BIKE向きのロケーションで、赤城一周するのでなくとも良い選択となるはずだ。
今回のツアーで使用したTB1eをレンタルできるシェアサイクルサービス「あかぎcogbe」は上毛電気鉄道の中央前橋駅、大胡駅、粕川駅にサイクルポートが設置されているという。上毛電気鉄道が実施しているサイクルトレインにも持ち込めるため、起伏に富んだ赤城一帯を楽しむにはぴったりなので、ぜひ利用してみては?
text&photo:Naoki Yasuoka
コロナ禍で多くの人が集まる大規模なイベントが軒並み開催中止となる中で、感染症に配慮した新たな方式として、スタンプラリーや地域周遊型のイベントが各地で開催されている。現在開催中の「サイクリング赤城2021」も、その名の通り群馬の名峰である赤城山エリアを中心に催されているエリア周遊イベント。
そのサイクリング赤城の中でも、いわゆるロングライドイベントに属するのが赤城山一周ライド。200名の定員を集めるイベントだが、スタート地点を分散させることで、密にならない規模での開催を実現した。
赤城山一周、ということでコースは114㎞と雄大なロケーションである一方、赤城山の裾野を行く平坦コースで初心者にもぴったり……と思いきや2,200m以上登るというかなり本格的な山岳コース。あれ?赤城山には登らないんですよね?なのになぜそんな獲得標高になってしまうのでしょうか……というある意味当然の疑問を抱いたのは今回の取材担当に任命された私、ヤスオカである。
基本的にイベント取材をメインとしているのだが、ここ2年ほどイベントが全滅してしまい走る機会もめっきり減少、もちろん体重はばっちり増量。平坦であればともかくそんなに登りまくるコースははっきり言って荷(体重)が重い。
どうしたものか、と考えあぐねた私の目に映ったのはイベント内イベントであるE-BIKEツアーの案内だ。脚に自信が無い初心者向けの企画として用意されているのが「オリンピアンとe-Bikeで赤城山1周ライドに参加!!赤城山 100kmチャレンジ!」というプログラム、なるほどまさに今の私が求めていた企画である。
残る問題はどうすればこのツアーの帯同取材という名目を立てつつ、ペダルバイク目線のイベントレポートを掲載するかという点。悩みつつパラパラと目を通していたゲストライダーの名簿の中にその答えはあった。そう、「坂バカ夫妻」として界隈に名高いハシケン&日向涼子夫妻が参加されるという。もう決まりである。メタボ編集部員はE-BIKEで、坂バカ夫妻はペダルバイクで、それぞれイベントをレポートする。パズルのピースが嵌った瞬間だ。
坂バカ夫妻へ打診させていただいた結果は、既に掲載させていただいたレポートの通り。業界屈指の登坂力を持つ夫婦によるレポートで読者の皆さんは既に満足されているかもしれないが、こちらのE-BIKEツアーレポートにもぜひお付き合いいただきたい。
まず今回のツアーを取り巻く環境について簡単に説明しよう。現在、前橋を中心に「まえばしcogbe(コグべ)」というシェアサイクルが整備されており、普段の買い物から軽いサイクリングまで活用できるサービスとして人気を集めている。その成功を受けて、更に観光へと重きを置いたサービスとして電動アシストクロスバイクを借りられることが出来る「あかぎcogbe」がこの10月末に始まった。
今回のツアーは、そのあかぎcogbeで借りることの出来るブリヂストンサイクルのE-クロスバイクである「TB1e」を使用して赤城山1周へとチャレンジしようというもの。しかもツアーをアテンドしてくれるのはオリンピアンであり、現在はロードレースの解説などでもおなじみの飯島誠さんという豪華な企画。それでいて、通常の参加料と同じ価格で問題ないという破格なプランとなっている。その秘密は、ブリヂストンサイクルが競輪の補助を受けた自転車の普及活動としてこのイベントを実施したからなのだとか。
さて、4つあるスタート地点の中から、このE-BIKEツアーの集合場所として選ばれたのは、前橋市からもっとも近い「ぐりーんふらわー牧場・大胡」。赤城山南麓に位置する国道353号線沿いに位置するアクセス抜群のロケーションとあって、今回のイベントでも最も多くの参加者から選ばれたスタート地点だ。
高さ22mのオランダ型風車が見下ろすスタート地点には、ズラリとTB1eが勢揃い。これらはまさにあかぎcogbeでレンタル出来る自転車そのもの。今回は県内外から来た6名がツアーに参加するが、参加者の層はばらばら。ロードバイク歴の長い人もいれば、スポーツバイク自体がほぼ初めて、という方も。
そんな6人6色な皆さんに、飯島さんがスポーツバイクの基本的な乗り方から優しくレクチャー。E-BIKEならではの操作方法や注意点なども説明いただき、ペダルバイクの皆さんが全員スタートした後からゆっくり出発!
スタートしたら、早速小さな丘が登場。普通の初心者向けのツアーならここでペースが落ちるところなのだけれど、お構いなしに平坦とほぼ同じスピードを維持してグイグイと登っていく。皆さんの口からは「すごい!」「めっちゃ進みますね!」と感嘆の言葉が漏れてくる。
さて、登りの後にはもちろん下りがある。初心者の方にとっては実は登り以上に鬼門となるのが下り。スピードに怖さを感じてついついブレーキを握りしめ、握力が無くなってしまうというのが典型的なパターンだ。だがTB1eならそんな心配はご無用。フロントハブ内蔵型のパワーユニットには回生ブレーキが搭載されており、適度に速度を抑制しつつ登りで消耗した電力を回収してくれるのだ。
まさに一石二鳥であり、こういったロングライドに初めて挑戦するようなビギナーを狙い撃ちするような一台である。そんなTB1eの実力に感嘆させられているとあっという間に1つ目のエイドステーションであるみどり市の小平の里に到着。朝食替わりにあったかいけんちん汁に練りようかんを頂きほっと一息。さて、出発!というタイミングで渋川スタートの先頭組がちょうどエイドに駆け込んできた。
先頭グループには日向涼子さんとハシケンさんの姿も。人数の多い前橋スタートの最後尾ということを差し引いても、やはり細かなアップダウンが続くコースだと脚自慢のサイクリストのほうがペース自体は速いようだ。
だが、ここからは赤城山の東側の山岳地帯を北上していく登り基調のコース。第2エイドの桐生市水沼駅温泉センターでとろろそばを頂いたのち、県道62号線をひたすら登っていく。
紅葉に色づく山の中を談笑しながらひとかたまりになってみんなで仲良くヒルクライム。飯島さんに選手時代のエピソードやE-BIKEの乗り方のコツを教えてもらいながら、和気あいあいと走っていく。まさに理想のサイクリングといった風情で、実は10%を超えるような勾配のある本格的な峠を走っているとは微塵も感じさせない雰囲気だ。
多分、ペダルバイクで登っていれば息もたえだえ、前走者のハブのロゴかサイクルコンピューターのパワー値の記憶しかないだろう。こうしてレポートを書いている今、赤城山麓の美しい紅葉やみなさんの笑顔を思い出せるのは、TB1eのおかげである。
峠のピークから少し下った先の東京電力東群馬変電所に設置されたチャージステーションで水分と糖分を補給。一つ目のエイドで遭遇した後続グループは、レースペースで踏んだというヒルクライマーのハシケンさんが出発直前に追いついた以外は影を踏ませることもなく、E-BIKEのポテンシャルを改めて感じることに。
更に、このエイドではPHEVからコンバーターを利用したスマホ充電サービスなんてものも。残念ながらE-BIKEのバッテリーの充電は出来なかったものの、ここから先は長めの下り。TB1eにとっては発電所と同じようなセクションだ。
距離11㎞、標高差500mを下り、電池残量も5%以上回復したころに沼田市の南郷の曲家エイドに到着。こちらでは羽釜で煮込まれたすいとんとおにぎりが。ぽかぽか陽射しの縁側に腰かけつつ、すいとんを頂くと下りで冷えた身体もあったまる。裏手には足湯と手湯が設置されており、身体の外側からも暖を取れる。
ほっと一息ついた後、薗原ダムを経由した後「望郷ライン」へ。その名前に相応しい郷愁を掻き立てる景観が広がる……かと思いきや、登場したのは北海道を思わせる丘陵地帯を貫く絶景ロード。私の故郷である大阪南部にこんな光景は確か無かったはず……なのだが、なんだか走っているうちにこんにゃく畑で幼馴染の少女と毎日やんちゃして遊び、なんとなれば将来を誓い合ったような幼少期があったような気がしてくる。
「いつの日か赤城山を自転車で一周できるような大人になったら迎えに来るから!」そんな存在しない別れの記憶を捏造していると、あっという間に次のエイドであるあぐりーむ昭和に到着だ。
私が少年時代を過ごした(※妄想です)こんにゃく畑で取れた芋から作られた手作りこんにゃくの入った味噌汁を頂く。ちなみに、地面がキラキラと光っているのは、思い出の輝きなどではなく、赤城山や榛名山が噴火した際の火山灰の名残なのだとか。軽石を多く含む土壌はこんにゃくの栽培に最適で、国内生産の9割を群馬県が占めているのだとか。
ここまでくれば残すエイドはあと一つ。いくつかのアップダウンをこなしていくと、一つ前にスタートしたグループに追いついた。かなりお疲れの様子のグループを登りでスルスルとパスしていくと、E-BIKEすごいな……という賞賛(?)の声が。実際、100㎞に迫る距離を走ってもペースを保ち続けられるというのは、ペダルバイクであれば相当ペース配分に長けた上級者にしかなしえないことだ。その点確かにE-BIKEはスゴイ。
羨望のまなざしを浴びながら、最後のエイドである渋川市の赤城総合運動自然公園に到着。こちらで振舞われたのは上州名物の豚のホルモン焼き。ピリ辛で、呑兵衛なら間違いなくビールが欲しくなる展開である。渋川スタート/ゴールの人を羨ましく思いつつ、フィニッシュ地点であるぐりーんふらわー牧場まで、下り基調のコースを快走。
最後にちょっとした登りを走りきれば、朝スタートした駐車場が見えてくる。ついに114kmを走り切ったのだ。今回の参加者の中にはもちろん100kmを越えるライドは初めてという方もおり、人生初のチャレンジを達成した喜びを噛み締めていた。
今回アテンドしてくれた飯島さんも「初対面の方とでも、こうやって同じペースで無理なく走れるのはE-BIKEならでは。最近はソロで走ることが多かったのですが、久しぶりにこんな風にグループで走れたのが楽しかったです!」と満面の笑顔。
これは実際その通りで、E-BIKEでなければ自分も疲労困憊だったハズ。アップダウンが多く、平坦がほぼ無いともいえるこの一帯はまさにE-BIKE向きのロケーションで、赤城一周するのでなくとも良い選択となるはずだ。
今回のツアーで使用したTB1eをレンタルできるシェアサイクルサービス「あかぎcogbe」は上毛電気鉄道の中央前橋駅、大胡駅、粕川駅にサイクルポートが設置されているという。上毛電気鉄道が実施しているサイクルトレインにも持ち込めるため、起伏に富んだ赤城一帯を楽しむにはぴったりなので、ぜひ利用してみては?
text&photo:Naoki Yasuoka
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