2020/06/24(水) - 13:41
自転車と鉄道、二つを愛する「テツ店長」ことバイクプラス多摩センターの河井孝介さんの輪行サイクリング紀行。今回は九州へと遠征したレポートが届きました。
みなさんこんにちは!2020年春からのコロナショックで、これまでと生活が大きく変わってしまった方も多いのではないでしょうか?今も自転車で遠くに出かけるのは少々気を使うため、行きたいところにも行けず、モヤモヤしているのはテツ店長も同じです(涙)。まだまだ行きたい場所はいっぱいあっても、今は事前リサーチで気を紛らわせている今日この頃なのですが…。
さて今回の輪行紀行、前々回(Vol.23)で告知していた九州輪行旅初日のお話。それにしても九州ってやっぱり遠いんですよね…。当初はどうやって九州に向かったら良いものか、いろいろと思案していましたが、なかなか良いアイデアが出なくて悩みました。
いかに乗り鉄のテツ店長といえども、新幹線で九州まで行くのは、時間的にもコスト的にもイマイチ面白いと思えず、ならば飛行機で飛ぶかと言うと、移動のプロセスそのものも楽しみたいテツ店長としては、ちょっとそれも違うという事で、悶々としながら夜な夜なリサーチを続けていると…。
しかし、探せばあるもので、そんな移動にこだわるオトコの要望に応えてくれる魅力的な交通機関がありました!しかも格安料金で寝台付きというワタシ好みのヤツが(笑)
それが今回初登場の「フェリー輪行」というヤツで、夕方に出航して翌朝には現地に到着するという、寝ている間に移動できる"寝台特急"のようなタイムスケジュールがうれしい(^_-)-☆。船旅と言う響きもロマンがあるし、何と言っても往復運賃が一万円ポッキリ!という驚きの価格設定にすっかり魅入られてしまいました。
ところでこの"一万円で九州往復"には少々やっかいな条件が付加されており、現地に滞在できるのはその日だけ!ようするに朝に到着したら、その日の夕方にはもう帰りのフネに乗らなければならないという実質日帰りのツアーで、その名も「弾丸フェリー」と名付けられているのも大いにうなずけるのでした(汗)
まあこれまでも数多のハードな弾丸ツアーを敢行してきたテツ店長にとって、これはむしろ好ましいコンテンツであり、限られた時間内でより多くのミッションをこなすのはお手のもの、ということで今回の九州輪行ライドの計画が実行に移されることに相成りました(笑)
ルートとしては海路で九州をめざすことに決まりましたが、乗船するフェリーは神戸港を夕方に出航するので、それならフネに乗るまでの時間も有効に使わないのはもったいないと思って、結局出航前日の夜行列車に飛び乗って西に向かい、旅の一日目は兵庫県の鉄道スポットを駆け足で巡ることにしたのでした。
長すぎる前振りでしたが、いよいよここから旅が始まりです(^^)/
今回もまた夜行列車利用ということなので、その日の仕事を終わらせてから、季節列車の『快速ムーンライトながら』に乗って西に向かうことにしましたが、乗車する横浜駅の東海道線の下り線ホームは、深夜時間帯にもかかわらず多くの人でにぎわっていました。
少し余裕を持って駅に到着したので、列車の到着までホーム上で前を走る普通列車を何本か見送るつつ待っていると、定刻の23:35に前面の行き先表示幕に『臨時快速』と書かれた、貴重な国鉄型特急電車185系が颯爽と入線してきました!
国鉄時代から走り続ける"踊り子色"の185系も引退が近づいており、この先いつまで走ってくれるかも分からないので、この貴重な乗車機会をしみじみと味わいたいところでしたが、青春18きっぷに合わせて運行されるこの列車は、この日も満席で、車内はややざわついた空気を湛えながら、深夜の東海道本線を走り続けてゆくのでした。
横浜駅を出発するとまもなく車掌がやって来て検札を済ませると、あとは特にやることも無く眠るだけですが、車内は減光されないので慣れないとちょっと眠りにくいのですが…。そんな列車旅でも慣れとはコワいもので、シートを倒して帽子で遮光をしてしまうと、あとは電車の揺れとモーター音が子守歌
となってすぐに眠りに落ちてゆけるテツ店長なのでした。
次に目が覚めたのが名古屋駅到着前の車内放送でした。ちょうど夜明けの時間でもあり車窓から日の出を眺めているとまもなく名古屋駅に到着して、全体の1/3くらいの乗客を降ろすと終点の"大垣駅"に向けてふたたび速度を上げてゆきます。
名古屋駅を出るとあと30分少々で到着するので、ぼちぼち下車の準備にとりかかることにします。古いとはいえさすが特急型車両だけあって洗面所も完備?されており、顔を洗ったり歯を磨いたりできるのも夜行列車の醍醐味で、そうこうしているうちに、定刻の5:45「快速ムーンライトながら」は終点の大垣駅に到着しました。
ここで一夜を過ごした愛すべき国鉄型車両185系に別れを告げて、さらに東海道本線を普通列車に乗り換えて西へ向かいます。
大垣発の普通列車に揺られること30分少々で"米原駅"に到着、ここから先はJR西日本の誇る?『新快速』姫路行きに乗り換えて"神戸駅"をめざします!乗車した新快速は得意の俊足で米原~京都~大阪~神戸と近畿地方を一気に駆け抜けて行き、きっかり2時間で東海道本線の終点"神戸駅"に到着しました。
ここで下車したのは完全に脱線なのですが、今すごーく気になる路線があるので、ちょっと寄り道させてもらいますね(笑)
神戸駅のお隣にある"兵庫駅"、ここから出ているたったひと駅だけの支線『和田岬線』が、いま全国のテツから注目されており、テツ店長としてもこの機会を逃すワケにはいかなかったのです!ところで何が注目なのかと言うと、それはこの路線で今や本当に希少となった国鉄型の通勤電車103系(オリジナルに近いもの)が使われているからに他なりません(^^)/
国鉄時代に3447両も製造されて、一時は都市圏の通勤電車といえばすべてこの車両と言ってもよいくらい見慣れた103系電車も、いまや関西圏の末端で細々と暮らしているありさまで、もはや引退も時間の問題とささやかれているので、この機会を絶対に逃すワケにはいかないのです!
というワケで、大きな輪行袋を背負ったまま和田岬線ホームまでやってくると、そこには昔懐かしい青い通勤電車が待っていました(涙)
車内は簡素かつ機能的なつくりで、昭和の匂いと言いますか、ノスタルジーを感じてしまうのは、きっとワタシだけではないハズ…とにかくこの支線の鄙びた雰囲気ともマッチしてなかなか味わい深いものがあります。
終点の和田岬駅の先には三菱重工の工場があり、その通勤客輸送に特化した路線という事もあって、朝と夕方~夜の時間帯だけしか列車が運行されないのでなかなか乗りにくい路線ではありましたが、今回はちょうど朝の通勤時間帯の終わりに到達することができ、これでまたひとつの路線を完乗できました(笑)
思い出深い片道3分の短い和田岬線の旅を終えたら、ふたたび山陽本線に戻って、こんどは"姫路駅"へ向かいます!
山陽本線には約1時間の乗車時間でしたが、途中海岸線沿いを走る区間では目の前にひろがる海の景色や、巨大な明石海峡大橋を真下から眺めたり見どころも多くて、あっという間に姫路に到着してしまいました(^^♪
その姫路駅といえば「えきそば」が有名ですが、今回ホームに降りるとお店が大幅にリニューアルされているではないですか!
なんとその外観がなつかしい急行型気動車のキハ58になっているという…。かつてここ姫路駅から和田山駅をむすぶ播但線で走っていた列車をモチーフにしたらしいですが、この顔と塗装こそ国鉄型の代表選手ともいえるもので、うれし涙がでそうな演出に感謝感謝です(^_-)-☆
関東でも藤沢駅の売店が湘南電車の80系風の外観になっていたりしますが、こういう演出は鉄道好きにはたまらないもので、きっと関係者の中にテツの方がおられるのでしょう(笑)
乗り継ぎまでギリ時間があったので、お店にとび込むと「冷やし梅カツオ えきそば」を注文!夏なので冷たいメニューにまねき寄せられてられてしまいました♪♪
つるりとした独特の食感が持ち味の"えきそば"は冷やしとの相性抜群で、ものの数分で掻き込んだら、お次は「播但線」ホームで待つ真っ赤な電車に乗車します。
こちらもさっきと同じ103系ではありますが、良く見ると前面&側面ともに大幅にリニューアルされていて、先ほど乗ってきた和田岬線の車両との違いが際立って、古い車両を改修しながら長く使おうというJR西日本の姿勢が見えて、それはそれで面白いものがあります(笑)
そんな電車に乗り込むとまもなく2両編成の列車は出発して、むかし懐かしいモーター音を響かせながら単線のローカル線をのんびりと走ってゆきました。そんな古い電車に揺られること45分で終点の"寺前駅"に到着。播但線はここで電化・非電化の区間が分かれるので、姫路からやってきた電車はすべてここで折り返しになります。
この先の非電化区間には、最近東日本ではめっきり見る機会が減った、これまた国鉄型気動車のキハ40型が走っているので、ホームにいる車両がどうにも気になって仕方ありません!しばらくすると、そんな気になるキハ40も出発してゆき、駅が静寂に包まれると、ようやく改札口を出て自転車を組み立てはじめました。
しかしながら、すでに時間はお昼の12時を回っており、前日の晩からひたすら電車に揺られつつ、よくもここまで飽きず乗り続けられるものだなぁ、と我ながら感心してしまいますが、きっとこれもワタシの溢れる鉄道愛があってのこと…。
ともあれまだ時間は十分あるので、ここからは存分に北播磨のサイクリングを楽しむことにしましょう(^^)/。すっかり日も高くなり、気温も軽く30℃を超えた炎天下の寺前駅をスタートしたテツ店長が向かったのは、東に向かってひと山越えた先にある"鍛冶屋"という町に残る鉄道遺構です。
はじめて走る北播磨の田園風景は、やはり遠くにやって来たな実感させてくれる新鮮なもので、どんなに暑くてもやっぱり気持ちは昂ります♪♪ここからは県道8号線を越知川沿いに走ってゆくと、まもなく前方に連なる山々が見えてきました!
今回は目の前にそびえる千ヶ峰と笠形山の間の谷あいを通過して山向こうまで向かったのですが、谷あいとはいってもそれなりの峠の様相を呈していて、ワタシの貧脚と荷物の重さも相まって、マイペースで上りをこなしていったのでした。
なんとか峠を越えて下ってきた先は、多可町という長閑な農村風景の広がる集落でしたが、この集落の中心にはかつてあった鉄道の古い駅舎と気動車(ディーゼルカー)が保存されているのでした。
ここにあるのが旧国鉄の「鍛冶屋線」で、1913年(大正2年)に播州鉄道として始まり、1923年(大正12年)に鍛冶屋駅までの全線開業、戦時中の1943年(昭和18年)に国有化され、その後の国鉄民営化で廃止対象の「特定地方交通線」となり、JRとなって間もない1990年に惜しまれながら廃線に至ったという歴史を持っている路線なのでした。
実際にここまでやってくると、本当に辺鄙な(失礼!)場所でしたが、こんな町もかつては地場産業だった播州織や、山林から切り出される杉、檜といった木材、酒米として有名な"山田錦"の発送も行われ、昭和40年代はじめまでは活気があったらしいのですが…、その後のモータリゼーションで徐々に衰退していったという、全国どこにでもあるローカル線衰退の歴史がここでも繰り返されていました(涙)
それでも駅舎や車両の一部が保存されたり、廃線跡の大半がサイクリングロードに転換されたりして、未来にその足跡を残してゆこう言う地域の姿勢に応えて、こちらも少しでもこの文化遺産を多くの人に知ってもらいたいと思い、ここでまでやって来た次第。
思えばここ"鍛冶屋駅"に保存されている通勤型気動車キハ35系も、かつては日本各地の非電化路線で活躍していましたが、だんだんと生息域を狭めていって、今や現役は岡山県の水島臨海鉄道に1両を残すのみとなってしまいましたが、近いうちにこれも乗りに行きたいと思います(笑)
さて、この鍛冶屋線の廃線跡、現地ではそれらしい名前を見受けられなかったのですが、あとで調べてみると「歩っ歩(ぽっぽ)の道」とネーミングされているようで、この時は廃線30周年にあたる2020年までにサイクリングロードとしての整備をすすめていた途中だったようです。
鉄道の線路跡を再利用しているので、基本カーブもアップダウンもゆるくて、自転車との相性が良いのは何回か廃線跡のサイクリングロードを走っているとその感じが分かってきますが、ここも基本平坦でのんびりと走れるサイクリングコースでした。
こちらのコースは廃線になったのが比較的新しい(それでも30年前ですが…)のもあってか、途中に駅や橋梁などの遺構も健在なので、リアルに線路上を走っている感があってテツ店長としては楽しいのですが、非テツの方でも途中に見どころが多いのは、知的好奇心を満たしてくれて面白いのではないかと思います。
そんな鍛冶屋線跡のサイクリングロードで一番の見どころは、途中の市原駅があった場所に建つ「西脇市立鍛冶屋線市原駅記念館」でしょう!
元駅ホームだった場所には、明るいイラストが描かれたキハ30の2両編成が止まっていて、現役当時の雰囲気を伝えていました。この車両、もともとは鍛冶屋駅のものと同じ加古川線オリジナル色だったものを、2010年に地元の絵本作家"吉田稔美"さんがデザインしたイラストに、地元の子供たちと共に塗り替えたのだそうです。
最近はラッピング車両もよく目にするので、あまり違和感がないのもありますが、こうして地域とのつながりを大切にしながら保存されていのは、むしろ好ましいことではないかと思ったり…。
そしてそのお隣にはある鍛冶屋線市原駅記念館は、大正10年に建築された当時の市原駅を復元した資料館となっており、モダンな洋風駅舎は当時のかたちそのままに、館内には貴重な資料や記録が展示されていました。
ここはマニア的にはお宝の山でしたが、そのひとつひとつをじっくり眺めていると、あまり注目される事も無く消えていった地方ローカル線にも歴史があって、そこから見える当時の日本の姿から、ひととき古き良き昭和の時代にトリップしてしまうのがテツ店長的な楽しみ方なのです(笑)
いつものことながら、ぐるぐると館内を徘徊しているうちに時間だけが過ぎてゆき、そろそろ帰りの電車の時間が気になってきたので先をいそぐことにしましょう。
ここからもうひとっ走りすると、まもなく鍛冶屋線の起点でもあった加古川線の"西脇市"駅に到着して全線13.2kmの廃線トリップは終了。暑さはともかく廃線ムードの残る、なかなか良いサイクリングロードではありました。
ちなみにこちらの駅名ですが、鍛冶屋線が現役だった当時は"野村駅"だったものが、同線の廃線によりそのおとなりにあった"西脇駅"も同時に廃止となったため、地域を代表する地名である"西脇市"の駅名に昇格?したもののようです。
さてここからは加古川線、JR神戸線(山陽本線)と乗り継いで、朝いったん通過してきた神戸方面に向かい、次に下車したのは港神戸の中心地"三ノ宮"駅でした。
夕方の時間帯でもあり、さすがに大都会のジャンクション駅らしく、どこも人通りが多くて、なかなか自転車を組み立てる場所に迷いましたが、なんとか人気の少ない場所まで移動したらふたたび自転車を組み立て、あとはフェリーターミナルのある「六甲アイランド」までもうひとっ走りなのですが、その前に…。実はここ神戸の街にも廃線跡があって、せっかくここまで来たら見過ごすワケにはいかないので、ちょっとだけ寄り道させてもらいます(笑)
ということで駅前の国道2号線を東に向けて走り始めること2kmたらずで、今でも堂々と国道を跨いでいる廃線跡を発見!
これが旧国鉄の「神戸臨港線」跡で、東海道本線の貨物支線として分岐して、その先にあった"神戸港駅"(現神戸震災復興記念公園)からさらに枝分かれして、かつては4本ある神戸港の突堤を鉄路がくまなくカバーしていたのだそうです。
こちらも道路整備がすすむにつれ、物流の主役がトラック輸送に移ってゆき、2003年(平成15年)には廃線となってしまいましたが、明治の開国から日本の近代物流は船舶と鉄道が支えてきたということは、ここに限らず大規模港湾施設のある場所の多くに、現役の臨海鉄道があったり、廃線跡が見られることから分かって感慨深いものがあります。
こういう、あまり注目はされないけれども、裏方に徹しながら歴史を紡いできた、日本近代化の立役者とも言える廃線跡に少しでも脚光を浴びて欲しいなというのが、最近のテツ店長の思いだったりするのですが…。
と思わず熱く語ってしまいましたが、まあ鉄道への興味が溢れてしまって仕方がないだけとも言え、しばし都会の廃線跡に萌えたあとは、やや急ぎ足でフェリーの待つ港へ向かったのでした。
今回お世話になるのは神戸~大分航路の「フェリーさんふらわあ」で、人工島である六甲アイランドにある神戸港から出港するということで、イマイチ自転車だと分かりにくい"六甲大橋遊歩道"を渡って、フネの待つフェリーターミナルまでやって来ました!
フェリーなのでそのまま自転車を持ち込むことも可能でしたが、今回は輪行での乗船となるので(輪行袋に入れておけば別途料金がかからないため)、巨大なフェリーを目の前に見ながら自転車をたたんでいると、これからはじまる船旅にだんだん期待が高まってきますねぇ♪♪
輪行の準備ができたら乗船手続きを行って、その後は船とつながるボーディングブリッジ(空港にあるヤツ)様な通路からの乗船となりします。これまでもサイクリング途中に東京湾や伊勢湾フェリーなどの近距離航路を利用したことはありましたが、夜をまたぐ船旅は初めてなので、これは気持ちが高まらないハズがありません!!
寝台特急ブルートレイン亡き後に、旅情あふれる旅を代替するのはもはや長距離フェリーしかない!というのが、最近のテツ界隈の共通認識だったりするところもあるので、今夜はたっぷり船旅を楽しむこととしましょう(笑)
この日乗船した「さんふらわあぱーる」は2008年にデビューした大型フェリーですが、船内設備も全然キレイで正直新造船とあまり変わらない雰囲気でした。
ちなみに今回は往復1万円がウリの"弾丸フェリー"のツアーを利用しましたが、片道¥5,000と思うとついつい気が大きくなり、ちょっと贅沢して"スタンダード個室"にアップチャージしてしまいました(笑)
決して広くはないとは言え、個室はやっぱり落ち着きますし、それ以上に愛車を安全に保管できるという点も見逃せませんからね!
部屋でひと息ついているうちに出航時刻の19:00となり、テツ店長を乗せた"さんふらわあぱーる"は神戸港の岸壁を離れ、瀬戸内海を西に向かって進みはじめました。
ちょうど日没の時間でもあったので、しばらく夕日を眺めながらデッキでひとり黄昏たりしていましたが、出港後1時間も経つと、こんどはライトアップされた「明石海峡大橋」が頭上に姿をあらわしたりと、船旅も意外と見どころが多くて忙しかったり…(汗)
やっと落ち着いたところで、広い展望風呂でサイクリングの汗を流し(あいにく外は真っ暗で景色は見えませんが…)、その後は船内レストランでおひとり様ディナーと洒落込みました(笑)
船内レストランはバイキング形式となっており、メニューも豊富でついつい食べ過ぎてしまうのがタマに傷ですが、この日は早朝からずーっと活動して体力を使っていたことに加え、終日暑さにさらされていて体内の水分も不足していたためか、食事をがっつりいただいてお腹いっぱいになった後も、飲み物のおかわりを繰り返してひたすら水分補給に努めたのでした(お酒ではありませんのであしからず…)
食事の後はとくにやることもなくなりますが、船旅のゆったりとした時間はこのうえない癒しのひとときとなりました。瀬戸内海航路ではほとんど揺れもなく、ふと海の上にいることを忘れてしまうくらいで、船酔いが心配な方でも安心して船旅を楽しめることと思いますよ(^_-)-☆
この時だけは弾丸ツアーであることをしばし忘れてリラックスしつつ、明日の行動にそなえて早めに就寝したのでした。次回、九州へ上陸する二日目につづきます。
旅する人 河井孝介プロフィール
バイクプラス多摩センターの店長を務める50歳。前職で足かけ10年にわたる勤務を鉄道の無い(モノレール除く)沖縄県で過ごした反動からか、帰京後は輪行サイクリングの虜となり、現在は鉄道と自転車を組み合わせ、鉄道廃線跡や未成線など鉄道の歴史を辿るサイクリングをライフワークとする。鉄道趣味のジャンルは「乗り鉄」。旧国鉄型車両を心から愛し、ひそかにJR全線乗車にチャレンジ中。非常勤の防衛省職員である予備三等陸曹の身分も合わせ持っている。
みなさんこんにちは!2020年春からのコロナショックで、これまでと生活が大きく変わってしまった方も多いのではないでしょうか?今も自転車で遠くに出かけるのは少々気を使うため、行きたいところにも行けず、モヤモヤしているのはテツ店長も同じです(涙)。まだまだ行きたい場所はいっぱいあっても、今は事前リサーチで気を紛らわせている今日この頃なのですが…。
さて今回の輪行紀行、前々回(Vol.23)で告知していた九州輪行旅初日のお話。それにしても九州ってやっぱり遠いんですよね…。当初はどうやって九州に向かったら良いものか、いろいろと思案していましたが、なかなか良いアイデアが出なくて悩みました。
いかに乗り鉄のテツ店長といえども、新幹線で九州まで行くのは、時間的にもコスト的にもイマイチ面白いと思えず、ならば飛行機で飛ぶかと言うと、移動のプロセスそのものも楽しみたいテツ店長としては、ちょっとそれも違うという事で、悶々としながら夜な夜なリサーチを続けていると…。
しかし、探せばあるもので、そんな移動にこだわるオトコの要望に応えてくれる魅力的な交通機関がありました!しかも格安料金で寝台付きというワタシ好みのヤツが(笑)
それが今回初登場の「フェリー輪行」というヤツで、夕方に出航して翌朝には現地に到着するという、寝ている間に移動できる"寝台特急"のようなタイムスケジュールがうれしい(^_-)-☆。船旅と言う響きもロマンがあるし、何と言っても往復運賃が一万円ポッキリ!という驚きの価格設定にすっかり魅入られてしまいました。
ところでこの"一万円で九州往復"には少々やっかいな条件が付加されており、現地に滞在できるのはその日だけ!ようするに朝に到着したら、その日の夕方にはもう帰りのフネに乗らなければならないという実質日帰りのツアーで、その名も「弾丸フェリー」と名付けられているのも大いにうなずけるのでした(汗)
まあこれまでも数多のハードな弾丸ツアーを敢行してきたテツ店長にとって、これはむしろ好ましいコンテンツであり、限られた時間内でより多くのミッションをこなすのはお手のもの、ということで今回の九州輪行ライドの計画が実行に移されることに相成りました(笑)
ルートとしては海路で九州をめざすことに決まりましたが、乗船するフェリーは神戸港を夕方に出航するので、それならフネに乗るまでの時間も有効に使わないのはもったいないと思って、結局出航前日の夜行列車に飛び乗って西に向かい、旅の一日目は兵庫県の鉄道スポットを駆け足で巡ることにしたのでした。
長すぎる前振りでしたが、いよいよここから旅が始まりです(^^)/
今回もまた夜行列車利用ということなので、その日の仕事を終わらせてから、季節列車の『快速ムーンライトながら』に乗って西に向かうことにしましたが、乗車する横浜駅の東海道線の下り線ホームは、深夜時間帯にもかかわらず多くの人でにぎわっていました。
少し余裕を持って駅に到着したので、列車の到着までホーム上で前を走る普通列車を何本か見送るつつ待っていると、定刻の23:35に前面の行き先表示幕に『臨時快速』と書かれた、貴重な国鉄型特急電車185系が颯爽と入線してきました!
国鉄時代から走り続ける"踊り子色"の185系も引退が近づいており、この先いつまで走ってくれるかも分からないので、この貴重な乗車機会をしみじみと味わいたいところでしたが、青春18きっぷに合わせて運行されるこの列車は、この日も満席で、車内はややざわついた空気を湛えながら、深夜の東海道本線を走り続けてゆくのでした。
横浜駅を出発するとまもなく車掌がやって来て検札を済ませると、あとは特にやることも無く眠るだけですが、車内は減光されないので慣れないとちょっと眠りにくいのですが…。そんな列車旅でも慣れとはコワいもので、シートを倒して帽子で遮光をしてしまうと、あとは電車の揺れとモーター音が子守歌
となってすぐに眠りに落ちてゆけるテツ店長なのでした。
次に目が覚めたのが名古屋駅到着前の車内放送でした。ちょうど夜明けの時間でもあり車窓から日の出を眺めているとまもなく名古屋駅に到着して、全体の1/3くらいの乗客を降ろすと終点の"大垣駅"に向けてふたたび速度を上げてゆきます。
名古屋駅を出るとあと30分少々で到着するので、ぼちぼち下車の準備にとりかかることにします。古いとはいえさすが特急型車両だけあって洗面所も完備?されており、顔を洗ったり歯を磨いたりできるのも夜行列車の醍醐味で、そうこうしているうちに、定刻の5:45「快速ムーンライトながら」は終点の大垣駅に到着しました。
ここで一夜を過ごした愛すべき国鉄型車両185系に別れを告げて、さらに東海道本線を普通列車に乗り換えて西へ向かいます。
大垣発の普通列車に揺られること30分少々で"米原駅"に到着、ここから先はJR西日本の誇る?『新快速』姫路行きに乗り換えて"神戸駅"をめざします!乗車した新快速は得意の俊足で米原~京都~大阪~神戸と近畿地方を一気に駆け抜けて行き、きっかり2時間で東海道本線の終点"神戸駅"に到着しました。
ここで下車したのは完全に脱線なのですが、今すごーく気になる路線があるので、ちょっと寄り道させてもらいますね(笑)
神戸駅のお隣にある"兵庫駅"、ここから出ているたったひと駅だけの支線『和田岬線』が、いま全国のテツから注目されており、テツ店長としてもこの機会を逃すワケにはいかなかったのです!ところで何が注目なのかと言うと、それはこの路線で今や本当に希少となった国鉄型の通勤電車103系(オリジナルに近いもの)が使われているからに他なりません(^^)/
国鉄時代に3447両も製造されて、一時は都市圏の通勤電車といえばすべてこの車両と言ってもよいくらい見慣れた103系電車も、いまや関西圏の末端で細々と暮らしているありさまで、もはや引退も時間の問題とささやかれているので、この機会を絶対に逃すワケにはいかないのです!
というワケで、大きな輪行袋を背負ったまま和田岬線ホームまでやってくると、そこには昔懐かしい青い通勤電車が待っていました(涙)
車内は簡素かつ機能的なつくりで、昭和の匂いと言いますか、ノスタルジーを感じてしまうのは、きっとワタシだけではないハズ…とにかくこの支線の鄙びた雰囲気ともマッチしてなかなか味わい深いものがあります。
終点の和田岬駅の先には三菱重工の工場があり、その通勤客輸送に特化した路線という事もあって、朝と夕方~夜の時間帯だけしか列車が運行されないのでなかなか乗りにくい路線ではありましたが、今回はちょうど朝の通勤時間帯の終わりに到達することができ、これでまたひとつの路線を完乗できました(笑)
思い出深い片道3分の短い和田岬線の旅を終えたら、ふたたび山陽本線に戻って、こんどは"姫路駅"へ向かいます!
山陽本線には約1時間の乗車時間でしたが、途中海岸線沿いを走る区間では目の前にひろがる海の景色や、巨大な明石海峡大橋を真下から眺めたり見どころも多くて、あっという間に姫路に到着してしまいました(^^♪
その姫路駅といえば「えきそば」が有名ですが、今回ホームに降りるとお店が大幅にリニューアルされているではないですか!
なんとその外観がなつかしい急行型気動車のキハ58になっているという…。かつてここ姫路駅から和田山駅をむすぶ播但線で走っていた列車をモチーフにしたらしいですが、この顔と塗装こそ国鉄型の代表選手ともいえるもので、うれし涙がでそうな演出に感謝感謝です(^_-)-☆
関東でも藤沢駅の売店が湘南電車の80系風の外観になっていたりしますが、こういう演出は鉄道好きにはたまらないもので、きっと関係者の中にテツの方がおられるのでしょう(笑)
乗り継ぎまでギリ時間があったので、お店にとび込むと「冷やし梅カツオ えきそば」を注文!夏なので冷たいメニューにまねき寄せられてられてしまいました♪♪
つるりとした独特の食感が持ち味の"えきそば"は冷やしとの相性抜群で、ものの数分で掻き込んだら、お次は「播但線」ホームで待つ真っ赤な電車に乗車します。
こちらもさっきと同じ103系ではありますが、良く見ると前面&側面ともに大幅にリニューアルされていて、先ほど乗ってきた和田岬線の車両との違いが際立って、古い車両を改修しながら長く使おうというJR西日本の姿勢が見えて、それはそれで面白いものがあります(笑)
そんな電車に乗り込むとまもなく2両編成の列車は出発して、むかし懐かしいモーター音を響かせながら単線のローカル線をのんびりと走ってゆきました。そんな古い電車に揺られること45分で終点の"寺前駅"に到着。播但線はここで電化・非電化の区間が分かれるので、姫路からやってきた電車はすべてここで折り返しになります。
この先の非電化区間には、最近東日本ではめっきり見る機会が減った、これまた国鉄型気動車のキハ40型が走っているので、ホームにいる車両がどうにも気になって仕方ありません!しばらくすると、そんな気になるキハ40も出発してゆき、駅が静寂に包まれると、ようやく改札口を出て自転車を組み立てはじめました。
しかしながら、すでに時間はお昼の12時を回っており、前日の晩からひたすら電車に揺られつつ、よくもここまで飽きず乗り続けられるものだなぁ、と我ながら感心してしまいますが、きっとこれもワタシの溢れる鉄道愛があってのこと…。
ともあれまだ時間は十分あるので、ここからは存分に北播磨のサイクリングを楽しむことにしましょう(^^)/。すっかり日も高くなり、気温も軽く30℃を超えた炎天下の寺前駅をスタートしたテツ店長が向かったのは、東に向かってひと山越えた先にある"鍛冶屋"という町に残る鉄道遺構です。
はじめて走る北播磨の田園風景は、やはり遠くにやって来たな実感させてくれる新鮮なもので、どんなに暑くてもやっぱり気持ちは昂ります♪♪ここからは県道8号線を越知川沿いに走ってゆくと、まもなく前方に連なる山々が見えてきました!
今回は目の前にそびえる千ヶ峰と笠形山の間の谷あいを通過して山向こうまで向かったのですが、谷あいとはいってもそれなりの峠の様相を呈していて、ワタシの貧脚と荷物の重さも相まって、マイペースで上りをこなしていったのでした。
なんとか峠を越えて下ってきた先は、多可町という長閑な農村風景の広がる集落でしたが、この集落の中心にはかつてあった鉄道の古い駅舎と気動車(ディーゼルカー)が保存されているのでした。
ここにあるのが旧国鉄の「鍛冶屋線」で、1913年(大正2年)に播州鉄道として始まり、1923年(大正12年)に鍛冶屋駅までの全線開業、戦時中の1943年(昭和18年)に国有化され、その後の国鉄民営化で廃止対象の「特定地方交通線」となり、JRとなって間もない1990年に惜しまれながら廃線に至ったという歴史を持っている路線なのでした。
実際にここまでやってくると、本当に辺鄙な(失礼!)場所でしたが、こんな町もかつては地場産業だった播州織や、山林から切り出される杉、檜といった木材、酒米として有名な"山田錦"の発送も行われ、昭和40年代はじめまでは活気があったらしいのですが…、その後のモータリゼーションで徐々に衰退していったという、全国どこにでもあるローカル線衰退の歴史がここでも繰り返されていました(涙)
それでも駅舎や車両の一部が保存されたり、廃線跡の大半がサイクリングロードに転換されたりして、未来にその足跡を残してゆこう言う地域の姿勢に応えて、こちらも少しでもこの文化遺産を多くの人に知ってもらいたいと思い、ここでまでやって来た次第。
思えばここ"鍛冶屋駅"に保存されている通勤型気動車キハ35系も、かつては日本各地の非電化路線で活躍していましたが、だんだんと生息域を狭めていって、今や現役は岡山県の水島臨海鉄道に1両を残すのみとなってしまいましたが、近いうちにこれも乗りに行きたいと思います(笑)
さて、この鍛冶屋線の廃線跡、現地ではそれらしい名前を見受けられなかったのですが、あとで調べてみると「歩っ歩(ぽっぽ)の道」とネーミングされているようで、この時は廃線30周年にあたる2020年までにサイクリングロードとしての整備をすすめていた途中だったようです。
鉄道の線路跡を再利用しているので、基本カーブもアップダウンもゆるくて、自転車との相性が良いのは何回か廃線跡のサイクリングロードを走っているとその感じが分かってきますが、ここも基本平坦でのんびりと走れるサイクリングコースでした。
こちらのコースは廃線になったのが比較的新しい(それでも30年前ですが…)のもあってか、途中に駅や橋梁などの遺構も健在なので、リアルに線路上を走っている感があってテツ店長としては楽しいのですが、非テツの方でも途中に見どころが多いのは、知的好奇心を満たしてくれて面白いのではないかと思います。
そんな鍛冶屋線跡のサイクリングロードで一番の見どころは、途中の市原駅があった場所に建つ「西脇市立鍛冶屋線市原駅記念館」でしょう!
元駅ホームだった場所には、明るいイラストが描かれたキハ30の2両編成が止まっていて、現役当時の雰囲気を伝えていました。この車両、もともとは鍛冶屋駅のものと同じ加古川線オリジナル色だったものを、2010年に地元の絵本作家"吉田稔美"さんがデザインしたイラストに、地元の子供たちと共に塗り替えたのだそうです。
最近はラッピング車両もよく目にするので、あまり違和感がないのもありますが、こうして地域とのつながりを大切にしながら保存されていのは、むしろ好ましいことではないかと思ったり…。
そしてそのお隣にはある鍛冶屋線市原駅記念館は、大正10年に建築された当時の市原駅を復元した資料館となっており、モダンな洋風駅舎は当時のかたちそのままに、館内には貴重な資料や記録が展示されていました。
ここはマニア的にはお宝の山でしたが、そのひとつひとつをじっくり眺めていると、あまり注目される事も無く消えていった地方ローカル線にも歴史があって、そこから見える当時の日本の姿から、ひととき古き良き昭和の時代にトリップしてしまうのがテツ店長的な楽しみ方なのです(笑)
いつものことながら、ぐるぐると館内を徘徊しているうちに時間だけが過ぎてゆき、そろそろ帰りの電車の時間が気になってきたので先をいそぐことにしましょう。
ここからもうひとっ走りすると、まもなく鍛冶屋線の起点でもあった加古川線の"西脇市"駅に到着して全線13.2kmの廃線トリップは終了。暑さはともかく廃線ムードの残る、なかなか良いサイクリングロードではありました。
ちなみにこちらの駅名ですが、鍛冶屋線が現役だった当時は"野村駅"だったものが、同線の廃線によりそのおとなりにあった"西脇駅"も同時に廃止となったため、地域を代表する地名である"西脇市"の駅名に昇格?したもののようです。
さてここからは加古川線、JR神戸線(山陽本線)と乗り継いで、朝いったん通過してきた神戸方面に向かい、次に下車したのは港神戸の中心地"三ノ宮"駅でした。
夕方の時間帯でもあり、さすがに大都会のジャンクション駅らしく、どこも人通りが多くて、なかなか自転車を組み立てる場所に迷いましたが、なんとか人気の少ない場所まで移動したらふたたび自転車を組み立て、あとはフェリーターミナルのある「六甲アイランド」までもうひとっ走りなのですが、その前に…。実はここ神戸の街にも廃線跡があって、せっかくここまで来たら見過ごすワケにはいかないので、ちょっとだけ寄り道させてもらいます(笑)
ということで駅前の国道2号線を東に向けて走り始めること2kmたらずで、今でも堂々と国道を跨いでいる廃線跡を発見!
これが旧国鉄の「神戸臨港線」跡で、東海道本線の貨物支線として分岐して、その先にあった"神戸港駅"(現神戸震災復興記念公園)からさらに枝分かれして、かつては4本ある神戸港の突堤を鉄路がくまなくカバーしていたのだそうです。
こちらも道路整備がすすむにつれ、物流の主役がトラック輸送に移ってゆき、2003年(平成15年)には廃線となってしまいましたが、明治の開国から日本の近代物流は船舶と鉄道が支えてきたということは、ここに限らず大規模港湾施設のある場所の多くに、現役の臨海鉄道があったり、廃線跡が見られることから分かって感慨深いものがあります。
こういう、あまり注目はされないけれども、裏方に徹しながら歴史を紡いできた、日本近代化の立役者とも言える廃線跡に少しでも脚光を浴びて欲しいなというのが、最近のテツ店長の思いだったりするのですが…。
と思わず熱く語ってしまいましたが、まあ鉄道への興味が溢れてしまって仕方がないだけとも言え、しばし都会の廃線跡に萌えたあとは、やや急ぎ足でフェリーの待つ港へ向かったのでした。
今回お世話になるのは神戸~大分航路の「フェリーさんふらわあ」で、人工島である六甲アイランドにある神戸港から出港するということで、イマイチ自転車だと分かりにくい"六甲大橋遊歩道"を渡って、フネの待つフェリーターミナルまでやって来ました!
フェリーなのでそのまま自転車を持ち込むことも可能でしたが、今回は輪行での乗船となるので(輪行袋に入れておけば別途料金がかからないため)、巨大なフェリーを目の前に見ながら自転車をたたんでいると、これからはじまる船旅にだんだん期待が高まってきますねぇ♪♪
輪行の準備ができたら乗船手続きを行って、その後は船とつながるボーディングブリッジ(空港にあるヤツ)様な通路からの乗船となりします。これまでもサイクリング途中に東京湾や伊勢湾フェリーなどの近距離航路を利用したことはありましたが、夜をまたぐ船旅は初めてなので、これは気持ちが高まらないハズがありません!!
寝台特急ブルートレイン亡き後に、旅情あふれる旅を代替するのはもはや長距離フェリーしかない!というのが、最近のテツ界隈の共通認識だったりするところもあるので、今夜はたっぷり船旅を楽しむこととしましょう(笑)
この日乗船した「さんふらわあぱーる」は2008年にデビューした大型フェリーですが、船内設備も全然キレイで正直新造船とあまり変わらない雰囲気でした。
ちなみに今回は往復1万円がウリの"弾丸フェリー"のツアーを利用しましたが、片道¥5,000と思うとついつい気が大きくなり、ちょっと贅沢して"スタンダード個室"にアップチャージしてしまいました(笑)
決して広くはないとは言え、個室はやっぱり落ち着きますし、それ以上に愛車を安全に保管できるという点も見逃せませんからね!
部屋でひと息ついているうちに出航時刻の19:00となり、テツ店長を乗せた"さんふらわあぱーる"は神戸港の岸壁を離れ、瀬戸内海を西に向かって進みはじめました。
ちょうど日没の時間でもあったので、しばらく夕日を眺めながらデッキでひとり黄昏たりしていましたが、出港後1時間も経つと、こんどはライトアップされた「明石海峡大橋」が頭上に姿をあらわしたりと、船旅も意外と見どころが多くて忙しかったり…(汗)
やっと落ち着いたところで、広い展望風呂でサイクリングの汗を流し(あいにく外は真っ暗で景色は見えませんが…)、その後は船内レストランでおひとり様ディナーと洒落込みました(笑)
船内レストランはバイキング形式となっており、メニューも豊富でついつい食べ過ぎてしまうのがタマに傷ですが、この日は早朝からずーっと活動して体力を使っていたことに加え、終日暑さにさらされていて体内の水分も不足していたためか、食事をがっつりいただいてお腹いっぱいになった後も、飲み物のおかわりを繰り返してひたすら水分補給に努めたのでした(お酒ではありませんのであしからず…)
食事の後はとくにやることもなくなりますが、船旅のゆったりとした時間はこのうえない癒しのひとときとなりました。瀬戸内海航路ではほとんど揺れもなく、ふと海の上にいることを忘れてしまうくらいで、船酔いが心配な方でも安心して船旅を楽しめることと思いますよ(^_-)-☆
この時だけは弾丸ツアーであることをしばし忘れてリラックスしつつ、明日の行動にそなえて早めに就寝したのでした。次回、九州へ上陸する二日目につづきます。
旅する人 河井孝介プロフィール
バイクプラス多摩センターの店長を務める50歳。前職で足かけ10年にわたる勤務を鉄道の無い(モノレール除く)沖縄県で過ごした反動からか、帰京後は輪行サイクリングの虜となり、現在は鉄道と自転車を組み合わせ、鉄道廃線跡や未成線など鉄道の歴史を辿るサイクリングをライフワークとする。鉄道趣味のジャンルは「乗り鉄」。旧国鉄型車両を心から愛し、ひそかにJR全線乗車にチャレンジ中。非常勤の防衛省職員である予備三等陸曹の身分も合わせ持っている。
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