2020/03/31(火) - 14:39
がらがらがしゃん。隣の不動産屋がシャッターを上げる音で、今日も目が覚めた。「そろそろ風呂に入りたいな…」。ついついそう呟いてしまったのは、編集部に2連泊した3日目の朝。いつもなら近場の銭湯に行くのだが、生憎火曜は定休日。つまり、2日連続で風呂に入れていないのである。
2泊3日目、そろそろ風呂に入らないと……どこぞの制作進行のように椅子で寝るヤスオカ
撮影用のスタジオがあるおかげもあり、編集部員のデスクは2m以上の間隔がある。決してコロナ対策というわけではないのだが、ソーシャルディスタンスとしての役割も果たしている。幸いなことに、スメハラという悲劇も未然に防いでくれている……ハズだ。
「ザイマース」「はよーす」。気だるげな挨拶が編集部の天井にこだまする。ばらばらと出社してきた編集部員たちが、ちらっとこちらに視線を向ける。むぅ、やはりスメハラ疑惑は消えていない。直接言葉にしない微妙な配慮が、むしろ心に来る……。
これは何としてでも風呂に入りにいかねばならぬ。どうにかして合法的に入浴するには……、そうだ、取材と称して風呂へ行けば良いのでは?お風呂ライド…お風呂…オフロ…オフロード!?ようし、企画名はオ風呂ードライドに決まりである。どうしたって埃っぽいオフロードとお風呂の相性はバツグンのはず。名前の相性も抜群なのだから。
遠くに富士山を望むこともできる狭山湖 なんだか銭湯の壁画ぽくもある
おあつらえ向きなことに、編集部は自然豊かな狭山湖にほど近い。周辺にはジープロードが走っており、オフロードライドを楽しむ環境は整っている。そしてコースのそばには温浴施設の「かたくりの湯」もあり、まさにこの企画を実行するためのようなロケーション。
しかし、こんな悪魔的発想を形にするためには同行人員が必要だ。いわゆる生贄というものである。ちょうど良いところに、ヘタレことフジワラと期待の新人ミッチーがシクロクロスバイクで通勤してきている。尊い犠牲となってもらうべく、かくかくしかじか…と事情を説明、めんどくさそうな顔をされつつも、なんとか協力を取り付けたのだった。
そうと決まれば話は早い、ささっと出発するに限る。しかし、タオルやら着替えやらをバックパックに詰め込み編集部を出ると、まさかの人物と鉢合わせてしまった。あのまあるいシルエットは、そうメタボ会長である。なぜここに、しかも自転車にまたがっているのだ?そういえば、E-BIKEに乗り始めてからというもの、毎日乗っているとか言っていたっけ。
「あれ、どうした?みんなで走りに行くのか?」
「いえ、取材です(キッパリ)」
疑いのまなざしを向けられるが、嘘はついていない。一応記事にしようとしていたので、カメラをぶら下げていたのが決定的な証拠である。ここで挙動不審になっては思うつぼ、むしろ攻めの姿勢が大切だ。
なんとIRCのSERAC CX SANDがいつのまにか装着されているではないか…!
「なんなら一緒に行きますか?」
「おう、君たちがちゃんと仕事しているのか確認しないといけないしな!」
し、しまった……。以前であればペースが合わないから君たちとは走らない、と返ってきていたのだが、E-BIKEを手に入れてからはむしろこちらが引きずり回されているんだった…っ!だが、まだ追い払う術はある。今こそこの札を切る時だ。
「あ、でも今回はオフロードを走る企画なんで、会長のセラフだと厳しいですよ。タイヤ、28Cのスリックでしたよね?行けなくはないと思いますけど、あんまりおススメしないですよ?」
「それなら心配いらないよ!この前32CのSERAC SANDに交換したんだよ、狭山湖のダートだろ?テストライドにピッタリじゃないか、よろしくな!」
な、なんだってー!そういえば、少し前に編集長がタイヤを強奪されてるシーンを目撃したような。触らぬ会長に祟りなしとばかりに見て見ぬふりを決め込んでいた自分が恨めしい。しかし、事ここに至っては覚悟を決めるしかない。というわけで新たな仲間(?)を一人加え、お風呂―ドライドへ繰り出すのであった。
新たな仲間(?)を加えて、ロケに出発だ!
さて、編集部を出て北へ向かえば狭山湖はすぐそこなのだが、一つ丘を登る必要がある。今日はみんなオフロードバイクなので、そんなにペースも上げずにトコトコと走っていけば良いと思っていたが、和を乱すオヤジが一人。
10%の斜度をものともせずガハハと笑いながら楽しそうに走っている会長からどうにか遅れないようにと必死の形相で食らいつく自分とフジワラ。一方、JPTライダーであるミッチーは流石に余裕の表情である。今日の写真は全部任せたいくらいだ。
10%の登りをラクラク登っていくメタボ会長 フジワラは遅れ気味である
まずは多摩湖サイクリングロードから
最近拡幅された堤防道路に歩道が設置されていた
どうにか最初にして最大の難所を越えると、もう息も絶え絶えである。まあ、最終目的はお風呂で汗を流すことなので、ここで汗をかいても問題ないっちゃ問題ないのだけれども。それにしたって、E-BIKEは楽しそうである。お財布に余裕があればぜひ自分も欲しいくらい。いやE-BIKEの会長と一緒に走るの、結構大変なんですよホント。社用車で一台用意してくれないかな……?
そんなことを考えつつ、多摩湖サイクリングロードへ。そうそう、多摩湖を東西に分割する堤防道路が拡幅されて新しく歩道が繋がったのだ。これまで非常に狭い車線をおっかなびっくり走っていたのでこれは嬉しい改良で、安心して堤防を通過することが出来るようになったのだ。
多摩湖の堤防を渡り、狭山湖へ。平日ながら、ポカポカの陽気に誘われてなかなかの人出がある。休校になった子供たちの姿も多いので、ゆっくりと狭山自然公園の堤防を走り抜け、左折。急坂を登り切ったら、未舗装のジープロードに突入だ。
狭山湖畔からの眺めに見入る
ポカポカの陽気でテントを張っている人もいた
編集部から30分もかからずにこんな自然豊かな道がある
このタイヤ、めちゃくちゃ調子いいな!と笑顔のメタボ会長
グラベルロードやシクロクロスバイクにぴったりの未舗装の砂利道で、E-BIKEにまたがる会長の様子はと言えば、「おお!これはなかなか楽しいな!」とご満悦の様子。IRCのSERAC SANDを履いていれば、それはそうだろう。こんなハードパックな路面にピッタリのタイヤなのだから。ちょっとした登りはウィンウィンとアシスト全開で登っていくが、しっかりとトラクションを伝えられている様子。
「ところどころに凸凹してるところもあるので、気をつけてくださいね」と、言いつつ快調に走っていく。いくつか分岐があるが基本は真っすぐ走っていけば大丈夫。しかし、この日はちょっとした寄り道を計画していた。その立ち寄りポイントの一つ目が、「比良の丘」。所沢市の最高標高地点でもあるらしく、狭山丘陵を一望できる絶景スポットで景色を楽しみながらコーヒータイムと洒落こもうと考えていたのだ。
展望抜群の比良の丘へ
ゆったりとしたひと時を過ごす一行
最近ゆるキャン△のドラマにハマったミッチー。スノーピークのチタンマグをゲットしたのだとか
いくつ目かの分岐を右に曲がり、少し行けば一気に視界が広がっていく。丘の上にぽつんと設置されたウッドテーブルがなんとも言えない風情を醸し出している。「良くこんなところを知ってたな!流石、仕事もせずに遊びまわってるだけのことはあるな!」と素直に部下を褒めることができないツンデレぶりを発揮しつつも、会長もまんざらではなさそうだ。
「こうやって寄り道しながらのんびり走ってるのもいいですねぇ」とフジワラ。「でも、ヤスオカさんはこういうのは邪道なんじゃなかったですっけ?」と前回のロケのことを茶化してくるが、あれはヒルクライムだからである。べ、別に、のんびりサイクリングが嫌いってわけじゃないんだからね!!
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「ザイマース」「はよーす」。気だるげな挨拶が編集部の天井にこだまする。ばらばらと出社してきた編集部員たちが、ちらっとこちらに視線を向ける。むぅ、やはりスメハラ疑惑は消えていない。直接言葉にしない微妙な配慮が、むしろ心に来る……。
これは何としてでも風呂に入りにいかねばならぬ。どうにかして合法的に入浴するには……、そうだ、取材と称して風呂へ行けば良いのでは?お風呂ライド…お風呂…オフロ…オフロード!?ようし、企画名はオ風呂ードライドに決まりである。どうしたって埃っぽいオフロードとお風呂の相性はバツグンのはず。名前の相性も抜群なのだから。
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おあつらえ向きなことに、編集部は自然豊かな狭山湖にほど近い。周辺にはジープロードが走っており、オフロードライドを楽しむ環境は整っている。そしてコースのそばには温浴施設の「かたくりの湯」もあり、まさにこの企画を実行するためのようなロケーション。
しかし、こんな悪魔的発想を形にするためには同行人員が必要だ。いわゆる生贄というものである。ちょうど良いところに、ヘタレことフジワラと期待の新人ミッチーがシクロクロスバイクで通勤してきている。尊い犠牲となってもらうべく、かくかくしかじか…と事情を説明、めんどくさそうな顔をされつつも、なんとか協力を取り付けたのだった。
そうと決まれば話は早い、ささっと出発するに限る。しかし、タオルやら着替えやらをバックパックに詰め込み編集部を出ると、まさかの人物と鉢合わせてしまった。あのまあるいシルエットは、そうメタボ会長である。なぜここに、しかも自転車にまたがっているのだ?そういえば、E-BIKEに乗り始めてからというもの、毎日乗っているとか言っていたっけ。
「あれ、どうした?みんなで走りに行くのか?」
「いえ、取材です(キッパリ)」
疑いのまなざしを向けられるが、嘘はついていない。一応記事にしようとしていたので、カメラをぶら下げていたのが決定的な証拠である。ここで挙動不審になっては思うつぼ、むしろ攻めの姿勢が大切だ。
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「なんなら一緒に行きますか?」
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し、しまった……。以前であればペースが合わないから君たちとは走らない、と返ってきていたのだが、E-BIKEを手に入れてからはむしろこちらが引きずり回されているんだった…っ!だが、まだ追い払う術はある。今こそこの札を切る時だ。
「あ、でも今回はオフロードを走る企画なんで、会長のセラフだと厳しいですよ。タイヤ、28Cのスリックでしたよね?行けなくはないと思いますけど、あんまりおススメしないですよ?」
「それなら心配いらないよ!この前32CのSERAC SANDに交換したんだよ、狭山湖のダートだろ?テストライドにピッタリじゃないか、よろしくな!」
な、なんだってー!そういえば、少し前に編集長がタイヤを強奪されてるシーンを目撃したような。触らぬ会長に祟りなしとばかりに見て見ぬふりを決め込んでいた自分が恨めしい。しかし、事ここに至っては覚悟を決めるしかない。というわけで新たな仲間(?)を一人加え、お風呂―ドライドへ繰り出すのであった。
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さて、編集部を出て北へ向かえば狭山湖はすぐそこなのだが、一つ丘を登る必要がある。今日はみんなオフロードバイクなので、そんなにペースも上げずにトコトコと走っていけば良いと思っていたが、和を乱すオヤジが一人。
10%の斜度をものともせずガハハと笑いながら楽しそうに走っている会長からどうにか遅れないようにと必死の形相で食らいつく自分とフジワラ。一方、JPTライダーであるミッチーは流石に余裕の表情である。今日の写真は全部任せたいくらいだ。
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そんなことを考えつつ、多摩湖サイクリングロードへ。そうそう、多摩湖を東西に分割する堤防道路が拡幅されて新しく歩道が繋がったのだ。これまで非常に狭い車線をおっかなびっくり走っていたのでこれは嬉しい改良で、安心して堤防を通過することが出来るようになったのだ。
多摩湖の堤防を渡り、狭山湖へ。平日ながら、ポカポカの陽気に誘われてなかなかの人出がある。休校になった子供たちの姿も多いので、ゆっくりと狭山自然公園の堤防を走り抜け、左折。急坂を登り切ったら、未舗装のジープロードに突入だ。
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グラベルロードやシクロクロスバイクにぴったりの未舗装の砂利道で、E-BIKEにまたがる会長の様子はと言えば、「おお!これはなかなか楽しいな!」とご満悦の様子。IRCのSERAC SANDを履いていれば、それはそうだろう。こんなハードパックな路面にピッタリのタイヤなのだから。ちょっとした登りはウィンウィンとアシスト全開で登っていくが、しっかりとトラクションを伝えられている様子。
「ところどころに凸凹してるところもあるので、気をつけてくださいね」と、言いつつ快調に走っていく。いくつか分岐があるが基本は真っすぐ走っていけば大丈夫。しかし、この日はちょっとした寄り道を計画していた。その立ち寄りポイントの一つ目が、「比良の丘」。所沢市の最高標高地点でもあるらしく、狭山丘陵を一望できる絶景スポットで景色を楽しみながらコーヒータイムと洒落こもうと考えていたのだ。
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いくつ目かの分岐を右に曲がり、少し行けば一気に視界が広がっていく。丘の上にぽつんと設置されたウッドテーブルがなんとも言えない風情を醸し出している。「良くこんなところを知ってたな!流石、仕事もせずに遊びまわってるだけのことはあるな!」と素直に部下を褒めることができないツンデレぶりを発揮しつつも、会長もまんざらではなさそうだ。
「こうやって寄り道しながらのんびり走ってるのもいいですねぇ」とフジワラ。「でも、ヤスオカさんはこういうのは邪道なんじゃなかったですっけ?」と前回のロケのことを茶化してくるが、あれはヒルクライムだからである。べ、別に、のんびりサイクリングが嫌いってわけじゃないんだからね!!
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