2019/06/10(月) - 17:38
5月26日(日)に開催された「緑のアルプスあづみのセンチュリーライド」実走レポート後編をお届け。残雪が美しいダイナミックな白馬の山々と、コントラストが鮮やかな緑の木々、そして美味しい地元のグルメを堪能しました。(前編はこちら)。
後編は160kmクラスの大町木崎湖エイドを過ぎたところからスタート。木崎湖の畔でキャンプを楽しんでいる人たちを尻目に颯爽と駆け抜けていく。木崎湖ではボートに乗ってバス釣りに勤しんでいる人もちらほら見られ、まさに行楽地といった穏やかな空気が流れる。だが我々はまだ100kmもの道のりを残している。先を急ぐとしよう。
厳かな雰囲気を醸す中綱湖の脇を抜け、やってきたのは仁科三湖で一番大きな青木湖だ。北西方向を見れば湖とともに北アルプスの山々が望めるとあって、皆立ち止まって記念撮影。仲間とともにポーズをとる人、湖をバックに自転車を撮る人、みな思い思いにスマホのシャッターを切る。
北アルプス山麓に点在する19もの美術館・博物館・公園を結んだ「安曇野アートライン」を通り、大町市から白馬村へ。南北約50kmに渡るこの地域にこれだけ多くの美術館が並ぶのは世界的にも珍しいらしく、アートとも言えるほど美しい自然の景観とともに観光を楽しめるコースが引かれているのだ。
辺り一面田んぼが広がった、遮るもののない視界に飛び込んでくるのは見惚れるほどに美しい白馬の山々。特にJR飯森駅の北側にある飯森陸橋からは、長野オリンピックで脚光を浴びた「白馬のジャンプ台」も正面に望めるロケーションであるが、参加者の皆さんは気づいただろうか。
同じく長野オリンピックに合わせて建てられたスポーツ施設「白馬ウイング21」や、三角屋根を持つロッジ風の駅舎が特徴的な白馬駅を横目に北上すれば、ほどなく4つ目の白馬エイドに到着だ。白馬エイドは白馬連峰を源流とする松川沿いの広場に設置され、川の畔で涼むこともできた。時刻は10時を過ぎ、本格的に暑さを帯びてきた気温に思わず川の水で手や足を冷やしてクールダウンする参加者の姿も。
太陽がジリジリと照りつける晴天の中、ここでは熱々の豚汁と紫米おこわが振る舞われた。できれば冷たいものが食べたいような気温ではあるが、汗で失った塩分を補給するには最高の味付けで、体に活気がみなぎってくるというもの。それぞれ地元産の豚肉や味噌、もち米を使用しているのもポイントで、粘り気のあるモチモチとしたおこわはお腹にも溜まって良い感じの昼食となってくれた。
また白馬エイドではWAKO'Sがブースを広げ、参加者のバイク洗車&メンテナンスもしてくれた。ここまで80kmを走ってきて変速の不調を訴える人も少なからずおり、バイクのトラブルを見てもらえるとあって助けられた人もいることだろう。大会が掲げる「100%の安全」を、大会側もサポートする体制がバッチリ整っている。
さてここからはコースを折り返して再び松本方面へと走り出す。北アルプスに背を向けた形となるため、ここらで白馬の景色を存分に堪能して行くとしよう。帰りの道は行きとはコースをずらすことで、道路が自転車で埋め尽くされないよう配慮。途中、白馬クロスカントリー競技場脇を通る山道ルートでは、青々とした木々が両サイドからかかった緑のカーテンともいえる景色が印象的であった。
国道148号を南下しつつ、木崎湖畔にあるYショップニシで多くの人が足を止め一旦休憩。某アニメの聖地としても有名なこのコンビニは、うどんやそば、おやきなども注文して店内のイートインでいただけるという、コンビニとしては珍しい形態をとっているお店なのだ。サイクリングイベントの盛んな地域だけに、店員さんもサイクリストの来店を笑顔で歓迎してくれるのが嬉しい。
こじんまりとした無人の稲尾駅前を左折し、大町市の美麻地区へと向かう。比較的平坦の多いAACRのコースの中でも、一番の登りポイントに当たる道を各々のペースで進んでいく。美麻と言えばそばが有名で、そば粉を挽く水車小屋や手打ちそばのお店「美郷」の横を通りつつ、今大会最高標高地点に設置された大町美麻エイドに到着だ。
NHKの連続テレビ小説「おひさま」のロケ地としても知られる中山高原内にある、農園カフェラビット前にエイドのテントが並ぶ。春は菜の花が、夏はそばの花が絨毯のように咲き誇り美しい風景を作り出すのだとか。広々とした緑のスペースに自由に座り込みゆったりと休憩。カフェ前にいたヤギも夢中で草を食んでおりほっこりとした気分にさせてくれた。
ここでは美麻のそば粉を使ったそばのうす焼きと、行者にんにくを漬けたタレを乗せた冷奴が振る舞われた。甘じょっぱい味噌ダレとそばの風味が絶妙なマッチングを見せとても美味しい。さっぱりとした冷奴もにんにくの香りが食欲を掻き立ててくれ、あっという間に平らげてしまった。ちなみに桜のAACRではこのエイドは設定されないため、緑だけで楽しめる補給食だ。
昼の1時を回り最も気温の暑い時間帯とあって、給水車で用意された冷たい水を頭から被る人の姿も。この日は全国的に夏日となり、松本では気温が30度を超える真夏のような天気に。大町市の水道は全て湧き水を水源にしているほど水に恵まれており、ミネラルウォーターの生産地としても注目されているほど。そんな大町市の水を贅沢にボトルに詰めて、さあ再出発だ。
大町市街まで一気に下った後は、大町から安曇野まで南北に流れる高瀬川沿いの道を行く。信号もなく真っ直ぐな平坦の道は走りやすく、仲間とも談笑しながら気持ちよく進めたことだろう。安曇野市の穂高駅近くにある碌山公園が6つ目となる最終の安曇野エイドだ。
最後はデザートということだろうか、ごまのおはぎとりんごジュースをいただく。ここまで約140kmを走ってきて疲れた体に甘いものが染み渡り、最高に美味しく感じられる。後はゴールするだけとあって余裕を持ってゆったり休憩していた人が多くいたようだ。まだまだ暑い時間帯とあって、ホースで撒かれた水のシャワーがとても気持ち良い。頭や顔を水で流しリフレッシュして、いざラスト20kmへ。
交通量の少ない田んぼ道を繋いで松本市まで帰っていく。途中、細々と曲がる地点がいくつもあったが、進行方向を示す看板や立哨のスタッフもたくさんおり、きちんと安全に誘導してくれるのはありがたい。小川や水路が街中に張り巡るように流れており、長野の農業を豊富な水が支えているのだと走りながら実感させられた。
暑い中丸一日走って確実に疲労は溜まっているものの、皆きちんと走り切ってスタート地点でもある梓水苑にフィニッシュ。仲間と完走を喜び合いながらゲートをくぐる。完走証をもらって大会パネルの前で記念撮影といこう。完走証とともに”おめでたい焼き”と、日本初上陸のエナジードリンク「スティング」も配られた。
続々とフィニッシュしてくる参加者の中には、2018年平昌オリンピックのショートトラック日本代表である菊池悠希さんと神長汐音さんの姿も。お二人とも長野を拠点としている選手で、菊池さんは昨年に引き続き、神長さんは初めての自転車イベント参加だったとのこと。まさかのオリンピアンまで一緒に参加していたとは感激である。
「桜」では走行マナーに関して問題の声も上がっていたAACRだが、今回は参加者全員がより一層の安全意識を持って走っていたように思える。一時停止線ではきちんとクリートを外して止まるという点もかなり徹底されていたし、追い抜く時や後ろから車が来た時も自発的に声をかけている参加者は多く見られた。AACRに限らず普段から安全意識を高く持ち、サイクリスト同士はもちろん車や地域の人々に対しても気持ちの良い環境を自ら作っていきたいものである。
text&photo:Yuto.Murata
後編は160kmクラスの大町木崎湖エイドを過ぎたところからスタート。木崎湖の畔でキャンプを楽しんでいる人たちを尻目に颯爽と駆け抜けていく。木崎湖ではボートに乗ってバス釣りに勤しんでいる人もちらほら見られ、まさに行楽地といった穏やかな空気が流れる。だが我々はまだ100kmもの道のりを残している。先を急ぐとしよう。
厳かな雰囲気を醸す中綱湖の脇を抜け、やってきたのは仁科三湖で一番大きな青木湖だ。北西方向を見れば湖とともに北アルプスの山々が望めるとあって、皆立ち止まって記念撮影。仲間とともにポーズをとる人、湖をバックに自転車を撮る人、みな思い思いにスマホのシャッターを切る。
北アルプス山麓に点在する19もの美術館・博物館・公園を結んだ「安曇野アートライン」を通り、大町市から白馬村へ。南北約50kmに渡るこの地域にこれだけ多くの美術館が並ぶのは世界的にも珍しいらしく、アートとも言えるほど美しい自然の景観とともに観光を楽しめるコースが引かれているのだ。
辺り一面田んぼが広がった、遮るもののない視界に飛び込んでくるのは見惚れるほどに美しい白馬の山々。特にJR飯森駅の北側にある飯森陸橋からは、長野オリンピックで脚光を浴びた「白馬のジャンプ台」も正面に望めるロケーションであるが、参加者の皆さんは気づいただろうか。
同じく長野オリンピックに合わせて建てられたスポーツ施設「白馬ウイング21」や、三角屋根を持つロッジ風の駅舎が特徴的な白馬駅を横目に北上すれば、ほどなく4つ目の白馬エイドに到着だ。白馬エイドは白馬連峰を源流とする松川沿いの広場に設置され、川の畔で涼むこともできた。時刻は10時を過ぎ、本格的に暑さを帯びてきた気温に思わず川の水で手や足を冷やしてクールダウンする参加者の姿も。
太陽がジリジリと照りつける晴天の中、ここでは熱々の豚汁と紫米おこわが振る舞われた。できれば冷たいものが食べたいような気温ではあるが、汗で失った塩分を補給するには最高の味付けで、体に活気がみなぎってくるというもの。それぞれ地元産の豚肉や味噌、もち米を使用しているのもポイントで、粘り気のあるモチモチとしたおこわはお腹にも溜まって良い感じの昼食となってくれた。
また白馬エイドではWAKO'Sがブースを広げ、参加者のバイク洗車&メンテナンスもしてくれた。ここまで80kmを走ってきて変速の不調を訴える人も少なからずおり、バイクのトラブルを見てもらえるとあって助けられた人もいることだろう。大会が掲げる「100%の安全」を、大会側もサポートする体制がバッチリ整っている。
さてここからはコースを折り返して再び松本方面へと走り出す。北アルプスに背を向けた形となるため、ここらで白馬の景色を存分に堪能して行くとしよう。帰りの道は行きとはコースをずらすことで、道路が自転車で埋め尽くされないよう配慮。途中、白馬クロスカントリー競技場脇を通る山道ルートでは、青々とした木々が両サイドからかかった緑のカーテンともいえる景色が印象的であった。
国道148号を南下しつつ、木崎湖畔にあるYショップニシで多くの人が足を止め一旦休憩。某アニメの聖地としても有名なこのコンビニは、うどんやそば、おやきなども注文して店内のイートインでいただけるという、コンビニとしては珍しい形態をとっているお店なのだ。サイクリングイベントの盛んな地域だけに、店員さんもサイクリストの来店を笑顔で歓迎してくれるのが嬉しい。
こじんまりとした無人の稲尾駅前を左折し、大町市の美麻地区へと向かう。比較的平坦の多いAACRのコースの中でも、一番の登りポイントに当たる道を各々のペースで進んでいく。美麻と言えばそばが有名で、そば粉を挽く水車小屋や手打ちそばのお店「美郷」の横を通りつつ、今大会最高標高地点に設置された大町美麻エイドに到着だ。
NHKの連続テレビ小説「おひさま」のロケ地としても知られる中山高原内にある、農園カフェラビット前にエイドのテントが並ぶ。春は菜の花が、夏はそばの花が絨毯のように咲き誇り美しい風景を作り出すのだとか。広々とした緑のスペースに自由に座り込みゆったりと休憩。カフェ前にいたヤギも夢中で草を食んでおりほっこりとした気分にさせてくれた。
ここでは美麻のそば粉を使ったそばのうす焼きと、行者にんにくを漬けたタレを乗せた冷奴が振る舞われた。甘じょっぱい味噌ダレとそばの風味が絶妙なマッチングを見せとても美味しい。さっぱりとした冷奴もにんにくの香りが食欲を掻き立ててくれ、あっという間に平らげてしまった。ちなみに桜のAACRではこのエイドは設定されないため、緑だけで楽しめる補給食だ。
昼の1時を回り最も気温の暑い時間帯とあって、給水車で用意された冷たい水を頭から被る人の姿も。この日は全国的に夏日となり、松本では気温が30度を超える真夏のような天気に。大町市の水道は全て湧き水を水源にしているほど水に恵まれており、ミネラルウォーターの生産地としても注目されているほど。そんな大町市の水を贅沢にボトルに詰めて、さあ再出発だ。
大町市街まで一気に下った後は、大町から安曇野まで南北に流れる高瀬川沿いの道を行く。信号もなく真っ直ぐな平坦の道は走りやすく、仲間とも談笑しながら気持ちよく進めたことだろう。安曇野市の穂高駅近くにある碌山公園が6つ目となる最終の安曇野エイドだ。
最後はデザートということだろうか、ごまのおはぎとりんごジュースをいただく。ここまで約140kmを走ってきて疲れた体に甘いものが染み渡り、最高に美味しく感じられる。後はゴールするだけとあって余裕を持ってゆったり休憩していた人が多くいたようだ。まだまだ暑い時間帯とあって、ホースで撒かれた水のシャワーがとても気持ち良い。頭や顔を水で流しリフレッシュして、いざラスト20kmへ。
交通量の少ない田んぼ道を繋いで松本市まで帰っていく。途中、細々と曲がる地点がいくつもあったが、進行方向を示す看板や立哨のスタッフもたくさんおり、きちんと安全に誘導してくれるのはありがたい。小川や水路が街中に張り巡るように流れており、長野の農業を豊富な水が支えているのだと走りながら実感させられた。
暑い中丸一日走って確実に疲労は溜まっているものの、皆きちんと走り切ってスタート地点でもある梓水苑にフィニッシュ。仲間と完走を喜び合いながらゲートをくぐる。完走証をもらって大会パネルの前で記念撮影といこう。完走証とともに”おめでたい焼き”と、日本初上陸のエナジードリンク「スティング」も配られた。
続々とフィニッシュしてくる参加者の中には、2018年平昌オリンピックのショートトラック日本代表である菊池悠希さんと神長汐音さんの姿も。お二人とも長野を拠点としている選手で、菊池さんは昨年に引き続き、神長さんは初めての自転車イベント参加だったとのこと。まさかのオリンピアンまで一緒に参加していたとは感激である。
「桜」では走行マナーに関して問題の声も上がっていたAACRだが、今回は参加者全員がより一層の安全意識を持って走っていたように思える。一時停止線ではきちんとクリートを外して止まるという点もかなり徹底されていたし、追い抜く時や後ろから車が来た時も自発的に声をかけている参加者は多く見られた。AACRに限らず普段から安全意識を高く持ち、サイクリスト同士はもちろん車や地域の人々に対しても気持ちの良い環境を自ら作っていきたいものである。
text&photo:Yuto.Murata
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