2019/05/02(木) - 18:10
関東近郊では定番となったサーキットレース、春の「もてぎ7時間エンデューロ」が10連休の始まりを告げるゴールデンウィーク初日、4月27日(土)に開催された。シーズンインにもぴったりの平成を締めくくった耐久レースの模様をレポート。
毎年春秋の2回開催されている「もてぎ7時間エンデューロ」。栃木県茂木町にある国際サーキット、ツインリンクもてぎを駆ける関東近郊では定番のレースイベントとして親しまれている大会だ。今年の春大会はゴールデンウィークの初日に当たる4月27日(土)に開かれた。平成から令和へと移り変わる10連休の皮切りとなるこの日は、約2000人もの参加者がここツインリンクに集まった。
大会前日に降っていた雨は当日朝にはなんとか止んだものの、厚い雲が空を覆った肌寒い天気に。朝一は10度を下回る気温で、冬に逆戻りしたかと思わせる季節外れの寒さが会場を襲った。長袖ジャージやウォーマー類を着込んだ参加者も多数。それでも日が昇るに連れ天気は良くなり、雲の切れ間から青空が覗くシーンも見られ、路面も終始ドライコンディションで走ることができた。
レースはMotoGPやSUPER GTなど各種モータースポーツのサーキットで知られるツインリンクもてぎのロードコースを使用。1周4.8kmのコースは幅も広く、思う存分にサーキットを駆けることができる。スタートから程なくして現れる約760mの上り坂が参加者を苦しめ、その後V字やS字のコーナーを含む下りではサーキットらしいダイナミックな走りを堪能できるのが魅力だ。
「楽しんだもの勝ち」というキャッチコピーを掲げる通り、年齢性別バイクの種類に関係なく参加する全員が楽しめるのがもてぎ7時間エンデューロの良いところ。イベント参加の初心者向けに講習会やセミナーも開かれ手厚いサポートを行っている他、カテゴリーも細かく分かれており多くの人に入賞の機会を設けている。
例年は宇都宮ブリッツェンを始めとするプロ選手がサポートライダーとして集団のコントロールや伴走をしてくれるが、今回はJBCFレースと日程が重なっていたため不参加に。代わりに、昨シーズンでプロを引退し最近はレース解説等で活躍している土井雪広さん、宇都宮ブリッツェンや群馬グリフィンで走った経歴を持つ元プロ選手の長沼隆行さん、那須ブラーゼンの若杉社長といった面々がサポートライダーとして集まった。
長沼さんと若杉社長は「急ブレーキや急な走行ライン変更など、とにかく”急な”動きは避けてください。また前走者ばかりに気を取られていると周りが見えなくなるので余裕を持って走ってくださいね」とアドバイス。大会委員長も「皆さんが命をかけるような賞品は用意しておりません」と笑いを誘いつつ安全への注意喚起を行った。
また自転車のイベント会場ではお馴染みのスポーツMCシンジさんとともに、各種イベントのゲストライダーやサイクルYouTuberとしても活動しているMIHO氏がMCとして会場を盛り上げてくれた。MIHO氏は元ブリッツェンフェアリー自転車競技部として今まではイベントに参加する側だったが、今回ついにMC側で応援する立場になれたと感慨深い様子。
さて、イベントは未就学児から小学生までのひよこ/キッズレースからスタート。コースへの移動開始時にはダッシュで位置取り争いをするほどで、その真剣度は大人顔負けだ。我が子の勇姿をカメラに収めようと親御さんもコース脇にずらりと並び声援を飛ばす。ひよこレースは子どもに連れ添って伴走が可能なため、初参加でも安心して走れたことだろう。
そのままの流れで7時間と4時間エンデューロ参加者が続々とコースイン。サーキットの端から端まで目一杯にライダーが並んだ様子はまさに圧巻で、カメラを構える筆者も「今年ももてぎ7耐に来たなー」と胸が高まる気分。並ぶ場所も前から順に上級・中級・初級と自身で選べるため、同じレベルの人たちとまとまって走れる安心感がある。
バイク先導でゆっくりローリングスタート。果てしない人の列がホームストレートを埋め尽くす。前後左右を人で囲まれた空間に緊張した面持ちの参加者も見られたが、走り出してしまえば次第に慣れてきたのか、楽しげな様子でみなペダルを回していく。1周目を終える頃には縦に大きく伸びたレースペースの先頭集団が出来上がっており、早くも真剣勝負な雰囲気を醸し出していた。
ロードバイクとともにクロスバイクやMTB、小径車にママチャリが混走しており、自身のスタイルでイベント参加を楽しめるのはもてぎ7時間エンデューロならではの光景。チームや親子でまとまって、声を掛け合ったりローテーションで協力したりして周回を重ねていくのがエンデューロレースの楽しいところ。今回コスプレライダーは数少なかったが、仮装をして仲間と盛り上がるのもアリだ。
日中は15度を超える気温となったものの日差しは強くなく、半袖だとやや涼しいような印象。いつもは暑くなり多めの水分補給が必須だが、今回は汗のかき具合も程よく参加者にとっては走りやすい環境だったのではないだろうか。日焼けを気にすることもなく、その点女性ライダーにも嬉しい天候だったはず。会場の飲食サービスも例年は20度を超える暑さでかき氷が人気だが、今年は暖かな唐揚げなどがウケていたようだ。
何時間も走って苦しくなると顔が下を向きがちだが、そこはグッと前を見て安全に気をつけて走行しよう。サーキットの周りには青々とした茂木の新緑が広がっており、春らしい景色も楽しめたことと思う。会場にはこどもの日に先駆けて一足早く鯉のぼりも上がっていたが、参加者の皆さんは気づいただろうか。
また毎回白熱した争いが繰り広げられる企業対抗賞は、もてぎ7時間エンデューロの醍醐味の一つ。優勝企業は次回の大会ゼッケンに会社のロゴを入れられる他、パンフレットでも企業アピールページが設けられるという特典があるのだ。今回は東日本旅客鉄道、Tserv、テイ・エステックという三つ巴の戦いに。MCシンジさんも各チームに作戦を聞いて回るなど、会場の盛り上がりに一役買ってくれた。
終盤になると2時間エンデューロもスタート。短時間の勝負となるため、最初からハイスピードを刻む集団がコースに再度活気をもたらしてくれる。国内でも珍しいハンドサイクルとリカンベントのクラスも設けられており、寝そべったスタイルのバイクがロケットのようにコースを駆け抜けていた。
日が傾き始めた夕方4時過ぎ、ようやく7時間もの長い戦いが決着に。最後はソロ参加の2名が抜け出した形となり、マッチスプリントを制した古谷朋一さん(内房レーシングクラブ)が優勝を飾った。平均時速はおよそ40km、58周回で約280kmもの距離をノンストップで走り切ったというから驚きだ。
表彰式の後には豪華景品が当たる抽選会も見逃せない。最後までイベントを楽しみ尽くして帰るとしよう。一日中外を走って顔や腕が真っ赤に日焼けした、というのがいつものもてぎ7時間エンデューロだが今日はそうもならず。次の日に肌がヒリヒリせず、まだまだ続くゴールデンウィークを満喫できそうな予感だ。引き続き秋大会も開催予定のため、日程をチェックして再度ツインリンクもてぎに足を運んでほしい。皆さん、お疲れ様でした。
text&photo:Yuto.Murata
毎年春秋の2回開催されている「もてぎ7時間エンデューロ」。栃木県茂木町にある国際サーキット、ツインリンクもてぎを駆ける関東近郊では定番のレースイベントとして親しまれている大会だ。今年の春大会はゴールデンウィークの初日に当たる4月27日(土)に開かれた。平成から令和へと移り変わる10連休の皮切りとなるこの日は、約2000人もの参加者がここツインリンクに集まった。
大会前日に降っていた雨は当日朝にはなんとか止んだものの、厚い雲が空を覆った肌寒い天気に。朝一は10度を下回る気温で、冬に逆戻りしたかと思わせる季節外れの寒さが会場を襲った。長袖ジャージやウォーマー類を着込んだ参加者も多数。それでも日が昇るに連れ天気は良くなり、雲の切れ間から青空が覗くシーンも見られ、路面も終始ドライコンディションで走ることができた。
レースはMotoGPやSUPER GTなど各種モータースポーツのサーキットで知られるツインリンクもてぎのロードコースを使用。1周4.8kmのコースは幅も広く、思う存分にサーキットを駆けることができる。スタートから程なくして現れる約760mの上り坂が参加者を苦しめ、その後V字やS字のコーナーを含む下りではサーキットらしいダイナミックな走りを堪能できるのが魅力だ。
「楽しんだもの勝ち」というキャッチコピーを掲げる通り、年齢性別バイクの種類に関係なく参加する全員が楽しめるのがもてぎ7時間エンデューロの良いところ。イベント参加の初心者向けに講習会やセミナーも開かれ手厚いサポートを行っている他、カテゴリーも細かく分かれており多くの人に入賞の機会を設けている。
例年は宇都宮ブリッツェンを始めとするプロ選手がサポートライダーとして集団のコントロールや伴走をしてくれるが、今回はJBCFレースと日程が重なっていたため不参加に。代わりに、昨シーズンでプロを引退し最近はレース解説等で活躍している土井雪広さん、宇都宮ブリッツェンや群馬グリフィンで走った経歴を持つ元プロ選手の長沼隆行さん、那須ブラーゼンの若杉社長といった面々がサポートライダーとして集まった。
長沼さんと若杉社長は「急ブレーキや急な走行ライン変更など、とにかく”急な”動きは避けてください。また前走者ばかりに気を取られていると周りが見えなくなるので余裕を持って走ってくださいね」とアドバイス。大会委員長も「皆さんが命をかけるような賞品は用意しておりません」と笑いを誘いつつ安全への注意喚起を行った。
また自転車のイベント会場ではお馴染みのスポーツMCシンジさんとともに、各種イベントのゲストライダーやサイクルYouTuberとしても活動しているMIHO氏がMCとして会場を盛り上げてくれた。MIHO氏は元ブリッツェンフェアリー自転車競技部として今まではイベントに参加する側だったが、今回ついにMC側で応援する立場になれたと感慨深い様子。
さて、イベントは未就学児から小学生までのひよこ/キッズレースからスタート。コースへの移動開始時にはダッシュで位置取り争いをするほどで、その真剣度は大人顔負けだ。我が子の勇姿をカメラに収めようと親御さんもコース脇にずらりと並び声援を飛ばす。ひよこレースは子どもに連れ添って伴走が可能なため、初参加でも安心して走れたことだろう。
そのままの流れで7時間と4時間エンデューロ参加者が続々とコースイン。サーキットの端から端まで目一杯にライダーが並んだ様子はまさに圧巻で、カメラを構える筆者も「今年ももてぎ7耐に来たなー」と胸が高まる気分。並ぶ場所も前から順に上級・中級・初級と自身で選べるため、同じレベルの人たちとまとまって走れる安心感がある。
バイク先導でゆっくりローリングスタート。果てしない人の列がホームストレートを埋め尽くす。前後左右を人で囲まれた空間に緊張した面持ちの参加者も見られたが、走り出してしまえば次第に慣れてきたのか、楽しげな様子でみなペダルを回していく。1周目を終える頃には縦に大きく伸びたレースペースの先頭集団が出来上がっており、早くも真剣勝負な雰囲気を醸し出していた。
ロードバイクとともにクロスバイクやMTB、小径車にママチャリが混走しており、自身のスタイルでイベント参加を楽しめるのはもてぎ7時間エンデューロならではの光景。チームや親子でまとまって、声を掛け合ったりローテーションで協力したりして周回を重ねていくのがエンデューロレースの楽しいところ。今回コスプレライダーは数少なかったが、仮装をして仲間と盛り上がるのもアリだ。
日中は15度を超える気温となったものの日差しは強くなく、半袖だとやや涼しいような印象。いつもは暑くなり多めの水分補給が必須だが、今回は汗のかき具合も程よく参加者にとっては走りやすい環境だったのではないだろうか。日焼けを気にすることもなく、その点女性ライダーにも嬉しい天候だったはず。会場の飲食サービスも例年は20度を超える暑さでかき氷が人気だが、今年は暖かな唐揚げなどがウケていたようだ。
何時間も走って苦しくなると顔が下を向きがちだが、そこはグッと前を見て安全に気をつけて走行しよう。サーキットの周りには青々とした茂木の新緑が広がっており、春らしい景色も楽しめたことと思う。会場にはこどもの日に先駆けて一足早く鯉のぼりも上がっていたが、参加者の皆さんは気づいただろうか。
また毎回白熱した争いが繰り広げられる企業対抗賞は、もてぎ7時間エンデューロの醍醐味の一つ。優勝企業は次回の大会ゼッケンに会社のロゴを入れられる他、パンフレットでも企業アピールページが設けられるという特典があるのだ。今回は東日本旅客鉄道、Tserv、テイ・エステックという三つ巴の戦いに。MCシンジさんも各チームに作戦を聞いて回るなど、会場の盛り上がりに一役買ってくれた。
終盤になると2時間エンデューロもスタート。短時間の勝負となるため、最初からハイスピードを刻む集団がコースに再度活気をもたらしてくれる。国内でも珍しいハンドサイクルとリカンベントのクラスも設けられており、寝そべったスタイルのバイクがロケットのようにコースを駆け抜けていた。
日が傾き始めた夕方4時過ぎ、ようやく7時間もの長い戦いが決着に。最後はソロ参加の2名が抜け出した形となり、マッチスプリントを制した古谷朋一さん(内房レーシングクラブ)が優勝を飾った。平均時速はおよそ40km、58周回で約280kmもの距離をノンストップで走り切ったというから驚きだ。
表彰式の後には豪華景品が当たる抽選会も見逃せない。最後までイベントを楽しみ尽くして帰るとしよう。一日中外を走って顔や腕が真っ赤に日焼けした、というのがいつものもてぎ7時間エンデューロだが今日はそうもならず。次の日に肌がヒリヒリせず、まだまだ続くゴールデンウィークを満喫できそうな予感だ。引き続き秋大会も開催予定のため、日程をチェックして再度ツインリンクもてぎに足を運んでほしい。皆さん、お疲れ様でした。
text&photo:Yuto.Murata
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