2019/05/03(金) - 17:01
ウィリエール日本代理店の担当者 キット北村さんが北のクラシックを巡る旅の連載第3弾は、パリ〜ルーベの市民レースの参戦記。北の地獄と称される石畳を、果たして無事に走りきれるのか?
ベルギーの友人クリスとおよそ20年ぶりに走ります
西フランドル地方の小さな町ポぺリンゲに電車で着いて…
まさかの生牡蠣食中毒ショックを乗り越え、西フランドル地方の小さな町ポぺリンゲに降り立った。この辺り一帯は第1次世界大戦・第2次世界大戦で数々の悲劇があった場所だそうで、今でも時たま不発弾や遺骨が見つかるらしい。
西フランドルでお世話になるのは、今回ウィリエールのレーシングバイク、チェント10NDRを貸してくれたウィリエールディーラーのブルノ店長と、彼の20年来の西フランドル出身の友達クリスであった。また、自転車レースのカメラマンとして有名な砂田弓弦氏のオートバイを運転するモトライダーのシギ・ゲェキィエールさんも合流することとなった。
フランスへ入国。パスポートコントロールがあったであろう国境ゲート
筆者の前の席、ヒゲ親父がブルノ店長、そしてビールを持っているのがクリスさん
いよいよレース当日の朝を迎える
ポぺリンゲから約1時間の地点にあるルーベ。今では使われることの無くなったフランスとベルギーの国境ゲート(パスポートコントロールと思われる跡)を越えてフランス入り。西フランドルの友達クリスと談笑しながら、日本とベルギーのおっさん2人でルーベへと向かう。
ロンド・ファン・フラーンデレンでは大会参加者用の巨大な駐車場があったが、パリ〜ルーベではそんな駐車場はどうも無さそうだ。ルーベの住宅街に路上駐車し、スタート会場のヴェロドロームへと向かう。屋外のヴェロドローム前には巨大な石のモニュメントがあり、朝焼けに照らされながら思わず記念撮影。そして、ナンバープレートを受け取りに新しいルーベ・ヴェロドロームへ。
新しいヴェロドロームの中での受付
パリ〜ルーベチャレンジのスタート
ロンド・ファン・フラーンデレンに比べて、スタート会場が大変こじんまりとしていた。やはり歴史的にはまだ新しい大会なのだ。新しいヴェロドロームの屋内で受付。レース当日の朝は大変寒く、風が強くて体感気温はマイナス5度! 参加者の皆さん、防寒対策をしっかりとしています。かく言う私もロンド・ファン・フラーンデレンよりも防風・防寒対策で重装備に。また、ロンドで課題であったパンク対策も、予備チューブ2本&CO2ボンベを2本装備し準備万端。
パリ〜ルーベのスタート地点へ。ブースエリアは小さめです
いよいよスタートです!
クリスは『パリ〜ルーベはロードバイクで走るコースではない!』と言ってマウンテンバイクで参戦です。ナンバープレートを取り付け、カウントダウンが始ま、いよいよレーススタートです。小さな町ルーベを抜けると眼前一面に広大な畑が広がります。街路樹も少なく、強風に煽られます。石畳まではグループで協力関係!体力を温存します。
石畳セクションまではグループで協力して走ります
まだあまり疲れていませんがエイドステーション登場
フルーツやエナジーバーをたらふく頬張ります
何事も無く35㎞消化!?
時速30㎞ペースでクリスと2人で35㎞の距離を消化する。石畳区間が無く、あっという間にエイドステーションへ到着。エイドステーションもロンド・ファン・フラーンデレンと比べてこじんまりとしている。朝ご飯を食べていないので、ここでバナナやオレンジ、パワーバー等をしこたま食べます。
(多分きっと)パリ〜ルーベチャレンジの名物おばちゃんです
食べているとふくよかな女性が近寄ってきます!?スポーツドリンクを配給する(多分きっと)名物おばちゃんです。絶対に毎年このおばちゃんはエイドステーションで会える方なんだと思います!記念撮影すると『綺麗に写真に映ってる?』と聞かれ苦笑。『ありがとう、頑張ってきま~す!』と名物おばちゃんにお別れを告げコースに復帰します。
広大な畑の道は街路樹も無く、風をもろに受けてしまいます
いよいよ最初の石畳セクター8**タンプルーヴ登場!
石畳の洗礼を受ける‼
エイドステーションを越えるとすぐに石畳のセクションが現れた。最初の石畳はセクター8**タンプルーヴである。ベルギーの石畳とは全く異なる石の配置と間隙。石と石との間隙がベルギーのように詰まっていない!それもそのはずロンド・ファン・フラーンデレンの石畳は生活道路であったが、パリ〜ルーベは農道である。セクター8は★★区間なので走りやすいのだろう。石畳を回避する沿道の草ボーボーラインもあり無事に切り抜けた。
セクター7***シソワン~ブルゲルを駆ける
そして、セクター7***シソワン~ブルゲルは、石と石との間隙は詰まったが、石畳区間が1300mと長い! 続いて無難にセクター6***ブルゲル~ワヌアン1100mもこなす。そして、個人的には一番嫌だったセクター5****カンファナン・ペヴェルへ。石畳の上に砂が浮いており、走りにくいったらありゃしない。
セクター5****カンファナン・ペヴェルは石畳の上に砂が浮いています
4つの石畳セクターをこなして気づいたことは、各セクターの石畳は全く異なる素材と大きさの石を使って石畳を形成しており、その農道を作った職人の癖が出ているということ。また、大型のトラクターが頻繁に通る農道は道がアーチ状になっており、非常に走りにくくなっている。その時、男はだまって石畳のど真ん中を走るのです!
そして、ついに悪名高き“セクター4*****カルフール・ド・ラルブル”です。2100mも石畳が続き、パリ〜ルーベの勝負所として大変有名なセクターです。さすが5つ星区間です。
セクター4*****カルフール・ド・ラルブルです。いつまでこの石畳が続くの!
もう腕が痛くなってしまいましたが、観客が多かったので沿道(畑のあぜ道)からの応援があり、セクター5****カンファナン・ペヴェルよりもきつさは感じませんでした。応援してくれる観客の人達ってありがたいですよね。
観客が見守る中、最終コーナーを回って屋外のヴェロドロームへドロップイン
いよいよヴェロドローム内のフィニッシュラインへ!
ほとんどのセクターを走り終え、ルーベの町へ。街中に小さな最後の石畳区間があれど、それは街の中にあるわずか300mの綺麗な石畳。最後のセクター1*ルーベを抜けて、朝方車で通った道を通りいよいよヴェロドロームへと帰ってきました。
多分20年ぶりぐらいにバンクを走るのですが、ゴールの景色を撮影しながらなのでスピードに勢いが無く、カントの付いたバンクを駆け上がれません(笑)!
カントのついたバンクを駆け下りフィニッシュへ!
ゴールライン奥にプロのカメラマンが待ち構えていたのが見えたのでデジカメをポケットにしまいこみ、少しだけバンクのコーナー出口でバンクを駆け上がりゴールラインへ。2週間にわたる私の旅も終焉に近づいています。友達のクリスも気を利かせてカメラを持って待ち構えているので、『何かしらのゴールパフォーマンスをせよ!』と無言のプレッシャー(汗)。やはりここは私の勝手なイメージ「トム・ボーネン風にゴールしよう!」と決めた。
ゴール手前3mでバイクから降り、バイクを掲げて感動のゴール。
クリスの要求に応えゴールパフォーマンス。最高の気分だった
5大モニュメントの2つを制覇!?
100年以上前から続くクラシックと呼ばれるレースのうち、“クラシックの王様と言われるロンド・ファン・フラーンデレン”、そして“クラシックの女王と言われるパリ〜ルーベ”。この2つのイベントを走り終えて、私の意識は大きく変わりました。元々MTBが自分のメインだったゆえなのか?ジロ・デ・イタリアのコースを走っても、グアムのロングライドを走っても、しまなみ海道を走っても、長野の雄大な山々の麓の道路を走っても、走って辿り着く景色に感動はすれど、それらのアスファルトで出来た路面自体には感動しなかった。それは“アスファルトがきれいな状態か?それとも損傷し荒れた状態なのか?”程度の違いしか路面状況に違いが無いからなんだと思う。
ルーベのヴェロドロームの前には巨大な石のモニュメント
MTBのコースだと路面は多種多様!ハワイアンマウンテンツアーでは水深1m弱の川を渡らせられたし、アメリカのモアブではスリックロックというサンドペーパーのような岩盤の急勾配を登ったし、カナダのウィスラーでは木製のラダーの上を走ったし、アメリカのアリゾナではオレンジ色の砂漠の荒野を走った。そして今回はロードバイクというカテゴリーのなかで初めて、景色ではなくコースの路面に感銘を受けた!
ロンド・ファン・フラーンデレンそしてパリ〜ルーベは凄い魅力を持ったレースだと思う! パリ〜ルーベのコースは正直ロードバイクで走る道ではないと思うが、100年以上も続くこのレース。これもロードバイクの文化なんだと素直に受け止めた時に、私のロードバイクの概念が大きく変化した。
こんなにも感銘を受けるなんて思っていなかったので、他のモニュメント(クラシックレース)にも興味が湧いてしまいました。5大モニュメントは残り3つ、“ミラノ・サンレモ”、“リエージュ・バストーニュ・リエージュ”、“イル・ロンバルディア”!いつかこれらも走ってみたい!と思った。
P.S. 石のトロフィーは、持って帰るのにとても重いです(笑)!
パリ〜ルーベチャレンジとロンド・ファン・フラーンデレン・シクロの2つのメダルを手にした喜びは格別
もしパリ〜ルーベやロンド・ファン・フラーンデレンの対策練習方法を考えるならば…
私はパリ〜ルーベそしてロンド・ファン・フラーンデレンの練習として、大阪の真田山にある石畳の道で2月上旬から仮想練習を行っていた。もちろん日本の石畳はヨーロッパの石畳と比べ、敷かれた石の1つ1つが小さくなだらかなので、タイヤの空気圧を高めにしてロードバイクの乗り心地を悪くして対応した。イタリアの石畳を走った経験もあるので、『自分はベルギーやフランスの石畳も大丈夫だろう!』と高を括っていたが、現実はそうでは無かった。
イタリアの石畳はマイルドだが、ベルギーやフランスの石畳は予想以上に尖っていた。この偉大なる2レースを走った後に思ったことは、“真田山の石畳を走る事”よりも“リジッドMTBで長い長い階段を下りる事”の方が感覚的に近いということであった。
リジッドMTBで長い長い階段を下りることと言っても、決してレッドブルホーリーライドのような段差の大きな階段をダイナミックに下りるものではなく、「MTB黎明期のまだフロントサスペンションすら無い時代に、段差の小さな階段に挑戦したようなもの」と言ったら、シクロワイアードの読者の皆様には分かってもらえるだろうか?多分40歳以上のMTB乗りの読者さんには分かってもらえる話なのかな(汗)。
石畳対策練習方法が分かったので、もし将来また出場・参加する機会があれば、もう少し上手く走れると思った。また、ロックショックスのパリ〜ルーベという往年のロード用サスペンションフォークが無性に欲しくなってしまった(笑)。
次回はプロレースのパリ〜ルーベ観戦に続く…
北村圭介(Keisuke “Kitto” Kitamura) ウィリエール・チェント10NDRとともに 北村圭介(Keisuke “Kitto” Kitamura)プロフィール
若い時にはマウンテンバイクが大好きで、世界中を走り回る。現在はウィリエール・トリエスティーナ、プロロゴ、リッチー、モトレックス等を扱う輸入販売代理店:服部産業株式会社に勤める。元・高校理科教師として日本とアメリカで教鞭をふるった異色の経歴の持ち主。ヨーロッパで走る際には“Team Wilier Triestina-Elro Sport-Covemaecker-Physical Therapy Chris Wheaton.be”に所属する。
photo&text:Keisuke “Kitto” Kitamura
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西フランドル地方の小さな町ポぺリンゲに電車で着いて…
まさかの生牡蠣食中毒ショックを乗り越え、西フランドル地方の小さな町ポぺリンゲに降り立った。この辺り一帯は第1次世界大戦・第2次世界大戦で数々の悲劇があった場所だそうで、今でも時たま不発弾や遺骨が見つかるらしい。
西フランドルでお世話になるのは、今回ウィリエールのレーシングバイク、チェント10NDRを貸してくれたウィリエールディーラーのブルノ店長と、彼の20年来の西フランドル出身の友達クリスであった。また、自転車レースのカメラマンとして有名な砂田弓弦氏のオートバイを運転するモトライダーのシギ・ゲェキィエールさんも合流することとなった。
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いよいよレース当日の朝を迎える
ポぺリンゲから約1時間の地点にあるルーベ。今では使われることの無くなったフランスとベルギーの国境ゲート(パスポートコントロールと思われる跡)を越えてフランス入り。西フランドルの友達クリスと談笑しながら、日本とベルギーのおっさん2人でルーベへと向かう。
ロンド・ファン・フラーンデレンでは大会参加者用の巨大な駐車場があったが、パリ〜ルーベではそんな駐車場はどうも無さそうだ。ルーベの住宅街に路上駐車し、スタート会場のヴェロドロームへと向かう。屋外のヴェロドローム前には巨大な石のモニュメントがあり、朝焼けに照らされながら思わず記念撮影。そして、ナンバープレートを受け取りに新しいルーベ・ヴェロドロームへ。
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ロンド・ファン・フラーンデレンに比べて、スタート会場が大変こじんまりとしていた。やはり歴史的にはまだ新しい大会なのだ。新しいヴェロドロームの屋内で受付。レース当日の朝は大変寒く、風が強くて体感気温はマイナス5度! 参加者の皆さん、防寒対策をしっかりとしています。かく言う私もロンド・ファン・フラーンデレンよりも防風・防寒対策で重装備に。また、ロンドで課題であったパンク対策も、予備チューブ2本&CO2ボンベを2本装備し準備万端。
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いよいよスタートです!
クリスは『パリ〜ルーベはロードバイクで走るコースではない!』と言ってマウンテンバイクで参戦です。ナンバープレートを取り付け、カウントダウンが始ま、いよいよレーススタートです。小さな町ルーベを抜けると眼前一面に広大な畑が広がります。街路樹も少なく、強風に煽られます。石畳まではグループで協力関係!体力を温存します。
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時速30㎞ペースでクリスと2人で35㎞の距離を消化する。石畳区間が無く、あっという間にエイドステーションへ到着。エイドステーションもロンド・ファン・フラーンデレンと比べてこじんまりとしている。朝ご飯を食べていないので、ここでバナナやオレンジ、パワーバー等をしこたま食べます。
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石畳の洗礼を受ける‼
エイドステーションを越えるとすぐに石畳のセクションが現れた。最初の石畳はセクター8**タンプルーヴである。ベルギーの石畳とは全く異なる石の配置と間隙。石と石との間隙がベルギーのように詰まっていない!それもそのはずロンド・ファン・フラーンデレンの石畳は生活道路であったが、パリ〜ルーベは農道である。セクター8は★★区間なので走りやすいのだろう。石畳を回避する沿道の草ボーボーラインもあり無事に切り抜けた。
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そして、セクター7***シソワン~ブルゲルは、石と石との間隙は詰まったが、石畳区間が1300mと長い! 続いて無難にセクター6***ブルゲル~ワヌアン1100mもこなす。そして、個人的には一番嫌だったセクター5****カンファナン・ペヴェルへ。石畳の上に砂が浮いており、走りにくいったらありゃしない。
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4つの石畳セクターをこなして気づいたことは、各セクターの石畳は全く異なる素材と大きさの石を使って石畳を形成しており、その農道を作った職人の癖が出ているということ。また、大型のトラクターが頻繁に通る農道は道がアーチ状になっており、非常に走りにくくなっている。その時、男はだまって石畳のど真ん中を走るのです!
そして、ついに悪名高き“セクター4*****カルフール・ド・ラルブル”です。2100mも石畳が続き、パリ〜ルーベの勝負所として大変有名なセクターです。さすが5つ星区間です。
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もう腕が痛くなってしまいましたが、観客が多かったので沿道(畑のあぜ道)からの応援があり、セクター5****カンファナン・ペヴェルよりもきつさは感じませんでした。応援してくれる観客の人達ってありがたいですよね。
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いよいよヴェロドローム内のフィニッシュラインへ!
ほとんどのセクターを走り終え、ルーベの町へ。街中に小さな最後の石畳区間があれど、それは街の中にあるわずか300mの綺麗な石畳。最後のセクター1*ルーベを抜けて、朝方車で通った道を通りいよいよヴェロドロームへと帰ってきました。
多分20年ぶりぐらいにバンクを走るのですが、ゴールの景色を撮影しながらなのでスピードに勢いが無く、カントの付いたバンクを駆け上がれません(笑)!
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ゴールライン奥にプロのカメラマンが待ち構えていたのが見えたのでデジカメをポケットにしまいこみ、少しだけバンクのコーナー出口でバンクを駆け上がりゴールラインへ。2週間にわたる私の旅も終焉に近づいています。友達のクリスも気を利かせてカメラを持って待ち構えているので、『何かしらのゴールパフォーマンスをせよ!』と無言のプレッシャー(汗)。やはりここは私の勝手なイメージ「トム・ボーネン風にゴールしよう!」と決めた。
ゴール手前3mでバイクから降り、バイクを掲げて感動のゴール。
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5大モニュメントの2つを制覇!?
100年以上前から続くクラシックと呼ばれるレースのうち、“クラシックの王様と言われるロンド・ファン・フラーンデレン”、そして“クラシックの女王と言われるパリ〜ルーベ”。この2つのイベントを走り終えて、私の意識は大きく変わりました。元々MTBが自分のメインだったゆえなのか?ジロ・デ・イタリアのコースを走っても、グアムのロングライドを走っても、しまなみ海道を走っても、長野の雄大な山々の麓の道路を走っても、走って辿り着く景色に感動はすれど、それらのアスファルトで出来た路面自体には感動しなかった。それは“アスファルトがきれいな状態か?それとも損傷し荒れた状態なのか?”程度の違いしか路面状況に違いが無いからなんだと思う。
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MTBのコースだと路面は多種多様!ハワイアンマウンテンツアーでは水深1m弱の川を渡らせられたし、アメリカのモアブではスリックロックというサンドペーパーのような岩盤の急勾配を登ったし、カナダのウィスラーでは木製のラダーの上を走ったし、アメリカのアリゾナではオレンジ色の砂漠の荒野を走った。そして今回はロードバイクというカテゴリーのなかで初めて、景色ではなくコースの路面に感銘を受けた!
ロンド・ファン・フラーンデレンそしてパリ〜ルーベは凄い魅力を持ったレースだと思う! パリ〜ルーベのコースは正直ロードバイクで走る道ではないと思うが、100年以上も続くこのレース。これもロードバイクの文化なんだと素直に受け止めた時に、私のロードバイクの概念が大きく変化した。
こんなにも感銘を受けるなんて思っていなかったので、他のモニュメント(クラシックレース)にも興味が湧いてしまいました。5大モニュメントは残り3つ、“ミラノ・サンレモ”、“リエージュ・バストーニュ・リエージュ”、“イル・ロンバルディア”!いつかこれらも走ってみたい!と思った。
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私はパリ〜ルーベそしてロンド・ファン・フラーンデレンの練習として、大阪の真田山にある石畳の道で2月上旬から仮想練習を行っていた。もちろん日本の石畳はヨーロッパの石畳と比べ、敷かれた石の1つ1つが小さくなだらかなので、タイヤの空気圧を高めにしてロードバイクの乗り心地を悪くして対応した。イタリアの石畳を走った経験もあるので、『自分はベルギーやフランスの石畳も大丈夫だろう!』と高を括っていたが、現実はそうでは無かった。
イタリアの石畳はマイルドだが、ベルギーやフランスの石畳は予想以上に尖っていた。この偉大なる2レースを走った後に思ったことは、“真田山の石畳を走る事”よりも“リジッドMTBで長い長い階段を下りる事”の方が感覚的に近いということであった。
リジッドMTBで長い長い階段を下りることと言っても、決してレッドブルホーリーライドのような段差の大きな階段をダイナミックに下りるものではなく、「MTB黎明期のまだフロントサスペンションすら無い時代に、段差の小さな階段に挑戦したようなもの」と言ったら、シクロワイアードの読者の皆様には分かってもらえるだろうか?多分40歳以上のMTB乗りの読者さんには分かってもらえる話なのかな(汗)。
石畳対策練習方法が分かったので、もし将来また出場・参加する機会があれば、もう少し上手く走れると思った。また、ロックショックスのパリ〜ルーベという往年のロード用サスペンションフォークが無性に欲しくなってしまった(笑)。
次回はプロレースのパリ〜ルーベ観戦に続く…
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若い時にはマウンテンバイクが大好きで、世界中を走り回る。現在はウィリエール・トリエスティーナ、プロロゴ、リッチー、モトレックス等を扱う輸入販売代理店:服部産業株式会社に勤める。元・高校理科教師として日本とアメリカで教鞭をふるった異色の経歴の持ち主。ヨーロッパで走る際には“Team Wilier Triestina-Elro Sport-Covemaecker-Physical Therapy Chris Wheaton.be”に所属する。
photo&text:Keisuke “Kitto” Kitamura
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