2019/04/26(金) - 08:52
イタリアのバイクブランド、ウィリエールの担当者・キット北村さんがロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベ市民レースに挑戦。プロレースも現地観戦してきた。北のクラシックをたっぷり楽しんだ2週間のレポートを連載形式でお届けします。
シクロワイアードの読者の皆様、初めまして。「キット・キタムラ」こと北村圭介と申します。普段はウィリエール・トリエスティーナ社日本総代理店の服部産業株式会社という輸入商社に勤めており、ウィリエールの担当として、しょっちゅうヨーロッパ、主にイタリアをうろうろしております。
元々海外放浪癖があり、今でも時々病気のように海外を放浪したい欲求に駆られてしまいます。今回、ロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベの北のクラシックの「王様」と「女王様」の2つの市民レースのために渡欧しました。
さて、今回の旅の目的は自分のレース参戦だけでなく、もう一つ目的がありました。それは2つの北のクラシックで、ウィリエールのスポンサードするチームに今年移籍してきたニキ・テルプストラ選手(昨年のロンド覇者)の活躍を見ることなのです!
ニキ・テルプストラ選手は優勝候補の一人として出場するので、優勝に絡んでくれるだろうと大きな期待を持って観戦することに。またウィリエールのスポンサードするディレクトエネルジーがパリ〜ルーベから「トタル・ディレクトエネルジー」になり、ウェアやバイクのカラーリングが一新するチームプレゼンテーションがあるようなので、新しいカラーリングの自転車も確認したかったのです。
さて、以前から大変興味のあったレースのロンドとルーベ。毎年なら3月末は台北サイクルショーの出張があるので、この目で春のクラシックレースを見る御縁はありませんでした。今年(2019年)は会社で台北サイクルショーへの出張メンバーに選ばれなかったので、1月から渡欧の計画を立て始めましたが!
しかしベルギーには行ったことが無いので、どこから手を付けたら良いのか?途方に暮れていました。風の噂で、シクロワイアードの綾野編集長が今年もベルギーに行かれると耳にし、綾野編集長に相談することにした。これが、出発前のてんやわんやを引き起こすことになるとは思いもよらなかった…(汗)。
初めて訪れる国ベルギーという事で、ヨーロッパ取材&旅行の達人、綾野編集長から沢山のアドバイスを頂いた。2月上旬の時点ではまだ渡欧するかどうかを決めかねていましたが、綾野編集長のお誘いもあって、『最悪、何かあれば、綾野編集長がベルギーで近くに居てるし、泊まられるアパートに転がり込めば良いか!』と安易に考え、2月下旬に参加を決めた。
インターネットで市民レースの登録を行う。ウェブサイトは“ロンド・ファン・フラーンデレン・シクロ”の方が“パリ〜ルーベ・チャレンジ”よりも分かりやすかった。
そして出発直前の3月中旬、綾野編集長より『北村さん、今回の仕事の都合でベルギー出張が無くなりまして、飛行機キャンセルしました!』との突然の話…。目の前が真っ暗になり、ヨーロッパの友達全員に『SOS、5日後にベルギー旅行に行くのですが、ホテルも何も決めてません!誰か助けてください!』と緊急事態宣言メッセージを一斉送信!しかし出発の3日前に何とかホテルを抑えることが出来て、冷や汗をかいた。
レース前日は軽く足慣らし
無事にブリュッセル空港に到着し、ベルギーの友達に迎えに来てもらう。レース前日はレンタルバイクのセッティングと、ベルギーの道路事情を把握するために、ベルギー人の友達と60kmのライドに出掛ける。レンタルしてもらうバイクは春のクラシックレースのためにウィリエール・トリエスティーナ社が開発したチェント10NDRである。
リヤのシートステーに付いた「アクティフレックス」という機構が荒れた路面でトラクションを稼ぎ出す。レンタルバイクはアスチュートのサドルが付いていたが、北村的石畳対策として、サドルをプロロゴのディメンションNDR-CPCサドルに交換。また通常のサドル高は71cmなのだが、70cmと低めとした。石畳対策としてグローブをプロロゴのCPCを使ったグローブに交換。バーテープを2重に巻くことも考えたが、バーが太くなる事を嫌い、グローブで解決するアイディアだ。ヨーロッパは寒かったので、プロロゴのグローブの上にウィリエールのエキストラグローブ重ね装着で寒さ対策にも。
いよいよレース当日の朝を迎える
ベルギーの友達夫婦にアントワープ郊外のホテルからスタート地点の街オーデナールデに連れて行ってもらう。スタート会場までの道路が大渋滞しており、1kmほど離れた参加者駐車場へ。荷物を持って会場まで移動した。
スタート会場はたくさんの自転車と人でごった返しており、熱気がムンムン伝わる! 受付は体育館のようなところで無事にナンバープレートを受け取る。受付外にあるサインボードに出走サインをすると気分はもうプロ選手ですよ! ゼッケンプレートを自転車に取り付け、いざスタートゲートへと向かう!
前半で早くも2度のパンク‼
スタートしてオーデナールデの美しい街並みを観ながら川沿いに走る。これから石畳が本当に現れるのだろうか?そんな雰囲気なのだが、農道で大きな釘を踏み、1度目のパンク!石畳に入る前に予備チューブを使ってしまうという予想外の展開だ。CO2ボンベを使って5分ほどでパンクを直し、いよいよ石畳ゾーンへ!最初の石畳ゾーンはそそり立つようなコッペンベルグである。そして、最初の石畳の下りで2度目のパンク!
「もはや予備チューブも無くリタイヤか!」と思われたが、たまたまホイールがポテトチップスのような状態でリタイヤする参加者が近くにおられてチューブをめぐんでもらう。そこへ大会サポートメカニックの車が来たものだから、CO2ボンベも切れているので、チップ5ユーロを支払ってチューブの交換をしてもらう。
沢山の人々の応援と大会サポート体制に励まされた中盤
沿道には沢山の観客が参加者を応援してくれており、2度のパンクで心が折れそうな私を支えてくれています!『背中を押してくれ~!』と訴えても、押してくれません(涙)。途中には峠のカフェが往年の選手のパネルを設置して営業していました!
『ビール飲みか?』と言われたが、お酒が飲めないので断りました。その後、のらりくらりと石畳の登りセクションをクリアーし、45km地点にようやくエイドステーションが現れた。エイドステーションではスポーツドリンク、コーヒー、フルーツやワッフル、エナジーバーが振る舞われ、エイドステーションスタッフの笑顔に癒されます。
足がピリピリと痛んできた後半
エイドステーションを越えたところで残り30km。後半にはレッドブルステーションがあり、レッドブルガールズに鼻の下を伸ばしながらレッドブルをしこたま飲む!。呑気に走っていたが、眼前に最後の山場「オウデ・クワレモント」と「パテルベルグ」が待ち構える!ここで心が折れそうになる。
激坂&最後の勝負どころとして名高いパテルベルグでは、皆が苦悶の表情で登っていく。私は意地で「絶対に足を着かずに登りきるぞ!」と思っていたが、勾配のきつい所で前の参加者が転倒し、前が詰まり残念ながら足を着いてしまう(涙)!
そして、山場を越えると、いよいよゴールまでの大通り直線ストレートへ、参加者のほとんどが最後のスプリントをしていたが、私は(ウィリエールに乗った)アレッサンドロ・バッラン(ランプレ)が2007年に制した道を噛みしめながら、ゆっくりとゴール。2度のパンクもあり、心身ともに疲れたロンド・ファン・フラーンデレン参戦であった。
次回はプロレースのロンド・ファン・フラーンデレン観戦記へと続く…
北村圭介(Keisuke “Kitto” Kitamura)プロフィール
若い時にはマウンテンバイクが大好きで、世界中を走り回る。現在はウィリエール・トリエスティーナ、プロロゴ、リッチー、モトレックス等を扱う輸入販売代理店:服部産業株式会社に勤める。元・高校理科教師として日本とアメリカで教鞭をふるった異色の経歴の持ち主。ヨーロッパで走る際には“Team Wilier Triestina-Elro Sport-Covemaecker-Physical Therapy Chris Wheaton.be”に所属する。
photo&text:Keisuke “Kitto” Kitamura
シクロワイアードの読者の皆様、初めまして。「キット・キタムラ」こと北村圭介と申します。普段はウィリエール・トリエスティーナ社日本総代理店の服部産業株式会社という輸入商社に勤めており、ウィリエールの担当として、しょっちゅうヨーロッパ、主にイタリアをうろうろしております。
元々海外放浪癖があり、今でも時々病気のように海外を放浪したい欲求に駆られてしまいます。今回、ロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベの北のクラシックの「王様」と「女王様」の2つの市民レースのために渡欧しました。
さて、今回の旅の目的は自分のレース参戦だけでなく、もう一つ目的がありました。それは2つの北のクラシックで、ウィリエールのスポンサードするチームに今年移籍してきたニキ・テルプストラ選手(昨年のロンド覇者)の活躍を見ることなのです!
ニキ・テルプストラ選手は優勝候補の一人として出場するので、優勝に絡んでくれるだろうと大きな期待を持って観戦することに。またウィリエールのスポンサードするディレクトエネルジーがパリ〜ルーベから「トタル・ディレクトエネルジー」になり、ウェアやバイクのカラーリングが一新するチームプレゼンテーションがあるようなので、新しいカラーリングの自転車も確認したかったのです。
さて、以前から大変興味のあったレースのロンドとルーベ。毎年なら3月末は台北サイクルショーの出張があるので、この目で春のクラシックレースを見る御縁はありませんでした。今年(2019年)は会社で台北サイクルショーへの出張メンバーに選ばれなかったので、1月から渡欧の計画を立て始めましたが!
しかしベルギーには行ったことが無いので、どこから手を付けたら良いのか?途方に暮れていました。風の噂で、シクロワイアードの綾野編集長が今年もベルギーに行かれると耳にし、綾野編集長に相談することにした。これが、出発前のてんやわんやを引き起こすことになるとは思いもよらなかった…(汗)。
初めて訪れる国ベルギーという事で、ヨーロッパ取材&旅行の達人、綾野編集長から沢山のアドバイスを頂いた。2月上旬の時点ではまだ渡欧するかどうかを決めかねていましたが、綾野編集長のお誘いもあって、『最悪、何かあれば、綾野編集長がベルギーで近くに居てるし、泊まられるアパートに転がり込めば良いか!』と安易に考え、2月下旬に参加を決めた。
インターネットで市民レースの登録を行う。ウェブサイトは“ロンド・ファン・フラーンデレン・シクロ”の方が“パリ〜ルーベ・チャレンジ”よりも分かりやすかった。
そして出発直前の3月中旬、綾野編集長より『北村さん、今回の仕事の都合でベルギー出張が無くなりまして、飛行機キャンセルしました!』との突然の話…。目の前が真っ暗になり、ヨーロッパの友達全員に『SOS、5日後にベルギー旅行に行くのですが、ホテルも何も決めてません!誰か助けてください!』と緊急事態宣言メッセージを一斉送信!しかし出発の3日前に何とかホテルを抑えることが出来て、冷や汗をかいた。
レース前日は軽く足慣らし
無事にブリュッセル空港に到着し、ベルギーの友達に迎えに来てもらう。レース前日はレンタルバイクのセッティングと、ベルギーの道路事情を把握するために、ベルギー人の友達と60kmのライドに出掛ける。レンタルしてもらうバイクは春のクラシックレースのためにウィリエール・トリエスティーナ社が開発したチェント10NDRである。
リヤのシートステーに付いた「アクティフレックス」という機構が荒れた路面でトラクションを稼ぎ出す。レンタルバイクはアスチュートのサドルが付いていたが、北村的石畳対策として、サドルをプロロゴのディメンションNDR-CPCサドルに交換。また通常のサドル高は71cmなのだが、70cmと低めとした。石畳対策としてグローブをプロロゴのCPCを使ったグローブに交換。バーテープを2重に巻くことも考えたが、バーが太くなる事を嫌い、グローブで解決するアイディアだ。ヨーロッパは寒かったので、プロロゴのグローブの上にウィリエールのエキストラグローブ重ね装着で寒さ対策にも。
いよいよレース当日の朝を迎える
ベルギーの友達夫婦にアントワープ郊外のホテルからスタート地点の街オーデナールデに連れて行ってもらう。スタート会場までの道路が大渋滞しており、1kmほど離れた参加者駐車場へ。荷物を持って会場まで移動した。
スタート会場はたくさんの自転車と人でごった返しており、熱気がムンムン伝わる! 受付は体育館のようなところで無事にナンバープレートを受け取る。受付外にあるサインボードに出走サインをすると気分はもうプロ選手ですよ! ゼッケンプレートを自転車に取り付け、いざスタートゲートへと向かう!
前半で早くも2度のパンク‼
スタートしてオーデナールデの美しい街並みを観ながら川沿いに走る。これから石畳が本当に現れるのだろうか?そんな雰囲気なのだが、農道で大きな釘を踏み、1度目のパンク!石畳に入る前に予備チューブを使ってしまうという予想外の展開だ。CO2ボンベを使って5分ほどでパンクを直し、いよいよ石畳ゾーンへ!最初の石畳ゾーンはそそり立つようなコッペンベルグである。そして、最初の石畳の下りで2度目のパンク!
「もはや予備チューブも無くリタイヤか!」と思われたが、たまたまホイールがポテトチップスのような状態でリタイヤする参加者が近くにおられてチューブをめぐんでもらう。そこへ大会サポートメカニックの車が来たものだから、CO2ボンベも切れているので、チップ5ユーロを支払ってチューブの交換をしてもらう。
沢山の人々の応援と大会サポート体制に励まされた中盤
沿道には沢山の観客が参加者を応援してくれており、2度のパンクで心が折れそうな私を支えてくれています!『背中を押してくれ~!』と訴えても、押してくれません(涙)。途中には峠のカフェが往年の選手のパネルを設置して営業していました!
『ビール飲みか?』と言われたが、お酒が飲めないので断りました。その後、のらりくらりと石畳の登りセクションをクリアーし、45km地点にようやくエイドステーションが現れた。エイドステーションではスポーツドリンク、コーヒー、フルーツやワッフル、エナジーバーが振る舞われ、エイドステーションスタッフの笑顔に癒されます。
足がピリピリと痛んできた後半
エイドステーションを越えたところで残り30km。後半にはレッドブルステーションがあり、レッドブルガールズに鼻の下を伸ばしながらレッドブルをしこたま飲む!。呑気に走っていたが、眼前に最後の山場「オウデ・クワレモント」と「パテルベルグ」が待ち構える!ここで心が折れそうになる。
激坂&最後の勝負どころとして名高いパテルベルグでは、皆が苦悶の表情で登っていく。私は意地で「絶対に足を着かずに登りきるぞ!」と思っていたが、勾配のきつい所で前の参加者が転倒し、前が詰まり残念ながら足を着いてしまう(涙)!
そして、山場を越えると、いよいよゴールまでの大通り直線ストレートへ、参加者のほとんどが最後のスプリントをしていたが、私は(ウィリエールに乗った)アレッサンドロ・バッラン(ランプレ)が2007年に制した道を噛みしめながら、ゆっくりとゴール。2度のパンクもあり、心身ともに疲れたロンド・ファン・フラーンデレン参戦であった。
次回はプロレースのロンド・ファン・フラーンデレン観戦記へと続く…
北村圭介(Keisuke “Kitto” Kitamura)プロフィール
若い時にはマウンテンバイクが大好きで、世界中を走り回る。現在はウィリエール・トリエスティーナ、プロロゴ、リッチー、モトレックス等を扱う輸入販売代理店:服部産業株式会社に勤める。元・高校理科教師として日本とアメリカで教鞭をふるった異色の経歴の持ち主。ヨーロッパで走る際には“Team Wilier Triestina-Elro Sport-Covemaecker-Physical Therapy Chris Wheaton.be”に所属する。
photo&text:Keisuke “Kitto” Kitamura
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