2019/04/27(土) - 12:12
埼玉県川越市の入間川沿いにあるオフロードヴィレッジで開催される「川越サイクルエンデューロ」が新シーズンを迎えた。新たな種目ダート競輪でスプリントレースを楽しみ、お馴染みエンデューロで和気あいあいとオフロードで遊んだ第1戦をレポートする。
昨年の11月よりスタートを切ったオフロードヴィレッジの川越サイクルエンデューロ。2月で一旦ファーストシーズンの幕が降りたが、4月から12月までで全6戦開催する新たなシーズンとして幕が再び上がる。
朝晩は冷え込みが気持ち良い春の陽気が残り、日中は汗ばむほど気温が高くなる初夏が顔を覗かせる4月20日。約50名のサイクリストたちが、菜の花が所々黄色に染める埼玉県川越市の入間川沿いにあるオフロードヴィレッジに集まった。
規模が大きすぎないこの大会を包むのはアットホームな空気感。昨シーズンのレポートでもお伝えしてきたが、その朗らかで居心地の良い雰囲気は今回も変わりない。ノンビリと過ごしながらめいめいに準備を進めている参加者たちを見ていると、レースだからって気を張らなくても良いんだと気が付かされる。
この日は山がそびえるモトクロスコースではなく、ダートオーバルや細かいバンプやバンクのあるコーナー、小さなジャンプポイントがあるコースが自転車イベントの会場。メインコースでは、5月12日に開催されるモトクロスの全日本選手権に向けて練習するモトクロッサー達がテーブルトップをかっ飛んでいたのだ。
エンジンの爆音を轟かせ、土煙の向こう側からジャンプしながら視界に飛び出てくるモトクロスの迫力に興味津々な参加者の方もいたようで(もしかして筆者だけ?)、準備を行いながらついついバイクに目をやってしまうのだった。
目を自転車コースに戻し、全体を眺めてみるとダイナミックなテーブルトップなどは無く概ね平坦で、比較的イージー。約80cm程度のドロップやオフキャンバーのコーナーなど若干の技量を求められる場面もあるが、オフロード初心者にとってチャレンジとなるくらい。シクロクロスバイクの瞬発力が光るようなコースだ。
片足を出しながら曲がる砂利の浮いたコーナーもあり、スピードが速くなる熟練者でも楽しめるスパイスが混ぜられていたようだ。実際大会後の表彰台に上がった選手たちからもコースが楽しかったとの声が多数寄せられていた。メインコースも絶妙なバランスだと言われていたところを見ると、オフロードヴィレッジはあらゆる人でも楽しめる場所なのだろう。
さて、今シーズンより全長200mのフラットオーバルで競うスプリントレース「ダート競輪」という新競技がエンデューロの前に開催されることに。全く新しい試みとして行われたものであったためか全選手で7名出走となった。
今回は人数が少なかったこともあり、プログラムに載っていた予選レース~決勝レースという流れから、予選タイムアタック~決勝レースという流れに変更。更に参加者の意見も募り、決勝レースも7周回から10周回へとその場で変わるフレキシブルな対応となった。「緩い大会ですから」と言うオーガナイザーの川口さん。自転車レースを楽しむためには、を考えて作り上げていく大会の考え方がこういう所に表れている。
全てで2kmという短いレース、かつ半分はゲストの澤木紀雄選手がペーサーとして集団をコントロールするため、目に見える勝負はあっという間に決する。外からはそう見えていたのだが、実際のレースの中では選手たちは様々なことを考えながら走ったことは想像に難くない。このゲーム性は体験してみないとわからないはずなので、見ていただけでも次回は出走するのもありかも。
人数が多ければ予選レースもヒートアップするだろうし、自分の勝ち筋も見えてくるかもしれない。砂利路面を攻略することや、ライバルの脚力を推察しレースを組み立てる面白さはあるはずだ。1,000円でエントリーできるため、怖いもの見たさで一度挑戦はしてみたい。
今回は前回の雪中ダートエンデューロとは打って変わって超がつくほどの好天だったが、それもオフロードではどうやらベストではなさそうだ。ダート競輪終了後に溢れ出すほどの水を蓄えたタンクがコースに散水する姿を確認。乾きすぎてしまうと埃っぽくなってしまうのだろう、路面に湿り気を持たせるために散水車がコースをぐるりと一周。
レースコースを特殊車両が走るのは前回と同じでは?コースのコンディションを保つための用意がオフロードヴィレッジには沢山用意されているみたい。雪対策OK、土煙対策OK。いつでも楽しくここでは走れそうだ。モトクロスが走っていたコースは、土煙が立ち上っていたけどどうするのだろうと、ふと目をやるとスプリンクラーが水を撒いていた。これが全日本選手を開催するコース!
さて、少し休憩を挟んだところでメインディッシュ「エンデューロ」時間だ。本当に川越エンデューロの楽しみ方は十人十色であり、真剣にレースを楽しむ方もいれば、家族で参加する方、モトクロス走行の合間を縫ってライダースーツのままで自転車にまたがる方も。公序良俗、ルールに反する人は今の所いないので、楽しんだもの勝ちの雰囲気だ。
小さなテーブルトップでカメラを構えていると様々なライダーがジャンプに挑戦してくれようとする。その手前で「ジャンプしてー」と煽りの声援が飛んでいた気もするが、その適当さがオフロードレースの緩い空気感を醸し出すのだろう。他にもランデブー走行しながら、2時間の濃密なレッスンを行う親子も。ところどころ休みながらであるが、2時間きっちりと走りきった彼の将来が楽しみである。
今回はすべてのレースプログラムが終了しても12時半という早い時間から開催されていたことも新シーズンのポイント。開催時間は固定せずにイベントごとに設定されるとのこと。ナイター施設を活かしたサンセットレースなども今後は行われていくだろう。
そしてレースはダート競輪、2時間エンデューロ、1時間エンデューロの3種目だが、エンデューロに関しては数多くのカテゴリーに分けられるようになった。年代別や車種別など細かく分けられているため、表彰台に上がれるチャンスがぐっと高まっている。ポディウムでコメントを求められた選手が「参加賞が表彰台なんて最高ですね」と言ったように、本当に誰にでも可能性がある。
もちろん参加人数が増えればポディウム争いは難しくなるけど、最低3名からカテゴリーが成立するためニッチなカテゴリーも沢山あるため狙ってみても良いのではないだろうか。もしエントリー人数が少なかったら他のカテゴリーに組み込まれるため、そこでレースを楽しむこともできる。
シャンパンファイトや記念撮影などポディウムを数多くの参加者が楽しんだ午後1時過ぎに全てのプログラムが終了。その後、会場を離れても余程の遠方でなければ、午後のひとときを満喫するには十分時間が余るだろう。その時間を活用して早めのお風呂とビールで休日を満喫なんてのもありだと思う。1日を充実させられるのが川越サイクルエンデューロなのだろう。
既に2019年シーズンのスケジュールは発表されている。オフロードヴィレッジの福本社長が挨拶の場面でブース出展のラブコールをメーカーに贈っていたため、今後は試乗会なども開かれる可能性があるかも。今後も川越サイクルエンデューロには面白くなる仕掛けが待っていそうだ。
フォトギャラリーはこちら
text&photo:Gakuto Fujiwara
昨年の11月よりスタートを切ったオフロードヴィレッジの川越サイクルエンデューロ。2月で一旦ファーストシーズンの幕が降りたが、4月から12月までで全6戦開催する新たなシーズンとして幕が再び上がる。
朝晩は冷え込みが気持ち良い春の陽気が残り、日中は汗ばむほど気温が高くなる初夏が顔を覗かせる4月20日。約50名のサイクリストたちが、菜の花が所々黄色に染める埼玉県川越市の入間川沿いにあるオフロードヴィレッジに集まった。
規模が大きすぎないこの大会を包むのはアットホームな空気感。昨シーズンのレポートでもお伝えしてきたが、その朗らかで居心地の良い雰囲気は今回も変わりない。ノンビリと過ごしながらめいめいに準備を進めている参加者たちを見ていると、レースだからって気を張らなくても良いんだと気が付かされる。
この日は山がそびえるモトクロスコースではなく、ダートオーバルや細かいバンプやバンクのあるコーナー、小さなジャンプポイントがあるコースが自転車イベントの会場。メインコースでは、5月12日に開催されるモトクロスの全日本選手権に向けて練習するモトクロッサー達がテーブルトップをかっ飛んでいたのだ。
エンジンの爆音を轟かせ、土煙の向こう側からジャンプしながら視界に飛び出てくるモトクロスの迫力に興味津々な参加者の方もいたようで(もしかして筆者だけ?)、準備を行いながらついついバイクに目をやってしまうのだった。
目を自転車コースに戻し、全体を眺めてみるとダイナミックなテーブルトップなどは無く概ね平坦で、比較的イージー。約80cm程度のドロップやオフキャンバーのコーナーなど若干の技量を求められる場面もあるが、オフロード初心者にとってチャレンジとなるくらい。シクロクロスバイクの瞬発力が光るようなコースだ。
片足を出しながら曲がる砂利の浮いたコーナーもあり、スピードが速くなる熟練者でも楽しめるスパイスが混ぜられていたようだ。実際大会後の表彰台に上がった選手たちからもコースが楽しかったとの声が多数寄せられていた。メインコースも絶妙なバランスだと言われていたところを見ると、オフロードヴィレッジはあらゆる人でも楽しめる場所なのだろう。
さて、今シーズンより全長200mのフラットオーバルで競うスプリントレース「ダート競輪」という新競技がエンデューロの前に開催されることに。全く新しい試みとして行われたものであったためか全選手で7名出走となった。
今回は人数が少なかったこともあり、プログラムに載っていた予選レース~決勝レースという流れから、予選タイムアタック~決勝レースという流れに変更。更に参加者の意見も募り、決勝レースも7周回から10周回へとその場で変わるフレキシブルな対応となった。「緩い大会ですから」と言うオーガナイザーの川口さん。自転車レースを楽しむためには、を考えて作り上げていく大会の考え方がこういう所に表れている。
全てで2kmという短いレース、かつ半分はゲストの澤木紀雄選手がペーサーとして集団をコントロールするため、目に見える勝負はあっという間に決する。外からはそう見えていたのだが、実際のレースの中では選手たちは様々なことを考えながら走ったことは想像に難くない。このゲーム性は体験してみないとわからないはずなので、見ていただけでも次回は出走するのもありかも。
人数が多ければ予選レースもヒートアップするだろうし、自分の勝ち筋も見えてくるかもしれない。砂利路面を攻略することや、ライバルの脚力を推察しレースを組み立てる面白さはあるはずだ。1,000円でエントリーできるため、怖いもの見たさで一度挑戦はしてみたい。
今回は前回の雪中ダートエンデューロとは打って変わって超がつくほどの好天だったが、それもオフロードではどうやらベストではなさそうだ。ダート競輪終了後に溢れ出すほどの水を蓄えたタンクがコースに散水する姿を確認。乾きすぎてしまうと埃っぽくなってしまうのだろう、路面に湿り気を持たせるために散水車がコースをぐるりと一周。
レースコースを特殊車両が走るのは前回と同じでは?コースのコンディションを保つための用意がオフロードヴィレッジには沢山用意されているみたい。雪対策OK、土煙対策OK。いつでも楽しくここでは走れそうだ。モトクロスが走っていたコースは、土煙が立ち上っていたけどどうするのだろうと、ふと目をやるとスプリンクラーが水を撒いていた。これが全日本選手を開催するコース!
さて、少し休憩を挟んだところでメインディッシュ「エンデューロ」時間だ。本当に川越エンデューロの楽しみ方は十人十色であり、真剣にレースを楽しむ方もいれば、家族で参加する方、モトクロス走行の合間を縫ってライダースーツのままで自転車にまたがる方も。公序良俗、ルールに反する人は今の所いないので、楽しんだもの勝ちの雰囲気だ。
小さなテーブルトップでカメラを構えていると様々なライダーがジャンプに挑戦してくれようとする。その手前で「ジャンプしてー」と煽りの声援が飛んでいた気もするが、その適当さがオフロードレースの緩い空気感を醸し出すのだろう。他にもランデブー走行しながら、2時間の濃密なレッスンを行う親子も。ところどころ休みながらであるが、2時間きっちりと走りきった彼の将来が楽しみである。
今回はすべてのレースプログラムが終了しても12時半という早い時間から開催されていたことも新シーズンのポイント。開催時間は固定せずにイベントごとに設定されるとのこと。ナイター施設を活かしたサンセットレースなども今後は行われていくだろう。
そしてレースはダート競輪、2時間エンデューロ、1時間エンデューロの3種目だが、エンデューロに関しては数多くのカテゴリーに分けられるようになった。年代別や車種別など細かく分けられているため、表彰台に上がれるチャンスがぐっと高まっている。ポディウムでコメントを求められた選手が「参加賞が表彰台なんて最高ですね」と言ったように、本当に誰にでも可能性がある。
もちろん参加人数が増えればポディウム争いは難しくなるけど、最低3名からカテゴリーが成立するためニッチなカテゴリーも沢山あるため狙ってみても良いのではないだろうか。もしエントリー人数が少なかったら他のカテゴリーに組み込まれるため、そこでレースを楽しむこともできる。
シャンパンファイトや記念撮影などポディウムを数多くの参加者が楽しんだ午後1時過ぎに全てのプログラムが終了。その後、会場を離れても余程の遠方でなければ、午後のひとときを満喫するには十分時間が余るだろう。その時間を活用して早めのお風呂とビールで休日を満喫なんてのもありだと思う。1日を充実させられるのが川越サイクルエンデューロなのだろう。
既に2019年シーズンのスケジュールは発表されている。オフロードヴィレッジの福本社長が挨拶の場面でブース出展のラブコールをメーカーに贈っていたため、今後は試乗会なども開かれる可能性があるかも。今後も川越サイクルエンデューロには面白くなる仕掛けが待っていそうだ。
フォトギャラリーはこちら
text&photo:Gakuto Fujiwara
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