2019/04/10(水) - 18:50
山梨県甲府市で、都市型クリテリウム「信玄公ロードレース」が今年も開催された。2年目を迎え、参加選手もレベルアップ。国内のトップ選手が集まり繰り広げた熱い戦いに、甲府市街が沸き立った。
戦国の梟雄として知られる武田信玄が拠点としていた甲斐の国・山梨。精強無比なる騎馬兵を主力として、近隣諸国から恐れられていた「武田軍団」が現代に蘇るお祭りが、「信玄公祭り」だ。山梨で最も大きく賑やかなイベントとして、日本全国から多くの人が集まる3日間となる。
3日間を通して、様々な催しが開催される信玄公祭りだが、その目玉となるのが地域の有志団体らによる騎馬武者の行列「甲州軍団出陣」だ。甲府市内にはいたるところに甲冑に身を包んだ武者が練り歩き、まさにタイムスリップしたのか、はたまた武田二十四将が現代に蘇ったのか、と錯覚してしまいそうになる非日常な時空間が生み出されている。
さて、そんなビッグイベントに去年から加わったのが、山梨初の都市型クリテリウム「信玄公ロードレース」だ。甲府駅南口の駅前ロータリーからまっすぐ伸びるメインストリート「平和通り」を交通規制し、本格的な自転車レースが繰り広げられる。
昨年は地元のロードレーサーたちを中心に2014年の全日本王者である佐野淳哉を初めとした数人のプロレーサーが参戦。ゴールスプリントで地元出身の中村龍太郎が初回大会で白星を挙げ、沿道の皆さんの視線を一身に集めた。
今年は更に迫力あるレースを魅せるべく、現役のプロレーサー20人が甲府に集結。マトリックスパワータグ、宇都宮ブリッツェン、チームブリヂストンサイクリング、愛三工業、キナンサイクリングチーム、そして山梨に拠点を置く山中湖シクリスムフォーマションらがそれぞれ選手を送り込んだ。
レーススタートの1時間ほど前には、駅北口のステージにて信玄公ロードレースを紹介するトークショーも開かれ、多くの人が耳を傾けた。2020東京オリンピックにおいて、山梨県がロードレース種目のコースとなることを知っているという方も多く、スポーツバイクの認知が広まっているのだと感じるシーンも。
さて、レースは1周680mのコースを7周するというもの。1周のパレードラン、そしてタンデムバイクによる1周のスプリントレースを終えたのち、レースの火蓋が切って落とされた。今年山梨大学へと進学した平井光介(EQADS)がスタートと同時に仕掛けたアタックに反応した、佐野淳哉ら5名の逃げ集団が形成された。
ローテションしつつ逃げる5名に対し、人数を揃える愛三工業がコントロールするメイン集団はジリジリと差を詰める展開に。残り2周で地元チームのトム・ボシス(山中湖シクリスムフォーマション)がペースを上げ、逃げを吸収しラスト周回へと突入。
最終コーナーを立ち上がり、青い愛三工業トレインが岡本隼を発射。しかし、その左手から沢田桂太郎(チームブリヂストンサイクリング)が更なる勢いで捲りあげ先頭でフィニッシュラインを通過した。甲府駅前のロータリーにてシャンパンファイトを行い、魔法のような30分はあっという間に幕を下ろした。
レース終了後は、レースの発起人であるNPOやまなしサイクルプロジェクトの事務所にてファンやスタッフとの交流会に。甲州牛のリブロースステーキ、信玄鶏やクリスタルポークのローストなどが振舞われた。選手たちもジューシーな肉をたっぷりと平らげ大満足だった様子。大観客に応援される上、更に豪華なBBQが楽しめると聞けば、ぜひ参加したいという選手も沢山いるだろう。
北西には八ヶ岳、南には富士川、東には富士山、そして中央の甲府盆地を取り囲むフルーツライン。スポーツサイクリングを楽しむためにはこれ以上ないほどのロケーションが揃う山梨県。その中心でもある甲府駅前で地域の人々と共に盛り上がりを見せた信玄公ロードレースは長崎幸太郎知事が打ち出した「サイクル王国山梨」への大きな一歩となるはずだ。
昨年の初回大会から開催時間の延長を果たし、より多くの観客を集めた信玄公ロードレース。今年はレース観戦のために早めの場所取りをされていた方もおり、人気と認知の高まりを感じることも。戦国最強であった武者達に想いを馳せる日に、全国から集まった猛者たちが轡を並べて競いあう。自転車合戦ともいうべき迫力に昨年多くの人が魅せられたからこそ実現した2年目だったのだろう。そして、来年、再来年、更にその先へと続いていくことに期待したい。
text&photo:Naoki.YASUOKA
戦国の梟雄として知られる武田信玄が拠点としていた甲斐の国・山梨。精強無比なる騎馬兵を主力として、近隣諸国から恐れられていた「武田軍団」が現代に蘇るお祭りが、「信玄公祭り」だ。山梨で最も大きく賑やかなイベントとして、日本全国から多くの人が集まる3日間となる。
3日間を通して、様々な催しが開催される信玄公祭りだが、その目玉となるのが地域の有志団体らによる騎馬武者の行列「甲州軍団出陣」だ。甲府市内にはいたるところに甲冑に身を包んだ武者が練り歩き、まさにタイムスリップしたのか、はたまた武田二十四将が現代に蘇ったのか、と錯覚してしまいそうになる非日常な時空間が生み出されている。
さて、そんなビッグイベントに去年から加わったのが、山梨初の都市型クリテリウム「信玄公ロードレース」だ。甲府駅南口の駅前ロータリーからまっすぐ伸びるメインストリート「平和通り」を交通規制し、本格的な自転車レースが繰り広げられる。
昨年は地元のロードレーサーたちを中心に2014年の全日本王者である佐野淳哉を初めとした数人のプロレーサーが参戦。ゴールスプリントで地元出身の中村龍太郎が初回大会で白星を挙げ、沿道の皆さんの視線を一身に集めた。
今年は更に迫力あるレースを魅せるべく、現役のプロレーサー20人が甲府に集結。マトリックスパワータグ、宇都宮ブリッツェン、チームブリヂストンサイクリング、愛三工業、キナンサイクリングチーム、そして山梨に拠点を置く山中湖シクリスムフォーマションらがそれぞれ選手を送り込んだ。
レーススタートの1時間ほど前には、駅北口のステージにて信玄公ロードレースを紹介するトークショーも開かれ、多くの人が耳を傾けた。2020東京オリンピックにおいて、山梨県がロードレース種目のコースとなることを知っているという方も多く、スポーツバイクの認知が広まっているのだと感じるシーンも。
さて、レースは1周680mのコースを7周するというもの。1周のパレードラン、そしてタンデムバイクによる1周のスプリントレースを終えたのち、レースの火蓋が切って落とされた。今年山梨大学へと進学した平井光介(EQADS)がスタートと同時に仕掛けたアタックに反応した、佐野淳哉ら5名の逃げ集団が形成された。
ローテションしつつ逃げる5名に対し、人数を揃える愛三工業がコントロールするメイン集団はジリジリと差を詰める展開に。残り2周で地元チームのトム・ボシス(山中湖シクリスムフォーマション)がペースを上げ、逃げを吸収しラスト周回へと突入。
最終コーナーを立ち上がり、青い愛三工業トレインが岡本隼を発射。しかし、その左手から沢田桂太郎(チームブリヂストンサイクリング)が更なる勢いで捲りあげ先頭でフィニッシュラインを通過した。甲府駅前のロータリーにてシャンパンファイトを行い、魔法のような30分はあっという間に幕を下ろした。
レース終了後は、レースの発起人であるNPOやまなしサイクルプロジェクトの事務所にてファンやスタッフとの交流会に。甲州牛のリブロースステーキ、信玄鶏やクリスタルポークのローストなどが振舞われた。選手たちもジューシーな肉をたっぷりと平らげ大満足だった様子。大観客に応援される上、更に豪華なBBQが楽しめると聞けば、ぜひ参加したいという選手も沢山いるだろう。
北西には八ヶ岳、南には富士川、東には富士山、そして中央の甲府盆地を取り囲むフルーツライン。スポーツサイクリングを楽しむためにはこれ以上ないほどのロケーションが揃う山梨県。その中心でもある甲府駅前で地域の人々と共に盛り上がりを見せた信玄公ロードレースは長崎幸太郎知事が打ち出した「サイクル王国山梨」への大きな一歩となるはずだ。
昨年の初回大会から開催時間の延長を果たし、より多くの観客を集めた信玄公ロードレース。今年はレース観戦のために早めの場所取りをされていた方もおり、人気と認知の高まりを感じることも。戦国最強であった武者達に想いを馳せる日に、全国から集まった猛者たちが轡を並べて競いあう。自転車合戦ともいうべき迫力に昨年多くの人が魅せられたからこそ実現した2年目だったのだろう。そして、来年、再来年、更にその先へと続いていくことに期待したい。
text&photo:Naoki.YASUOKA