2010/04/04(日) - 17:46
昨今の自転車ブームでロードバイクに目が向いてしまうものの、MTBも捨てたものではない。今回は根強いファンが居る「とれとればいく」にスポットを当てて紹介しよう。
巷は自転車ブームとは言え、一般道を走るロードに比べMTBで山のトレイルを走るのには敷居が高く感じる。
初心者が山でMTBを走らせるテクニックや装備、道を探索する要素を得るのはなかなか難しい。しかし今回はそんなMTBのすべてを学べるイベントの一つ、京都府亀岡市で行われたとれとれラリー「亀岡ミニラリー」を紹介しよう。
"とれとればいく"とは、何だ?
「とれとれ」とは、Trail Trace Biking、つまり「トレール(小道)を辿る自転車あそび」という言葉からネーミングされている。日本各地でとれとればいくのラリーが開催されており、コアなMTBファンなら必ずや知っている(?)存在のイベントなのだ。
とれとれラリーはコースクリエーターが設定したコースを配布された地図(国土地理院発行の2万五千分の一地図)を頼りに、PC(ポイントコントロール)順に回ってゴールするゲームのこと。ちょうどオリエンテーリングに似ているといえばわかりやすいだろう。そのMTB版である。
スタート前に行われるブリーフィング(説明)でコースの状況や特徴を聞いて、その情報を地図に記入し、正確なルートを割り出す。
基本的にコースから外れてもいいが、PC順を守らなくては行けない。またEL(エリミネーション)と呼ばれる通過制限時間の関門もあり、ゆっくり回ることはできない。
また、今回コース各箇所にはQP(クイズポイント)が設定されて、例えば山の頂上にある山の名前の看板を答えるなど、そのポイントに行かなくては分からない設問もある。確認していない場合は減点の対象となる。
これらの詳しい用語、ルールはここでは説明しきれないので、とれとれバイクのサイトを見て欲しい(整理されていないのでちょっと分かりにくいが...苦笑)。
イベントによっては一泊二日以上の開催もあるので体力とスタミナも要求される。今回はレポーターとして実走取材して、その魅力(の一部)をお伝えしましょう。
走って分かるとれとれの奥深さ
「亀岡ミニラリー」は亀岡運動公園をスタートして近隣の山を回る設定だ。
ブリーフィング(スタート前の事前説明)では、コースの分岐点等が説明される。地図にはルートが書かれているので迷うことは無さそうと思いきや、実際にコースを走ってみると分岐の道がなかなかわからなかったりする。
先を走っている人が急いで引き返してきたり、来た道を振り返るとこんな所に道があるという発見がある。
その先をMTBで乗車できる道がない場合は、自転車を持ち上げて肩に担いで進まなくてはいけない。トレールを進む際は担ぎのテクニックが重要視され、様々な場面に遭遇する。また、QPポイントもこんな所にある!というものばかり。常にコースクリエーターの様々な仕掛けに惑わされる。
こういったトレイルを走る際はコンパスと地図に書かれている記号や稜線を頼りに、地図読みの考察力がものを言う。足が速い事が有利というわけではない、とれとれラリーでは地図読み能力と正確な判断能力が試されるのだ。
とれとれラリーを走るスタイル
とれとれラリーは常に地図を読む事が要求されるので、必ずコンパスを使って方向感覚を持つ事が大事。ブリーフィングで聞いたルートを渡された地図に蛍光ペンで書き込めば、ロスト(迷う)する原因を減らせる。ブリーフィングでは疑問があれば質問することができる。クリエイターは攻略のポイントを親切に説明してくれるが、それでも実際に走ってみると難儀するのだ!
参加者のバイクは担ぎやすさと軽さを重視してリジットのXC(クロスカントリー)バイクがほとんどだ。登りや舗装路といった所を長い距離を走るため、フラットバーの古典的なスタイルが大半を占める。フルサスバイクを選ぶなら、極力軽量なモデルで、しかも肩で担げることが前提になっているのだ。ヘビーな下り系バイクはまずご法度だ。
服装はXCレースのレーサージャージが多いものの、寒さや天候の変化に対応したり、転倒の際のダメージを和らげるため上はジャケット・下はスボンを重ね着する事をお勧めする。
シューズは普通のトレッキングシューズやSPDの機能が付いた、歩きやすく、かつ防寒・防水性能を持つものがいい。山の中はぬかるんでいるところも多いし、なにより自転車を担いで歩きまわらなければならないからだ。
背中のバッグには一般的な登山グッズの上に自転車用の修理キットや補給食、バッグに入れた水タンクからストロー状のチューブで飲むキャメルバックやハイドラパックといったハイドレーションシステムから自分にあったものを選ぶ。
ユニークな地図ケースの工夫
そしてとれとれラリーで目を付くのがMTBに付けられた地図ケースだ。ハンドルに思い思いのアタッチメントを作って走行中でも見れるように工夫されている。簡単に取り外してコンパスと見比べたりとアイデアが満載。
今回参加者の中にはGPSとiPhoneを装備したケースも登場し、ナビや走行ルートのログ記録ができる電子機器の使用も当たり前となっている。それらを使用してもなお人間の判断力が相当に要求されるのだ。
決して厳しいだけではないとれとれラリー
ここまで紹介すると敷居が高いように思われるかもしれないが、コースクリエーターの作るコースは楽しい! 人の手で整備された里山のトレイルは走りやすいし、見どころポイントもあったりして、いつもワクワクさせられる。
また、ある程度は実走スタッフがついてアドバイスをくれたりするので、地図の読み方を教えてもらえる。万が一道に迷っても、スタッフが捜索してくれたりと一人で走るよりかは危険は少ない(もちろん最初から頼るのはダメだが)。
そして、最後に参加者同士の走った感想を語り合うのが一番の楽しみなのだ。
初めは誰でも必ず道に迷うので最初から完走することは難しいかもしれないが、参加するうちに山を走る為の技術が自然と身に付く。それこそマウンテンバイカーに必要なスキルそのものなのだ。
とれとれラリーでトレイルの走り方をマスターして、自分の道を探すのはいかがだろうか?
写真とレポート 中尾亮弘
photo&text : Akihiro.NAKAO
巷は自転車ブームとは言え、一般道を走るロードに比べMTBで山のトレイルを走るのには敷居が高く感じる。
初心者が山でMTBを走らせるテクニックや装備、道を探索する要素を得るのはなかなか難しい。しかし今回はそんなMTBのすべてを学べるイベントの一つ、京都府亀岡市で行われたとれとれラリー「亀岡ミニラリー」を紹介しよう。
"とれとればいく"とは、何だ?
「とれとれ」とは、Trail Trace Biking、つまり「トレール(小道)を辿る自転車あそび」という言葉からネーミングされている。日本各地でとれとればいくのラリーが開催されており、コアなMTBファンなら必ずや知っている(?)存在のイベントなのだ。
とれとれラリーはコースクリエーターが設定したコースを配布された地図(国土地理院発行の2万五千分の一地図)を頼りに、PC(ポイントコントロール)順に回ってゴールするゲームのこと。ちょうどオリエンテーリングに似ているといえばわかりやすいだろう。そのMTB版である。
スタート前に行われるブリーフィング(説明)でコースの状況や特徴を聞いて、その情報を地図に記入し、正確なルートを割り出す。
基本的にコースから外れてもいいが、PC順を守らなくては行けない。またEL(エリミネーション)と呼ばれる通過制限時間の関門もあり、ゆっくり回ることはできない。
また、今回コース各箇所にはQP(クイズポイント)が設定されて、例えば山の頂上にある山の名前の看板を答えるなど、そのポイントに行かなくては分からない設問もある。確認していない場合は減点の対象となる。
これらの詳しい用語、ルールはここでは説明しきれないので、とれとれバイクのサイトを見て欲しい(整理されていないのでちょっと分かりにくいが...苦笑)。
イベントによっては一泊二日以上の開催もあるので体力とスタミナも要求される。今回はレポーターとして実走取材して、その魅力(の一部)をお伝えしましょう。
走って分かるとれとれの奥深さ
「亀岡ミニラリー」は亀岡運動公園をスタートして近隣の山を回る設定だ。
ブリーフィング(スタート前の事前説明)では、コースの分岐点等が説明される。地図にはルートが書かれているので迷うことは無さそうと思いきや、実際にコースを走ってみると分岐の道がなかなかわからなかったりする。
先を走っている人が急いで引き返してきたり、来た道を振り返るとこんな所に道があるという発見がある。
その先をMTBで乗車できる道がない場合は、自転車を持ち上げて肩に担いで進まなくてはいけない。トレールを進む際は担ぎのテクニックが重要視され、様々な場面に遭遇する。また、QPポイントもこんな所にある!というものばかり。常にコースクリエーターの様々な仕掛けに惑わされる。
こういったトレイルを走る際はコンパスと地図に書かれている記号や稜線を頼りに、地図読みの考察力がものを言う。足が速い事が有利というわけではない、とれとれラリーでは地図読み能力と正確な判断能力が試されるのだ。
とれとれラリーを走るスタイル
とれとれラリーは常に地図を読む事が要求されるので、必ずコンパスを使って方向感覚を持つ事が大事。ブリーフィングで聞いたルートを渡された地図に蛍光ペンで書き込めば、ロスト(迷う)する原因を減らせる。ブリーフィングでは疑問があれば質問することができる。クリエイターは攻略のポイントを親切に説明してくれるが、それでも実際に走ってみると難儀するのだ!
参加者のバイクは担ぎやすさと軽さを重視してリジットのXC(クロスカントリー)バイクがほとんどだ。登りや舗装路といった所を長い距離を走るため、フラットバーの古典的なスタイルが大半を占める。フルサスバイクを選ぶなら、極力軽量なモデルで、しかも肩で担げることが前提になっているのだ。ヘビーな下り系バイクはまずご法度だ。
服装はXCレースのレーサージャージが多いものの、寒さや天候の変化に対応したり、転倒の際のダメージを和らげるため上はジャケット・下はスボンを重ね着する事をお勧めする。
シューズは普通のトレッキングシューズやSPDの機能が付いた、歩きやすく、かつ防寒・防水性能を持つものがいい。山の中はぬかるんでいるところも多いし、なにより自転車を担いで歩きまわらなければならないからだ。
背中のバッグには一般的な登山グッズの上に自転車用の修理キットや補給食、バッグに入れた水タンクからストロー状のチューブで飲むキャメルバックやハイドラパックといったハイドレーションシステムから自分にあったものを選ぶ。
ユニークな地図ケースの工夫
そしてとれとれラリーで目を付くのがMTBに付けられた地図ケースだ。ハンドルに思い思いのアタッチメントを作って走行中でも見れるように工夫されている。簡単に取り外してコンパスと見比べたりとアイデアが満載。
今回参加者の中にはGPSとiPhoneを装備したケースも登場し、ナビや走行ルートのログ記録ができる電子機器の使用も当たり前となっている。それらを使用してもなお人間の判断力が相当に要求されるのだ。
決して厳しいだけではないとれとれラリー
ここまで紹介すると敷居が高いように思われるかもしれないが、コースクリエーターの作るコースは楽しい! 人の手で整備された里山のトレイルは走りやすいし、見どころポイントもあったりして、いつもワクワクさせられる。
また、ある程度は実走スタッフがついてアドバイスをくれたりするので、地図の読み方を教えてもらえる。万が一道に迷っても、スタッフが捜索してくれたりと一人で走るよりかは危険は少ない(もちろん最初から頼るのはダメだが)。
そして、最後に参加者同士の走った感想を語り合うのが一番の楽しみなのだ。
初めは誰でも必ず道に迷うので最初から完走することは難しいかもしれないが、参加するうちに山を走る為の技術が自然と身に付く。それこそマウンテンバイカーに必要なスキルそのものなのだ。
とれとれラリーでトレイルの走り方をマスターして、自分の道を探すのはいかがだろうか?
写真とレポート 中尾亮弘
photo&text : Akihiro.NAKAO