2018/08/20(月) - 12:29
日本列島を灼熱の猛暑が襲う7月22日(日)に長野県の大町・白馬地区で開催された北アルプス山麓グランフォンド。昨年よりも獲得標高を500mプラスし、3,300mを登る超級山岳150kmコースの模様をレポート。新たに追加された戸隠エリアを進む後編です。前編はこちら
戸隠エリア入ると次のエイドへと至る8kmほどのヒルクライムがスタート。ここは峠道というより、集落の中にある坂を少しづつ登っていくコースとなっており、直線的な登りが多い区間。集落を抜けると蕎麦畑が広がるエリアに入るが、ここも緩やかな勾配の直線が続いており、参加者の心を少しずつ折ってくる。それに加えて1本目の登りで結構消耗していたことを実感させてくるため、思ったより脚が動かないことに困惑する参加者が多数。苦悶の顔を浮かべながら登っている人が多くいた。
しかしそんな苦しい登りも戸隠エイドまでくれば取り敢えず一段落。このエイドでは戸隠の名産品であるお蕎麦に天ぷらが2つとそば団子というボリューム満点のグルメを頂ける。丁度お腹が空いていたタイミングで嬉しいボリュームだ。麺が見えないほど大きい天ぷらはこの地域で普段から食べられる”のりな”と”ズッキーニ”の2種。どちらもサクサクで美味しい。そして肝心の蕎麦は流石産地ということもあり、香り良しコシ良し味よし喉越しよしと四拍子揃った美味しさ。そば団子は甘く味がついており、デザート感覚でパクリである。
もちろんこのエイドでも水被りゾーンを設置。加えて冷たい氷もたくさん用意され、自由にボトルに入れたり食べたり出来る。ともかく参加者の皆さんを全力で冷やしたいというエイドスタッフの気持ちが垣間見える。そんな献身的なサポートもあってか、記録的な猛暑だと言うのに熱中症かもしれないという参加者を見ないのだ。これなら安心してライドに集中出来るというもの。十分に身体を冷やしたら戸隠エイド出発である。
戸隠エイドからは少し下ってから登り返し大望峠へ。登りは3kmほどの距離を淡々と登っていく。頂上に着くと迫力満点の戸隠連峰が望める展望台に到着した。ここも眺めが良いためチームメンバーとの記念撮影に勤しむ参加者の方々。特に「伝説の谷 大望峠」の立て看板をバックに撮影する人が多かった。
大望峠の頂上から田園風景や色鮮やかな花々を横目に暫くの下り道。鬼無里の交差点まで下ったあとはルートを南に取り、大町方面に向けてペダルを回していく。もちろん平坦などあるわけもないので、下りきったら再び4.5kmほど登り、小川アルプスラインエイドへ向かう。途中10%の勾配を表す標識が立っていたり、直登が現れたりと体力的にはもちろんのこと、精神的にも辛いところだが、それを耐え切ると小川アルプスラインエイドに到着である。
大洞(おおどう)高原の観光施設「星と緑のロマン館」に設置された小川アルプスラインエイドでは野沢菜のおやきときゅうりの浅漬けが用意されている。長野県のロングライドイベントでは定番のおやきだが、やはり野沢菜が最高である。醤油ベースの野沢菜と小麦粉由来の自然な甘さの生地が組み合わさり絶妙なハーモニーが堪らないのだ。そしてきゅうりの浅漬けはわさびが隠し味になっており、パクパクと手が止まらない美味しさである。
標高が高く涼しいので長居してしまいたくなるが、後ろ髪を惹かれつつ小川アルプスラインエイドを出発。少しテクニカルかつハイスピードなダウンヒルを慎重にクリアしていくと県道31号線、通称オリンピック道路に出る。車の通りが少し多い幹線道路だが、道幅は広めなので安心して走れる。緩やかな登り勾配を大町美麻方面へ車輪を進めていく。
暫く行くと道の駅、ぽかぽかランド美麻でエイド休憩だ。ここでは漬物バイキングとネギ味噌おにぎりでカロリーを補給が出来る。漬物は地元信州の野菜を地元のおばあちゃん達が漬けてくれたもので、どれもシャキシャキと美味しい。そして定番のネギ味噌おにぎりは食欲を掻き立てる美味しさでペロリと頂ける。次の登りに向けて塩気が身体を活発にしてくれる感じがした。
ここからは途中に美麻支所給水所と下りを挟みつつ、鷹狩山エイドまで標高を上げていくコースレイアウト。ここまで110kmと数多の登りを走り抜いている訳だが、まだまだ試練は続くのである。
ぽかぽかランドエイドを出てすぐに始まる美麻支所給水所までの登りは3km程度と短めの距離。しかし斜度も厳しいため一筋縄ではいかないのが苦しい坂だ。途中には長々と続く直登もあり、参加者の心を容赦なく折ってくる。その苦行に耐えると美麻支所給水所に到着。ここではシンプルにネギたっぷりの冷奴が頂けるのだが、あっさりしているため、疲れた身体でもぺろりと軽く食す事が出来る。
補給を完了したら少しだけ下り、再びのヒルクライム。今年の大会から追加された鷹狩山へ向けて登っていく。7kmほどの距離だが、序盤は緩やかな勾配が続くため、マイペースにひたすらペダルを回す。途中には木漏れ日が気持ちいい林道区間があったりと穏やかに登る事が出来る。しかし、鷹狩山展望台に続く最終盤にはいわゆる激坂が登場。軽く蛇行せざる得ないような勾配に皆さん苦悶の表情である。
そんな厳しい激坂を登り切ると鷹狩山エイドに到着。ここは展望台ということもあり大町市と北アルプスを一望する事が出来る大パノラマが楽しめる。残念ながら今回は北アルプスに雲がかかっていたが、大町市の全景は眺めることができた。今大会最後のビューポイントとあって、多くの人が記念撮影をしていた。
そしてこの鷹狩山エイドでは地元産のブルーベリーかプルーンのジャムを乗せたアイスが用意されている。このアイスはどこにでも売っているようなバニラ味のカップアイスで、その上にジャムを乗せるだけというシンプルなメニューなのだが、これが美味しいことこの上ない。エイドのそこらかしこで「こんなに美味しいアイス初めて食べた」とか「人生で一番美味い」といった声が聞こえるのだ。それだけこのコースが辛かったのか、それとも本当にアイスが美味しいのかは、実際に食べた人にしか分からないだろうが、北アルプス山麓グランフォンドに参加すれば分かるということは確かだ。
アイスと美しい景色で体力を回復させたらエイドを出発。そのまま大町市内へ林道を下っていく。市街地に入り、田園風景を横目に駆け抜ければ最後のエイドステーションとなる大町温泉郷エイドまではすぐである。到着するとすぐに目に入るのがレッドブルの大きなパラソル。闘牛をモチーフにしたこのロゴがあると温泉郷だというのに急に渋谷のストリート感が出るのは中々不思議なところだ。
そして、ここでは長野県産の地粉を使用した冷や麦と黒豆羊羹が用意されている。冷たく喉越しの良い冷や麦は疲れた身体でもスルスルと食す事ができ、デザートの黒豆羊羹は糖分の補給にぴったりだ。もちろんレッドブルも配布されているので、フィニッシュへ向かう最後のひと頑張りのために翼を授ける人も多数。これで飛ぶように走れること間違いないだろう。しっかり補給をしたらバイクに再び跨がり、後は完走するだけである。
大町温泉郷エイドからはフィニッシュ地点である鹿島槍スポーツヴィレッジまで11kmほどの距離。緩く登ってはいるものの物怖じする必要はない斜度で、仲間たちと一緒にペダルを回せば長くはない。長かった150kmもこれでラスト。噛みしめるようにペダルを回せばフィニッシュラインが見えてくる。
距離150km、獲得標高3,300mの山岳ライドをこなしたというのに、ゴールする人々の表情は皆一様に満面の笑顔。それほどまでに皆充実した1日を過ごせたようだ。フィニッシュアーチの先ではMCアケさんと大会実行委員長の西沢さんが参加者の帰りを待っており、一人ひとりハイタッチして迎える姿はアットホームな大会ならでは。達成感と満足感は一入だろう。
日本列島が連日の猛暑に包まれる中行われた今回の北アルプス山麓グランフォンド。昨年は雨天だったこともあり、晴天は喜ばれたものの、熱中症の危険などが心配された。しかしながらその対策として水被りコーナーがすべてのエイド、給水所に設置されていたり、冷たい氷や水、スポーツドリンクが惜しみもなく提供されたりと対策がしっかりと取られていたのが印象的だった。
今回は最長コースである150kmクラスをレポートしたが、北アルプス山麓グランフォンドでは他にも120kmクラス、100kmクラス、70kmクラスという計4つのコースを用意。自らの走力に応じてコースを選ぶことが出来るため、無理なく70kmクラスから始めて、1年ごとにレベルアップしていくというのも良いだろう。
もちろん150kmクラスは獲得標高3,300mという走りごたえのあるルート、各ビューポイントが見せる美しい風景やグルメも充実のメニューで大満足の内容だ。まだ参加していない人は来年こそ脚を運んでみてはいかがだろうか。
text&photo:Kosuke.Kamata
戸隠エリア入ると次のエイドへと至る8kmほどのヒルクライムがスタート。ここは峠道というより、集落の中にある坂を少しづつ登っていくコースとなっており、直線的な登りが多い区間。集落を抜けると蕎麦畑が広がるエリアに入るが、ここも緩やかな勾配の直線が続いており、参加者の心を少しずつ折ってくる。それに加えて1本目の登りで結構消耗していたことを実感させてくるため、思ったより脚が動かないことに困惑する参加者が多数。苦悶の顔を浮かべながら登っている人が多くいた。
しかしそんな苦しい登りも戸隠エイドまでくれば取り敢えず一段落。このエイドでは戸隠の名産品であるお蕎麦に天ぷらが2つとそば団子というボリューム満点のグルメを頂ける。丁度お腹が空いていたタイミングで嬉しいボリュームだ。麺が見えないほど大きい天ぷらはこの地域で普段から食べられる”のりな”と”ズッキーニ”の2種。どちらもサクサクで美味しい。そして肝心の蕎麦は流石産地ということもあり、香り良しコシ良し味よし喉越しよしと四拍子揃った美味しさ。そば団子は甘く味がついており、デザート感覚でパクリである。
もちろんこのエイドでも水被りゾーンを設置。加えて冷たい氷もたくさん用意され、自由にボトルに入れたり食べたり出来る。ともかく参加者の皆さんを全力で冷やしたいというエイドスタッフの気持ちが垣間見える。そんな献身的なサポートもあってか、記録的な猛暑だと言うのに熱中症かもしれないという参加者を見ないのだ。これなら安心してライドに集中出来るというもの。十分に身体を冷やしたら戸隠エイド出発である。
戸隠エイドからは少し下ってから登り返し大望峠へ。登りは3kmほどの距離を淡々と登っていく。頂上に着くと迫力満点の戸隠連峰が望める展望台に到着した。ここも眺めが良いためチームメンバーとの記念撮影に勤しむ参加者の方々。特に「伝説の谷 大望峠」の立て看板をバックに撮影する人が多かった。
大望峠の頂上から田園風景や色鮮やかな花々を横目に暫くの下り道。鬼無里の交差点まで下ったあとはルートを南に取り、大町方面に向けてペダルを回していく。もちろん平坦などあるわけもないので、下りきったら再び4.5kmほど登り、小川アルプスラインエイドへ向かう。途中10%の勾配を表す標識が立っていたり、直登が現れたりと体力的にはもちろんのこと、精神的にも辛いところだが、それを耐え切ると小川アルプスラインエイドに到着である。
大洞(おおどう)高原の観光施設「星と緑のロマン館」に設置された小川アルプスラインエイドでは野沢菜のおやきときゅうりの浅漬けが用意されている。長野県のロングライドイベントでは定番のおやきだが、やはり野沢菜が最高である。醤油ベースの野沢菜と小麦粉由来の自然な甘さの生地が組み合わさり絶妙なハーモニーが堪らないのだ。そしてきゅうりの浅漬けはわさびが隠し味になっており、パクパクと手が止まらない美味しさである。
標高が高く涼しいので長居してしまいたくなるが、後ろ髪を惹かれつつ小川アルプスラインエイドを出発。少しテクニカルかつハイスピードなダウンヒルを慎重にクリアしていくと県道31号線、通称オリンピック道路に出る。車の通りが少し多い幹線道路だが、道幅は広めなので安心して走れる。緩やかな登り勾配を大町美麻方面へ車輪を進めていく。
暫く行くと道の駅、ぽかぽかランド美麻でエイド休憩だ。ここでは漬物バイキングとネギ味噌おにぎりでカロリーを補給が出来る。漬物は地元信州の野菜を地元のおばあちゃん達が漬けてくれたもので、どれもシャキシャキと美味しい。そして定番のネギ味噌おにぎりは食欲を掻き立てる美味しさでペロリと頂ける。次の登りに向けて塩気が身体を活発にしてくれる感じがした。
ここからは途中に美麻支所給水所と下りを挟みつつ、鷹狩山エイドまで標高を上げていくコースレイアウト。ここまで110kmと数多の登りを走り抜いている訳だが、まだまだ試練は続くのである。
ぽかぽかランドエイドを出てすぐに始まる美麻支所給水所までの登りは3km程度と短めの距離。しかし斜度も厳しいため一筋縄ではいかないのが苦しい坂だ。途中には長々と続く直登もあり、参加者の心を容赦なく折ってくる。その苦行に耐えると美麻支所給水所に到着。ここではシンプルにネギたっぷりの冷奴が頂けるのだが、あっさりしているため、疲れた身体でもぺろりと軽く食す事が出来る。
補給を完了したら少しだけ下り、再びのヒルクライム。今年の大会から追加された鷹狩山へ向けて登っていく。7kmほどの距離だが、序盤は緩やかな勾配が続くため、マイペースにひたすらペダルを回す。途中には木漏れ日が気持ちいい林道区間があったりと穏やかに登る事が出来る。しかし、鷹狩山展望台に続く最終盤にはいわゆる激坂が登場。軽く蛇行せざる得ないような勾配に皆さん苦悶の表情である。
そんな厳しい激坂を登り切ると鷹狩山エイドに到着。ここは展望台ということもあり大町市と北アルプスを一望する事が出来る大パノラマが楽しめる。残念ながら今回は北アルプスに雲がかかっていたが、大町市の全景は眺めることができた。今大会最後のビューポイントとあって、多くの人が記念撮影をしていた。
そしてこの鷹狩山エイドでは地元産のブルーベリーかプルーンのジャムを乗せたアイスが用意されている。このアイスはどこにでも売っているようなバニラ味のカップアイスで、その上にジャムを乗せるだけというシンプルなメニューなのだが、これが美味しいことこの上ない。エイドのそこらかしこで「こんなに美味しいアイス初めて食べた」とか「人生で一番美味い」といった声が聞こえるのだ。それだけこのコースが辛かったのか、それとも本当にアイスが美味しいのかは、実際に食べた人にしか分からないだろうが、北アルプス山麓グランフォンドに参加すれば分かるということは確かだ。
アイスと美しい景色で体力を回復させたらエイドを出発。そのまま大町市内へ林道を下っていく。市街地に入り、田園風景を横目に駆け抜ければ最後のエイドステーションとなる大町温泉郷エイドまではすぐである。到着するとすぐに目に入るのがレッドブルの大きなパラソル。闘牛をモチーフにしたこのロゴがあると温泉郷だというのに急に渋谷のストリート感が出るのは中々不思議なところだ。
そして、ここでは長野県産の地粉を使用した冷や麦と黒豆羊羹が用意されている。冷たく喉越しの良い冷や麦は疲れた身体でもスルスルと食す事ができ、デザートの黒豆羊羹は糖分の補給にぴったりだ。もちろんレッドブルも配布されているので、フィニッシュへ向かう最後のひと頑張りのために翼を授ける人も多数。これで飛ぶように走れること間違いないだろう。しっかり補給をしたらバイクに再び跨がり、後は完走するだけである。
大町温泉郷エイドからはフィニッシュ地点である鹿島槍スポーツヴィレッジまで11kmほどの距離。緩く登ってはいるものの物怖じする必要はない斜度で、仲間たちと一緒にペダルを回せば長くはない。長かった150kmもこれでラスト。噛みしめるようにペダルを回せばフィニッシュラインが見えてくる。
距離150km、獲得標高3,300mの山岳ライドをこなしたというのに、ゴールする人々の表情は皆一様に満面の笑顔。それほどまでに皆充実した1日を過ごせたようだ。フィニッシュアーチの先ではMCアケさんと大会実行委員長の西沢さんが参加者の帰りを待っており、一人ひとりハイタッチして迎える姿はアットホームな大会ならでは。達成感と満足感は一入だろう。
日本列島が連日の猛暑に包まれる中行われた今回の北アルプス山麓グランフォンド。昨年は雨天だったこともあり、晴天は喜ばれたものの、熱中症の危険などが心配された。しかしながらその対策として水被りコーナーがすべてのエイド、給水所に設置されていたり、冷たい氷や水、スポーツドリンクが惜しみもなく提供されたりと対策がしっかりと取られていたのが印象的だった。
今回は最長コースである150kmクラスをレポートしたが、北アルプス山麓グランフォンドでは他にも120kmクラス、100kmクラス、70kmクラスという計4つのコースを用意。自らの走力に応じてコースを選ぶことが出来るため、無理なく70kmクラスから始めて、1年ごとにレベルアップしていくというのも良いだろう。
もちろん150kmクラスは獲得標高3,300mという走りごたえのあるルート、各ビューポイントが見せる美しい風景やグルメも充実のメニューで大満足の内容だ。まだ参加していない人は来年こそ脚を運んでみてはいかがだろうか。
text&photo:Kosuke.Kamata
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