2018/04/09(月) - 09:07
1年の中でも1週間程度しか楽しむことができない国民的植物「桜」を愛でるサイクリングレポート。後編では遊行寺からスタートし江ノ島を満喫。しらす丼やおしゃれなカフェでの定食などの美味と花見を楽しみました。
マイ・ベスト・オブ桜並木を詣でるサイクリングに出たフジワラ。目的地が30分もかからないところにあったため、大好きな桜並木を愛でるという企画はあっという間に完遂してしまった。それでは記事にできない(出勤扱いにならない)という大問題が降りかかってくるため、ロードバイクに乗り始めた頃に楽しんでいた思い出の場所をのんびりと巡るサイクリングに目的を変えたのが、前半までのあらすじ。
後半は遊行寺からスタート。この寺の脇にある坂は箱根駅伝の往路3区、復路8区で登場する上、定点カメラで撮影されお茶の間に届けられているため、ご存知の方も多いはずだ。今回はこの坂を登ろうという考えはなく、いつも通り過ぎてしまう寺に足を向けてみようと思う。
遊行寺で知られているが、正式名称が藤澤山 無量光院 清浄光寺であることを知っている方は少ないはずだ。確かに山門前の柱には正式名称が刻印されているが、それと遊行寺の本来の名前であることは結びつきにくい。私もこの記事のために調べるまで、同一の寺だとは思っていなかった。
さらに遊行寺が時宗の総本山であることも、私にとって新情報であった。時宗は鎌倉仏教の一つで、日本史の授業で必ず勉強する範囲だが、私は各宗派の総本山をチェックするのを怠っていたみたいだ。天台宗と真言宗なら「てんさいひえー(天台宗、最澄、比叡山延暦寺)、真空パックとう(真言宗、空海、東寺)」と語呂合わせで覚えたというのに。
総本山の話はさておき、次は開祖の話題に移ろう。時宗の開祖は一遍上人であることは、教科書が教えてくれる。一遍上人は空也が民衆に仏教を広めるために行ったことが起源とされた踊念仏を実践していたため、私も踊念仏を模したポーズで撮影し、サイクリングに戻ることに。
遊行寺から江ノ島までは、後続から接近する自動車に気をつけながら市街地を走り抜けるリエゾン区間。また、藤沢駅周辺にはプロショップが何軒かあるため、このエリアを走行する際は頭に入れておけば、トラブル時に駆け込むことができるだろう。
藤沢から南下し、リンケージサイクルが見えたところで緩く左にカーブし始めたら、江ノ島はもうすぐそこの合図。タイミングが良ければ、路面軌道を走行する江ノ電にも出会えるだろう。約1年前のツーリング記事に登場させた扇屋は目の前だが、江ノ島が目前に迫っている時に何処かに寄るのは野暮というもの。江ノ電と交る交差点を右折し、一気に海へ出てしまい「海だー!」と心の中で叫ぶのが定番だ。口に出すのは流石に恥ずかしいので…。
キラキラと輝く海をみるといつだってスペシャルな気分を味わえる。私のベスト・オブ・相模湾との出会いは、別府史之選手のロンドン五輪壮行会と合わせて開かれたサイクリングイベント(2012年開催)に参加するために江ノ島を訪れた時。キラキラと輝く海原と、どこまでも見通せるのではないかと思うほど澄んだライトブルーの空、水色のキャンバスにアクセントとして現れる控えめな雲、どれもが完璧だった。先程、心の中で叫ぶと言ったが、この時だけは、周りに人がいないことを確認し叫んだ思い出がある。それ以来、私のベスト・オブ・相模湾は更新されていない。思い出補正上等。
残念ながら今回もベストを更新することは叶わなかったのは残念だ(棒読み)。私にとってはワン・オブ・ゼムになってしまったが、景色の感じ方はその時の気持ち、気象条件によって様々なオンリーワンの体験なので大切にしたいと思う。ただ、記憶から消え去ってしまうことは仕方ない。
今回はまずは片瀬漁港脇にある江ノ島小屋で朝食を取ることに。選ぶのはもちろんシラス丼だ。江ノ島はシラス漁が盛んであり名物のひとつとなっているため、是非とも頂きたい食材だ。本来ならば生シラスを頂きたかったが、選んだ店、朝食というタイミングでは難しいので断念。サイクリング中に販売店のツイッターをチェックして、入荷したら向かおうという算段も立てている。
私は朝食は喉を通らないタイプで、いつもホットドッグとコーヒー1杯しか受け付けないのだが、この日は違った。片道20km程度のサイクリングだったが朝食を摂る前に出かけてきてしまったせいでお腹はペコペコ。目の前に置かれたシラス丼を前にすると、撮影なんてせずに今すぐ箸を手に持ちたいという気持ちが溢れ出て来る。仕事じゃなければと思うが、こんな贅沢な朝食を経費で落とすことができるのだから、箸をつけるのをグッと堪え、カメラを手にする。そして手を付けたらあっという間に完食。美味しいので是非。
豪華な朝食を頂いた後は腹ごなしの運動を。私には江ノ島を訪れた際には必ず立ち寄るジェラテリアがあり、昼食はそこと決めている。この時はあんなことになるなんてつゆ知らず…。お昼まで約1時間半程度。大磯や鎌倉周辺を散策するのにはピッタリなフリータイムといったところだろう。
私が江ノ島にいて時間を潰すとなると訪れたいのは新江ノ島水族館だ。相模湾の豊かな生態系を学べる最高の施設であり、ペンギンやクラゲも非常にキュートで癒されるベストプレイスである。今回はサイクリング記事で訪れられないのは明らかなのにわざわざ1文節使って記述するところの本気度を感じ取ってもらいたい。
さて、サイクリングに出たいのは山々だが、満腹感と中々心地よい天候にやられてしまい、のんびりと過ごした意欲が私を支配してしまったので、江ノ島周辺の散策とすることに。片瀬漁港には水揚げした魚の加工所と直売所が併設されており、捕れたての魚を見ることができるのだ。自転車では中々魚介類を購入するのは難しいが、ここの漁港では何が捕れたのかなと覗いて見るだけでも良いし、トンビやカラスが魚を奪おうと上空を旋回している様子をボーっとしながら眺めているのも休日感を味わえるので最高だ。
3月下旬にも関わらず、砂浜では海開きをしたのではないかと思わせるほど数多くの人が遊んでおり、今年の春の暖かさを表しているようだった。沖ではヨットが風を受けてグングン進んでいたり、SUPを楽しむ人などマリンスポーツが盛んなところは流石湘南という感じだ。
自転車で江ノ島に渡ってみるとこちらも人が大勢おり、仲見世通りは繁忙期と同じくらいと思わせるほどの盛況ぶり。生しらすでも頂こうかと考えていたが、有名店のとびっちょは開店前から長蛇の列。ロードバイクを駐輪場に長時間置いておくのは心配なので今回は江ノ島の中心で遊ぶのはパス。人が少ない南東側の岸壁でのんびりと過ごすことに。
道なりに進むと現れるヨットハーバーの奥に進むと堤防があり、そこで太平洋を眺めながら黄昏れることが時間を持て余した私の長期休暇の過ごし方だった。その思い出をトレースしようと思っていたが、何故か堤防上の遊歩道が封鎖されている。一部のみ開放されており遊歩道に上がってみると手すりが封鎖されている区間の手すりが倒れている光景が目に飛び込んできた。どうやら昨年の台風の影響だそうだ。自然の恐ろしさを不意に押し付けられたようで、心拍数が少しばかり上昇してしまった。
堤防も何もない南岸へはいつも通りアクセスすることができた。ここは釣り人達が数多くいるスポットで、この日も平日にも関わらず多くの人が釣り糸を垂らしている。観光スポットであるメインストリートに対してここは知る人しか訪れない場所でもあるため、江ノ島の中でも最ものんびりと過ごせるのだ。音楽を流し約30分、1枚のCDアルバムを聞き終えた所でいよいよお目当てのジェラテリアへと足を向ける。
ルンルン気分でペダルを漕ぎ、江ノ電が併用軌道となる部分にあるThe Market SE1にたどり着いたは良いものの、なんとお店がオープンしていないではないか!定休日でもなく、開店時間を過ぎているのにと訝しげにお店を覗くと、春休みの文字が入ったカレンダーを見つけてしまった…。やっちまった。年中無休24時間営業に慣れすぎてしまったせいで、定休日以外はオープンしていて当然と思い込んでいた。私は自分自身の休みの権利だけは主張しつつ、他人の休みには疎い傲慢なブラック消費者のようだ。
お客様は神様という思考が根付いていたことに反省しながら、次のランチ場所候補である稲村ヶ崎のヨリドコロへと足を向ける。江ノ電が建物のすぐ目の前を通過するこのカフェは一度訪れてみたかったあこがれの場所。お馴染みの店で舌鼓を打つのも良いが、新しいお店を開拓するのも楽しみの1つだろう。サバのみりん干し定食と特製チーズケーキをペロリと平らげたおかげで、お目当てのジェラテリアがお休みだった忌々しい記憶は頭の奥底へ追いやることに成功した。
満腹になったら帰路につくことに。ただ単に来た道を引き返すのは楽しくないので、七里ガ浜から鎌倉山に進路を向ける。これが正解であった。浜から山へと一気に登る苦しいヒルクライムの先には見事な桜並木が待ち構えていたのだ。ハイソなイメージがある鎌倉山の住宅街にふさわしい気品を感じながら、藤沢方面へと一気に進む。
藤沢駅から大和市に入るところまでは再び境川サイクリングロードでのんびりポタリングだ。いちょう団地に差し掛かるところで境川を離れ、並行して流れる引地川へと足を向ける。引地川にも「千本桜」と呼ばれる桜並木があり、この時期にサイクリングする際には外せないのだ。千本桜も一日中いられるほど長閑な雰囲気であり、ついついのんびりしすぎてしまったようだ。いつの間にか日没の時間が迫っており、いそいそと実家へと戻るのであった。
美しくも儚い桜を愛でるサイクリングはシーズンインにピッタリだ。今年もお花見ライドを堪能した方は来年は新しいスポットを見つけるサイクリングなんてのは良いだろう。今年は時期を逃してしまったという方は、来年こそは自分自身のベスト・オブ・桜並木を愛でてみては如何だろう。この時期のサイクリングはきっと心地よいはずだ。
text&photo:Gakuto Fujiwara
マイ・ベスト・オブ桜並木を詣でるサイクリングに出たフジワラ。目的地が30分もかからないところにあったため、大好きな桜並木を愛でるという企画はあっという間に完遂してしまった。それでは記事にできない(出勤扱いにならない)という大問題が降りかかってくるため、ロードバイクに乗り始めた頃に楽しんでいた思い出の場所をのんびりと巡るサイクリングに目的を変えたのが、前半までのあらすじ。
後半は遊行寺からスタート。この寺の脇にある坂は箱根駅伝の往路3区、復路8区で登場する上、定点カメラで撮影されお茶の間に届けられているため、ご存知の方も多いはずだ。今回はこの坂を登ろうという考えはなく、いつも通り過ぎてしまう寺に足を向けてみようと思う。
遊行寺で知られているが、正式名称が藤澤山 無量光院 清浄光寺であることを知っている方は少ないはずだ。確かに山門前の柱には正式名称が刻印されているが、それと遊行寺の本来の名前であることは結びつきにくい。私もこの記事のために調べるまで、同一の寺だとは思っていなかった。
さらに遊行寺が時宗の総本山であることも、私にとって新情報であった。時宗は鎌倉仏教の一つで、日本史の授業で必ず勉強する範囲だが、私は各宗派の総本山をチェックするのを怠っていたみたいだ。天台宗と真言宗なら「てんさいひえー(天台宗、最澄、比叡山延暦寺)、真空パックとう(真言宗、空海、東寺)」と語呂合わせで覚えたというのに。
総本山の話はさておき、次は開祖の話題に移ろう。時宗の開祖は一遍上人であることは、教科書が教えてくれる。一遍上人は空也が民衆に仏教を広めるために行ったことが起源とされた踊念仏を実践していたため、私も踊念仏を模したポーズで撮影し、サイクリングに戻ることに。
遊行寺から江ノ島までは、後続から接近する自動車に気をつけながら市街地を走り抜けるリエゾン区間。また、藤沢駅周辺にはプロショップが何軒かあるため、このエリアを走行する際は頭に入れておけば、トラブル時に駆け込むことができるだろう。
藤沢から南下し、リンケージサイクルが見えたところで緩く左にカーブし始めたら、江ノ島はもうすぐそこの合図。タイミングが良ければ、路面軌道を走行する江ノ電にも出会えるだろう。約1年前のツーリング記事に登場させた扇屋は目の前だが、江ノ島が目前に迫っている時に何処かに寄るのは野暮というもの。江ノ電と交る交差点を右折し、一気に海へ出てしまい「海だー!」と心の中で叫ぶのが定番だ。口に出すのは流石に恥ずかしいので…。
キラキラと輝く海をみるといつだってスペシャルな気分を味わえる。私のベスト・オブ・相模湾との出会いは、別府史之選手のロンドン五輪壮行会と合わせて開かれたサイクリングイベント(2012年開催)に参加するために江ノ島を訪れた時。キラキラと輝く海原と、どこまでも見通せるのではないかと思うほど澄んだライトブルーの空、水色のキャンバスにアクセントとして現れる控えめな雲、どれもが完璧だった。先程、心の中で叫ぶと言ったが、この時だけは、周りに人がいないことを確認し叫んだ思い出がある。それ以来、私のベスト・オブ・相模湾は更新されていない。思い出補正上等。
残念ながら今回もベストを更新することは叶わなかったのは残念だ(棒読み)。私にとってはワン・オブ・ゼムになってしまったが、景色の感じ方はその時の気持ち、気象条件によって様々なオンリーワンの体験なので大切にしたいと思う。ただ、記憶から消え去ってしまうことは仕方ない。
今回はまずは片瀬漁港脇にある江ノ島小屋で朝食を取ることに。選ぶのはもちろんシラス丼だ。江ノ島はシラス漁が盛んであり名物のひとつとなっているため、是非とも頂きたい食材だ。本来ならば生シラスを頂きたかったが、選んだ店、朝食というタイミングでは難しいので断念。サイクリング中に販売店のツイッターをチェックして、入荷したら向かおうという算段も立てている。
私は朝食は喉を通らないタイプで、いつもホットドッグとコーヒー1杯しか受け付けないのだが、この日は違った。片道20km程度のサイクリングだったが朝食を摂る前に出かけてきてしまったせいでお腹はペコペコ。目の前に置かれたシラス丼を前にすると、撮影なんてせずに今すぐ箸を手に持ちたいという気持ちが溢れ出て来る。仕事じゃなければと思うが、こんな贅沢な朝食を経費で落とすことができるのだから、箸をつけるのをグッと堪え、カメラを手にする。そして手を付けたらあっという間に完食。美味しいので是非。
豪華な朝食を頂いた後は腹ごなしの運動を。私には江ノ島を訪れた際には必ず立ち寄るジェラテリアがあり、昼食はそこと決めている。この時はあんなことになるなんてつゆ知らず…。お昼まで約1時間半程度。大磯や鎌倉周辺を散策するのにはピッタリなフリータイムといったところだろう。
私が江ノ島にいて時間を潰すとなると訪れたいのは新江ノ島水族館だ。相模湾の豊かな生態系を学べる最高の施設であり、ペンギンやクラゲも非常にキュートで癒されるベストプレイスである。今回はサイクリング記事で訪れられないのは明らかなのにわざわざ1文節使って記述するところの本気度を感じ取ってもらいたい。
さて、サイクリングに出たいのは山々だが、満腹感と中々心地よい天候にやられてしまい、のんびりと過ごした意欲が私を支配してしまったので、江ノ島周辺の散策とすることに。片瀬漁港には水揚げした魚の加工所と直売所が併設されており、捕れたての魚を見ることができるのだ。自転車では中々魚介類を購入するのは難しいが、ここの漁港では何が捕れたのかなと覗いて見るだけでも良いし、トンビやカラスが魚を奪おうと上空を旋回している様子をボーっとしながら眺めているのも休日感を味わえるので最高だ。
3月下旬にも関わらず、砂浜では海開きをしたのではないかと思わせるほど数多くの人が遊んでおり、今年の春の暖かさを表しているようだった。沖ではヨットが風を受けてグングン進んでいたり、SUPを楽しむ人などマリンスポーツが盛んなところは流石湘南という感じだ。
自転車で江ノ島に渡ってみるとこちらも人が大勢おり、仲見世通りは繁忙期と同じくらいと思わせるほどの盛況ぶり。生しらすでも頂こうかと考えていたが、有名店のとびっちょは開店前から長蛇の列。ロードバイクを駐輪場に長時間置いておくのは心配なので今回は江ノ島の中心で遊ぶのはパス。人が少ない南東側の岸壁でのんびりと過ごすことに。
道なりに進むと現れるヨットハーバーの奥に進むと堤防があり、そこで太平洋を眺めながら黄昏れることが時間を持て余した私の長期休暇の過ごし方だった。その思い出をトレースしようと思っていたが、何故か堤防上の遊歩道が封鎖されている。一部のみ開放されており遊歩道に上がってみると手すりが封鎖されている区間の手すりが倒れている光景が目に飛び込んできた。どうやら昨年の台風の影響だそうだ。自然の恐ろしさを不意に押し付けられたようで、心拍数が少しばかり上昇してしまった。
堤防も何もない南岸へはいつも通りアクセスすることができた。ここは釣り人達が数多くいるスポットで、この日も平日にも関わらず多くの人が釣り糸を垂らしている。観光スポットであるメインストリートに対してここは知る人しか訪れない場所でもあるため、江ノ島の中でも最ものんびりと過ごせるのだ。音楽を流し約30分、1枚のCDアルバムを聞き終えた所でいよいよお目当てのジェラテリアへと足を向ける。
ルンルン気分でペダルを漕ぎ、江ノ電が併用軌道となる部分にあるThe Market SE1にたどり着いたは良いものの、なんとお店がオープンしていないではないか!定休日でもなく、開店時間を過ぎているのにと訝しげにお店を覗くと、春休みの文字が入ったカレンダーを見つけてしまった…。やっちまった。年中無休24時間営業に慣れすぎてしまったせいで、定休日以外はオープンしていて当然と思い込んでいた。私は自分自身の休みの権利だけは主張しつつ、他人の休みには疎い傲慢なブラック消費者のようだ。
お客様は神様という思考が根付いていたことに反省しながら、次のランチ場所候補である稲村ヶ崎のヨリドコロへと足を向ける。江ノ電が建物のすぐ目の前を通過するこのカフェは一度訪れてみたかったあこがれの場所。お馴染みの店で舌鼓を打つのも良いが、新しいお店を開拓するのも楽しみの1つだろう。サバのみりん干し定食と特製チーズケーキをペロリと平らげたおかげで、お目当てのジェラテリアがお休みだった忌々しい記憶は頭の奥底へ追いやることに成功した。
満腹になったら帰路につくことに。ただ単に来た道を引き返すのは楽しくないので、七里ガ浜から鎌倉山に進路を向ける。これが正解であった。浜から山へと一気に登る苦しいヒルクライムの先には見事な桜並木が待ち構えていたのだ。ハイソなイメージがある鎌倉山の住宅街にふさわしい気品を感じながら、藤沢方面へと一気に進む。
藤沢駅から大和市に入るところまでは再び境川サイクリングロードでのんびりポタリングだ。いちょう団地に差し掛かるところで境川を離れ、並行して流れる引地川へと足を向ける。引地川にも「千本桜」と呼ばれる桜並木があり、この時期にサイクリングする際には外せないのだ。千本桜も一日中いられるほど長閑な雰囲気であり、ついついのんびりしすぎてしまったようだ。いつの間にか日没の時間が迫っており、いそいそと実家へと戻るのであった。
美しくも儚い桜を愛でるサイクリングはシーズンインにピッタリだ。今年もお花見ライドを堪能した方は来年は新しいスポットを見つけるサイクリングなんてのは良いだろう。今年は時期を逃してしまったという方は、来年こそは自分自身のベスト・オブ・桜並木を愛でてみては如何だろう。この時期のサイクリングはきっと心地よいはずだ。
text&photo:Gakuto Fujiwara
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