2017/10/04(水) - 09:05
ヨーロッパでのサイクリングツアーなどを開催しているフェローサイクルのブエルタ・ア・エスパーニャ観戦ツアーにCW編集部員のカマタが帯同。vol.3は第18ステージのコースを走るサイクリングとレース観戦の様子をレポート。vol.2はこちら
旅も中盤となりスペインでの過ごし方もこなれてきた4日目。本日の予定は今日のレーススタート地点であるスアンセスに行き、ヴィラージュやブースを回った後、コースの残り30kmとなる2級山岳の頂上からゴールまでをサイクリング。ゴール地点でレースを観戦するというプランだ。実際にレースで使われるコースを走ることで、より応援にも気持ちが入るというものだ。
いつも通り朝食を取り、荷物をまとめ車へ乗り込む。2泊したサンタンデールの「ホテル・サン・ミラン」ともお別れだ。ハイウェイに乗り一路スアンセスに向かう。途中白バイ軍団がガソリンスタンドで休憩していたり、大会関係車両が洗車していたりと、ここでもブエルタの空気を感じる事ができるあたり本当に大きい大会なんだと実感させられる。
スタート地点となるスアンセスのビーチに到着。ここまで渋滞もなくストレスフリーに来れるあたりがツール・ド・フランスとの違い。それに加えて大会オフィシャルツアーの車両であるため、会場と非常に近い位置に車を停めることが出来るのだ。
今回、私はブエルタ公式お土産ショップで10ユーロのお土産6アイテムセットを購入。Tシャツ、キャップ、ブエルタの公式キャラクターのキーホルダー、ネックストラップ、ブエルタコースが描かれたマグネット、しっかりとしたショッパーという内容だ。ブエルタツアーの参加者同士であれはお買い得だと言っていたセットが遂にゲット出来た。これでここでのミッションは完了したと言ってもいい。
このスタート地点にも、もちろんヴィラージュがある。特にここではカルフールブースのフレッシュフルーツが盛りだくさんだったが、手に取る人は少なめ。また、地元の電力会社がブースを出しており、ツアーの参加者は揃って手に蛍光バンドを付けてもらっていた。ブエルタ公式キャラクターのテイテイや、プロチームでおなじみのコフィディスのマスコットもいて、記念撮影する姿も。口から人間の顔が見え、手は人間のままというカルチャーショックを受けるスタイルだった。
ヴィラージュの外ではスキンヘッドの名物MCによるトークショーが盛り上がる。その後ろではチームジャージなどを販売する売店があり、各チームジャージはもちろんのこと、日本ではあまり手に入らないチームTシャツなどがお買い得なお値段で売られている。その横にはサンティーニのブースもあり、ブエルタ限定デザインのサイクルウェア小物などが並ぶ。
そうこうしている内に出発の時間。やっとやってきたチームバスを見送りながら、足早にスタート地点を離れ、サイクリングのスタート地点となる2級山岳の頂上へ向かう。ここからはしばし1時間ほどのドライブ。急がないため、景色のいいところで記念撮影。スペインはどうしてどこも景色がダイナミックなのだろうか。
途中、ガソリンスタンドで休憩。飲み物などを調達していると、レジに向かうと店主が読んでいたのだろうか新聞が1部置いてある。1面は昨日のステージであったロス・マチュコスを走るコンタドールの写真。やっぱりスペインでは自転車レースで1面飾っちゃうんだなとか思っていたら、なんか見慣れた人が写真に写っていることに気づく。ん?んん!!これは中村夫妻と私カマタではないか!!!そう、この1面を飾っている写真に私達がしっかり写り込んでいたのだ。
店主に「これは私達だ!」と語気荒く伝えると「すごいじゃないか!持っていけ」と快く最後の1部だった新聞を譲ってくれた。店の外で休んでいたオートバイのおじさんにも自慢すると、「これが君らか!すごいな!」という食いつき様。やはりここでは皆がブエルタのことを知っていてリスペクトされている。新聞に写れた喜びもさることながら、そんな本場の自転車文化に触れることが出来た出来事であった。
残り37kmに設定されたスプリントポイントを車で通過し2級山岳がスタート。まだまだプロトンが来るのは先になるが、コーナーや激坂部分など主要な観戦スポットには車が停められ、レースが来るのを待っているファンの人達がいた。7kmほど車に揺られれば頂上に到着。ここで自転車に乗り換え、ゴール地点のサント・トリビオ・デ・リエバナまでサイクリングだ。
マドリードの空港から車の屋根にずっと積んでいたバイクを遂に降ろし、サドルの高さなどをセッティングする。バイクはスペシャライズドのRoubaix SL4。現行のフューチャーショック搭載モデルではないにしろ、フレームに組み込まれたゼルツが振動を吸収してくれるため、サイクリングやロングライドに最適なバイクだ。レンタルバイクだがフレームサイズも渡航前に言った通りの最適なサイズで用意されているため、乗りづらいということもない。
サイクリング前にはロベルトがロードバイクのブレーキングやコーナーリングの仕方を一通り教えてくれる。ブレーキが左前なのでそこは注意が必要だ。一通り用意をしたら記念撮影をしてサイクリングに出発。2級山岳の頂上からスタートしたため、初っ端から下りである。それもかなりテクニカルなコースレイアウトだ。
しかしそれに勝るのが圧倒的でダイナミックなロケーション。迫りくるような岩肌の見えた山々や深い谷底、時折現れるヨーロッパらしい民家などそのどれもが日本にはない景色だ。それに加えてヨーロッパ特有の乾いた空気が非常に心地よく、清々しい気持ちになる。日本で言えば天気の良い秋の陽気と言ったところだろうか。もしかしたらヨーロッパで自転車文化が根付いたのはこの気候のおかげもあるのではないかと思うほどだ。
下り終わると岩山の間を抜ける平坦区間が続く。途中おしゃれな民家を発見し撮影。なぜか知らないけど、家のバルコニー部分に赤とか鮮やかな色の花を飾るのが多く見える。確かにいかにもスペインっぽいけど何故だろう。しばらく平坦を走るとポテスの街を通りゴール地点へ続くサント・トリビオ・デ・リエバナの登りが現れる。
長さ3.2km平均6.4%ほどの3級山岳に分類されるサント・トリビオ・デ・リエバナだが、一部直登の激坂が現れる。どうやら9%ほどの勾配と書かれているが、これは12、13%くらいあるんじゃないかという感じで結構厳しい。選手はここを羽が付いたように登っていくのだからすごいと思うと同時に、大会主催者の言う勾配に疑問を感じざる得ない。
たぶん勾配が何%なのかは大した問題じゃないんだ。そうなんだ。と勝手に解釈し、黙々と登り続ける。ゴール手前100メートルほどでコースから出るよう促され、そのまま設営してあるヴィラージュへ。とりあえず水をもらって水分補給し、サンドイッチやピザでエネルギー補給する。
ここのヴィラージュはメニューが豊富でサンドイッチやチキン串など食べ物が多い。お腹が減っていたので色々頂いた。皆さんに好評のレモンビールも頂くことに。アルコール度数も低く、爽やかな味わいで美味しかった。日本で売っても売れそうな気がする飲み物である。
しばらくすればキャラバン隊が到着。いろいろなものを渡してくれるのだが、いらないものも渡してくるので困り物。カルフールのキャップを5つくらいもらってしまった。しょうがないから日本にちゃんと持って帰ったけれど。逆にコフィディスのナップサックは貰えなくてショック。代わりに閲覧数が稼げるであろう写真を頂いた。
キャラバン隊が通り過ぎればそろそろ選手がやってくる時間帯。皆大型ビジョンに釘付けになる。コンタドールがアタックすると大きな歓声が湧き、フルームがアクションを起こしても少し湧き立つ。ただブーイングなどはなく、アウェーの中でダブルツールに向け走る選手としてリスペクトされている空気を感じる。それとイタリア出身のファビオ・アルも何故か人気なようで独走時は周囲が少しだけざわついた。
サント・トリビオ・デ・リエバナを先頭で登ってきたのはロット・ソウダルのサンデル・アルメ。続いてルツェンコ、ヴィスコンティと続く。昨日とは違ったハイスピードな走りはこれまた格好いいものだ。まだまだ私のカメラの腕が素人に毛が生えた程度なため、良い写真が撮れなかったのが悔やまれる。
先頭がゴールししばらくするとフルームとコンタドールがやってきた。コンタドールは意地でもフルームより先にゴールするべくスパートをかける。皆それをカメラや視線で追うのだが、10m付近でコンタドールが後ろを振り向き、私達の方を見たのだ。どうやらその後の中村さんの話によると振り向きニコッと笑ったという。もしかしたらコンタドールの旗を持った見慣れないアジア人に気づいたのかもしれない。と車内で話題になったのは後の話。
今日はこの後、車で1時間半ほどかけてヒホンの街に移動。車での移動はホントに楽ちんだし、景色も見ていて飽きないためあっという間に到着した。今晩から星が1つ増えた4つ星ホテル、エルナン・コルテスに2泊する。やはりちょっと造りが豪華になる。部屋に荷物をおいて夕食へ。ホテルでおすすめされたレストランに行くことに。
レストランでまずに出されたのがリンゴを発酵させて造られるアルコール飲料、シードラ。このヒホンの街があるアストゥリアス州では食事に欠かせないお酒である。注ぎ方が独特で、頭上に持ったビンから低い位置に持ったグラスにノールックで注ぐのが作法らしい。これを店員さんがやってくれるのだが、結構滑稽。どこ見てるの?と思わず聞きたくなってしまう。
それを一気に飲み干すのがここの飲み方らしいが、グラスが空になると勝手に注がれてしまう。それこそわんこ酒といった様相で、まだ空腹のお腹には結構来るものがある。もういらないと言ってみるが、次のボトルを持ってくる始末。注がれたお酒を飲まないで置いておくことでここは難を逃れた。なかなか恐ろしい展開であった。
料理はブルーチーズが乗ったサラダから始まり、メインディッシュは1cmほどの厚みがある分厚い牛肉を鉄板で焼くスペイン風焼肉。テーブルに生肉が2kgほどやってきて店員さんが1枚試しに焼いてみる。するとさらっと両面を炙っただけで食べろという。流石に色々怖いということで私が毒味係をすると、非常に柔らかくて美味しい。ステーキなのか焼肉なのか分からないが、私が食べた肉料理の中でも3本の指に入るかもしれない。
8人いたとしても2kgは多いかと思ったが、ぺろりと完食。日本では頂けないであろう(ほぼ)生肉の旨さを知ってしまい。少し日本の方々に申し訳ない気持ちになる。それと同時に少し危ない橋を渡っているようなスリル感が病みつきだった。
明日のステージはホテルから徒歩圏内のビーチにゴールするスプリントステージ。午前中はスプリントポイントからサイクリングの予定だ。
vol.4はこちら
text&photo:Kosuke.Kamata
旅も中盤となりスペインでの過ごし方もこなれてきた4日目。本日の予定は今日のレーススタート地点であるスアンセスに行き、ヴィラージュやブースを回った後、コースの残り30kmとなる2級山岳の頂上からゴールまでをサイクリング。ゴール地点でレースを観戦するというプランだ。実際にレースで使われるコースを走ることで、より応援にも気持ちが入るというものだ。
いつも通り朝食を取り、荷物をまとめ車へ乗り込む。2泊したサンタンデールの「ホテル・サン・ミラン」ともお別れだ。ハイウェイに乗り一路スアンセスに向かう。途中白バイ軍団がガソリンスタンドで休憩していたり、大会関係車両が洗車していたりと、ここでもブエルタの空気を感じる事ができるあたり本当に大きい大会なんだと実感させられる。
スタート地点となるスアンセスのビーチに到着。ここまで渋滞もなくストレスフリーに来れるあたりがツール・ド・フランスとの違い。それに加えて大会オフィシャルツアーの車両であるため、会場と非常に近い位置に車を停めることが出来るのだ。
今回、私はブエルタ公式お土産ショップで10ユーロのお土産6アイテムセットを購入。Tシャツ、キャップ、ブエルタの公式キャラクターのキーホルダー、ネックストラップ、ブエルタコースが描かれたマグネット、しっかりとしたショッパーという内容だ。ブエルタツアーの参加者同士であれはお買い得だと言っていたセットが遂にゲット出来た。これでここでのミッションは完了したと言ってもいい。
このスタート地点にも、もちろんヴィラージュがある。特にここではカルフールブースのフレッシュフルーツが盛りだくさんだったが、手に取る人は少なめ。また、地元の電力会社がブースを出しており、ツアーの参加者は揃って手に蛍光バンドを付けてもらっていた。ブエルタ公式キャラクターのテイテイや、プロチームでおなじみのコフィディスのマスコットもいて、記念撮影する姿も。口から人間の顔が見え、手は人間のままというカルチャーショックを受けるスタイルだった。
ヴィラージュの外ではスキンヘッドの名物MCによるトークショーが盛り上がる。その後ろではチームジャージなどを販売する売店があり、各チームジャージはもちろんのこと、日本ではあまり手に入らないチームTシャツなどがお買い得なお値段で売られている。その横にはサンティーニのブースもあり、ブエルタ限定デザインのサイクルウェア小物などが並ぶ。
そうこうしている内に出発の時間。やっとやってきたチームバスを見送りながら、足早にスタート地点を離れ、サイクリングのスタート地点となる2級山岳の頂上へ向かう。ここからはしばし1時間ほどのドライブ。急がないため、景色のいいところで記念撮影。スペインはどうしてどこも景色がダイナミックなのだろうか。
途中、ガソリンスタンドで休憩。飲み物などを調達していると、レジに向かうと店主が読んでいたのだろうか新聞が1部置いてある。1面は昨日のステージであったロス・マチュコスを走るコンタドールの写真。やっぱりスペインでは自転車レースで1面飾っちゃうんだなとか思っていたら、なんか見慣れた人が写真に写っていることに気づく。ん?んん!!これは中村夫妻と私カマタではないか!!!そう、この1面を飾っている写真に私達がしっかり写り込んでいたのだ。
店主に「これは私達だ!」と語気荒く伝えると「すごいじゃないか!持っていけ」と快く最後の1部だった新聞を譲ってくれた。店の外で休んでいたオートバイのおじさんにも自慢すると、「これが君らか!すごいな!」という食いつき様。やはりここでは皆がブエルタのことを知っていてリスペクトされている。新聞に写れた喜びもさることながら、そんな本場の自転車文化に触れることが出来た出来事であった。
残り37kmに設定されたスプリントポイントを車で通過し2級山岳がスタート。まだまだプロトンが来るのは先になるが、コーナーや激坂部分など主要な観戦スポットには車が停められ、レースが来るのを待っているファンの人達がいた。7kmほど車に揺られれば頂上に到着。ここで自転車に乗り換え、ゴール地点のサント・トリビオ・デ・リエバナまでサイクリングだ。
マドリードの空港から車の屋根にずっと積んでいたバイクを遂に降ろし、サドルの高さなどをセッティングする。バイクはスペシャライズドのRoubaix SL4。現行のフューチャーショック搭載モデルではないにしろ、フレームに組み込まれたゼルツが振動を吸収してくれるため、サイクリングやロングライドに最適なバイクだ。レンタルバイクだがフレームサイズも渡航前に言った通りの最適なサイズで用意されているため、乗りづらいということもない。
サイクリング前にはロベルトがロードバイクのブレーキングやコーナーリングの仕方を一通り教えてくれる。ブレーキが左前なのでそこは注意が必要だ。一通り用意をしたら記念撮影をしてサイクリングに出発。2級山岳の頂上からスタートしたため、初っ端から下りである。それもかなりテクニカルなコースレイアウトだ。
しかしそれに勝るのが圧倒的でダイナミックなロケーション。迫りくるような岩肌の見えた山々や深い谷底、時折現れるヨーロッパらしい民家などそのどれもが日本にはない景色だ。それに加えてヨーロッパ特有の乾いた空気が非常に心地よく、清々しい気持ちになる。日本で言えば天気の良い秋の陽気と言ったところだろうか。もしかしたらヨーロッパで自転車文化が根付いたのはこの気候のおかげもあるのではないかと思うほどだ。
下り終わると岩山の間を抜ける平坦区間が続く。途中おしゃれな民家を発見し撮影。なぜか知らないけど、家のバルコニー部分に赤とか鮮やかな色の花を飾るのが多く見える。確かにいかにもスペインっぽいけど何故だろう。しばらく平坦を走るとポテスの街を通りゴール地点へ続くサント・トリビオ・デ・リエバナの登りが現れる。
長さ3.2km平均6.4%ほどの3級山岳に分類されるサント・トリビオ・デ・リエバナだが、一部直登の激坂が現れる。どうやら9%ほどの勾配と書かれているが、これは12、13%くらいあるんじゃないかという感じで結構厳しい。選手はここを羽が付いたように登っていくのだからすごいと思うと同時に、大会主催者の言う勾配に疑問を感じざる得ない。
たぶん勾配が何%なのかは大した問題じゃないんだ。そうなんだ。と勝手に解釈し、黙々と登り続ける。ゴール手前100メートルほどでコースから出るよう促され、そのまま設営してあるヴィラージュへ。とりあえず水をもらって水分補給し、サンドイッチやピザでエネルギー補給する。
ここのヴィラージュはメニューが豊富でサンドイッチやチキン串など食べ物が多い。お腹が減っていたので色々頂いた。皆さんに好評のレモンビールも頂くことに。アルコール度数も低く、爽やかな味わいで美味しかった。日本で売っても売れそうな気がする飲み物である。
しばらくすればキャラバン隊が到着。いろいろなものを渡してくれるのだが、いらないものも渡してくるので困り物。カルフールのキャップを5つくらいもらってしまった。しょうがないから日本にちゃんと持って帰ったけれど。逆にコフィディスのナップサックは貰えなくてショック。代わりに閲覧数が稼げるであろう写真を頂いた。
キャラバン隊が通り過ぎればそろそろ選手がやってくる時間帯。皆大型ビジョンに釘付けになる。コンタドールがアタックすると大きな歓声が湧き、フルームがアクションを起こしても少し湧き立つ。ただブーイングなどはなく、アウェーの中でダブルツールに向け走る選手としてリスペクトされている空気を感じる。それとイタリア出身のファビオ・アルも何故か人気なようで独走時は周囲が少しだけざわついた。
サント・トリビオ・デ・リエバナを先頭で登ってきたのはロット・ソウダルのサンデル・アルメ。続いてルツェンコ、ヴィスコンティと続く。昨日とは違ったハイスピードな走りはこれまた格好いいものだ。まだまだ私のカメラの腕が素人に毛が生えた程度なため、良い写真が撮れなかったのが悔やまれる。
先頭がゴールししばらくするとフルームとコンタドールがやってきた。コンタドールは意地でもフルームより先にゴールするべくスパートをかける。皆それをカメラや視線で追うのだが、10m付近でコンタドールが後ろを振り向き、私達の方を見たのだ。どうやらその後の中村さんの話によると振り向きニコッと笑ったという。もしかしたらコンタドールの旗を持った見慣れないアジア人に気づいたのかもしれない。と車内で話題になったのは後の話。
今日はこの後、車で1時間半ほどかけてヒホンの街に移動。車での移動はホントに楽ちんだし、景色も見ていて飽きないためあっという間に到着した。今晩から星が1つ増えた4つ星ホテル、エルナン・コルテスに2泊する。やはりちょっと造りが豪華になる。部屋に荷物をおいて夕食へ。ホテルでおすすめされたレストランに行くことに。
レストランでまずに出されたのがリンゴを発酵させて造られるアルコール飲料、シードラ。このヒホンの街があるアストゥリアス州では食事に欠かせないお酒である。注ぎ方が独特で、頭上に持ったビンから低い位置に持ったグラスにノールックで注ぐのが作法らしい。これを店員さんがやってくれるのだが、結構滑稽。どこ見てるの?と思わず聞きたくなってしまう。
それを一気に飲み干すのがここの飲み方らしいが、グラスが空になると勝手に注がれてしまう。それこそわんこ酒といった様相で、まだ空腹のお腹には結構来るものがある。もういらないと言ってみるが、次のボトルを持ってくる始末。注がれたお酒を飲まないで置いておくことでここは難を逃れた。なかなか恐ろしい展開であった。
料理はブルーチーズが乗ったサラダから始まり、メインディッシュは1cmほどの厚みがある分厚い牛肉を鉄板で焼くスペイン風焼肉。テーブルに生肉が2kgほどやってきて店員さんが1枚試しに焼いてみる。するとさらっと両面を炙っただけで食べろという。流石に色々怖いということで私が毒味係をすると、非常に柔らかくて美味しい。ステーキなのか焼肉なのか分からないが、私が食べた肉料理の中でも3本の指に入るかもしれない。
8人いたとしても2kgは多いかと思ったが、ぺろりと完食。日本では頂けないであろう(ほぼ)生肉の旨さを知ってしまい。少し日本の方々に申し訳ない気持ちになる。それと同時に少し危ない橋を渡っているようなスリル感が病みつきだった。
明日のステージはホテルから徒歩圏内のビーチにゴールするスプリントステージ。午前中はスプリントポイントからサイクリングの予定だ。
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text&photo:Kosuke.Kamata
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