2017/08/26(土) - 08:39
真夏の自転車ロードレースの一大イベントといえば、毎年恒例のシマノ鈴鹿ロードは外せない。夏休みも終わりが見えてきた8月19~20日に行われたロードレースの大運動会の様子を今年もレポートしましょう。
三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキット。F1日本グランプリをはじめ、多くの伝統と格式あるモータースポーツのイベントが行われてきた、日本を代表するサーキットである。そんなコースに1万人を超える自転車乗りが集う日がある。そう、シマノ鈴鹿ロードレースが開かれる日だ。
週末の2日間にかけて、鈴鹿サーキットを舞台にいくつものレースが行われる。周回数やルール、対象年齢などが異なる様々な種目が開催され、まさに老若男女問わず、ベテランから初心者まで自転車競技の楽しみを味わうことが出来るようにされているのだ。
レースで主に使用されるのは、モータースポーツでもおなじみの国際コース。全長5.8kmの中にアップダウンとさまざまなコーナーが含まれた、攻略しがいのあるコース。走り方を少し工夫するだけで、多少の脚力差を覆すことも可能なコースレイアウトになっている。
そんな魅力的なコースへと、最初に並ぶのは5ステージ・スズカに参加する選手たち。5ステージ・スズカとは、2日間に5つの種目をこなし、その総合成績で争うというホビーレースとしては非常に珍しいステージレース形式のレース。チームタイムトライアルを含む5つのステージが用意されチーム戦術を駆使して戦える、まさにツール・ド・フランス気分を味わえるユニークなイベントであり、今年も多くのチームが参加した。
午前中には、国際コースを中央で東西に分割し、西コース側で一時間サイクルマラソン、東コース側ではキッズレースや個人TTの予選、ハンドサイクルレースなども行われる。初心者もベテランも子供も、ハンディキャップを持つ人も皆が楽しめるこの時間帯はとてもシマノ鈴鹿ロードレースらしい時間だ。
初心者フレンドリーといえば、この後に行われた体験レースもロードレースの間口を広げるのに一役買っている存在だ。このレースは、午前中に行われるレース初心者講習会へ出席することが義務付けられている種目となっており、レース未経験者でも安心して参加できるようになっているのだ。
ちなみにこの講習会は両日とも開催されているほか、体験レースへの参加者でなくとも受講することは可能。オリンピアンであり現在はシマノで広報を務める江原氏による講習会は、レースでの基本的な心構えや集団走行における注意点、鈴鹿サーキットで落車の起こりやすいポイントといったすぐに役立つ情報を、「なぜそうなるのか」という理由と共に明解に解説してくれる。レース未経験者だけでなく、ある程度レース経験を持つ人でも膝を打つことも多いのではないだろうか。そんなお役立ち講座が無料で受講できるというのだから、行ってみない手は無いはずだ。
この初心者講習会の他にも、スクールや講座が充実しているのもシマノ鈴鹿ロードの魅力。プロ選手たちが講師役を務めてくれるウィーラースクールは、子供向けの講座だけではなく集団での実践的な走り方を練習できる大人向けの回も用意されているので、親子で参加するのも楽しいだろう。
また、サイクルライフナビゲーターの絹代さん、そしてシマノレーシングの管理栄養士を務める河南こころさんらによるロードバイク知っ得講座も人気イベントの一つ。絹代さんによる、女性のためのライディング講座では、女性が自転車を楽しむ上で助けになるグッズやアクセサリーの紹介や、楽しく走るためのライディングスキルを教えてくれる。
また、日曜日の河南こころさんによる講座にはシマノレーシングの選手らが参加し、選手らの実際の食生活にまつわるエピソードを交えながら、自転車生活を送っていくうえで必要な食事のとり方について説明する回も。普段は見ることのできない、プロ選手たちのプライベートを知ることが出来る貴重な時間ともなっていた。
そんな盛りだくさんの講習会が開催されている間もレースはどんどん行われていく。多くの種目が2日間に渡って行われるシマノ鈴鹿ロードだが、中でも盛り上がりを見せるのはチームでの協力がキモとなるチームタイムトライアル種目だろうか。
土曜日と日曜日の両日ともに、チームタイムトライアルが開催され、多くのチームが列を成して出走の時を待っているのだ。しかも女子の部が設けられており、多くの女性ライダーたちがチームを組んでタイムトライアルに挑む姿が見られるのは、流石日本一のお祭りイベントである。
一方で、日本のトップレーサーたちも参加している。実業団登録している選手たちが出走するJCF登録の部では、国内の強豪ホビーレーサーに加え、シマノレーシングやマトリックスパワータグ、宇都宮ブリッツェン、チーム右京といったプロチームの選手たちも参戦。圧倒的なスピードで観戦する私たちを魅せてくれた。
土曜日には、最多人数がエントリーする2時間エンデューロや、個人タイムトライアル、今年初開催となったディスクブレーキロードの部といった種目が、日曜日にはマスターズの年代別レースや国内のコンチネンタルチームと共に競うことが出来るシマノ鈴鹿ロードレースクラシック(※レポートはこちら)が開催され、それぞれ少し違う表情を見せてくれる。
楽しかった2日間は、あっという間に終わってしまう。長いようで短い大会の最後を締めくくるのは、皆さんお待ちかねの大抽選会。ステージ上に次々と協賛各社から豪華景品が運び込まれ、そのたびに歓声が沸き上がる。アクションカメラやローラー台、そして完成車やカーボンフレームなど、他の大会であればそれだけで目玉になりそうな景品が次々に現れるので、会場のテンションはずっと振り切れたままだった。
多様化する自転車の楽しみ方を「レース」という観点で切り取りつつも、その中で幅広い楽しみ方を提供してくれるシマノ鈴鹿ロード。それを支えるのはしっかりとした「安全」に対する取り組みがあってこそだろう。
レース中の落車やトラブルへの即応体制や救急体制といったところから、初心者講習会や大会MCの注意喚起といった事前予防、細かいところで言えば熱中症対策のシャワーや巨大な送風機だってシマノが安全にかける思いの一部でもある。のべ1万人を超える参加者達が安全に笑顔で家へと帰れるのは、そういった取り組みのおかげでもある。
多くの出展社が集まったブースエリアや、国内初のディスクブレーキロードレースとなったディスクブレーキロードの部のレポートなど、シクロワイアードでは引き続きシマノ鈴鹿ロードのレポートをお届けしていく予定だ。お楽しみに。
text&photo:Naoki.Yasuoka
三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキット。F1日本グランプリをはじめ、多くの伝統と格式あるモータースポーツのイベントが行われてきた、日本を代表するサーキットである。そんなコースに1万人を超える自転車乗りが集う日がある。そう、シマノ鈴鹿ロードレースが開かれる日だ。
週末の2日間にかけて、鈴鹿サーキットを舞台にいくつものレースが行われる。周回数やルール、対象年齢などが異なる様々な種目が開催され、まさに老若男女問わず、ベテランから初心者まで自転車競技の楽しみを味わうことが出来るようにされているのだ。
レースで主に使用されるのは、モータースポーツでもおなじみの国際コース。全長5.8kmの中にアップダウンとさまざまなコーナーが含まれた、攻略しがいのあるコース。走り方を少し工夫するだけで、多少の脚力差を覆すことも可能なコースレイアウトになっている。
そんな魅力的なコースへと、最初に並ぶのは5ステージ・スズカに参加する選手たち。5ステージ・スズカとは、2日間に5つの種目をこなし、その総合成績で争うというホビーレースとしては非常に珍しいステージレース形式のレース。チームタイムトライアルを含む5つのステージが用意されチーム戦術を駆使して戦える、まさにツール・ド・フランス気分を味わえるユニークなイベントであり、今年も多くのチームが参加した。
午前中には、国際コースを中央で東西に分割し、西コース側で一時間サイクルマラソン、東コース側ではキッズレースや個人TTの予選、ハンドサイクルレースなども行われる。初心者もベテランも子供も、ハンディキャップを持つ人も皆が楽しめるこの時間帯はとてもシマノ鈴鹿ロードレースらしい時間だ。
初心者フレンドリーといえば、この後に行われた体験レースもロードレースの間口を広げるのに一役買っている存在だ。このレースは、午前中に行われるレース初心者講習会へ出席することが義務付けられている種目となっており、レース未経験者でも安心して参加できるようになっているのだ。
ちなみにこの講習会は両日とも開催されているほか、体験レースへの参加者でなくとも受講することは可能。オリンピアンであり現在はシマノで広報を務める江原氏による講習会は、レースでの基本的な心構えや集団走行における注意点、鈴鹿サーキットで落車の起こりやすいポイントといったすぐに役立つ情報を、「なぜそうなるのか」という理由と共に明解に解説してくれる。レース未経験者だけでなく、ある程度レース経験を持つ人でも膝を打つことも多いのではないだろうか。そんなお役立ち講座が無料で受講できるというのだから、行ってみない手は無いはずだ。
この初心者講習会の他にも、スクールや講座が充実しているのもシマノ鈴鹿ロードの魅力。プロ選手たちが講師役を務めてくれるウィーラースクールは、子供向けの講座だけではなく集団での実践的な走り方を練習できる大人向けの回も用意されているので、親子で参加するのも楽しいだろう。
また、サイクルライフナビゲーターの絹代さん、そしてシマノレーシングの管理栄養士を務める河南こころさんらによるロードバイク知っ得講座も人気イベントの一つ。絹代さんによる、女性のためのライディング講座では、女性が自転車を楽しむ上で助けになるグッズやアクセサリーの紹介や、楽しく走るためのライディングスキルを教えてくれる。
また、日曜日の河南こころさんによる講座にはシマノレーシングの選手らが参加し、選手らの実際の食生活にまつわるエピソードを交えながら、自転車生活を送っていくうえで必要な食事のとり方について説明する回も。普段は見ることのできない、プロ選手たちのプライベートを知ることが出来る貴重な時間ともなっていた。
そんな盛りだくさんの講習会が開催されている間もレースはどんどん行われていく。多くの種目が2日間に渡って行われるシマノ鈴鹿ロードだが、中でも盛り上がりを見せるのはチームでの協力がキモとなるチームタイムトライアル種目だろうか。
土曜日と日曜日の両日ともに、チームタイムトライアルが開催され、多くのチームが列を成して出走の時を待っているのだ。しかも女子の部が設けられており、多くの女性ライダーたちがチームを組んでタイムトライアルに挑む姿が見られるのは、流石日本一のお祭りイベントである。
一方で、日本のトップレーサーたちも参加している。実業団登録している選手たちが出走するJCF登録の部では、国内の強豪ホビーレーサーに加え、シマノレーシングやマトリックスパワータグ、宇都宮ブリッツェン、チーム右京といったプロチームの選手たちも参戦。圧倒的なスピードで観戦する私たちを魅せてくれた。
土曜日には、最多人数がエントリーする2時間エンデューロや、個人タイムトライアル、今年初開催となったディスクブレーキロードの部といった種目が、日曜日にはマスターズの年代別レースや国内のコンチネンタルチームと共に競うことが出来るシマノ鈴鹿ロードレースクラシック(※レポートはこちら)が開催され、それぞれ少し違う表情を見せてくれる。
楽しかった2日間は、あっという間に終わってしまう。長いようで短い大会の最後を締めくくるのは、皆さんお待ちかねの大抽選会。ステージ上に次々と協賛各社から豪華景品が運び込まれ、そのたびに歓声が沸き上がる。アクションカメラやローラー台、そして完成車やカーボンフレームなど、他の大会であればそれだけで目玉になりそうな景品が次々に現れるので、会場のテンションはずっと振り切れたままだった。
多様化する自転車の楽しみ方を「レース」という観点で切り取りつつも、その中で幅広い楽しみ方を提供してくれるシマノ鈴鹿ロード。それを支えるのはしっかりとした「安全」に対する取り組みがあってこそだろう。
レース中の落車やトラブルへの即応体制や救急体制といったところから、初心者講習会や大会MCの注意喚起といった事前予防、細かいところで言えば熱中症対策のシャワーや巨大な送風機だってシマノが安全にかける思いの一部でもある。のべ1万人を超える参加者達が安全に笑顔で家へと帰れるのは、そういった取り組みのおかげでもある。
多くの出展社が集まったブースエリアや、国内初のディスクブレーキロードレースとなったディスクブレーキロードの部のレポートなど、シクロワイアードでは引き続きシマノ鈴鹿ロードのレポートをお届けしていく予定だ。お楽しみに。
text&photo:Naoki.Yasuoka
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