2017/05/13(土) - 09:01
5月の大型連休の初日、5月3日(水)に開催された「もてぎ7時間エンデューロGW2017」。関東近県を中心に3200人ものサイクリストが集まった春のサーキットイベントレポートをお届けしよう。
鯉のぼりたなびくツインリンクもてぎ
毎年5月と11月の2回、自転車に乗るのが心地よい季節である春秋で開催されている「もてぎ7時間エンデューロ」。栃木県は茂木町にある「ツインリンクもてぎ」を会場としたサーキット型エンデューロである。常磐道水戸北IC、もしくは東北道宇都宮IC、北関東自動車道真岡ICからそれぞれ約1時間ほどに位置し、どの方面からもアクセスしやすいこともあり、毎年多くのサイクリストが集まる人気のイベントだ。
motoGPやSUPER GTといった最高峰のモータースポーツイベントの開催地として、三重県の鈴鹿サーキットや静岡県の富士スピードウェイなどと並ぶ格式を誇るツインリンクもてぎ。普段は走ることができない国際サーキットが全面開放されるこの日だけは、3000人を超える参加者でコースが埋め尽くされることとなった。
3000人を越える参加者たちが集まり賑わいを見せたもてぎ7時間エンデューロ
ズラリとスタンドが並べられ参加者のバイクがかけられた景色は圧巻である
フードエリアではホットドッグやかき氷などの軽食も
1周4.8kmとなるヨーロピアンスタイルのロードコースサーキットには、計14ヶ所のコーナーと1ヶ所の登り区間、長く伸びた直線区間や気持ちのよい下り区間などが現れ、ただ平坦コースだけでないレイアウトとなっているのもここのコースの魅力である。幅10m以上設けられたダイナミックなコースを流れるように走れるスピード感は、さながらモータースポーツのパイロットにでもなったかのよう。
例年5月5日のこどもの日に開催されていたこのイベントだが、今年は5月3日開催に。それ以外に変更点はなく、当日は例年通り青空に鯉のぼりがたなびく快晴の下イベントは執り行われた。朝こそ肌寒さはあったものの、レースが始まるころには日を遮るもののないサーキット上は気温が上がり、初夏を思わせる程暖かい絶好の自転車日和となっていた。
ひよこレース参加の子どもたちもやる気満々
大人顔負けのスタートダッシュを決めていく
宇都宮ブリッツェンを始め多くのサポートライダーが参加
宇都宮ブリッツェン清水監督による初心者向け自転車クリニックも実施された
そのため待ち時間で体力が奪われないように各チーム陣営は個人で持参したテントを立て、日差しから逃れる工夫も。場所を同じくしてマヴィックやチャンピオンシステム等自転車ブランドも数多く出店しており、加えてズラリと並んだ自転車スタンドにかかった大量のバイクで、パドック内は溢れかえらんほどの物量と熱量を持ってその盛り上がりを示していた。
我々が会場に着いた頃にはすでに多くの人がサーキット入りし、朝の試走の真っ最中。50分もの長い試走時間が取られていることで、初参加でもコースを良く知ることができ安全に走ることができるだろう。チームでエントリーしている人たちは、レースが始まると1人ずつしか走れないため、みんなでまとまって走ることができるこの試走の時間もまた思い出に残るシーンとなったに違いない。
コース幅いっぱいにならんだ大勢のエンデューロ参加者
後ろまで見えないほど多く参加者がスタートラインに並んだ
今か今かとチーム員を待ちわびるピット内
イベントの始まりを告げる開幕レースとなるのが、未就学児によるひよこレース。それに続いて小学生部門のキッズレースと、子どもたちが楽しげな表情を見せながらスタートしていく。コースには親御さんも詰めかけ、我が子に伴走したりカメラを構え応援の声を飛ばしたりすることで、親も子も家族みんなで楽しむ風景はなんとも微笑ましいものがあった。
それが終わればいよいよエンデューロレースの開始である。7時間クラスを前列に、4時間クラスも合わさり続々と参加者がコースインしていく。幅広のサーキットを端から端まで並んでも後ろまで見えないほどの人がスタートラインにつき、参加者の多さを改めて感じさせてくれた。
スタート直後の下り基調S字コーナーは走るラインに注意
ロードコースの奥には国内でも珍しいオーバルサーキットが姿を見せる
コース上に1ヶ所設けられた直登が参加者を苦しめる
各クラスの先頭にはサポートライダーとして地元栃木のプロチームである宇都宮ブリッツェン、那須ブラーゼン、Honda栃木、加えてマトリックスパワータグのそれぞれがほぼフルメンバーを揃え、マヴィックカーとともに走り出す姿はさながら国内のプロレースシーンを彷彿とさせた。そこに混ざって一緒に走る一般参加者は、間近でプロ選手の走りを体感できる機会にもなっただろう。
本気でレースを獲りにいく人、自分のペースでサーキット走行を楽しむ人、仲間とともに会話を楽しみながら走る人、それぞれが思い思いの楽しみ方ができるのがエンデューロの魅力だろう。スタート地点から反対側に位置する東パドックには、ソロで走る人のためのエイドステーションも設けられ、長時間の走行で水分やエネルギー切れにならないよう補給できる対策もされていた。
もはやもてぎ名物?マリオのコスプレライダー
ツインリンクもてぎエンジェルも一緒に走る
お揃いのジャージに身を包む。親子でも楽しめるエンデューロになっている
ロードバイクに混ざってミニベロライダーも快調に走る
集団が大きくなりすぎて落車の危険が増えないようサポートライダーが先頭に立ってペースメーク。それだけでなく、サポートモトも常時コース内を走り、各所に監視員を配置、コースのすみずみまで届く場内アナウンスも加わって安全対策に余念がないことが伺えたのも印象的であった。
初心者へのサポートが手厚いのもこのイベントの大きな特長。試走終了後の朝の時間には、40分も時間を取り宇都宮ブリッツェン清水監督による初心者向け自転車クリニックを実施。更に2時間エンデューロのスタート前には、ビギナークラスに向けた走行の実践クリニックとバイクのチェックも行うほどである。自転車のイベントに初参加というライダーでも安心して臨める体制が整っているのは嬉しいポイントだろう。
幅広のコースを名一杯使ってダイナミックな走行が可能なもてぎのコース
先頭集団はプロライダーがペースメーク
下り坂手前には注意喚起の看板も
4時間エンデューロ組が続々とゴールしていく13時過ぎ。ちょうどお昼の時間ということで、パドック内に併設されている「グランツーリスモカフェ」で我々も休憩。長時間の応援で疲れた子どもたちや同伴者の方も、ゆっくり座って昼食が取れるとあって多くの人が利用していた。
レース参加者はピットインしたタイミングで手軽に食べられるものを持参するのが良いが、会場にはホットドッグを始めとする軽食のケータリングカーが集まったフードエリアも設けられている。火照った体を冷やすのに丁度よいかき氷も、参加者にとってはありがたかったことだろう。
先を行く人が小さく見えるほど見通しの良いレイアウト
トークで会場を盛り上げてくれたMCシンジさんと宇都宮ブリッツェン廣瀬GM
コース脇から応援の声を飛ばしてくれた子どもたち
昼過ぎからスタートする2時間エンデューロには、国内では珍しいハンドサイクルとリカンベントのクラスも設けられ、ロードバイクやクロスバイクと混走に。出場する全カテゴリーを見ていけばママチャリクラスや小径車クラスも用意されており、より幅広い車種で楽しめるイベントとなっている。
レースも後半になると疲れが見えてきたチームはピットでのライダー交代が増えてくる。ピットに入る度に次の走者に繋ぐアンクルバンドの受け渡しはよりスムーズになり、チームの結束も高まっていったことだろう。コース際から「あと○周!」とチーム員に声を掛けたり、交代を終えたメンバーは「キツかった~」と仲間と談笑したり。長い1日をそれぞれが楽しんでいる良い雰囲気をこちらも感じ取ることができた。
フィニッシュはもてぎエンジェルが迎えてくれた
肩を組んで仲良くゴール!
先頭集団はガチンコのレース状態。フィニッシュは全力のゴールスプリントに
7時間エンデューロ ソロ表彰式。優勝は高岡亮寛選手(Roppongi Express)
終盤になっても高速レースを続けるのは7時間エンデューロの先頭集団。スポーツMCのシンジさんと宇都宮ブリッツェン廣瀬GMが逐一実況してくれており、そのレース状況もしっかり会場に伝わっていたところである。フィニッシュ時間である16時を過ぎ、そのトップ集団より単独でゴールに飛び込んできたのは昨年のツール・ド・おきなわ市民210km覇者である高岡亮寛選手(Roppongi Express)。なんと7時間中2時間以上も残して単独アタック。逃げ続けた後にそのまま集団をラップし、最後のゴールでも一人飛び出してのフィニッシュだった。圧巻の勝利である。
イベントの最後はメインステージにて各クラスの表彰だ。表彰対象が細かく分けられ、多くの人に入賞のチャンスがあるこの大会。残念ながら入賞できなかった人にも、抽選会による景品も用意され、そのどれもが豪華なものであった。こういった特典が用意されているのも、参加するモチベーションが上がる嬉しいポイントである。
大人数のチームも満足のもてぎ7時間エンデューロ
1日が終わる頃にはすっかり日焼けをして顔が真っ赤になってしまった筆者だが、それは参加者のみなさんも同じことだろう。思う存分楽しんだ帰りには餃子を食べに宇都宮へ寄った人もいたかもしれないが、来る11月26日(日)には秋のもてぎ7時間エンデューロも開催予定だ。大会情報をチェックして、再度ここツインリンクもてぎに足を運んでほしい。
text:Yuto.Murata
photo:Naoki.Yasuoka,Yuto.Murata
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毎年5月と11月の2回、自転車に乗るのが心地よい季節である春秋で開催されている「もてぎ7時間エンデューロ」。栃木県は茂木町にある「ツインリンクもてぎ」を会場としたサーキット型エンデューロである。常磐道水戸北IC、もしくは東北道宇都宮IC、北関東自動車道真岡ICからそれぞれ約1時間ほどに位置し、どの方面からもアクセスしやすいこともあり、毎年多くのサイクリストが集まる人気のイベントだ。
motoGPやSUPER GTといった最高峰のモータースポーツイベントの開催地として、三重県の鈴鹿サーキットや静岡県の富士スピードウェイなどと並ぶ格式を誇るツインリンクもてぎ。普段は走ることができない国際サーキットが全面開放されるこの日だけは、3000人を超える参加者でコースが埋め尽くされることとなった。
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1周4.8kmとなるヨーロピアンスタイルのロードコースサーキットには、計14ヶ所のコーナーと1ヶ所の登り区間、長く伸びた直線区間や気持ちのよい下り区間などが現れ、ただ平坦コースだけでないレイアウトとなっているのもここのコースの魅力である。幅10m以上設けられたダイナミックなコースを流れるように走れるスピード感は、さながらモータースポーツのパイロットにでもなったかのよう。
例年5月5日のこどもの日に開催されていたこのイベントだが、今年は5月3日開催に。それ以外に変更点はなく、当日は例年通り青空に鯉のぼりがたなびく快晴の下イベントは執り行われた。朝こそ肌寒さはあったものの、レースが始まるころには日を遮るもののないサーキット上は気温が上がり、初夏を思わせる程暖かい絶好の自転車日和となっていた。
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我々が会場に着いた頃にはすでに多くの人がサーキット入りし、朝の試走の真っ最中。50分もの長い試走時間が取られていることで、初参加でもコースを良く知ることができ安全に走ることができるだろう。チームでエントリーしている人たちは、レースが始まると1人ずつしか走れないため、みんなでまとまって走ることができるこの試走の時間もまた思い出に残るシーンとなったに違いない。
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それが終わればいよいよエンデューロレースの開始である。7時間クラスを前列に、4時間クラスも合わさり続々と参加者がコースインしていく。幅広のサーキットを端から端まで並んでも後ろまで見えないほどの人がスタートラインにつき、参加者の多さを改めて感じさせてくれた。
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本気でレースを獲りにいく人、自分のペースでサーキット走行を楽しむ人、仲間とともに会話を楽しみながら走る人、それぞれが思い思いの楽しみ方ができるのがエンデューロの魅力だろう。スタート地点から反対側に位置する東パドックには、ソロで走る人のためのエイドステーションも設けられ、長時間の走行で水分やエネルギー切れにならないよう補給できる対策もされていた。
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初心者へのサポートが手厚いのもこのイベントの大きな特長。試走終了後の朝の時間には、40分も時間を取り宇都宮ブリッツェン清水監督による初心者向け自転車クリニックを実施。更に2時間エンデューロのスタート前には、ビギナークラスに向けた走行の実践クリニックとバイクのチェックも行うほどである。自転車のイベントに初参加というライダーでも安心して臨める体制が整っているのは嬉しいポイントだろう。
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レース参加者はピットインしたタイミングで手軽に食べられるものを持参するのが良いが、会場にはホットドッグを始めとする軽食のケータリングカーが集まったフードエリアも設けられている。火照った体を冷やすのに丁度よいかき氷も、参加者にとってはありがたかったことだろう。
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レースも後半になると疲れが見えてきたチームはピットでのライダー交代が増えてくる。ピットに入る度に次の走者に繋ぐアンクルバンドの受け渡しはよりスムーズになり、チームの結束も高まっていったことだろう。コース際から「あと○周!」とチーム員に声を掛けたり、交代を終えたメンバーは「キツかった~」と仲間と談笑したり。長い1日をそれぞれが楽しんでいる良い雰囲気をこちらも感じ取ることができた。
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イベントの最後はメインステージにて各クラスの表彰だ。表彰対象が細かく分けられ、多くの人に入賞のチャンスがあるこの大会。残念ながら入賞できなかった人にも、抽選会による景品も用意され、そのどれもが豪華なものであった。こういった特典が用意されているのも、参加するモチベーションが上がる嬉しいポイントである。
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text:Yuto.Murata
photo:Naoki.Yasuoka,Yuto.Murata
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