2016/09/04(日) - 18:10
8月27日(土)、28日(日)の2日間に渡り、『TRACK TOP TOKYO 2016』が開催された。「ロンドン(ドキュメンタリー映画)、リオ(大会クロストークと決戦バイク)、東京(今、ここにある様々な自転車)の自転車カルチャーがクロスオーバーする2days」と称して展開したこのイベントの模様を、個人の視点を交えつつ前後編でお伝えする。
雨が降り、秋風も微かに感じられる天候の中、開始時刻である正午に間に合わせようと足早に歩を進め、最寄りの天王洲アイル駅から歩くこと10分15分。ドデンと構えた倉庫の上階部分になんとも控えめな『TRACK TOP TOKYO 2016』のロゴバナーが2つ見えてきた。倉庫に着くと、一般家屋のような入口はなく、車が出入りするためのイカツイスロープを上って中に入っていった。
受付のお姉さんからオレンジ色のペーパーブレスレットをつけてもらうと、これまた普通じゃない広さのエレベーターが2つ待ち構える。「あ、そうか」と独りごちる。これなら自転車が何台乗っても大丈夫だ。そうしているうちにエレベーターが4階で止まり、会場への扉が開く。開始時刻ピッタリくらいに着いたためか、まだ会場にはほんのり準備してます感も漂う。
しかしショップブースの店員さん達から話を伺っているうちに、次第に人が集まり始める。挨拶から始まって、どこからともなく笑い声が聞こえてくる。このなんとなく集まって、なんとなく始まっている速度感が心地いい。そういえば50mの木製バンクもあったなー、なんて。実はこれがお目当ての一つなんだけど。
バイクポロ
そんな中、初めて見るバイクポロは新鮮で、バイクポロクラブ『東京ハードコートバイクポロ』のプレイヤーの方に根掘り葉掘り競技や機材について尋ねていってしまった。なんでも元々はストリートピストを楽しんでいた人達が始めた遊びが発端で、まだまだ発展途上のスポーツなんだそう。そのまだまだこれからと言った雰囲気は、毎年ルールが変わっているところからも伝わってくる。はじめのうちは固定ギアだったのが、プレー中にスキッドで後輪をスライドさせると危険だと言う事で、今はフリーに変わっているのだとか。
コートについても、今回は簡易的に段ボールで囲って作っていたけれど、実際のコートの壁はボールが出ないようにもっと高さがあるらしい。プレイヤー自身でチューンしたマレットのスティックとグリップ、安全を考えたディスクブレーキのガード、交換可能なマレットヘッドと機材もユニーク。フレームはスチールが中心でトップチューブは短め、ブレーキはフロントのみ。技術的にはスタンディングスティルが必須に見える。フリーギアゆえ、バックはジャックナイフからの勢いを使うか、スティックで地面を蹴って行う。
参加者の皆さんもプレイヤーの人達に教わりつつ、たどたどしくも新しい自転車の愉しみを発見した様子。
ショップ
テント三面に渡りブース展開をしていたのは、今やノンジャンルなバイシクルカルチャーの一翼を担っていると言っても過言でない『BLUE LUG』の幡ヶ谷店+『OPEN DISTRIBUTUION』の皆さん。コーヒーにモヒート、アイスにブリトー、マフィンと充実のフードコーナーでまず一面。ここでアイスコーヒーとブリトーをゲットしてペロリ。
もう一面はPhilのパーツ群をズラリ並べたコーナー。Phil製品は、当イベントで上映されるドキュメンタリー『パーソナル・ゴールド』の女子USチームが使用しているとのことで、その繋がりから。最後の一面はクイックメンテナンス。変速調整からホイールのブレ取りまで、なんでも来いなありがたさ。
『25LAS BICYCLE WORKS』のニコラスさんは、見た目とは裏腹に日本語バリバリのフレンドリーなナイスガイ。ショップ名を冠さない自転車チーム『BLACK SOX BICYCLE CLUB』で、ショップの垣根を超えた活動もしている。自分の名前を語呂合わせしたショップ名が、外国の人には読めないのが近頃の(設立当初からの?)悩み。ブラック&ホワイトがメインカラーと思いきや、その胸に輝くレインボーが真の姿らしい。
また、オリジナルサイクルキャップを作る『Velo Spica』さんも同じ一角にブースを構えていた。ただ、『25LAS BICYCLE WORKS』のブースの一部と思いこんで、お話を聞きそびれてしまった。ごめんなさい!
続いて『Rapha Bicycle Club』やそのブースでもよくお見かけする『いさ珈琲』&『フォーク印』。「美味しくない珈琲は世の中の敵です」となかなか刺激的なプリントが施されたTシャツを着ていたのはいさ珈琲の伊佐さん。ここでコーヒーとオレンジマフィンをいただく。マフィンはラベルのサイケな色合いに騙されてはいけない。程よい甘さと食感が舌にドドっと攻めてくる美味しさ。このマフィンにならOKと、コロンビアを淹れてくれた伊佐さんの気遣いにも感激。
お隣では『サンシャインジュース』の自転車で作るスムージーが大好評。子供も漕ぐ、女性も漕ぐ、みんな漕ぐ。漕げばスムージー、ひと汗かいたらスムージー。「本当はこれで走って来れたらいいんですけど」とは店長さんの談。このギア比は競輪選手並のフトモモが必要では?
メッセンジャーブランド『RESISTANT』を11年に渡り展開するサイクレックスのメッセンジャーバッグ&バックパックは、考え抜かれた機能性と耐久性が魅力。2011年の東北大震災と前後するようにして完成した『HOPE』と『BOND』2サイズのバックパックは、その名前に代表である木村信一さんの想いが載せられている。これがまた私が探していた理想のバックパックにほぼピッタリの製品で、その場に資金の持ちあわせがないのが悔やまれる程の完成度だった。
弊誌レコメンドショップでもお馴染み『Above Bike Store』では愛車自慢フリーフォトブースを展開。中にはビンテージなバーテープの撮影を依頼してきたお客さんもいたのだとか。オーナー須崎さんの愛犬も人気。自分の家のようにのんびりしていた。
自家製パンをご夫婦で製造・販売する『conacook』ではフォカッチャピザを購入。こちらも美味しくいただきました。ご主人は元メッセンジャー。マッシヴな体型に優しさ満載なところが頼もしい。
最後はバイクポロプレーヤーでもある『チャリンコーヒー』のTommyさん。平日はバイクメッセンジャーとして働き、土日にこうしてイベント等でコーヒーのケータリングをしているのだそうだ。バイクポロはいつやっているのか気になったけれど、聞き忘れてしまった。
『TRACK TOP TOKYO 2016』前編はここまで。後編は今回のハブとも言うべき50m木製バンクと、映画『パーソナル・ゴールド』、ブリヂストンサイクルが送り出した歴代オリンピックバイクのレポートをお届けする。
text&photo:Yuichiro Hosoda
雨が降り、秋風も微かに感じられる天候の中、開始時刻である正午に間に合わせようと足早に歩を進め、最寄りの天王洲アイル駅から歩くこと10分15分。ドデンと構えた倉庫の上階部分になんとも控えめな『TRACK TOP TOKYO 2016』のロゴバナーが2つ見えてきた。倉庫に着くと、一般家屋のような入口はなく、車が出入りするためのイカツイスロープを上って中に入っていった。
受付のお姉さんからオレンジ色のペーパーブレスレットをつけてもらうと、これまた普通じゃない広さのエレベーターが2つ待ち構える。「あ、そうか」と独りごちる。これなら自転車が何台乗っても大丈夫だ。そうしているうちにエレベーターが4階で止まり、会場への扉が開く。開始時刻ピッタリくらいに着いたためか、まだ会場にはほんのり準備してます感も漂う。
しかしショップブースの店員さん達から話を伺っているうちに、次第に人が集まり始める。挨拶から始まって、どこからともなく笑い声が聞こえてくる。このなんとなく集まって、なんとなく始まっている速度感が心地いい。そういえば50mの木製バンクもあったなー、なんて。実はこれがお目当ての一つなんだけど。
バイクポロ
そんな中、初めて見るバイクポロは新鮮で、バイクポロクラブ『東京ハードコートバイクポロ』のプレイヤーの方に根掘り葉掘り競技や機材について尋ねていってしまった。なんでも元々はストリートピストを楽しんでいた人達が始めた遊びが発端で、まだまだ発展途上のスポーツなんだそう。そのまだまだこれからと言った雰囲気は、毎年ルールが変わっているところからも伝わってくる。はじめのうちは固定ギアだったのが、プレー中にスキッドで後輪をスライドさせると危険だと言う事で、今はフリーに変わっているのだとか。
コートについても、今回は簡易的に段ボールで囲って作っていたけれど、実際のコートの壁はボールが出ないようにもっと高さがあるらしい。プレイヤー自身でチューンしたマレットのスティックとグリップ、安全を考えたディスクブレーキのガード、交換可能なマレットヘッドと機材もユニーク。フレームはスチールが中心でトップチューブは短め、ブレーキはフロントのみ。技術的にはスタンディングスティルが必須に見える。フリーギアゆえ、バックはジャックナイフからの勢いを使うか、スティックで地面を蹴って行う。
参加者の皆さんもプレイヤーの人達に教わりつつ、たどたどしくも新しい自転車の愉しみを発見した様子。
ショップ
テント三面に渡りブース展開をしていたのは、今やノンジャンルなバイシクルカルチャーの一翼を担っていると言っても過言でない『BLUE LUG』の幡ヶ谷店+『OPEN DISTRIBUTUION』の皆さん。コーヒーにモヒート、アイスにブリトー、マフィンと充実のフードコーナーでまず一面。ここでアイスコーヒーとブリトーをゲットしてペロリ。
もう一面はPhilのパーツ群をズラリ並べたコーナー。Phil製品は、当イベントで上映されるドキュメンタリー『パーソナル・ゴールド』の女子USチームが使用しているとのことで、その繋がりから。最後の一面はクイックメンテナンス。変速調整からホイールのブレ取りまで、なんでも来いなありがたさ。
『25LAS BICYCLE WORKS』のニコラスさんは、見た目とは裏腹に日本語バリバリのフレンドリーなナイスガイ。ショップ名を冠さない自転車チーム『BLACK SOX BICYCLE CLUB』で、ショップの垣根を超えた活動もしている。自分の名前を語呂合わせしたショップ名が、外国の人には読めないのが近頃の(設立当初からの?)悩み。ブラック&ホワイトがメインカラーと思いきや、その胸に輝くレインボーが真の姿らしい。
また、オリジナルサイクルキャップを作る『Velo Spica』さんも同じ一角にブースを構えていた。ただ、『25LAS BICYCLE WORKS』のブースの一部と思いこんで、お話を聞きそびれてしまった。ごめんなさい!
続いて『Rapha Bicycle Club』やそのブースでもよくお見かけする『いさ珈琲』&『フォーク印』。「美味しくない珈琲は世の中の敵です」となかなか刺激的なプリントが施されたTシャツを着ていたのはいさ珈琲の伊佐さん。ここでコーヒーとオレンジマフィンをいただく。マフィンはラベルのサイケな色合いに騙されてはいけない。程よい甘さと食感が舌にドドっと攻めてくる美味しさ。このマフィンにならOKと、コロンビアを淹れてくれた伊佐さんの気遣いにも感激。
お隣では『サンシャインジュース』の自転車で作るスムージーが大好評。子供も漕ぐ、女性も漕ぐ、みんな漕ぐ。漕げばスムージー、ひと汗かいたらスムージー。「本当はこれで走って来れたらいいんですけど」とは店長さんの談。このギア比は競輪選手並のフトモモが必要では?
メッセンジャーブランド『RESISTANT』を11年に渡り展開するサイクレックスのメッセンジャーバッグ&バックパックは、考え抜かれた機能性と耐久性が魅力。2011年の東北大震災と前後するようにして完成した『HOPE』と『BOND』2サイズのバックパックは、その名前に代表である木村信一さんの想いが載せられている。これがまた私が探していた理想のバックパックにほぼピッタリの製品で、その場に資金の持ちあわせがないのが悔やまれる程の完成度だった。
弊誌レコメンドショップでもお馴染み『Above Bike Store』では愛車自慢フリーフォトブースを展開。中にはビンテージなバーテープの撮影を依頼してきたお客さんもいたのだとか。オーナー須崎さんの愛犬も人気。自分の家のようにのんびりしていた。
自家製パンをご夫婦で製造・販売する『conacook』ではフォカッチャピザを購入。こちらも美味しくいただきました。ご主人は元メッセンジャー。マッシヴな体型に優しさ満載なところが頼もしい。
最後はバイクポロプレーヤーでもある『チャリンコーヒー』のTommyさん。平日はバイクメッセンジャーとして働き、土日にこうしてイベント等でコーヒーのケータリングをしているのだそうだ。バイクポロはいつやっているのか気になったけれど、聞き忘れてしまった。
『TRACK TOP TOKYO 2016』前編はここまで。後編は今回のハブとも言うべき50m木製バンクと、映画『パーソナル・ゴールド』、ブリヂストンサイクルが送り出した歴代オリンピックバイクのレポートをお届けする。
text&photo:Yuichiro Hosoda
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