2016/08/15(月) - 09:10
7月30~31日にかけて行われたシマノバイカーズフェスティバル。日本国内で行われるMTBイベントとしては、もっとも多くの参加者が集まる、夏のMTBのお祭りの様子をレポートします。
長野県富士見町、入笠山にある富士見パノラマリゾート。中央道諏訪南ICから約7分とアクセスもよいスキー場であり、夏季にはMTBゲレンデとして人気を集めるスポットだ。今年の全日本MTB選手権を筆頭に、数多くの大会が開催されてきた実績のある会場でもある。
週末ごとに多くのMTBライダーが集まる富士見パノラマだが、1年で最も多くの人が集まるのは紛れもなくこの日。「シマノバイカーズフェスティバル」が行われる7月の最終週末だ。関東、いや日本中見渡しても、これだけ多くのMTBが一堂に会する機会はないだろう。MTBが下火だと言われて久しいが、ここに来ればその言説に疑問符をつけたくなるほどのマウンテンバイカーが会場には溢れている。
シクロクロスブームなどの影響もあり、一部のロードバイクユーザーたちがオフロードライドに熱い目線を注いでいる状況を反映してか、参加者数も昨年に比べて増加している。今年は昨対100名増の2,400名が富士見パノラマに集まった。
XC向けとDH向けの2つのコースが用意される他、入笠山の周辺には数々のトレイルが点在している。MTBにとっては最高の環境が用意されている中で、XCレースからエンデューロ、DHといった競技やオフロードツーリング、さらには八ヶ岳周辺を満喫するオンロードツーリングなど、幅広い自転車の楽しみ方が用意されているのが、シマノバイカーズの魅力でもある。
さて、そんなMTB三昧の2日間は「60分XCマラソン」から始まる。スタートに並んだXCレーサーたちが、スタートの号砲とともにコースへと飛び出していく。集団の先頭には平野星矢や松本駿、小笠原崇裕らサポートライダーが陣取り、安全なレースを先導してくれる。
1周約1.2kmのクロスカントリーコースは高低差約30mと比較的フラットな設定。しかし、ホームストレートのジープロード、森の中のシングルトラックエリア、昨年より加わったフライオーバーに、芝生のゲレンデゾーンなど、変化に富んだコースは走っていて飽きさせないコースレイアウトとなっている。
土煙をもうもうと巻き起こしながら60分XCマラソンの集団がスタートしていくころ、第4リフトを登った先にあるダウンヒルコースのスタートエリアにも続々と人が集まっていた。見れば、DH系のロングストロークのフルサスバイクにフルフェイスを被ったDHライダーもいれば、ハードテールのXCバイクにジャージレーパンのXCレーサーらしい出で立ちの人も。
どこか混沌とした空間であるが、今年から新設された「MTBヒルクライム」への出場者と、その後に行われる「DHエンデューロ」の出場者の両方が集合場所にいるために生み出された光景だ。同じMTBという乗り物だが、全く違うスタイルの両者が混淆している様子は、シマノバイカーズの懐の深さを象徴する場面とだった。
さて、今年の新種目「MTBヒルクライム」はDHコースを逆に登っていくという超過酷なオフロードヒルクライム。そこを登りたくないからこそ、富士見パノラマにはリフトやゴンドラという文明の利器が用意されているはずなのだが、あえてそこに挑む、最高にロックでクレイジーな種目である。
選りすぐりの坂バカたちがスタートした後は、「DHエンデューロ」の選手たちがスタートラインにつく。エンデューロといえば、リエゾンの登り区間と、計測対象の下り区間を繋ぐレース形式だが、シマノバイカーズのこの種目は少し趣を異にする。基本はDHレースであるが、下りだけでなく途中に登りセクションが用意される、技術と脚力双方が要求されるコースのタイムを競う種目となっているのだ。
こちらは昨年から続く種目だが、コースは変更されている。昨年に比べて、より登りの比重が大きくなっているのだとか。試走を終えたライダー達のなかでも、下り系ライダー達は機材のチョイスなどに頭を悩ませていたようだ。
さて、一方のXCコースでも新種目がお披露目されている。60分XCマラソンという枠組みこそ変わらないが、出走できる車種が限定された、その名も「ファットバイクの部」と「シングルスピードの部」が新設されたのだ。ずらりと最前列にファットバイクが並ぶ様は、もはや自転車レースと思えない光景。タイヤだけ見れば、モトクロスのレースのような迫力である。自転車だけではなく、ライダー達もファンキーで、スタート前にMCのアリーさんと絹代さんが煽ると重いバイクを持ち上げて記念撮影タイムに突入。走りだす前から疲れそう。
人数こそ普通のXCマラソンに比べると少ないが、巻きあげる土煙はシマノバイカーズ史上最大。この後に行われる人気種目、4時間エンデューロの大集団が来たのか?と勘違いするほどの轟音と土煙を立てながら最初のジープロードの登りを駆け抜けていく。
その後、XCコースでは子供たちが主役の「キッズXC」が次々に行われていく。それまでの60分XCマラソンと同じ1.2kmのコースを走る小学生高学年のBOYS2とGIRLS2クラスは、大人顔負けのハイレベルな戦いが繰り広げられる真剣勝負。一方、小学校低学年のBOYS1とGIRLS1クラスは0.3kmへと短縮され、よりフラットになったコースを走る。応援するご家族の方も、自分たちのレースより熱が入っている様子で、微笑ましい光景が広がる時間となった。
キッズレースが終わると小一時間の休憩タイム。その間にお昼を食べるもよし、賑わうブースエリアを回るもよし。レースが無くたって、楽しめるのがシマノバイカーズの良い所。レポートの後篇では、1日目の目玉種目「4時間/2時間エンデューロ」から2日目までの様子をお届けします。
text&photo:Naoki.YASUOKA
長野県富士見町、入笠山にある富士見パノラマリゾート。中央道諏訪南ICから約7分とアクセスもよいスキー場であり、夏季にはMTBゲレンデとして人気を集めるスポットだ。今年の全日本MTB選手権を筆頭に、数多くの大会が開催されてきた実績のある会場でもある。
週末ごとに多くのMTBライダーが集まる富士見パノラマだが、1年で最も多くの人が集まるのは紛れもなくこの日。「シマノバイカーズフェスティバル」が行われる7月の最終週末だ。関東、いや日本中見渡しても、これだけ多くのMTBが一堂に会する機会はないだろう。MTBが下火だと言われて久しいが、ここに来ればその言説に疑問符をつけたくなるほどのマウンテンバイカーが会場には溢れている。
シクロクロスブームなどの影響もあり、一部のロードバイクユーザーたちがオフロードライドに熱い目線を注いでいる状況を反映してか、参加者数も昨年に比べて増加している。今年は昨対100名増の2,400名が富士見パノラマに集まった。
XC向けとDH向けの2つのコースが用意される他、入笠山の周辺には数々のトレイルが点在している。MTBにとっては最高の環境が用意されている中で、XCレースからエンデューロ、DHといった競技やオフロードツーリング、さらには八ヶ岳周辺を満喫するオンロードツーリングなど、幅広い自転車の楽しみ方が用意されているのが、シマノバイカーズの魅力でもある。
さて、そんなMTB三昧の2日間は「60分XCマラソン」から始まる。スタートに並んだXCレーサーたちが、スタートの号砲とともにコースへと飛び出していく。集団の先頭には平野星矢や松本駿、小笠原崇裕らサポートライダーが陣取り、安全なレースを先導してくれる。
1周約1.2kmのクロスカントリーコースは高低差約30mと比較的フラットな設定。しかし、ホームストレートのジープロード、森の中のシングルトラックエリア、昨年より加わったフライオーバーに、芝生のゲレンデゾーンなど、変化に富んだコースは走っていて飽きさせないコースレイアウトとなっている。
土煙をもうもうと巻き起こしながら60分XCマラソンの集団がスタートしていくころ、第4リフトを登った先にあるダウンヒルコースのスタートエリアにも続々と人が集まっていた。見れば、DH系のロングストロークのフルサスバイクにフルフェイスを被ったDHライダーもいれば、ハードテールのXCバイクにジャージレーパンのXCレーサーらしい出で立ちの人も。
どこか混沌とした空間であるが、今年から新設された「MTBヒルクライム」への出場者と、その後に行われる「DHエンデューロ」の出場者の両方が集合場所にいるために生み出された光景だ。同じMTBという乗り物だが、全く違うスタイルの両者が混淆している様子は、シマノバイカーズの懐の深さを象徴する場面とだった。
さて、今年の新種目「MTBヒルクライム」はDHコースを逆に登っていくという超過酷なオフロードヒルクライム。そこを登りたくないからこそ、富士見パノラマにはリフトやゴンドラという文明の利器が用意されているはずなのだが、あえてそこに挑む、最高にロックでクレイジーな種目である。
選りすぐりの坂バカたちがスタートした後は、「DHエンデューロ」の選手たちがスタートラインにつく。エンデューロといえば、リエゾンの登り区間と、計測対象の下り区間を繋ぐレース形式だが、シマノバイカーズのこの種目は少し趣を異にする。基本はDHレースであるが、下りだけでなく途中に登りセクションが用意される、技術と脚力双方が要求されるコースのタイムを競う種目となっているのだ。
こちらは昨年から続く種目だが、コースは変更されている。昨年に比べて、より登りの比重が大きくなっているのだとか。試走を終えたライダー達のなかでも、下り系ライダー達は機材のチョイスなどに頭を悩ませていたようだ。
さて、一方のXCコースでも新種目がお披露目されている。60分XCマラソンという枠組みこそ変わらないが、出走できる車種が限定された、その名も「ファットバイクの部」と「シングルスピードの部」が新設されたのだ。ずらりと最前列にファットバイクが並ぶ様は、もはや自転車レースと思えない光景。タイヤだけ見れば、モトクロスのレースのような迫力である。自転車だけではなく、ライダー達もファンキーで、スタート前にMCのアリーさんと絹代さんが煽ると重いバイクを持ち上げて記念撮影タイムに突入。走りだす前から疲れそう。
人数こそ普通のXCマラソンに比べると少ないが、巻きあげる土煙はシマノバイカーズ史上最大。この後に行われる人気種目、4時間エンデューロの大集団が来たのか?と勘違いするほどの轟音と土煙を立てながら最初のジープロードの登りを駆け抜けていく。
その後、XCコースでは子供たちが主役の「キッズXC」が次々に行われていく。それまでの60分XCマラソンと同じ1.2kmのコースを走る小学生高学年のBOYS2とGIRLS2クラスは、大人顔負けのハイレベルな戦いが繰り広げられる真剣勝負。一方、小学校低学年のBOYS1とGIRLS1クラスは0.3kmへと短縮され、よりフラットになったコースを走る。応援するご家族の方も、自分たちのレースより熱が入っている様子で、微笑ましい光景が広がる時間となった。
キッズレースが終わると小一時間の休憩タイム。その間にお昼を食べるもよし、賑わうブースエリアを回るもよし。レースが無くたって、楽しめるのがシマノバイカーズの良い所。レポートの後篇では、1日目の目玉種目「4時間/2時間エンデューロ」から2日目までの様子をお届けします。
text&photo:Naoki.YASUOKA
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