2016/07/28(木) - 09:28
今年で5年目を迎えたロングライドイベント「走ってみっぺ南会津!」。福島県南会津市たかつえ地区に過去最高人数のサイクリストたちが集まった。ついに700人を越えることになった大会のレポートをお届けします。
福島県と栃木県の県境に位置する南会津町。標高2,000メートル級の山々に囲まれる自然豊かな高原地帯であり、日本有数の豪雪地帯でもある。東京からであれば東北道の西那須塩原ICで降り、そこからは1時間ほどかけて60kmほどの山道をひた走る事になる南会津市。お世辞にもアクセス良好とは言いづらい立地であるが、その分交通量も少なく、豊かな自然の中でのびのびと自転車を楽しめるエリアである。
そんな南会津市の中でもスキーリゾートとして知られるたかつえ地区を舞台に開催されるロングライドイベントが「走ってみっぺ南会津!」だ。ゆったりとした、アットホームな空気が魅力的なイベントとして、ここ数年じわじわと人気を集めてきた。
今年で5回目という節目を迎えることとなった、走ってみっぺ南会津。5年目にして過去最高となる700名を越える参加者を集める人気イベントへと成長することに。毎年取材するたびに参加者が増え、賑やかな大会となっていることが実感できる。
大会前日の前夜祭からすでにその賑わいようは窺い知ることができた。大会のメイン会場でもあるたかつえスノーリゾートの食堂にて開かれた前夜祭は、もはやそれだけでも一つのイベントとして成り立っているのではないかと思うほどの盛り上がり。
それもそのはず、前夜祭だけで250名の人出となっているのだから、盛り上がらないわけがない。広々としているはずのスキーセンタースペーシアのレストラン「オーロラ」は空席なしの満員御礼である。なぜこんなにも、人が集まるのだろうか。不思議に思う気持ちは、並べられた料理を見ればすぐに雲散霧消した。
テーブルの上には地元の名産品をふんだんに使った様々な郷土料理がずらりと並び、まさにここでしか食べられない珍味のオンパレード。ブランド野菜である南郷トマトを筆頭に、馬肉の煮込みや岩魚の甘露煮
会津ラーメンなど南会津の味覚が食べ放題。明日消費するカロリーを軽々と賄えるだけの料理が振る舞われていた。
そして、左党の人にとってたまらないのが、地酒の飲み放題だ。限られた取扱店以外では手に入らず、日本酒ファンの間では幻の銘酒として知られる「花泉」を心行くまで味わうことができるのだ。深い味わいとすっきりとした飲み口が特徴の花泉。豪雪地帯である南会津ならではの豊富な雪解け水が原生林によって磨かれた名水「高清水」が生み出した銘酒は、まさにここ南会津ならではの逸品だ。
もちろん食べ物だけが前夜祭の魅力ではない。前日の石川ロードからおっとり刀で駆け付けてくれたゲストライダーであるブリッツェンやブラーゼンの選手たちによるトークショー、地元舘岩の大太鼓演奏、そして花泉や会津アストリアホテルの宿泊券といった豪華な賞品が当たる大抽選会など、さまざまな催しによって、会場のテンションは最高潮へ。MCを務める棚橋麻衣さんと廣世GMの軽妙な掛け合いもまた、このイベントの人気の秘訣である。
夕方6時から2時間にわたって行われた前夜祭だが、散会となってもどこか名残惜しい空気。アットホームでとても居心地の良い空間を参加者それぞれが楽しんでいたようだ。とはいえ、明日の朝も早い。後ろ髪を引かれつつ、それぞれの宿へと戻っていくことに。
さて、明くる朝。数日前の天気予報では雨の予報だったはずだが、ホテルの窓を開けてみれば晴れ間が見える。快晴とはいかないものの、雲は高くところどころには青い切れ目が覗いている。キツい陽射しを受けて走るよりも、薄く雲がかかっていたほうが走りやすいだろう。
それにしても走ってみっぺ南会津はよくよく天候に愛されている。これまでの5回の大会中、雨に見舞われたことはなんとゼロ。毎年雨に祟られる大会、悪天候で短縮になる大会が少なくない中で、雨天未経験というイベントは貴重な存在だ。
とはいえ、ただ強運の大会というわけでもなく、雨が降りづらいのにはれっきとした理由があるようだ。四方を山で囲まれているために、雨雲が山でシャットアウトされるのだとか。実際、一つ山を隔てた隣の地域では雨が降っていても、この近辺は雨が落ちてこないことも良くあるという。
そんなわけで、今年も晴れた走ってみっぺ南会津。スタート前には、宇都宮ブリッツェンや那須ブラーゼンの選手らからのあいさつや走行上の注意が伝えられる。今年新たに加わった100kmコースのオプションルートについての説明も。
昨年から100kmコースの序盤に2kmほどの登り坂が加えられていたのだが、最後の登り以外でヒルクライム区間は無いと思っていた方々にとって、少し厳しいセクションだったとの意見があったという。その意見を考慮して、60kmコースと同じルートを走っても良いということに。その名も「さぼってみっぺ南会津!」(笑)。とはいえ、一昨年までの100kmコースと中身は一緒なので、より多く登りたい人は正規ルートへ、あまり登りに自信のない人は「さぼってみっぺ」へと向かうと良いだろう。
毎年恒例の「走ってみっぺ?」「南会津!」の掛け声で集合写真を撮影したら、いざスタートだ。参加人数が増えた事も相まって、グループごとにサポートライダーを割り振ることができず、いくつかのグループは参加者の中から下りのペースを守るライダーが選出されることに。こんなところも、ゆるーく和気あいあいとした雰囲気で、運営と参加者の距離が近いこの大会ならでは。
さて、ここで一つ悩みが浮上する。一昨年は100km、昨年は60kmを取材したが、今年はどの距離を取材すべきか……。しばし悩んだ後、噂の登り区間は未経験であるし、とりあえず100kmのスタートグループと共にコースへと飛び出すことに。いざとなれば60kmに切り上げることもできるはず、というあまーい考えと共に走りだした。
text&photo:Naoki,YASUOKA
福島県と栃木県の県境に位置する南会津町。標高2,000メートル級の山々に囲まれる自然豊かな高原地帯であり、日本有数の豪雪地帯でもある。東京からであれば東北道の西那須塩原ICで降り、そこからは1時間ほどかけて60kmほどの山道をひた走る事になる南会津市。お世辞にもアクセス良好とは言いづらい立地であるが、その分交通量も少なく、豊かな自然の中でのびのびと自転車を楽しめるエリアである。
そんな南会津市の中でもスキーリゾートとして知られるたかつえ地区を舞台に開催されるロングライドイベントが「走ってみっぺ南会津!」だ。ゆったりとした、アットホームな空気が魅力的なイベントとして、ここ数年じわじわと人気を集めてきた。
今年で5回目という節目を迎えることとなった、走ってみっぺ南会津。5年目にして過去最高となる700名を越える参加者を集める人気イベントへと成長することに。毎年取材するたびに参加者が増え、賑やかな大会となっていることが実感できる。
大会前日の前夜祭からすでにその賑わいようは窺い知ることができた。大会のメイン会場でもあるたかつえスノーリゾートの食堂にて開かれた前夜祭は、もはやそれだけでも一つのイベントとして成り立っているのではないかと思うほどの盛り上がり。
それもそのはず、前夜祭だけで250名の人出となっているのだから、盛り上がらないわけがない。広々としているはずのスキーセンタースペーシアのレストラン「オーロラ」は空席なしの満員御礼である。なぜこんなにも、人が集まるのだろうか。不思議に思う気持ちは、並べられた料理を見ればすぐに雲散霧消した。
テーブルの上には地元の名産品をふんだんに使った様々な郷土料理がずらりと並び、まさにここでしか食べられない珍味のオンパレード。ブランド野菜である南郷トマトを筆頭に、馬肉の煮込みや岩魚の甘露煮
会津ラーメンなど南会津の味覚が食べ放題。明日消費するカロリーを軽々と賄えるだけの料理が振る舞われていた。
そして、左党の人にとってたまらないのが、地酒の飲み放題だ。限られた取扱店以外では手に入らず、日本酒ファンの間では幻の銘酒として知られる「花泉」を心行くまで味わうことができるのだ。深い味わいとすっきりとした飲み口が特徴の花泉。豪雪地帯である南会津ならではの豊富な雪解け水が原生林によって磨かれた名水「高清水」が生み出した銘酒は、まさにここ南会津ならではの逸品だ。
もちろん食べ物だけが前夜祭の魅力ではない。前日の石川ロードからおっとり刀で駆け付けてくれたゲストライダーであるブリッツェンやブラーゼンの選手たちによるトークショー、地元舘岩の大太鼓演奏、そして花泉や会津アストリアホテルの宿泊券といった豪華な賞品が当たる大抽選会など、さまざまな催しによって、会場のテンションは最高潮へ。MCを務める棚橋麻衣さんと廣世GMの軽妙な掛け合いもまた、このイベントの人気の秘訣である。
夕方6時から2時間にわたって行われた前夜祭だが、散会となってもどこか名残惜しい空気。アットホームでとても居心地の良い空間を参加者それぞれが楽しんでいたようだ。とはいえ、明日の朝も早い。後ろ髪を引かれつつ、それぞれの宿へと戻っていくことに。
さて、明くる朝。数日前の天気予報では雨の予報だったはずだが、ホテルの窓を開けてみれば晴れ間が見える。快晴とはいかないものの、雲は高くところどころには青い切れ目が覗いている。キツい陽射しを受けて走るよりも、薄く雲がかかっていたほうが走りやすいだろう。
それにしても走ってみっぺ南会津はよくよく天候に愛されている。これまでの5回の大会中、雨に見舞われたことはなんとゼロ。毎年雨に祟られる大会、悪天候で短縮になる大会が少なくない中で、雨天未経験というイベントは貴重な存在だ。
とはいえ、ただ強運の大会というわけでもなく、雨が降りづらいのにはれっきとした理由があるようだ。四方を山で囲まれているために、雨雲が山でシャットアウトされるのだとか。実際、一つ山を隔てた隣の地域では雨が降っていても、この近辺は雨が落ちてこないことも良くあるという。
そんなわけで、今年も晴れた走ってみっぺ南会津。スタート前には、宇都宮ブリッツェンや那須ブラーゼンの選手らからのあいさつや走行上の注意が伝えられる。今年新たに加わった100kmコースのオプションルートについての説明も。
昨年から100kmコースの序盤に2kmほどの登り坂が加えられていたのだが、最後の登り以外でヒルクライム区間は無いと思っていた方々にとって、少し厳しいセクションだったとの意見があったという。その意見を考慮して、60kmコースと同じルートを走っても良いということに。その名も「さぼってみっぺ南会津!」(笑)。とはいえ、一昨年までの100kmコースと中身は一緒なので、より多く登りたい人は正規ルートへ、あまり登りに自信のない人は「さぼってみっぺ」へと向かうと良いだろう。
毎年恒例の「走ってみっぺ?」「南会津!」の掛け声で集合写真を撮影したら、いざスタートだ。参加人数が増えた事も相まって、グループごとにサポートライダーを割り振ることができず、いくつかのグループは参加者の中から下りのペースを守るライダーが選出されることに。こんなところも、ゆるーく和気あいあいとした雰囲気で、運営と参加者の距離が近いこの大会ならでは。
さて、ここで一つ悩みが浮上する。一昨年は100km、昨年は60kmを取材したが、今年はどの距離を取材すべきか……。しばし悩んだ後、噂の登り区間は未経験であるし、とりあえず100kmのスタートグループと共にコースへと飛び出すことに。いざとなれば60kmに切り上げることもできるはず、というあまーい考えと共に走りだした。
text&photo:Naoki,YASUOKA
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