2016/04/14(木) - 09:02
4月2日(土)、埼玉県のときがわ町にあるサイクリングポート、ときがわベースにて『宮澤崇史の「ride&food」』が開催された。元トッププロの宮澤さんが、ヒルクライムスキルとアスリートフードの調理法を直に伝授するとあって、定員いっぱいのサイクリスト達が学びを得ようと足を運んだ。
この日の講座は、現役時代ヒルクライムが苦手だった宮澤崇史さんが、それを克服するために試行錯誤の末掴んだスキルを、座学と実走を交えて行われるレクチャーがメイン。しかし、今回珍しいのは「food=食」も一緒にレクチャーしてくれる事。
普通はアスリートの食と言うと、栄養士などからのちょっぴりお堅い話となるような事も多いかと思うのだが、これはアスリート本人の宮澤さんと、その奥様である花菜子さんが「食を楽しむ」と言う側面も含めてアスリートフードの作り方を教えてくれると言う、他にはない企画だ。
はじめの座学ではヒルクライムスキルのみならずライディングの基礎的な部分から始まり、宮澤さん独自の理論が丁寧に解説されていった。正しいフォームやペダリングを身につけるために意識すべき点を、時に直接指導の形を取りながら進行していく。
参加者から片足でのペダリング練習の効果について尋ねられると「片足で練習するよりは、まずギアをインナー・ローに落として乗って、チェーンが常に張っているような状態を意識して回してみてください」と教えてくれた。
筆者もこれを後日実践してみたのだが、キレイにクランクを回せていないと足にカツンと引っかかる感覚があって如実にチェーンがたわむ。それを補正しようと脚の動きを意識しすぎると今度は上体の筋肉が余計な緊張をしてしまう。自分の身体の動きに効率の悪い点がある事を実感出来た。
もちろん私と違って、宮澤さんがこの日ローラー台で披露してくれたペダリングはスムーズそのもの。淀みなく回転するチェーンに参加者の皆さんからも感嘆の声が漏れた。これ以外の練習方法やストレッチ、マッサージについても次々と語られ、「こうやっていろんな点を繋げていく事で、最後に走るためのスキルが出来上がるんです」と言う言葉が、最後にストンと腑に落ちた。
実走はときがわベースからすぐに登り始める松郷峠への坂で行われた。曇り空ではあったものの、桜や菜の花が随所に見られ、春の訪れを感じながらのライドとなった。スタート前には走行ペースやマナー、安全上の注意なども宮澤さんからしっかり行われ、各々のペダリングを確認しながらゆったりとしたペースで一列の集団は進んでいった。
ライドの後半には、参加者が安全に待機出来る場所へ移動して、皆さんお待ちかねの個別指導。宮澤さんが参加者1人1人の後ろについてペダリングの様子を見ながら声をかけていく。「こういう短い距離だとどうしても力を込めて踏んでしまう人がいるのですが、それで100km、200kmともつ人はいない。こういう時でもいかに余計な力を使わずに走るかを意識してください」と宮澤さん。
ライドを終えてときがわベースに戻ると、一旦エース交代。本日のレシピが配られ、アスリートフードマイスターの資格も持つ奥様の花菜子さんが登板。本日もう1つの学び、「食」のレクチャーへと移った。「あなたはアシストね」と宮澤さんに声をかけ、笑いを誘う。レシピのプリントが配られ、サラダやパプリカのスープが、調理方法の指導を交えて手際よく作られていった。
続くパスタソースのコーナーでは宮澤さんもその腕前を披露。トントントン…と花菜子さんに負けない滑らかな包丁さばきに目を見張った。宮澤崇史、走れば凄いと言うだけではなかった。食には人一倍気をつけるアスリートとは言え、料理の腕前がここまでの人は簡単に見つからないのではないか。宮澤さんは真の料理好きだ。
出来上がった料理はもちろん美味。おかわりを求める人達がキッチンの前に並んだ。私もコッソリ2杯ずついただいてしまった。パプリカのスープはほんのりとした甘さとコクでたいへん飲みやすかったのだが、なんと調味料を使わず素材の味だけでこれを実現しているとか。
宮澤さんはパスタに載せるパルミジャーノチーズを「追いチーズいる人〜」と言いながら配り歩く。そんな中、宮澤さんが語った「特定のものをたくさん食べるのではなくて、美味しいものをいくつも、少しずつ食べるのがいいんですよ」と言うセリフが印象的だった。
食後の質問コーナーでは積極的な質疑応答が行われ、ダンシングのコツから翌日のロンド・ファン・フラーンデレンでの勝者は誰?と言った質問まで、時に笑いを誘いながら宮澤さんが答えていってくれた。宮澤さんはJ SPORTSによるロンドのTV中継で解説を担当をすることから「明日もこれとおんなじ事を言っちゃいます。明日中継を見る方は、ああ、宮澤が昨日も同じ事言ってたなーと思いながら見てくださいね」と皆さんを笑わせていた。
最後にはサプライズプレゼントのじゃんけん大会まで催され、この日のイベントは充実のうちに終了。ライディングスキルから食事に至るまで、アスリートらしい感覚や経験による実感も交えつつ語られる内容はもちろん、常に人を楽しませる事を忘れない宮澤さんの姿勢に感嘆させられた1日となった。
text&photo:Yuichiro Hosoda
この日の講座は、現役時代ヒルクライムが苦手だった宮澤崇史さんが、それを克服するために試行錯誤の末掴んだスキルを、座学と実走を交えて行われるレクチャーがメイン。しかし、今回珍しいのは「food=食」も一緒にレクチャーしてくれる事。
普通はアスリートの食と言うと、栄養士などからのちょっぴりお堅い話となるような事も多いかと思うのだが、これはアスリート本人の宮澤さんと、その奥様である花菜子さんが「食を楽しむ」と言う側面も含めてアスリートフードの作り方を教えてくれると言う、他にはない企画だ。
はじめの座学ではヒルクライムスキルのみならずライディングの基礎的な部分から始まり、宮澤さん独自の理論が丁寧に解説されていった。正しいフォームやペダリングを身につけるために意識すべき点を、時に直接指導の形を取りながら進行していく。
参加者から片足でのペダリング練習の効果について尋ねられると「片足で練習するよりは、まずギアをインナー・ローに落として乗って、チェーンが常に張っているような状態を意識して回してみてください」と教えてくれた。
筆者もこれを後日実践してみたのだが、キレイにクランクを回せていないと足にカツンと引っかかる感覚があって如実にチェーンがたわむ。それを補正しようと脚の動きを意識しすぎると今度は上体の筋肉が余計な緊張をしてしまう。自分の身体の動きに効率の悪い点がある事を実感出来た。
もちろん私と違って、宮澤さんがこの日ローラー台で披露してくれたペダリングはスムーズそのもの。淀みなく回転するチェーンに参加者の皆さんからも感嘆の声が漏れた。これ以外の練習方法やストレッチ、マッサージについても次々と語られ、「こうやっていろんな点を繋げていく事で、最後に走るためのスキルが出来上がるんです」と言う言葉が、最後にストンと腑に落ちた。
実走はときがわベースからすぐに登り始める松郷峠への坂で行われた。曇り空ではあったものの、桜や菜の花が随所に見られ、春の訪れを感じながらのライドとなった。スタート前には走行ペースやマナー、安全上の注意なども宮澤さんからしっかり行われ、各々のペダリングを確認しながらゆったりとしたペースで一列の集団は進んでいった。
ライドの後半には、参加者が安全に待機出来る場所へ移動して、皆さんお待ちかねの個別指導。宮澤さんが参加者1人1人の後ろについてペダリングの様子を見ながら声をかけていく。「こういう短い距離だとどうしても力を込めて踏んでしまう人がいるのですが、それで100km、200kmともつ人はいない。こういう時でもいかに余計な力を使わずに走るかを意識してください」と宮澤さん。
ライドを終えてときがわベースに戻ると、一旦エース交代。本日のレシピが配られ、アスリートフードマイスターの資格も持つ奥様の花菜子さんが登板。本日もう1つの学び、「食」のレクチャーへと移った。「あなたはアシストね」と宮澤さんに声をかけ、笑いを誘う。レシピのプリントが配られ、サラダやパプリカのスープが、調理方法の指導を交えて手際よく作られていった。
続くパスタソースのコーナーでは宮澤さんもその腕前を披露。トントントン…と花菜子さんに負けない滑らかな包丁さばきに目を見張った。宮澤崇史、走れば凄いと言うだけではなかった。食には人一倍気をつけるアスリートとは言え、料理の腕前がここまでの人は簡単に見つからないのではないか。宮澤さんは真の料理好きだ。
出来上がった料理はもちろん美味。おかわりを求める人達がキッチンの前に並んだ。私もコッソリ2杯ずついただいてしまった。パプリカのスープはほんのりとした甘さとコクでたいへん飲みやすかったのだが、なんと調味料を使わず素材の味だけでこれを実現しているとか。
宮澤さんはパスタに載せるパルミジャーノチーズを「追いチーズいる人〜」と言いながら配り歩く。そんな中、宮澤さんが語った「特定のものをたくさん食べるのではなくて、美味しいものをいくつも、少しずつ食べるのがいいんですよ」と言うセリフが印象的だった。
食後の質問コーナーでは積極的な質疑応答が行われ、ダンシングのコツから翌日のロンド・ファン・フラーンデレンでの勝者は誰?と言った質問まで、時に笑いを誘いながら宮澤さんが答えていってくれた。宮澤さんはJ SPORTSによるロンドのTV中継で解説を担当をすることから「明日もこれとおんなじ事を言っちゃいます。明日中継を見る方は、ああ、宮澤が昨日も同じ事言ってたなーと思いながら見てくださいね」と皆さんを笑わせていた。
最後にはサプライズプレゼントのじゃんけん大会まで催され、この日のイベントは充実のうちに終了。ライディングスキルから食事に至るまで、アスリートらしい感覚や経験による実感も交えつつ語られる内容はもちろん、常に人を楽しませる事を忘れない宮澤さんの姿勢に感嘆させられた1日となった。
text&photo:Yuichiro Hosoda
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