2016/02/15(月) - 09:04
「日本のコクサイデ」と呼ばれるほど砂セクションの難易度が高いコースで名高い東海シクロクロス ワイルドネイチャープラザ。そんな砂地獄にヘタレ編集部員フジワラがチャレンジしました。さてさて、どうなることやら。
「日本のコクサイデ」の異名を持つワイルドネイチャープラザのコースは屈指の難コース
出場すればいつだってワクワクするシクロクロスレース。しかし、茨城シクロクロスにバイクロアと、いまだ2レースしか参加できていないヘタレ編集部員ことフジワラガクト。一方で、僕がレースに出ていない間にイソベ教官は野辺山CXでC1に昇格し、楽しそうにC1レースに出場している。シクロクロスライフを満喫していてうらやましい!
シクロクロスは毎週末どこかでレースをやっているから、気軽に参加できると思っていたけれど、今年はシクロクロス人気の高まりを受けてC4クラスは参加人数が多く、エントリーすら間に合わなかったレースは多い。しかし、どうしても「これだけは絶対に走りたい!」というレースがあった。
それが、東海シクロクロス第3戦ワイルドネイチャープラザだ。ほぼ全てのセクションが砂で埋め尽くされた「日本のコクサイデ」と称される難コースが名物のレースである。これまでに味わったことのない砂地獄を体験したい。そんな好奇心に突き動かされるように、エントリーを無事に完了!
キャンバーを降りてから深い砂区間。そしてそのままキャンバーを登るのはなかなか難しい(写真は試走)
この日C1で優勝した前田公平選手は砂キャンバーを下るのは非常にスムーズだった。こうなりたいものである
C2で優勝した織田聖選手は圧倒的なパワーで進んでいく
砂丘を駆けあがる上り坂は乗車不可能(写真はC4B)
さて、エントリーできれば交通手段の確保である。そう、レースは愛知県で開催されるのだ。東京在住の僕にとっては少し遠すぎる……。出来れば前泊なり後泊なりをしたいところなのだけれど、とれる休みは日曜日だけ。ここはC1に昇格し、毎週末のようにレースに出ているイソベ教官を誘っていけば、移動の負担も減るだろう!そう思って声を掛けてみたところ、「ちょっと立て込んでいて、行けそうにないな」と大変現実的なお返事を返された。シクロクロスに何もかもを捧げた漢だと思っていたのに、とんだ誤算である。
うむむ、仕事は予定通りと言っていたヤスオカ先輩はどうだろうか。シクロクロスはやっていないけど、MTBに乗っていているし、バイクロアは楽しかったと言ってたし、なんだかんだで興味はあるだろう。「ヤスオカせんぱ…」「ムリ、ムリ。どうせ足代わりに使おうって魂胆なんでしょ?」まだ何も言ってないのに……。鬼!悪魔!ヤスオカ!「絶対、楽しいですから!」と食い下がるものの、下心を見透かされていた時点で僕の負けである。こうして仲間をゲットすることはできず、結局さみしく一人旅……。今度誰か一緒にレースに出ませんか?特に可愛い女の子!我こそはと思う方は、いつでもお声かけください(笑)
そんなこんなで迎えた当日。なんとか一人で車を転がし会場に到着した僕の目の前に広がっていたのは、まるで海のような砂浜に覆われた広場と丘だ。これまでの人生で砂丘と呼ばれるものを見たことがなかった僕のテンションは、この光景だけですでにMAX。いかにもシクロクロスをやってくださいという公園なのだが、逆にいうとシクロクロス以外の使用用途はあるのだろうかと余計な不安を覚えてしまう。公園の脇を流れる木曽川ではウィンドサーフィンが楽しめるというから、夏場のアウトドアには良いのかもしれないが。
レーススタート直後の砂区間は混沌としている(写真はC2)
万年最下位クラスである僕のレースは朝一に行われるのはこの東海クロスもおなじ。慌ただしく準備を進めていくが、今回はバイクロアのように遅刻する人もいないし、別にいたってチームレースじゃないのだから安心だ。とはいっても、受付~試走~準備という時間はかなりバタバタとしているので、はやくC3に昇格したい!
そして、いよいよレースが始まる。頭では分かっていたはずなんだけれど、実際に走ってみるとコース一面「砂」、「砂」、そして「砂」。予習のために見ていた過去の大会動画では、大半のライダーが乗車でクリアしていたけれど、実際の砂地は非常に難しい。出発前、イソベ教官にサンドセクションでの走り方を聞いてたが、スタート直後の混沌の中で頭は既に空っぽ。スタックした前走者につまりあっというまに最後尾へ。
1人になったところでようやくイソベ教官の言葉を思い出す。「砂地はできるだけ後輪荷重を意識するように。前輪は荷重を抜き、タイヤが砂に埋れないようにするのが大事だよ。」師よ!ありがとうございます!これで、僕もこの砂地獄を軽やかに走り抜けられるはずッ!!
若干窪みがあることがお分かりいただけるだろうか。走っているとこの落差が大きく感じるのです
前転をメイクしたあとはバッチリ写真に収められていたようです
少ないダート区間は力いっぱい踏み込むだけ
注目が集まるポイントは応援の方が多く気合が入る
しかし、現実は非情である。頭では理解出来ても、実行するのはなかなか難しい。無数の轍に気を取られてハンドルに体重がかかってしまうし、かといって駆動輪を気にしてばっかりだと前輪が暴れて仕方ない。そのうえ、いつもより重いギアを踏まないと進まない。ただ真っ直ぐ進むのにこんなに苦労するなんて!
くそう、こんなことなら、ヤスオカ先輩は連れて来るべきだった。通勤中にちょっとしたダートロードを見つけてはMTBを飛ばしてくるほど、ダート好きの先輩なら笑いながらサンドセクションの攻略を楽しんでくれることだろう。(砂地獄で苦しめばいいなんてことは、微塵も思っていないことを付け加えておこう)
そして、追い打ちをかけてくるのは砂丘を登るランニング区間。何がきついって、観客からの視線を遮るものがどこにもなく、サボれないのだ。実際は自転車を担ぐこともできないほど腰には疲労がたまり、足もあがらないので、周りから見たらサボっているかのようなペースで進んでいたのだが……。前言撤回である。こんな姿を先輩たちに見せたら馬鹿にされるので、やはり一人で来たのは大正解だ。
走ってもいないように見えますが、全力を出しています!
砂地はバイクを走らせるテクニックだけではなく、乗るか乗らないかの判断が非常に大切だった。乗ったほうが確実に速いのか、走ったほうが速いのかを見極めてアクションを起こす。これが難しい。乗車の方がアクションが少なく楽なのは確かだけれど、一瞬の判断を誤ってスピードが死んでから、バイクを押して走るほうが辛い。
これは経験がものをいう。そして、初めてのことを問題なくクリアできるほどのセンスがあれば、こうしてヘタレクロスなんて連載を書いてはいない。しかし、ヘタレだからこそのサンドセクションを攻略する楽しみがある!どうやったら前に進ませられるのだろうかと考えてペダルを踏んでいる瞬間だって楽しいのだ!速いクロッサーには1秒を削る楽しみ?があるのだろうけど、C4の最後尾だって砂地獄は平等に辛く、そして面白い!
その後も窪みで、見事に前輪がつまり前転をメイク。ミスをするならばいっそのこと誰かが見ている所で派手に決めたいが、地味過ぎる落車は精神的にも辛い。結局レースは終始1人でバタバタとしているだけでフィニッシュ。
上位カテゴリの選手も体勢を崩してしまうほどの難しさ(写真は試走)
走ったほうが早い場合もある
砂区間は少しのミスで体勢を崩すので集中力が必要でした
長い長いレースを終えて安堵の笑顔。疲労よりも路>面状況の把握に神経を使いました
結果は35/38位。トップからは+9:57。砂を走る面白みは存分に味わったのだけれど、競争という面から見るとほぼ周回遅れにされかけるほどのヘタレっぷり。少しは走れるようになってきたかな?なんて高くなっていた鼻は見事にへし折られ、精神的にも大ダメージだ。帰ってきてから、リザルトを聞いたヤスオカ先輩に馬鹿にされたのも悔しい。(バイクロアではヘロヘロだったくせに!)。どうやって見返してやろうか。
レースが終わると観戦モードになれるのがシクロクロスのいいところ。東海シクロクロスは深谷産業やIRCタイヤ、BMC、Sim Worksといった地元を拠点とする企業のブースが展開されていて、見て回れるのもいい。BUCYO COFFEEもブースを構えているので、お腹を満たすこともできる。なんとも豪華なCXレースイベントだ!
会場の雰囲気も関東のそれとは少し異なり、レースに参加しないローディーたちも仲間のレースを応援しに来ている。自転車のコミュニティが大きくて数も多いんだろうなと実感。こんなふうに地域によってレース開場の雰囲気が変わっているのもシクロクロスの面白いところで、もっといろいろな地方のレースに出かけたい。次はどこのレースに行こうかしら。
text&photo:Gakuto"ヘタレ"Fujiwara
photo:Yasutaka.Suzuki
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出場すればいつだってワクワクするシクロクロスレース。しかし、茨城シクロクロスにバイクロアと、いまだ2レースしか参加できていないヘタレ編集部員ことフジワラガクト。一方で、僕がレースに出ていない間にイソベ教官は野辺山CXでC1に昇格し、楽しそうにC1レースに出場している。シクロクロスライフを満喫していてうらやましい!
シクロクロスは毎週末どこかでレースをやっているから、気軽に参加できると思っていたけれど、今年はシクロクロス人気の高まりを受けてC4クラスは参加人数が多く、エントリーすら間に合わなかったレースは多い。しかし、どうしても「これだけは絶対に走りたい!」というレースがあった。
それが、東海シクロクロス第3戦ワイルドネイチャープラザだ。ほぼ全てのセクションが砂で埋め尽くされた「日本のコクサイデ」と称される難コースが名物のレースである。これまでに味わったことのない砂地獄を体験したい。そんな好奇心に突き動かされるように、エントリーを無事に完了!
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うむむ、仕事は予定通りと言っていたヤスオカ先輩はどうだろうか。シクロクロスはやっていないけど、MTBに乗っていているし、バイクロアは楽しかったと言ってたし、なんだかんだで興味はあるだろう。「ヤスオカせんぱ…」「ムリ、ムリ。どうせ足代わりに使おうって魂胆なんでしょ?」まだ何も言ってないのに……。鬼!悪魔!ヤスオカ!「絶対、楽しいですから!」と食い下がるものの、下心を見透かされていた時点で僕の負けである。こうして仲間をゲットすることはできず、結局さみしく一人旅……。今度誰か一緒にレースに出ませんか?特に可愛い女の子!我こそはと思う方は、いつでもお声かけください(笑)
そんなこんなで迎えた当日。なんとか一人で車を転がし会場に到着した僕の目の前に広がっていたのは、まるで海のような砂浜に覆われた広場と丘だ。これまでの人生で砂丘と呼ばれるものを見たことがなかった僕のテンションは、この光景だけですでにMAX。いかにもシクロクロスをやってくださいという公園なのだが、逆にいうとシクロクロス以外の使用用途はあるのだろうかと余計な不安を覚えてしまう。公園の脇を流れる木曽川ではウィンドサーフィンが楽しめるというから、夏場のアウトドアには良いのかもしれないが。
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そして、いよいよレースが始まる。頭では分かっていたはずなんだけれど、実際に走ってみるとコース一面「砂」、「砂」、そして「砂」。予習のために見ていた過去の大会動画では、大半のライダーが乗車でクリアしていたけれど、実際の砂地は非常に難しい。出発前、イソベ教官にサンドセクションでの走り方を聞いてたが、スタート直後の混沌の中で頭は既に空っぽ。スタックした前走者につまりあっというまに最後尾へ。
1人になったところでようやくイソベ教官の言葉を思い出す。「砂地はできるだけ後輪荷重を意識するように。前輪は荷重を抜き、タイヤが砂に埋れないようにするのが大事だよ。」師よ!ありがとうございます!これで、僕もこの砂地獄を軽やかに走り抜けられるはずッ!!
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くそう、こんなことなら、ヤスオカ先輩は連れて来るべきだった。通勤中にちょっとしたダートロードを見つけてはMTBを飛ばしてくるほど、ダート好きの先輩なら笑いながらサンドセクションの攻略を楽しんでくれることだろう。(砂地獄で苦しめばいいなんてことは、微塵も思っていないことを付け加えておこう)
そして、追い打ちをかけてくるのは砂丘を登るランニング区間。何がきついって、観客からの視線を遮るものがどこにもなく、サボれないのだ。実際は自転車を担ぐこともできないほど腰には疲労がたまり、足もあがらないので、周りから見たらサボっているかのようなペースで進んでいたのだが……。前言撤回である。こんな姿を先輩たちに見せたら馬鹿にされるので、やはり一人で来たのは大正解だ。
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これは経験がものをいう。そして、初めてのことを問題なくクリアできるほどのセンスがあれば、こうしてヘタレクロスなんて連載を書いてはいない。しかし、ヘタレだからこそのサンドセクションを攻略する楽しみがある!どうやったら前に進ませられるのだろうかと考えてペダルを踏んでいる瞬間だって楽しいのだ!速いクロッサーには1秒を削る楽しみ?があるのだろうけど、C4の最後尾だって砂地獄は平等に辛く、そして面白い!
その後も窪みで、見事に前輪がつまり前転をメイク。ミスをするならばいっそのこと誰かが見ている所で派手に決めたいが、地味過ぎる落車は精神的にも辛い。結局レースは終始1人でバタバタとしているだけでフィニッシュ。
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結果は35/38位。トップからは+9:57。砂を走る面白みは存分に味わったのだけれど、競争という面から見るとほぼ周回遅れにされかけるほどのヘタレっぷり。少しは走れるようになってきたかな?なんて高くなっていた鼻は見事にへし折られ、精神的にも大ダメージだ。帰ってきてから、リザルトを聞いたヤスオカ先輩に馬鹿にされたのも悔しい。(バイクロアではヘロヘロだったくせに!)。どうやって見返してやろうか。
レースが終わると観戦モードになれるのがシクロクロスのいいところ。東海シクロクロスは深谷産業やIRCタイヤ、BMC、Sim Worksといった地元を拠点とする企業のブースが展開されていて、見て回れるのもいい。BUCYO COFFEEもブースを構えているので、お腹を満たすこともできる。なんとも豪華なCXレースイベントだ!
会場の雰囲気も関東のそれとは少し異なり、レースに参加しないローディーたちも仲間のレースを応援しに来ている。自転車のコミュニティが大きくて数も多いんだろうなと実感。こんなふうに地域によってレース開場の雰囲気が変わっているのもシクロクロスの面白いところで、もっといろいろな地方のレースに出かけたい。次はどこのレースに行こうかしら。
text&photo:Gakuto"ヘタレ"Fujiwara
photo:Yasutaka.Suzuki