2016/02/07(日) - 09:07
昨年秋に開催されたRapha Women's Prestige。バラ柄のジャージに身を包んだ女5人の挑戦記もこれにて最終回。グラベルを走り抜け、峠を登り切った先にゴールが待っています。
アスファルトの終点に、5人が並ぶ。
雨か霧か、湿度で濡れる砂利。その下からぬめりと光る土も見える。そこいら中にこぶし大、いやこぶし二つ大くらいの石がごろごろ転がっている。
みんななるべく離れないようにしよな、との声掛けに、これから待ち受けるステージへの緊張感を感じる。よし、いよいよグラベルキングが火を噴くぜ!
気がつけばもう陽射しは西に傾いていた。
残すは2つの登り。15kmに計600mUPだ。ここまでの疲労に加えてヤビツもう1本なんておかしいでしょ、とツッコミながら仕方なく走る。この登りはスパンの長いつづら折の立派な舗装路だった。車がほぼ通らない上、きれいな路面なのは幸いだが、その代わりに味気ない気がしてしまう。
皆ずっと黙々と漕いでいる。もうツライよーだの、キツイねーだのも言い合わなくなっていた。ガーミンは100mさえもなかなか刻んでくれない。私はいつも疲れると出てくる膝の痛みが案の定出てきていた。ホントはコレが限界なんじゃないか、もう少しペース落としても良いんじゃないか、無理しないのが大人の選択なんじゃないか、なんて考えだしながら、4人の背中を写真に収めた。
こういう時って、みんなそれぞれ自分と戦ってる時やねん、とちゅなどんが以前教えてくれたのを思い出した。そんな時って何を声掛けていいかも分からんし、敢えて声掛けんでおいていいと思うねん。
そう、みんな自分と対峙してる。みんながそばにいてくれるから自分と向き合っている。
ペダルを回してさえいればいつか必ず到着できることも知っている。
殺風景だと感じていたのに、道路脇に茂る緑から秋の様相が見えてきた。
もみじの葉の下には翼の形をした種が実っている。あの種の並び方は何モミジだ?
さっきから梅のような実がなっている木があるけど、こんな季節に梅系の実は付かないんじゃ?
ん?この木肌は桐だ。実や来年の花芽が付いているこの時期の桐は初めて見る!
思わず声を出していた私に、詳しいなぁとチハルコ。そうなんよね、サチはヤビツ峠に野いちご目的で登りに行くんやもんね、とちゅなどん。そう、まさにその通り。どんな山道も下りが待っていることと、花や緑の移り変わりを見られることが楽しみで私を登らせてくれるのだ。
わー、たくさん咲いてるなー。道なりに咲くノコンギクに皆で目を細める。ねえ、じゃあこれはなんて花? ガーミンが指し示す、デジタルの数字から目を離す。
今日の登りを全てクリアしてからは、なかなか下校したくない小学生みたいに沢山寄り道をした。峠の茶屋では関西に暮らし始めてからなかなか美味しいお蕎麦を食べる機会がないからと店の入口から離れないチハルコにつられて諏訪の大パノラマを眺めながら皆でそばを堪能した。陽が弱まる中の下り坂は「さむーーーーーーい!!!」と声を上げながら。
夕陽沈みゆく稲田の畦道を、もうこんなグラベルならちょろいもんだねとつぶやきながら走り、森の中、コスモス畑、結婚式場のレッド・カーペットの上…(ごめんなさい!)、何度も笑っては写真を撮り、最後は諏訪湖にキスをお見舞いするかのように、めいめい口に加えたコスモスをぷいっとかざしてゴールした。
無事に今日を終えた参加者が一同に集い、互いを称えあった打ち上げパーティーの帰りの夜道。
諏訪湖沿いの国道を、コンビニアイス片手にぷらぷら並んで歩きながら宿へと戻る。よく笑った達成感と、終わっちゃって寂しい気持ちをそれぞれ抱えながら。楽しかったなぁ、ほんまやなぁとしみじみ皆がつぶやく。
意を決して「わたし、今回はほんとにみんなに連れて行ってもらってオイシイ経験させてもらっちゃった。自分ができる役割探したけど見つからないくらいだったよ。今後はもっともっと技術や知識を身につけなくちゃなって、ほんとに・・・」と誓う私に、あははははと皆が爆笑する。
部活かい!!、なんや先輩につるし上げられてる後輩みたいやん、もっと気楽でえーねん!と。
5人それぞれに秋が深まり、次の季節に変わってゆく。にゃおちやアヤはもちろんシクロクロス。アヤは学祭で発表したばかりの自作フレームで初めてレースに出場したらしい。シクロに加えて山登りも始めたチハルコ。ライドイベントのアテンドに、サイクルキャップ製作に忙しいちゅなどん。
私は、次なる目標に向けて、今日もトレーニングを重ねている。
…シュッ。…シュッ。
ブレーキパッドの左右比を確認して、今日もペダルを踏みだすのだ。
text&photo:Sachi.Nakadai
アスファルトの終点に、5人が並ぶ。
雨か霧か、湿度で濡れる砂利。その下からぬめりと光る土も見える。そこいら中にこぶし大、いやこぶし二つ大くらいの石がごろごろ転がっている。
みんななるべく離れないようにしよな、との声掛けに、これから待ち受けるステージへの緊張感を感じる。よし、いよいよグラベルキングが火を噴くぜ!
気がつけばもう陽射しは西に傾いていた。
残すは2つの登り。15kmに計600mUPだ。ここまでの疲労に加えてヤビツもう1本なんておかしいでしょ、とツッコミながら仕方なく走る。この登りはスパンの長いつづら折の立派な舗装路だった。車がほぼ通らない上、きれいな路面なのは幸いだが、その代わりに味気ない気がしてしまう。
皆ずっと黙々と漕いでいる。もうツライよーだの、キツイねーだのも言い合わなくなっていた。ガーミンは100mさえもなかなか刻んでくれない。私はいつも疲れると出てくる膝の痛みが案の定出てきていた。ホントはコレが限界なんじゃないか、もう少しペース落としても良いんじゃないか、無理しないのが大人の選択なんじゃないか、なんて考えだしながら、4人の背中を写真に収めた。
こういう時って、みんなそれぞれ自分と戦ってる時やねん、とちゅなどんが以前教えてくれたのを思い出した。そんな時って何を声掛けていいかも分からんし、敢えて声掛けんでおいていいと思うねん。
そう、みんな自分と対峙してる。みんながそばにいてくれるから自分と向き合っている。
ペダルを回してさえいればいつか必ず到着できることも知っている。
殺風景だと感じていたのに、道路脇に茂る緑から秋の様相が見えてきた。
もみじの葉の下には翼の形をした種が実っている。あの種の並び方は何モミジだ?
さっきから梅のような実がなっている木があるけど、こんな季節に梅系の実は付かないんじゃ?
ん?この木肌は桐だ。実や来年の花芽が付いているこの時期の桐は初めて見る!
思わず声を出していた私に、詳しいなぁとチハルコ。そうなんよね、サチはヤビツ峠に野いちご目的で登りに行くんやもんね、とちゅなどん。そう、まさにその通り。どんな山道も下りが待っていることと、花や緑の移り変わりを見られることが楽しみで私を登らせてくれるのだ。
わー、たくさん咲いてるなー。道なりに咲くノコンギクに皆で目を細める。ねえ、じゃあこれはなんて花? ガーミンが指し示す、デジタルの数字から目を離す。
今日の登りを全てクリアしてからは、なかなか下校したくない小学生みたいに沢山寄り道をした。峠の茶屋では関西に暮らし始めてからなかなか美味しいお蕎麦を食べる機会がないからと店の入口から離れないチハルコにつられて諏訪の大パノラマを眺めながら皆でそばを堪能した。陽が弱まる中の下り坂は「さむーーーーーーい!!!」と声を上げながら。
夕陽沈みゆく稲田の畦道を、もうこんなグラベルならちょろいもんだねとつぶやきながら走り、森の中、コスモス畑、結婚式場のレッド・カーペットの上…(ごめんなさい!)、何度も笑っては写真を撮り、最後は諏訪湖にキスをお見舞いするかのように、めいめい口に加えたコスモスをぷいっとかざしてゴールした。
無事に今日を終えた参加者が一同に集い、互いを称えあった打ち上げパーティーの帰りの夜道。
諏訪湖沿いの国道を、コンビニアイス片手にぷらぷら並んで歩きながら宿へと戻る。よく笑った達成感と、終わっちゃって寂しい気持ちをそれぞれ抱えながら。楽しかったなぁ、ほんまやなぁとしみじみ皆がつぶやく。
意を決して「わたし、今回はほんとにみんなに連れて行ってもらってオイシイ経験させてもらっちゃった。自分ができる役割探したけど見つからないくらいだったよ。今後はもっともっと技術や知識を身につけなくちゃなって、ほんとに・・・」と誓う私に、あははははと皆が爆笑する。
部活かい!!、なんや先輩につるし上げられてる後輩みたいやん、もっと気楽でえーねん!と。
5人それぞれに秋が深まり、次の季節に変わってゆく。にゃおちやアヤはもちろんシクロクロス。アヤは学祭で発表したばかりの自作フレームで初めてレースに出場したらしい。シクロに加えて山登りも始めたチハルコ。ライドイベントのアテンドに、サイクルキャップ製作に忙しいちゅなどん。
私は、次なる目標に向けて、今日もトレーニングを重ねている。
…シュッ。…シュッ。
ブレーキパッドの左右比を確認して、今日もペダルを踏みだすのだ。
text&photo:Sachi.Nakadai
Amazon.co.jp
パナレーサー(Panaracer) クリンチャー タイヤ [700×26C] グラベルキング F726-GK-B ブラック ( ロードバイク クロスバイク / グラベル ツーリング ロングライド用 )
パナレーサー(Panaracer)
¥ 5,344