島根県の飯南町で海外から観光客に訪れてもらうためのインバウンドモニターツアーが開催。イギリス人とアメリカ人の3人が訪れ、グルメ、散策サイクリング、異文化交流と飯南町に潜む魅力を再発見し、双方に交流が生まれた。



出雲大社の名物となる巨大な大しめ縄に驚く3人出雲大社の名物となる巨大な大しめ縄に驚く3人
島根県の玄関口、出雲空港から車で約1時間、路線バス・コミュニティバスがアクセスの主体となるのが、今回訪れることとなった飯南町。今まで観光に力を入れていなかったが、いざ訪れてみると観光資源はいたるところにある、魅力的なエリア。

特に著名なのは、出雲大社を始め全国に納めている「大しめ縄」。神事に欠かせない「大しめ縄」は飯南町をはじめとした周辺住民が協力し合って制作しているもの。大しめ縄に関する歴史や資料を集めた、「大しめなわ創作館」のバックヤードでは職人たちが丁寧にしめ縄制作に励んでいる。

出雲大社の大しめ縄で使われている赤穂餅の稲を使った「ミニしめ縄制作体験」。実際に作っている職人に直接話を聞けるのも魅力的だった出雲大社の大しめ縄で使われている赤穂餅の稲を使った「ミニしめ縄制作体験」。実際に作っている職人に直接話を聞けるのも魅力的だった 飯南産米100%の純米酒「絹乃峰」を製造する赤名酒造社長の三島崇暁さん(右から2番目)と記念撮影飯南産米100%の純米酒「絹乃峰」を製造する赤名酒造社長の三島崇暁さん(右から2番目)と記念撮影

地元の小学生を受け入れているお寺で抹茶体験。足を崩してリラックスできる気さくな雰囲気でエリンさんも実際に抹茶を点ててみた地元の小学生を受け入れているお寺で抹茶体験。足を崩してリラックスできる気さくな雰囲気でエリンさんも実際に抹茶を点ててみた 頓原(とんばら)の一念寺では、寺内をじっくり見学できた頓原(とんばら)の一念寺では、寺内をじっくり見学できた


ここでは、ミニしめ縄制作体験もできるということで、3人ともしめ縄作りを体験。稲束を固定して二つに分けたものをねじっていく作業に、アテンドしていた日本人よりも上手に作る3人。好みの飾り付けをセレクトして完成したオリジナルのしめ縄に大満足の様子。

その後は、大しめ縄の材料となる「赤穂餅」の稲畑や、昭和30年代から大しめ縄を作るのに使用していた乾燥機や、当時の職人さんのお話を聞く機会に恵まれるなど「人に出会える」ことが何より魅力的だったようである。

飯南町は奥出雲和牛、豚串の肉料理、飯南米コシヒカリ、赤来観光リンゴ農園といった具合にグルメも充実している。ジョンさんは舞茸やおろち大根など、一つ一つの食材の美味しさやその個性的な味に探究心を大いにくすぐられていた。

小雨の中のサイクリングで心配していたが「全く問題ない!」と駆け巡る3人小雨の中のサイクリングで心配していたが「全く問題ない!」と駆け巡る3人
小川沿いの道を走っていく。日本の原風景のような道だ。小川沿いの道を走っていく。日本の原風景のような道だ。 小雨の中のサイクリングで心配していたが「全く問題ない!」と駆け巡る3人にスタッフも開眼していた小雨の中のサイクリングで心配していたが「全く問題ない!」と駆け巡る3人にスタッフも開眼していた


中でも美しい水源と100%飯南町産米を使用した赤名酒造の「絹乃峰」酒造見学は印象的であった様子だ。手間暇をかけて作られた純米酒は深い甘みと香り、すっきりした味わいが特徴。残念ながら実際の仕込みの現場を見ることは叶わなかったものの、3人は作っているところも見学したかった! と興味津々だった。

温泉や出雲そば、地元の居酒屋めぐりと様々なプログラムをこなしていく中、やはりもっとも楽しみだったのがサイクリング。美しい景色を眺めることができる飯南町の里山を自転車で駈けめぐれる滅多にないチャンス。アウトドアが大好きな3人の表情はとにかく楽しそうだった。

「めったに車が通らないから走りやすい。景色もきれいでとても楽しかった」とエリンさん。飯南町では今後、魅力をより感じてもらうため、町並み散策サイクリングなどの企画にも力を入れていく予定だ。

text&photo:Yukako OKADA