2015/11/19(木) - 09:17
東北シクロクロスのPR大使に就任したシンガーソングライターの水越ユカさんが、大会出場を見据えて初めてシクロクロスにトライする挑戦記。第1回は豊岡英子選手を講師に、ビギナーはもちろん、経験者にも役立つハウツー満載で紹介します。
11月に入り、日本各地で本格的に開幕したシクロクロスシーズン。今年で5年目を迎えた東北のシリーズ戦「TOHOKU CX Project」では今年、シンガーソングライターの水越ユカさんがPR大使に就任した。今年のツール・ド・東北に出場するためにロードバイクを始めた水越さんは、歌手活動のかたわらジョギングやランニングをこなすアクティブ派。わずかな練習期間ながら本番では100kmコースを完走し、その達成感と温かいおもてなしでよりスポーツサイクルの魅力にのめりこんだそう。
そしてひょんなことから知ったシクロクロスにも興味を持ち、あれよあれよという間に大使に…。12月20日に開催される東北シクロクロス第3戦でのレースデビューに向け、ジャパンカップの前週に開催された宇都宮シクロクロス第1戦の会場で、豊岡英子選手を特別コーチに迎え、初めての練習に挑んだのでした。
ー さて、というわけでシクロクロスに挑戦することになった水越さんですが、もうすっかり自転車の魅力にはまってしまったそうですね。
水越:そうなんです!自転車って、一番最初に乗る乗り物じゃないですか。ロードバイクにチャレンジする前は難しそう、怖そうというイメージがあったのですが、いざ乗ってみたらどこまでも走り続けられるような爽快感があって、一気にハマってしまったんです。
ー そしてツール・ド・東北ではいきなり100kmにチャレンジして完走したんですよね。
水越:とても達成感があって嬉しかったですね! 100kmを走ったのは一つでも多くのエイドステーションを巡って地元のグルメを楽しみたかったから(笑)。それと東北の地を訪れるのが初めてだったので、自分の脚であちこち回りたかったんですね。結果的に無事に完走できたのは地元の方々や、一緒に走った人の優しさに触れたからで、そこからもっと自転車が好きになってしまったんです。
ー その繋がりでシクロクロス東北の親善大使になったんですよね。
水越:話を頂いた時は「私みたいな素人でいいの!?」って驚きました!自転車にはまってからシクロクロスの映像を見たことはありましたが、まさか自分が挑戦することになるとは(笑)。観戦も今回の宇都宮シクロクロスが初めてなのですが、会場に来てみて驚きました!賑わいだったり、音楽だったり、イメージと違って、すごくオープンで華やかな雰囲気なんですね!
でも見ていて本当に忙しそう…。普通にロードバイクで走るだけなら全く気にしなかったんですけど、コースから飛び出しちゃったり、バリアにぶつからないか、心配と楽しみがごっちゃ混ぜです(笑)。
そのために今回はスペシャル講師を招いています! 登場頂きましょう、全日本女子王者の豊岡英子さんです!
水越:わーすごい! ヘルメットがデコレーションでキラキラ!
豊岡:そこかいな!(笑)。よろしくお願いします(笑)。でももともと陸上でハードル競技を経験していると聞きましたよ。だから身体の動かし方の基本は大丈夫ですね。シクロクロスは飛び降りる、飛び乗るという特殊動作が必要なので、ちょっと難しいんですよね。でも繰り返し練習すれば、誰にでもできるようになりますよ。
水越:ちょっと不安だけど、レースを見ててとても楽しそう!難しく見えるからこそちゃんと走れるようになったらカッコイイですよね!だからやってみたいし、ぴょんぴょん跳べるようにもなりたいですね(笑)。
豊岡:このメンタルならどんなことがあっても大丈夫(笑)。シクロクロスはロードバイクと違って地面が常に変化するので、それをいかにスムーズに走りこなせるかが大切。場所によっては泥や雪と滑りやすいコースがあるので、転倒やミスを防ぐ落ち着きも大事ですね。
水越:う…実はまだロードバイク歴すら2か月なんですが、大丈夫でしょうか…?
豊岡:大丈夫! 私もロードとシクロクロスは同時に始めたし、ロードバイクだとある意味何も考えずとも走れてしまうから、走る、曲がるという動作に癖がついちゃうことも多い。でも難しいシクロクロスの基本が身につけば、ロードバイクでもより安全に走れるようになるんです。
水越:なるほど! じゃあ今日が雨だったのも、実は良かったってことですかね!
豊岡:とんでもないプラス思考やね(笑)。それでは実際に基礎から練習しましょうか!
動画で見るシクロクロスの降車・乗車の基本の動き
全日本王者・豊岡英子のタメになるCXワンポイントアドバイス!
ここまでは水越さんをモデルに基本中の基本を紹介してきたが、既にレースに参戦している読者の皆さんに向けたアドバイスを豊岡選手に聞いてみた。本場ベルギーで経験を積んだ”女王”ならではのハウツーを是非参考にしてみてはいかがでしょう。
ー 様々な動作を行わなければいけないシクロクロスですが、まずはどういった心構えが必要なのでしょう?
豊岡:シクロクロスはコース中に必ず一つや二つ、場合によってはそれ以上の「乗れない区間」が出てきます。だから基本は乗り降りと、自転車を抱えたまま走ること、そして担ぎの3つ。加えて乗り降りのミスや落車、チェーンを落とさないために、疲れても、息が上がった状態でも、全ての動作を丁寧にこなす必要があるんです。だから丁寧な基本の動作を身体に覚えさせることが大事ですね。
ー 冬の競技だけあって装備も大切になってきますよね。豊岡さんがこれだけは外せない!というアイテムはありますか?
豊岡:やっぱりホットクリームですね。私はスポーツバルムの中でも最強の「Hot Muscle Balm」を愛用しています。身体を冷やしてまうと動きも悪くなるし、怪我もしやすくなってしまうんです。またどんなに寒くても運動強度が高く汗をかくので、アンダーウェアも機能性の高いものを着た方がベターです。最も冷えやすい手に関しては厚手のグローブを選びがちですが、細かいブレーキやハンドル操作が求められるので、あまり分厚いと的確なコントロールがしづらくなってしまいますね。
それとこれはヨーロッパで学んだことですが、あまりにも極寒だと冷気で目がやられてしまうんです。だから東北や野辺山のような場所ではアイウェアはマストアイテム。レンズに泥が付くのでアイウェアを掛けない人もいますが、マイナスに近い気温であれば是非着用してもらいたいですね。ヨーロッパだと−15℃でもレースが開催されるので、レース後も含めた暖の取り方は本当に大事なんですよ(笑)。
ー なるほど! 既にレースに出る方に対してのアドバイスがあれば教えてもらえますか?
豊岡:タイムを縮める一番の近道は「ながら」の動作ができるようになることですね。例えば自転車から降りる準備をしながら、すぐ担げるように右手はトップチューブを掴んでおくとか、その時左手でブレーキコントロールをするとか。そうすれば3つの動作を行うときに、2つ分の時間しか掛からないわけです。工夫次第でかなり一つのセクションあたりの時間は削れますから、レースをイメージした反復練習が大事ですね。地道でつまらないかもしれませんが、是非挑戦してみてください。
水越ユカさんはこれから練習を積んで、12月20日の東北シクロクロス第3戦 宮城・蔵王ステージでレースに初挑戦する予定だ。公式サイト内には水越ユカさん本人による抱負を語る動画メッセージもある。応援しよう!
水越ユカさんプロフィール
富山県射水市出身のシンガーソングライター。中学生の頃から作詞作曲をはじめ、2009年から本格的に歌手としての活動を開始した。学生時代には陸上部に所属し、ハードル走に打ち込んでいたというアクティブ派で、2014年の東京マラソンにはチャリティーランナーとして参加した。ツール・ド・東北に参加してみたい!という思いからロードバイクを始め、ほぼぶっつけ本番で100kmコースを完走。スポーツバイクの面白さにのめりこんでしまったそう。
水越ユカオフィシャルサイト
今回のスペシャルゲスト講師:豊岡英子選手プロフィール
大阪府出身、パナソニックレディース所属。シクロクロスを中心にロードレースやトラックレースにも参戦し、長年国内のシクロクロスシーンを牽引する中心的選手。シーズン中はベルギーを拠点に世界最高峰レベルのレースに参戦を続け、2005年から2011年まで全日本選手権7連覇という偉業を達成。故障に悩まされていたが克服し、2014年の全日本選手権では2年間逃していたタイトルを奪権した。愛称は「姫」。
公式ブログ:ほな、行こか
edit:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
11月に入り、日本各地で本格的に開幕したシクロクロスシーズン。今年で5年目を迎えた東北のシリーズ戦「TOHOKU CX Project」では今年、シンガーソングライターの水越ユカさんがPR大使に就任した。今年のツール・ド・東北に出場するためにロードバイクを始めた水越さんは、歌手活動のかたわらジョギングやランニングをこなすアクティブ派。わずかな練習期間ながら本番では100kmコースを完走し、その達成感と温かいおもてなしでよりスポーツサイクルの魅力にのめりこんだそう。
そしてひょんなことから知ったシクロクロスにも興味を持ち、あれよあれよという間に大使に…。12月20日に開催される東北シクロクロス第3戦でのレースデビューに向け、ジャパンカップの前週に開催された宇都宮シクロクロス第1戦の会場で、豊岡英子選手を特別コーチに迎え、初めての練習に挑んだのでした。
ー さて、というわけでシクロクロスに挑戦することになった水越さんですが、もうすっかり自転車の魅力にはまってしまったそうですね。
水越:そうなんです!自転車って、一番最初に乗る乗り物じゃないですか。ロードバイクにチャレンジする前は難しそう、怖そうというイメージがあったのですが、いざ乗ってみたらどこまでも走り続けられるような爽快感があって、一気にハマってしまったんです。
ー そしてツール・ド・東北ではいきなり100kmにチャレンジして完走したんですよね。
水越:とても達成感があって嬉しかったですね! 100kmを走ったのは一つでも多くのエイドステーションを巡って地元のグルメを楽しみたかったから(笑)。それと東北の地を訪れるのが初めてだったので、自分の脚であちこち回りたかったんですね。結果的に無事に完走できたのは地元の方々や、一緒に走った人の優しさに触れたからで、そこからもっと自転車が好きになってしまったんです。
ー その繋がりでシクロクロス東北の親善大使になったんですよね。
水越:話を頂いた時は「私みたいな素人でいいの!?」って驚きました!自転車にはまってからシクロクロスの映像を見たことはありましたが、まさか自分が挑戦することになるとは(笑)。観戦も今回の宇都宮シクロクロスが初めてなのですが、会場に来てみて驚きました!賑わいだったり、音楽だったり、イメージと違って、すごくオープンで華やかな雰囲気なんですね!
でも見ていて本当に忙しそう…。普通にロードバイクで走るだけなら全く気にしなかったんですけど、コースから飛び出しちゃったり、バリアにぶつからないか、心配と楽しみがごっちゃ混ぜです(笑)。
そのために今回はスペシャル講師を招いています! 登場頂きましょう、全日本女子王者の豊岡英子さんです!
水越:わーすごい! ヘルメットがデコレーションでキラキラ!
豊岡:そこかいな!(笑)。よろしくお願いします(笑)。でももともと陸上でハードル競技を経験していると聞きましたよ。だから身体の動かし方の基本は大丈夫ですね。シクロクロスは飛び降りる、飛び乗るという特殊動作が必要なので、ちょっと難しいんですよね。でも繰り返し練習すれば、誰にでもできるようになりますよ。
水越:ちょっと不安だけど、レースを見ててとても楽しそう!難しく見えるからこそちゃんと走れるようになったらカッコイイですよね!だからやってみたいし、ぴょんぴょん跳べるようにもなりたいですね(笑)。
豊岡:このメンタルならどんなことがあっても大丈夫(笑)。シクロクロスはロードバイクと違って地面が常に変化するので、それをいかにスムーズに走りこなせるかが大切。場所によっては泥や雪と滑りやすいコースがあるので、転倒やミスを防ぐ落ち着きも大事ですね。
水越:う…実はまだロードバイク歴すら2か月なんですが、大丈夫でしょうか…?
豊岡:大丈夫! 私もロードとシクロクロスは同時に始めたし、ロードバイクだとある意味何も考えずとも走れてしまうから、走る、曲がるという動作に癖がついちゃうことも多い。でも難しいシクロクロスの基本が身につけば、ロードバイクでもより安全に走れるようになるんです。
水越:なるほど! じゃあ今日が雨だったのも、実は良かったってことですかね!
豊岡:とんでもないプラス思考やね(笑)。それでは実際に基礎から練習しましょうか!
動画で見るシクロクロスの降車・乗車の基本の動き
全日本王者・豊岡英子のタメになるCXワンポイントアドバイス!
ここまでは水越さんをモデルに基本中の基本を紹介してきたが、既にレースに参戦している読者の皆さんに向けたアドバイスを豊岡選手に聞いてみた。本場ベルギーで経験を積んだ”女王”ならではのハウツーを是非参考にしてみてはいかがでしょう。
ー 様々な動作を行わなければいけないシクロクロスですが、まずはどういった心構えが必要なのでしょう?
豊岡:シクロクロスはコース中に必ず一つや二つ、場合によってはそれ以上の「乗れない区間」が出てきます。だから基本は乗り降りと、自転車を抱えたまま走ること、そして担ぎの3つ。加えて乗り降りのミスや落車、チェーンを落とさないために、疲れても、息が上がった状態でも、全ての動作を丁寧にこなす必要があるんです。だから丁寧な基本の動作を身体に覚えさせることが大事ですね。
ー 冬の競技だけあって装備も大切になってきますよね。豊岡さんがこれだけは外せない!というアイテムはありますか?
豊岡:やっぱりホットクリームですね。私はスポーツバルムの中でも最強の「Hot Muscle Balm」を愛用しています。身体を冷やしてまうと動きも悪くなるし、怪我もしやすくなってしまうんです。またどんなに寒くても運動強度が高く汗をかくので、アンダーウェアも機能性の高いものを着た方がベターです。最も冷えやすい手に関しては厚手のグローブを選びがちですが、細かいブレーキやハンドル操作が求められるので、あまり分厚いと的確なコントロールがしづらくなってしまいますね。
それとこれはヨーロッパで学んだことですが、あまりにも極寒だと冷気で目がやられてしまうんです。だから東北や野辺山のような場所ではアイウェアはマストアイテム。レンズに泥が付くのでアイウェアを掛けない人もいますが、マイナスに近い気温であれば是非着用してもらいたいですね。ヨーロッパだと−15℃でもレースが開催されるので、レース後も含めた暖の取り方は本当に大事なんですよ(笑)。
ー なるほど! 既にレースに出る方に対してのアドバイスがあれば教えてもらえますか?
豊岡:タイムを縮める一番の近道は「ながら」の動作ができるようになることですね。例えば自転車から降りる準備をしながら、すぐ担げるように右手はトップチューブを掴んでおくとか、その時左手でブレーキコントロールをするとか。そうすれば3つの動作を行うときに、2つ分の時間しか掛からないわけです。工夫次第でかなり一つのセクションあたりの時間は削れますから、レースをイメージした反復練習が大事ですね。地道でつまらないかもしれませんが、是非挑戦してみてください。
水越ユカさんはこれから練習を積んで、12月20日の東北シクロクロス第3戦 宮城・蔵王ステージでレースに初挑戦する予定だ。公式サイト内には水越ユカさん本人による抱負を語る動画メッセージもある。応援しよう!
水越ユカさんプロフィール
富山県射水市出身のシンガーソングライター。中学生の頃から作詞作曲をはじめ、2009年から本格的に歌手としての活動を開始した。学生時代には陸上部に所属し、ハードル走に打ち込んでいたというアクティブ派で、2014年の東京マラソンにはチャリティーランナーとして参加した。ツール・ド・東北に参加してみたい!という思いからロードバイクを始め、ほぼぶっつけ本番で100kmコースを完走。スポーツバイクの面白さにのめりこんでしまったそう。
水越ユカオフィシャルサイト
今回のスペシャルゲスト講師:豊岡英子選手プロフィール
大阪府出身、パナソニックレディース所属。シクロクロスを中心にロードレースやトラックレースにも参戦し、長年国内のシクロクロスシーンを牽引する中心的選手。シーズン中はベルギーを拠点に世界最高峰レベルのレースに参戦を続け、2005年から2011年まで全日本選手権7連覇という偉業を達成。故障に悩まされていたが克服し、2014年の全日本選手権では2年間逃していたタイトルを奪権した。愛称は「姫」。
公式ブログ:ほな、行こか
edit:So.Isobe
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