2009/07/08(水) - 12:11
西東京・多摩地区を中心にエントリーライダー向けにこじんまりと開催されている走行・練習会「コグコグ/COGCOGU」に参加してみた。スポーツライドに必要なことをしっかり教えてくれると評判のこの会は、毎月開催されている。
この日の集合場所は狛江市のとある公園。ここに週末の早朝に集まり、昼過ぎまでの時間を使って皆で走る。所属クラブにこだわらず誰でも参加が可能で、参加費は無料だ。
告知はホームページで行われている。「コグコグ(約30~60キロ)」「もっとコグコグ(約100キロ)」「レディースコグコグ(女性限定)」などのバリエーションがあり、当日の朝、集合地点に集まれば参加が可能だ。(ヘルメット必須)
主宰しているのは女性サイクリストの高島真希子さん。サイクルアパレルの「Dry(ドライ)」や「ZIENER(ジィナー)」の輸入を手がける高島さんが、まったくのボランティアで行われている走行会だ。高島さんとお付き合いのあるサイクルショップなどがお客さんに紹介してくれて、参加者が集まっている。はじめて3年が経ち、リピーターさんも数多い。その走行会「コグコグ」に実走参加してのルポをお届けしよう。
2月のある日曜日、朝6時半。まだ肌寒い公園に集まった参加者は約20人。約半数が始めての参加。半分がリピーターさん。「仕事が忙しくて2年ぶりに乗り始めたよ。ホントは卒業したレベルなんだけど、勘を取り戻したくって」という人も。
世田谷区の自宅から自走でさっそうと登場する高島真希子さん。集まった参加者に手短に挨拶をして、さっそくレクチャーが始まった。この日はグループ走行で約60kmを走るため、集団走行の基本的ルール、手信号の出し方の基本、声での危険の知らせ方、走行ルート上の主な再集合ポイントなどを簡潔に説明する
そしてさっそく2班に分かれてスタート。河川敷サイクリングロードに入るまでは住宅地の幹線道路を行くので、長い車列は禁物。週末とあって都内の交通量は少ないが、クルマに迷惑をかけない走り方が基本だ。
多摩川の河川敷サイクリングロードに入る。週末サイクリストのメッカは、走りやすいと思いきや、散歩する人、ジョギングする人も多く、スピード差もあるから意外に危険なのだ。前後に分かれた3グループのまま、一列走行で注意深く走る。前に歩行者やジョガーを見つけると、手信号や声で後続に知らせる。多摩川サイクリングロードでの自転車と歩行者の接触事故は増えていて問題になっている(※)と聞いていたが、その密度に納得してしまった。
(※関連する啓蒙活動「多摩川サイクルミーティング」の記事を参照して欲しい)
レポーターの筆者がこの走行会「コグコグ」のことを知ったのは3年前。当時は「超初級者向けに開催されている会」というイメージがあったのだけど、走り出してみると皆のペースは思いのほか速い。しっかり前の人のスリップストリーム(風除け)を利用していないと、遅れたらちょっと苦労しそうだ。住宅街での上りでは軽くスピードアップ。それぞれのスピードで軽くアタック合戦を楽しむ。脚のある人、ない人の差ははっきりとつく。
西多摩に入って交通量が減り、道幅もひろくなってきた。今日のメインイベント「尾根幹線(おねかんせん)」の登場だ。
尾根幹線はなだらかなアップダウンが続く直線路で、道幅も広く、交通量も少ない。だから公道だけれど思う存分とばし、アタックし放題。参加者たちはそれぞれ模擬レースのように飛ばす。レースにも出ている人はさすが。そうでない人もグループでの先頭交代をしながらスピードを出すことに一所懸命だ。公道でこういったことが出来るのも、見晴らしが良くて道幅が広いから。日本の道路でこういうロケーションはなかなかない。
「みんな尾根幹線が大好き」と高島さんが言っていた言葉は本当だった。
尾根幹線の終点からは再びグループごとの走行だ。西東京の自然が豊かなエリアになってきた。津久井湖・城山湖エリアの裏道へ。長い上りが始まる前にコンビニで小休止をとってはいたが、休みらしい休憩はこの折り返しポイントの城山ダムでだけ。後ろの数人のグループが到着するまで、日当たりのいい芝生で湖を眺めながら休憩だ。ここではじめて参加者の皆さん同士でゆっくり話ができる。
参加者の皆さんと話していて思ったのは、ロードレーサーに乗っていてもロードレースに参加している人は稀で、自転車を買ってから自己流で楽しんではいたが、少し上達したいと思うようになってコグコグに出るようになった、という人が多いこと。
ロードレーサーを購入したサイクルショップにもクラブはあるが、レーシング志向でまだそれに参加するには(脚力的に)不安があって、このコグコグを選んでいる、といった人も。そのサイクルショップの店長さんに薦められてこのコグコグに出ている人も。どうやらこのコグコグは、そういう人たちの受け皿的存在になっているようだ。
実際、今日のコースには多くのクラブが集団で走っていて、ウェアもお揃いで本格的に見える。高島さん自身も市民レーサーの雄、西谷雅史さん率いるオーベストのメンバーでもある。(6月にはRacing CUBEに移籍)
城山ダムから折り返し、再び尾根幹線で帰る。全行程約60km、休憩時間を入れて4時間弱の走行会だった。
走り終えてから尾根幹線入り口の自動販売機の脇で集合。本日の講評をして今日のコグコグ走行会は終了だ。
参加者たちはそれぞれ昼からは家庭に戻っていく。充実の半日だった。
次回は高島さんに、コグコグ走行会をはじめた理由や会の狙いなどを話していただきます。
(Vol.2につづく)
photo&text:綾野 真/cyclowired.jp
この日の集合場所は狛江市のとある公園。ここに週末の早朝に集まり、昼過ぎまでの時間を使って皆で走る。所属クラブにこだわらず誰でも参加が可能で、参加費は無料だ。
告知はホームページで行われている。「コグコグ(約30~60キロ)」「もっとコグコグ(約100キロ)」「レディースコグコグ(女性限定)」などのバリエーションがあり、当日の朝、集合地点に集まれば参加が可能だ。(ヘルメット必須)
主宰しているのは女性サイクリストの高島真希子さん。サイクルアパレルの「Dry(ドライ)」や「ZIENER(ジィナー)」の輸入を手がける高島さんが、まったくのボランティアで行われている走行会だ。高島さんとお付き合いのあるサイクルショップなどがお客さんに紹介してくれて、参加者が集まっている。はじめて3年が経ち、リピーターさんも数多い。その走行会「コグコグ」に実走参加してのルポをお届けしよう。
2月のある日曜日、朝6時半。まだ肌寒い公園に集まった参加者は約20人。約半数が始めての参加。半分がリピーターさん。「仕事が忙しくて2年ぶりに乗り始めたよ。ホントは卒業したレベルなんだけど、勘を取り戻したくって」という人も。
世田谷区の自宅から自走でさっそうと登場する高島真希子さん。集まった参加者に手短に挨拶をして、さっそくレクチャーが始まった。この日はグループ走行で約60kmを走るため、集団走行の基本的ルール、手信号の出し方の基本、声での危険の知らせ方、走行ルート上の主な再集合ポイントなどを簡潔に説明する
そしてさっそく2班に分かれてスタート。河川敷サイクリングロードに入るまでは住宅地の幹線道路を行くので、長い車列は禁物。週末とあって都内の交通量は少ないが、クルマに迷惑をかけない走り方が基本だ。
多摩川の河川敷サイクリングロードに入る。週末サイクリストのメッカは、走りやすいと思いきや、散歩する人、ジョギングする人も多く、スピード差もあるから意外に危険なのだ。前後に分かれた3グループのまま、一列走行で注意深く走る。前に歩行者やジョガーを見つけると、手信号や声で後続に知らせる。多摩川サイクリングロードでの自転車と歩行者の接触事故は増えていて問題になっている(※)と聞いていたが、その密度に納得してしまった。
(※関連する啓蒙活動「多摩川サイクルミーティング」の記事を参照して欲しい)
レポーターの筆者がこの走行会「コグコグ」のことを知ったのは3年前。当時は「超初級者向けに開催されている会」というイメージがあったのだけど、走り出してみると皆のペースは思いのほか速い。しっかり前の人のスリップストリーム(風除け)を利用していないと、遅れたらちょっと苦労しそうだ。住宅街での上りでは軽くスピードアップ。それぞれのスピードで軽くアタック合戦を楽しむ。脚のある人、ない人の差ははっきりとつく。
西多摩に入って交通量が減り、道幅もひろくなってきた。今日のメインイベント「尾根幹線(おねかんせん)」の登場だ。
尾根幹線はなだらかなアップダウンが続く直線路で、道幅も広く、交通量も少ない。だから公道だけれど思う存分とばし、アタックし放題。参加者たちはそれぞれ模擬レースのように飛ばす。レースにも出ている人はさすが。そうでない人もグループでの先頭交代をしながらスピードを出すことに一所懸命だ。公道でこういったことが出来るのも、見晴らしが良くて道幅が広いから。日本の道路でこういうロケーションはなかなかない。
「みんな尾根幹線が大好き」と高島さんが言っていた言葉は本当だった。
尾根幹線の終点からは再びグループごとの走行だ。西東京の自然が豊かなエリアになってきた。津久井湖・城山湖エリアの裏道へ。長い上りが始まる前にコンビニで小休止をとってはいたが、休みらしい休憩はこの折り返しポイントの城山ダムでだけ。後ろの数人のグループが到着するまで、日当たりのいい芝生で湖を眺めながら休憩だ。ここではじめて参加者の皆さん同士でゆっくり話ができる。
参加者の皆さんと話していて思ったのは、ロードレーサーに乗っていてもロードレースに参加している人は稀で、自転車を買ってから自己流で楽しんではいたが、少し上達したいと思うようになってコグコグに出るようになった、という人が多いこと。
ロードレーサーを購入したサイクルショップにもクラブはあるが、レーシング志向でまだそれに参加するには(脚力的に)不安があって、このコグコグを選んでいる、といった人も。そのサイクルショップの店長さんに薦められてこのコグコグに出ている人も。どうやらこのコグコグは、そういう人たちの受け皿的存在になっているようだ。
実際、今日のコースには多くのクラブが集団で走っていて、ウェアもお揃いで本格的に見える。高島さん自身も市民レーサーの雄、西谷雅史さん率いるオーベストのメンバーでもある。(6月にはRacing CUBEに移籍)
城山ダムから折り返し、再び尾根幹線で帰る。全行程約60km、休憩時間を入れて4時間弱の走行会だった。
走り終えてから尾根幹線入り口の自動販売機の脇で集合。本日の講評をして今日のコグコグ走行会は終了だ。
参加者たちはそれぞれ昼からは家庭に戻っていく。充実の半日だった。
次回は高島さんに、コグコグ走行会をはじめた理由や会の狙いなどを話していただきます。
(Vol.2につづく)
photo&text:綾野 真/cyclowired.jp
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