高い精度を持つリムやハブといったパーツに定評のあるDTスイス。今年からミヤタサイクルが本格的な取り扱いを開始し、完組ホイールなど、これまで国内で扱いが少なかったモデルの安定供給を始めることとなった。



多くのショップ関係者などが集まったDTスイス展示会多くのショップ関係者などが集まったDTスイス展示会
ロレックスやオメガといった高級時計ブランドを生み出した国、スイス。精密な機械を作ることにかけては右に出るものは無い、その国の名をブランドに冠する自転車パーツメーカーがDTスイスだ。その名が示す通り、高品質な製品を送りだすことで高い信頼を得ているブランドである。

これまでも、リムやハブ、スポークといった製品は国内へと供給されてきたが、今回ミヤタサイクルはそれらに加えて、完組ホイールやサスペンションといったパーツの取り扱いを開始した。それらの取り扱いに合わせて、DTスイス製品のサポートを行うテクニカルセンターを国内に設置することで、万が一のトラブルへの対応体制を整えたことが大きなポイントだ。

「これまでは、国内で不良品や故障品へと対処できるだけの体制が整っておらず、メーカーへと送らないとだめでした。そういった状態で、扱いを広げてもユーザーの方には不便な思いをさせてしまうだけです。でも、今年になってテクニカルセンターが開設でき、国内でトラブル対応が完結できるようになったので、本格的な展開を始めました。」とミヤタサイクルの福田さんは語る。

「安定してサポートできる体制が整ったからこそ、本格的な取り扱いを始めることができた。」と語るミヤタサイクルの福田さん「安定してサポートできる体制が整ったからこそ、本格的な取り扱いを始めることができた。」と語るミヤタサイクルの福田さん 補修用パーツも常時在庫されるとのこと補修用パーツも常時在庫されるとのこと

DTスイスサスペンションのメンテナンスについての講習も行われていたDTスイスサスペンションのメンテナンスについての講習も行われていた サスペンションも多くラインアップサスペンションも多くラインアップ


確かに、ホイールやサスペンションといったパーツは構造も複雑であり、トラブルの起こりやすい箇所。それがトラブルのたびに海外送りになるのでは、安心して使うことはできないが、そういった不安が払しょくされている。今回の展示会では、サポートセンターのメカニックによるサスペンションのメンテナンス講習会も行われ、販売店へのサポートも整っていることが伝わってきた。

さて、これまで国内扱いが少なかったこともあり、あまり馴染みのないDTスイスの完組ホイールだが、他のホイールブランドに引けを取らない高い性能を持っている。それは今シーズンDTスイスを使用するIAMサイクリングの活躍を通しても伝わってくるだろう。

しかし、DTスイスがユニークなのは、ホイールを構成するリム、ハブ、スポークという3つの要素全てを自社のラインアップに持っているという点にある。しかも、それら3つの全てが高い評価を得ており、特にハブやスポークは他社の完組ホイールのハイエンドモデルに数多く採用されていることからも、その高い性能がうかがえよう。

カーボンリムモデルがロードホイールでは中核となるカーボンリムモデルがロードホイールでは中核となる ほぼすべてのモデルに採用されるDTスプラインハブほぼすべてのモデルに採用されるDTスプラインハブ

フロントハブももちろんDTスイス製フロントハブももちろんDTスイス製 廉価なアルミリムモデルも用意される廉価なアルミリムモデルも用意される


リム、ハブ、スポークそれぞれに関して高いテクノロジーを持っているDTスイス。それらのノウハウを結集して作っている完組ホイールの性能が優れているのは当然の帰結と言える。今回、国内展開が決まったのは、それらのラインアップの中でも中核をなすスプラインシリーズ。考え抜かれたスポーク配置と実績のあるフリーホイールを精密加工されたハブシェルと組み合わせて生まれたホイールだ。

ロード用ホイールとしては、28mm~55mmまでハイトの異なるカーボンモデルには、チューブラーとクリンチャー、そしてディスクブレーキモデルが用意されるほか、DTスイスホイールの高性能を手軽に味わえるアルミモデルも用意される。MTBホイールもクロスカントリーからダウンヒル用のモデルまで幅広く取りそろえており、中にはカーボンチューブラーホイールも用意される。もちろんホイールサイズも26インチから29インチまで網羅している。

定評のあるスポークの取り扱いにも力を入れていくとのこと定評のあるスポークの取り扱いにも力を入れていくとのこと 見ているだけで涎がでてきそうな凝った造りの振れとり台見ているだけで涎がでてきそうな凝った造りの振れとり台 また、サスペンションメーカーとしての顔を持つDTスイス。今年の大きな変更点は、O.D.Lと名づけられたロックアウトシステムがオールマウンテン系のストロークの長いモデルに採用されていること。

OPEN.DRIVE.LOCKのイニシャルから付けられたこのシステムは通常のロックアウトに加えて、ヒルクライムやきれいな路面でのペダリング効率を重視したドライブモードが用意され、状況に合わせてサスの動きを調整できるというものだ。

ハブやスポーク、リムといったホイールコンポーネントについても、これまで以上に取り扱いを強化していくとのことだ。とくにスポークに関しては、各モデル、長さなどを合わせれば300種類をゆうに超えるという。ストレートスポークも取り扱っていくとのことで、手組ホイールファンにとってもうれしい知らせと言えるだろう。

高性能なモデルを多数ラインナップしているにも関わらず、これまであまり馴染みがなかったDTスイスのホイールセット。しかし、盤石のサポート体制が用意されたこともあり、これから国内でもよく見かけるブランドとなりそうだ。

report:Naoki.YASUOKA


リンク
Amazon.co.jp

DT (角川文庫)

角川書店
¥616

D.T.

メディアファクトリー
¥2,020

DT

ポニーキャニオン