2015/02/24(火) - 09:03
1月24日・25日に東京・科学技術館にて開催されたハンドメイドバイシクル展。そこに集った数々のビルダーさんたちに、ヘッドバッヂやロゴデザインにかける思いや、由来をインタビューしました。ブランドごとのユニークなストーリーは、展示されているバイクと同じぐらい、魅力的なものでした。
ケルビム
目を引き付けるステンレスバイクを展示していたのは、今野真一さん率いるケルビム。いまや日本を代表するビルダーとして、世界をまたにかけて活躍する今野真一さんにケルビムバッヂの歴史を伺ってみました。
「ケルビムという名前は、祖母がつけたんですよ。聖書にでてくる天使の名前ですね。父がビルダーを始めたときは、家族全員の支援のもとに始めていて、決して父だけのブランドではなかったと思うんです。そこで兄弟でもめないように、クリスチャンだった祖母がつけたんじゃないかと。たまに天使に乗るとは!と怒る人もいるんですけどね・笑」
「バッヂのデザインは、基本的に父が作ったものを踏襲しています。最初は、鉄板をハサミで切って、ヘッドチューブに貼り付けただけだったみたいですね。ここ10年くらいはステッカーだったんですけど、最近バッヂに戻そうと思って、ロウ付けしてます。
競輪用の自転車もステッカーだったんですが、今年から申請してバッヂに変えました。素材はステンレスですね。このマークも、昔とは違って少しづつ変わっているんですよ。といっても、気持ちは繋げていこうと思って、あんまり大きな変更はしていない。例えば、穴を開けてみたり、フレームによって穴の色を変えたりしてますよ。」
エクイリブリウムサイクルワークス
立会川にある大瀧製作所の大瀧氏のサポートのもと、日本でフレームビルディングを始めたウラジミール・バラホブスキーさんのブランドが、エクイリブリウムだ。最新のモダンスチールを得意とするブランドだが、日本の伝統的ビルダーの手法と最新の技術を融合させたブランドの、ヘッドバッヂにこめた思いを尋ねた。
「ブランドネームの由来は、私が考える自転車にとって最も大切な要素、つまりバランスを表す言葉です。色々な力が釣り合って、自転車は前に進むものだからです。ヘッドバッヂもその思いを形にしたデザインとなっています。二つの異なるMが重なって、均衡している。つまり自転車とライダーが一つになって進んでいる様子を表しているんです。」
ドバッツ・ライノハウス
一目でドバッツだとわかるような、特徴あるバイクを作り続ける斎場さん。きれいなフィレット仕上げにファンも多いブランドだ。MTBかロードか、ヨーロッパスタイルかアメリカスタイルか、そういう分類ではなく、自分の感性と日本人の嗜好をうまくまとめていきたいと語る斎場さんに、ブランドネームとヘッドバッヂについて教えてもらった。
「ブランドネームはね、なんとなくつけたんですよ、実は。こう、勢いのある感じを出したかったんですよね。ドバッ!という感じで。だからドバッツ。ヘッドバッヂは、ブランドのイニシャルを囲む4方を差す矢印というデザインだけど、これはいろんな方向にアンテナを張っていこうという意味をこめてるんです。バッヂやデカールはバイクの方向性や雰囲気に合わせて、使い分けてます。一番凝っているのは宝飾店に頼んで石を埋めたバッヂもありますよ。」
サイクルストアヒロセ
ヘビーデューティーなキャリアを装着したMTBとスポルティーフが展示されていたサイクルストアヒロセ。創業45年にわたる老舗のヘッドバッヂにかける思いを聞いてみました。
「バッヂのモチーフは風船なんだよ。だからね、夕方にはしぼんじゃうの、でも成層圏までいったらもっと膨らむかもね!」とジョークを飛ばすヒロセさん。「でも、デザインは創業当時から変わってないんだよ。ちなみに昔は職人さんに一つ一つハンドメイドで作ってもらってたんだけど、今(といっても30年ほど前から)は型を作ってプレスで製作してるんだよ。材質はアルミでもステンレスでも、プレス出来るものなら何でも作るよ。」
ヘラブナサイクル
パステルカラーの街乗り用ランドナーを展示していたヘラブナサイクル。東京に住んでいる人が一番使いやすい、自然に乗れるような自転車を作りたかったという絹川さんに、バッヂについて語っていただきました。
「ビルダーとして独立する時、ブランド名をつけなきゃならない訳ですが、自分の名前を付けるのはなんとなくいやなんですよ。私は港区に住んでいるんですが、周りを見渡してみると高級外車が多いんですよ。牛とか馬とか大きい猫とかをロゴマークに付けた高級車をみていると、やっぱり動物は強いんだな、なんて考えていたわけです。」
そのとき、近所に良く遊びに行く釣り堀があって、ヘラブナ釣りをしていた時に、ふとアルファベットにして、BをVに変えればカッコよくなるんじゃないかと思ったのが、ブランド名が決まった経緯です。バッヂも形からひねりが欲しくて、良くありがちなハートや盾の形ではなく、しかも取り付けやすい形ということでヘラブナの尾びれの形になっているんです。」
さて、ビルダーたちのバッヂの由来いかがだったでしょうか。ヘッドバッヂコレクションは後編へと続きます。次回はあの老舗ビルダーも登場予定なので、ぜひご期待ください。
text:Naoki,YASUOKA
photo:So.Isobe
ケルビム
目を引き付けるステンレスバイクを展示していたのは、今野真一さん率いるケルビム。いまや日本を代表するビルダーとして、世界をまたにかけて活躍する今野真一さんにケルビムバッヂの歴史を伺ってみました。
「ケルビムという名前は、祖母がつけたんですよ。聖書にでてくる天使の名前ですね。父がビルダーを始めたときは、家族全員の支援のもとに始めていて、決して父だけのブランドではなかったと思うんです。そこで兄弟でもめないように、クリスチャンだった祖母がつけたんじゃないかと。たまに天使に乗るとは!と怒る人もいるんですけどね・笑」
「バッヂのデザインは、基本的に父が作ったものを踏襲しています。最初は、鉄板をハサミで切って、ヘッドチューブに貼り付けただけだったみたいですね。ここ10年くらいはステッカーだったんですけど、最近バッヂに戻そうと思って、ロウ付けしてます。
競輪用の自転車もステッカーだったんですが、今年から申請してバッヂに変えました。素材はステンレスですね。このマークも、昔とは違って少しづつ変わっているんですよ。といっても、気持ちは繋げていこうと思って、あんまり大きな変更はしていない。例えば、穴を開けてみたり、フレームによって穴の色を変えたりしてますよ。」
エクイリブリウムサイクルワークス
立会川にある大瀧製作所の大瀧氏のサポートのもと、日本でフレームビルディングを始めたウラジミール・バラホブスキーさんのブランドが、エクイリブリウムだ。最新のモダンスチールを得意とするブランドだが、日本の伝統的ビルダーの手法と最新の技術を融合させたブランドの、ヘッドバッヂにこめた思いを尋ねた。
「ブランドネームの由来は、私が考える自転車にとって最も大切な要素、つまりバランスを表す言葉です。色々な力が釣り合って、自転車は前に進むものだからです。ヘッドバッヂもその思いを形にしたデザインとなっています。二つの異なるMが重なって、均衡している。つまり自転車とライダーが一つになって進んでいる様子を表しているんです。」
ドバッツ・ライノハウス
一目でドバッツだとわかるような、特徴あるバイクを作り続ける斎場さん。きれいなフィレット仕上げにファンも多いブランドだ。MTBかロードか、ヨーロッパスタイルかアメリカスタイルか、そういう分類ではなく、自分の感性と日本人の嗜好をうまくまとめていきたいと語る斎場さんに、ブランドネームとヘッドバッヂについて教えてもらった。
「ブランドネームはね、なんとなくつけたんですよ、実は。こう、勢いのある感じを出したかったんですよね。ドバッ!という感じで。だからドバッツ。ヘッドバッヂは、ブランドのイニシャルを囲む4方を差す矢印というデザインだけど、これはいろんな方向にアンテナを張っていこうという意味をこめてるんです。バッヂやデカールはバイクの方向性や雰囲気に合わせて、使い分けてます。一番凝っているのは宝飾店に頼んで石を埋めたバッヂもありますよ。」
サイクルストアヒロセ
ヘビーデューティーなキャリアを装着したMTBとスポルティーフが展示されていたサイクルストアヒロセ。創業45年にわたる老舗のヘッドバッヂにかける思いを聞いてみました。
「バッヂのモチーフは風船なんだよ。だからね、夕方にはしぼんじゃうの、でも成層圏までいったらもっと膨らむかもね!」とジョークを飛ばすヒロセさん。「でも、デザインは創業当時から変わってないんだよ。ちなみに昔は職人さんに一つ一つハンドメイドで作ってもらってたんだけど、今(といっても30年ほど前から)は型を作ってプレスで製作してるんだよ。材質はアルミでもステンレスでも、プレス出来るものなら何でも作るよ。」
ヘラブナサイクル
パステルカラーの街乗り用ランドナーを展示していたヘラブナサイクル。東京に住んでいる人が一番使いやすい、自然に乗れるような自転車を作りたかったという絹川さんに、バッヂについて語っていただきました。
「ビルダーとして独立する時、ブランド名をつけなきゃならない訳ですが、自分の名前を付けるのはなんとなくいやなんですよ。私は港区に住んでいるんですが、周りを見渡してみると高級外車が多いんですよ。牛とか馬とか大きい猫とかをロゴマークに付けた高級車をみていると、やっぱり動物は強いんだな、なんて考えていたわけです。」
そのとき、近所に良く遊びに行く釣り堀があって、ヘラブナ釣りをしていた時に、ふとアルファベットにして、BをVに変えればカッコよくなるんじゃないかと思ったのが、ブランド名が決まった経緯です。バッヂも形からひねりが欲しくて、良くありがちなハートや盾の形ではなく、しかも取り付けやすい形ということでヘラブナの尾びれの形になっているんです。」
さて、ビルダーたちのバッヂの由来いかがだったでしょうか。ヘッドバッヂコレクションは後編へと続きます。次回はあの老舗ビルダーも登場予定なので、ぜひご期待ください。
text:Naoki,YASUOKA
photo:So.Isobe
Amazon.co.jp