カナダに居を構えるサイクルウェアブランド、SUGOi(スゴイ)。2014秋冬コレクションの中から、リフレクターを生地全体にプリントするというユニークな方法で、夜間走行時の被視認性を飛躍的に向上させたという「ZAPバイクジャケット」をインプレッションする。



SUGOi ザップ バイクジャケット(マタドール)SUGOi ザップ バイクジャケット(マタドール) (c)SUGOiSUGOi ザップ バイクジャケット(マタドール、背面)SUGOi ザップ バイクジャケット(マタドール、背面) (c)SUGOi


近年、サイクルアクセサリーにおいてキーワードの1つとなっているのが「安全性の向上」であり、とりわけ「夜間や暗所での被視認性を高めるアイテム」は様々なブランドからリリースされている。もちろん、その代表格はLEDとバッテリーの高性能化によって良質な製品が続々と登場しているライト類だ。一方で、自動車のライトなどに照らされる面積が最も大きなアパレルも負けていない。

カラーリングとして流行中の蛍光カラーを採用したり、大きくリフレクターをプリントして被視認性を高めたジャケット、シューズ、グローブなどが各社から盛んに登場している。欧米ではトレンドとなっており、デザイン的にも洗練されたものも多い。しかしながら、やはり落ち着いたトーンのウェアが好みという意見も少なくないだろう。

直径1mm程のドット状リフレクターを上下約3mm間隔でプリントしている直径1mm程のドット状リフレクターを上下約3mm間隔でプリントしている photo:Makoto.AYANOシャカシャカとした質感の生地は薄手ながらも防風性に優れる。襟の内側にはフェルトの様な生地を設けることで快適性を向上シャカシャカとした質感の生地は薄手ながらも防風性に優れる。襟の内側にはフェルトの様な生地を設けることで快適性を向上

袖口にはゴムが配されており、グローブとの隙間を埋めることで冷気の侵入を抑えてくれる袖口にはゴムが配されており、グローブとの隙間を埋めることで冷気の侵入を抑えてくれる 裏地の縫い目には止水テープを配置。バックポケットの内側はムレを低減するためにメッシュとされている裏地の縫い目には止水テープを配置。バックポケットの内側はムレを低減するためにメッシュとされている


そんな方にオススメなのが、英語でギラッという意味の擬音語を商品名に冠した「SUGOi ZAPバイクジャケット」である。その最大の特徴は表面にドット状のリフレクターをプリントした新開発生地「ピクセル ウーブン」だ。3カラーが展開されるうち女性用のスーパーピンクを除いた、ブラックとマタドール(レッド)については至ってシンプルでアウトドアウェアの様なデザインに仕上がっており、明所では他社のジャケットと比較してもルックス的に大きな違いは見られない。

ファスナーは止水タイプ。上げ下げの動作はやや力が必要だファスナーは止水タイプ。上げ下げの動作はやや力が必要だ ただ、心配は無用である。夜間走行時には、自動車のヘッドライトの光をしっかりと反射し、ライダーの存在を周囲へとアピールしてくれる。リフレクター自体は光源に向かって光る再帰反射のため、遠いところからの照射にも光が散乱せず、ギラッと光ってくれる。ある程度照度が高ければ自転車用ライトでもギラッと光ってくれるはずだ。実際にZAPバイクジャケットを着ていると、自動車のドライバーが早い段階で気づいてくれるためか、追い越しする際も余裕をもって、大きく間隔を明けて横を通り過ぎてくれたと感じることが多々あった。また、前方から光を当てられてもライダー自身がジャケットの反射に眩しさを覚えることはない。

背面のパネルは長めで、雨の際には水ハネによるウェアの汚れを防止背面のパネルは長めで、雨の際には水ハネによるウェアの汚れを防止 この暗所における高い被視認性と、明所における普遍的なルックスの両立できた理由はリフレクターの配置にあるのだろう。ザップ バイクジャケットには直径1mmほどのドットが上下3mm間隔(実測)でプリントされている。

もちろん、純粋にジャケットとしての性能も申し分なく、冷気を充分にシャットアウトしてくれるため、寒さを感じづらい。高さのある襟元は冷気の侵入を防いでくれる一方で、内側にはフェルトの様な優しい肌触りの素材を配しているため快適。一方、気温10℃程の中で信号ごとにダッシュを繰り返しながらテストを行ったが、薄手の冬用アンダーとロングスリーブジャージとの組み合わせでは蒸れは少なく、汗冷えすることは無かった。透湿性も良好だ。

撥水性に関しては生地に水を垂らすとほんの少し水を吸ってしまうが、小雨程度なら問題無いだろう。全ての縫い目に施されているシール加工は非常に丁寧で、耐久性に期待できる。ただ、ファスナーが止水仕様であることから、乗車中に片手で上下しづらかった点についてはやや気になるところ。腕力の低いライダーは止まって上げ下げしたほうが安全だろう。

自動車からのハイビームなど極端に強い光を反射すると、画像の様に光る(実際に編集部でテストしてみた様子)自動車からのハイビームなど極端に強い光を反射すると、画像の様に光る(実際に編集部でテストしてみた様子)
サイズ感については、今回テストしたXLは身長173cmの筆者でも2サイズ程大きい。ただ、腕については一般的な欧米ブランドとは異なり、やや短め。カッティングは中間的なセミフィットで、2サイズ大きかった割には走行風によるバタつきは少なかった。

ベーシックなルックスと暗所での高い被視認性を両立することに成功したZAPバイクジャケット。その独創的かつ実用的なアイディアで権威あるユーロバイクのデザイン賞にも輝いた1着は通勤通学や夜間ライド、ブルベなどを安全に楽しみたい方にオススメだ。サイズはS、M、L、XLの4種類、カラーはブラックとマタドールのオーソドックスな2色に加え、女性専用設計を採用したスーパーピンク(サイズはXS、S、Mの3種類)の計3色が用意される。



SUGOi ZAPバイクジャケット
素 材:ピクセル ウーブン
カラー:ブラック、マタドール、スーパーピンク(女性専用設計)
サイズ:S、M、L、XL(スーパーピンクのみXS、S、M)
価 格:16,000円(税抜)

text:Yuya.Yamamoto
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