2014/05/31(土) - 09:16
5月25日(日)、北アルプスの山々を望みながら、自然豊かな安曇野を走りぬけた「アルプスあづみのセンチュリーライド」。今年で第6回目となる同大会に、約1,600名のサイクリストが集まった。今年も編集部の実走レポートをお届けします。
アルプスあづみのセンチュリーライド 160kmコース折返し地点の白馬ジャンプ競技場
ロングライドのハウツーやペダリング講座が好評の前日ウェルカムイベント
大会前日の土曜日のイベントが充実しているのもAACR(大会通称)のポイントだ。受付にやってきた参加者たちをまず迎えてくれるのが大会プロデューサーでもある鈴木雷太さん(BIKE RANCH代表)のウェルカムトークと「AACRここがポイント!! 」と題したコース攻略講座。シドニー五輪MTB-XC出場選手である雷太さんは選手時代より松本が気に入って住み着き、この地の魅力を多くの人に知ってもらいたいとこの大会をプロデュース。ホノルルセンチュリーライドなどに学んだノウハウでコースを設定した張本人なのだ。今年は白馬からの帰路を列車に乗って帰ってくる新設のサイクルトレインコースの説明もしてくれた。
鈴木雷太さんによるウェルカムトークではコース攻略のコツが語られた
竹谷賢二さんによる「ロングライドに効く!直前ペダリング講座」は大盛況
続いて竹谷賢二さん(スペシャライズド)による「ロングライドクリニック」。雷太さんとならびオリンピアンの竹谷さんだが、今はトライアスロンに没頭中。トレーニング本の執筆の多い理論派としても知られる竹谷さん。「ロングライドに効く!直前ペダリング講座」と題した2つの講座イベントは大人気の盛り上がりぶりだった。
そして「バイクライフがより楽しくなるバイクフィッティングのすすめ」と題した講座では冠スポンサーでもあるスペシャライズドが提案するボディージオメトリーフィットを、BGフィット日本総責任者の渡辺孝二さんが竹谷さんとのコンビでその施術の手順を分り易く解説した。
ボディジオメトリーフィット日本総責任者の渡辺孝二さんがそのコンセプトを易しく解説
大好評のスポーツアロマ・コンディショニングによるマッサージ
C3fitの試着会。明日の大会で試履することができた
ウエイブワンのブースでは、フェイスブック上のゆるキャラ「ウエイブニャン」の記念撮影パネルが・笑
松本在住で整体&トレーニングを行うスタジオコアの小澤康祐さんは、「サイクリストに知ってほしい、腰痛と膝痛の原因と解消法」と題して身体の痛みに対処する方法を教えてくれた。
AACRは人気の大会とあって初心者・入門者の参加が多いため、より楽に遠くまで走ることを可能にしてくれる講座への興味はとても高いものがあったようだ。
会場にはブース出展も多く、スペシャライズドによるTEST THE BEST試乗会、FELTやKUOTAの試乗会、サポーターのC3fitなども試着会を開催。実際に大会で使用できるモニターキャンペーンなども繰り広げていた。毎年好評のスポーツアロマ・コンディショニングによるマッサージはとくに人気で、明日の大会前に身体の不調を取り除いておこうという人が列を作った。
信州の雄大な自然を満喫した160kmコースを実走レポート
早朝5時、自転車を積んだ車や自走の参加者が続々とスタート/ゴール地点となっている梓水苑へと向かっていく。編集部員を乗せた車も、その列に並んで駐車場へと向かっていく。この北アルプス槍ヶ岳に源流を持ち、犀川へと流れ込んでいく梓川沿いにある梓水苑がアルプスあづみのセンチュリーライドのスタート/ゴール地点となっている。
数多くのサイクリストが集った
サポートライダーの皆さん
MCアケさんとsubMC ユウスケさんが会場を盛り上げる
列の最後尾を区切ってくれる大会スタッフ
大会スポンサーであるスペシャライズドのエアアーチがそびえるスタート地点周辺には、すでに第一スタートである160kmコース S組の参加者たちが陣取っている。S組に並ぶ自転車がスペシャライズドのレーシングタイヤ、S-WORKS TURBOの使用率が高いのは気のせいではない。S組は参加料にS-WORKS TURBO前後セットのお代が含まれており、事前に参加者へとタイヤが送られているのだ。
スタート地点では実業団大会などを中心に活躍するSports MC DJ PA Team REALに所属するMCアケさんとsubMC ユウスケさんが、スタートに向けて雰囲気を盛り上げてくれる中、誘導スタッフの的確な指示に従ってスタート待機列がどんどんと長くなっていく。
次々にスタートゲートをくぐる参加者たち
5時40分、S組のスタートが始まった。一斉にスタートするのではなく、4人ずつ20秒程度の間隔をおいてスタートしていく方式だ。こうすることで集団落車なども防ぐことができるし、地元の人の車の交通に与える影響も少なくすることができる。
色とりどりのサイクルジャージが並ぶ光景は、サイクリングイベントではおなじみだが、アルプスあづみのセンチュリーライドではその中でもいわゆる「痛ジャージ」に身を包む参加者が多いのが印象的。中には、ヘルメットにぬいぐるみをつけていたり、全身コスプレだったり、ディスクホイールにお気に入りのキャラクターのシートを貼った痛車で出場したりと、多くの猛者(?)が集っており、目を楽しませてくれる。
そんなバラエティ豊かな参加者達は、MC2人が軽妙なトークで盛り上げるスタートゲートをくぐりぬけ、次々とコースへと漕ぎだしていく。そんな様子をしばらく取材して、S組の最後尾でスタートしていく。スタートしてすぐに現れる短い登りをこなすと、まるで北海道のようにまっすぐな伸びる農道をひたすら走りぬける。
リンゴ畑を一直線に貫く農道
レッドブルガールがお出迎え
地元の銘菓「あずさ」と「湯多里饅頭」
リンゴ畑を貫く農道を快調に走っていくと、第1エイドの穂高エイドに到着。ここで配られるのは地元の銘菓「あずさ」と「湯多里饅頭」。「あずさ」はスポンジケーキをチョコレートコーティングしたお菓子で糖分補給には当分困らなさそう。レッドブルカーも出店しており、セクシーなレッドブルお姉さんたちに翼をもらって、次の大町エイドへと飛びだしていく参加者たち。
2つ目のエイドとなる大町エイドまでも、平坦基調の一本道。最後に少し直登区間があるものの、勾配もゆるくおおむねフラットといってよい程度。途中で一か所未舗装区間があるものの、短いので押して歩いてクリアできる程度。工事に伴う区間なので、来年はより快適に走ることができるだろう。ちなみに工事個所については事前に大会HPに情報公開されており、安全への真摯な姿勢がうかがえる。
信州名物「おざんざ」
おにぎりにネギ味噌付け放題
シマノブースではメンテナンスサービスを提供する
マッサージブースでコンディショニングも受けられる
さて、国営アルプスあづみの公園内に入り、500mほど森の中を走れば大町エイドに到着。ここまでで約40kmほど走っており、小腹も空いてくるサイクリストを迎えてくれるのが「ネギ味噌おにぎり」と「おざんざ」。つやつやに炊きあげられた白米のおにぎりに、用意されたネギ味噌を好きなだけ付けて食べられるネギ味噌おにぎりは大人気。おざんざは信州でのうどんやそばの総称で、このエイドでは納豆の酵素をつなぎに用いた麺が冷やしうどんとしてふるまわれた。つるっと喉越しよく食べられる、少し細めの麺が特徴的。
大町エイドには、他にもわらび餅や梅丹のエナジードリンクなども用意されている。しかし、食べ物だけでないのが大町エイド。シマノのメカニックブースや、マッサージブースなども用意され、もう少しで始まる上りに備えて人間、自転車共に調子を整えていくことができるのだ。
籠川沿いの上りをこなす参加者たち
みんなで記念撮影中!
トラブルが起きても、マヴィックのサポートがあるので安心
さて、そんな充実の大町エイドを後ろ髪引かれながらも出発していく。出口は苔むした下りのため、気をつけてほしい。エイドを出て、川にかかる橋に差し掛かる。澄み切った清流と鮮やかな新緑、遠くに見える冠雪の白馬連山が織りなすコントラストは圧巻で、参加者たちの足を止めるには十分すぎる迫力。
もちろん、編集部もしばし撮影タイム。記念撮影のお手伝いをしつつ、ちゃっかり取材カメラでも写真を撮らせていただく。ご協力ありがとうございます。10kmほど行くと、犀川の支流である籠川沿いの緩やかな登りが始まる。平均斜度3%ほどで、厳しい坂というわけではないのだが、地味に足にくるのでマイペースに登るのが吉。
大町温泉郷エイドへと曲がっていく
甘い焼きドーナツが嬉しい
たくさんのお漬け物が並べられる大町温泉郷エイド
大町エイドのおにぎりと合わせて食べるというテクニックもあります
続く大町温泉郷エイド(ひとつ手前の大町エイドとは違うエイドです)では、テント二つに漬物がこれでもかといわんばかりに並べられて、サイクリストを待ち受ける。きゅうり、キャベツ、大根、人参、エリンギ、セロリなどなど信州野菜を使ったいろんなタイプのお漬物と、野菜の和え物などがずらりと並び、まさに漬物バイキング。
先の大町エイドのおにぎりやおざんざ、そしてこの大町温泉郷エイドのお漬物、美麻エイドの蕎麦うす焼きや木崎湖エイドの赤飯饅頭や豆腐は、大町の魅力を伝えるNPO法人「ぐるったネットワーク大町」の皆さんが担当していて、心を込めて自慢の「地物」の補給食を用意してくれている。
そして大町温泉郷エイドにはもうひとつ、毎年来ている参加者にすっかりお馴染みの手作り洋菓子&カフェの「アン・マリーレ」さんによる「焼きドーナツ」が振舞われた。毎年ながら、ウィーンや軽井沢、小淵沢で修行した若きパティシエの心がこもった甘さが身に沁みる。
苦しみながらも坂道を登っていきます
途中にスペシャライズドエイドが出現。
さて、北大町からは高原地帯へと入っていく。神城・飯森あたりで再び国道148号線周辺に戻るまでは、続く坂に苦しめられるのだ。厳しいのが31号線の約4kmの登り坂。平均勾配は4.6パーセント。約67km地点の標高957mの峠がコース中最高標高地点だ。
坂の途中では、スペシャライズドのバンが緊急エイドステーションを開き、水やバナナを配ってくれる。坂に苦しめられた参加者にとっては、なによりもありがたい存在だっただろう。このころからは大分気温も上がってきており、上りでは汗ばむ陽気になってきた。
ユニークな食感の蕎麦うす焼き
峠を前に入念に打ち合わせ
美麻まで下ると、もう一度エイドステーションが待っている。美麻エイドでは蕎麦うす焼きがふるまわれる。見た目はクレープのようだが、食べてみると完全に蕎麦の風味で非常に面白い味の食べ物。一服して、折り返しの白馬へと向かっていく。
美麻を出て、美麻トンネルの迂回路である旧道に入ると、細く険しい峠道へと入っていく。九十九折れが出現する最大の難所では、女性ライダーを押すカップルがいたり、頂上で声援を送るチームメイトがいたりと各々の方法で助け合いながら頂上を目指すサイクリストの姿が美しい。
頂上で檄を飛ばす人も
こういう配慮がモテるサイクリストの秘訣。見習わせていただきます。(押す相手がいませんが。。)
シンプルイズベストを地でいく看板
そんな様子をファインダーに収めつつ上りきると、「峠」というシンプルこの上ない看板があり、そこが頂上であることを教えてくれる。ここまで来れば、あとは折り返し地点の白馬エイドまでは下りと平坦のみ。残雪の多い白馬連峰がこれまでよりも近くに迫り、八方尾根の白馬ジャンプ競技場のスキージャンプ台が見えてくれば、白馬エイドはもうすぐそこだ。
陸橋を越えるとスキージャンプ台が見えてくる
前日イベントから、スタート~白馬エイドまでお届けした前編はここまで。折り返しからゴールまでは後編にて紹介予定です。
text:Naoki.Yasuoka
photo:Makoto.AYANO Naoki.Yasuoka
フォトギャラリー(CW FaceBook)
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ロングライドのハウツーやペダリング講座が好評の前日ウェルカムイベント
大会前日の土曜日のイベントが充実しているのもAACR(大会通称)のポイントだ。受付にやってきた参加者たちをまず迎えてくれるのが大会プロデューサーでもある鈴木雷太さん(BIKE RANCH代表)のウェルカムトークと「AACRここがポイント!! 」と題したコース攻略講座。シドニー五輪MTB-XC出場選手である雷太さんは選手時代より松本が気に入って住み着き、この地の魅力を多くの人に知ってもらいたいとこの大会をプロデュース。ホノルルセンチュリーライドなどに学んだノウハウでコースを設定した張本人なのだ。今年は白馬からの帰路を列車に乗って帰ってくる新設のサイクルトレインコースの説明もしてくれた。
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そして「バイクライフがより楽しくなるバイクフィッティングのすすめ」と題した講座では冠スポンサーでもあるスペシャライズドが提案するボディージオメトリーフィットを、BGフィット日本総責任者の渡辺孝二さんが竹谷さんとのコンビでその施術の手順を分り易く解説した。
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AACRは人気の大会とあって初心者・入門者の参加が多いため、より楽に遠くまで走ることを可能にしてくれる講座への興味はとても高いものがあったようだ。
会場にはブース出展も多く、スペシャライズドによるTEST THE BEST試乗会、FELTやKUOTAの試乗会、サポーターのC3fitなども試着会を開催。実際に大会で使用できるモニターキャンペーンなども繰り広げていた。毎年好評のスポーツアロマ・コンディショニングによるマッサージはとくに人気で、明日の大会前に身体の不調を取り除いておこうという人が列を作った。
信州の雄大な自然を満喫した160kmコースを実走レポート
早朝5時、自転車を積んだ車や自走の参加者が続々とスタート/ゴール地点となっている梓水苑へと向かっていく。編集部員を乗せた車も、その列に並んで駐車場へと向かっていく。この北アルプス槍ヶ岳に源流を持ち、犀川へと流れ込んでいく梓川沿いにある梓水苑がアルプスあづみのセンチュリーライドのスタート/ゴール地点となっている。
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スタート地点では実業団大会などを中心に活躍するSports MC DJ PA Team REALに所属するMCアケさんとsubMC ユウスケさんが、スタートに向けて雰囲気を盛り上げてくれる中、誘導スタッフの的確な指示に従ってスタート待機列がどんどんと長くなっていく。
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色とりどりのサイクルジャージが並ぶ光景は、サイクリングイベントではおなじみだが、アルプスあづみのセンチュリーライドではその中でもいわゆる「痛ジャージ」に身を包む参加者が多いのが印象的。中には、ヘルメットにぬいぐるみをつけていたり、全身コスプレだったり、ディスクホイールにお気に入りのキャラクターのシートを貼った痛車で出場したりと、多くの猛者(?)が集っており、目を楽しませてくれる。
そんなバラエティ豊かな参加者達は、MC2人が軽妙なトークで盛り上げるスタートゲートをくぐりぬけ、次々とコースへと漕ぎだしていく。そんな様子をしばらく取材して、S組の最後尾でスタートしていく。スタートしてすぐに現れる短い登りをこなすと、まるで北海道のようにまっすぐな伸びる農道をひたすら走りぬける。
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2つ目のエイドとなる大町エイドまでも、平坦基調の一本道。最後に少し直登区間があるものの、勾配もゆるくおおむねフラットといってよい程度。途中で一か所未舗装区間があるものの、短いので押して歩いてクリアできる程度。工事に伴う区間なので、来年はより快適に走ることができるだろう。ちなみに工事個所については事前に大会HPに情報公開されており、安全への真摯な姿勢がうかがえる。
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さて、国営アルプスあづみの公園内に入り、500mほど森の中を走れば大町エイドに到着。ここまでで約40kmほど走っており、小腹も空いてくるサイクリストを迎えてくれるのが「ネギ味噌おにぎり」と「おざんざ」。つやつやに炊きあげられた白米のおにぎりに、用意されたネギ味噌を好きなだけ付けて食べられるネギ味噌おにぎりは大人気。おざんざは信州でのうどんやそばの総称で、このエイドでは納豆の酵素をつなぎに用いた麺が冷やしうどんとしてふるまわれた。つるっと喉越しよく食べられる、少し細めの麺が特徴的。
大町エイドには、他にもわらび餅や梅丹のエナジードリンクなども用意されている。しかし、食べ物だけでないのが大町エイド。シマノのメカニックブースや、マッサージブースなども用意され、もう少しで始まる上りに備えて人間、自転車共に調子を整えていくことができるのだ。
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さて、そんな充実の大町エイドを後ろ髪引かれながらも出発していく。出口は苔むした下りのため、気をつけてほしい。エイドを出て、川にかかる橋に差し掛かる。澄み切った清流と鮮やかな新緑、遠くに見える冠雪の白馬連山が織りなすコントラストは圧巻で、参加者たちの足を止めるには十分すぎる迫力。
もちろん、編集部もしばし撮影タイム。記念撮影のお手伝いをしつつ、ちゃっかり取材カメラでも写真を撮らせていただく。ご協力ありがとうございます。10kmほど行くと、犀川の支流である籠川沿いの緩やかな登りが始まる。平均斜度3%ほどで、厳しい坂というわけではないのだが、地味に足にくるのでマイペースに登るのが吉。
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続く大町温泉郷エイド(ひとつ手前の大町エイドとは違うエイドです)では、テント二つに漬物がこれでもかといわんばかりに並べられて、サイクリストを待ち受ける。きゅうり、キャベツ、大根、人参、エリンギ、セロリなどなど信州野菜を使ったいろんなタイプのお漬物と、野菜の和え物などがずらりと並び、まさに漬物バイキング。
先の大町エイドのおにぎりやおざんざ、そしてこの大町温泉郷エイドのお漬物、美麻エイドの蕎麦うす焼きや木崎湖エイドの赤飯饅頭や豆腐は、大町の魅力を伝えるNPO法人「ぐるったネットワーク大町」の皆さんが担当していて、心を込めて自慢の「地物」の補給食を用意してくれている。
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坂の途中では、スペシャライズドのバンが緊急エイドステーションを開き、水やバナナを配ってくれる。坂に苦しめられた参加者にとっては、なによりもありがたい存在だっただろう。このころからは大分気温も上がってきており、上りでは汗ばむ陽気になってきた。
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美麻まで下ると、もう一度エイドステーションが待っている。美麻エイドでは蕎麦うす焼きがふるまわれる。見た目はクレープのようだが、食べてみると完全に蕎麦の風味で非常に面白い味の食べ物。一服して、折り返しの白馬へと向かっていく。
美麻を出て、美麻トンネルの迂回路である旧道に入ると、細く険しい峠道へと入っていく。九十九折れが出現する最大の難所では、女性ライダーを押すカップルがいたり、頂上で声援を送るチームメイトがいたりと各々の方法で助け合いながら頂上を目指すサイクリストの姿が美しい。
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そんな様子をファインダーに収めつつ上りきると、「峠」というシンプルこの上ない看板があり、そこが頂上であることを教えてくれる。ここまで来れば、あとは折り返し地点の白馬エイドまでは下りと平坦のみ。残雪の多い白馬連峰がこれまでよりも近くに迫り、八方尾根の白馬ジャンプ競技場のスキージャンプ台が見えてくれば、白馬エイドはもうすぐそこだ。
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前日イベントから、スタート~白馬エイドまでお届けした前編はここまで。折り返しからゴールまでは後編にて紹介予定です。
text:Naoki.Yasuoka
photo:Makoto.AYANO Naoki.Yasuoka
フォトギャラリー(CW FaceBook)