関西のサイクリストにとって定番コースである琵琶湖を舞台とした「びわ湖一周ロングライド」。2回目の開催となった今大会には全国から1600名を超える参加者が集まった。今回は船での琵琶湖クルージング&湖畔サイクリング楽しめる「サイクルージング」に参加した様子を紹介しよう。

やさしい春の日差しのなか、琵琶湖を眺めながら走るやさしい春の日差しのなか、琵琶湖を眺めながら走る (c)Akihiro.Nakao

「びわ湖一周ロングライド」が開催されたのは春の足音が聞こえてきた3月17日。設定されたコースはロングライドコースとサイクルージングコースの2種類。ロングライドコースは長浜をスタートし、反時計まわりに琵琶湖大橋以北の北湖を一周する距離148.4kmのコース。

そして筆者が参加したサイクルージングコースは長浜から近江八幡まで船に自転車を積み込んでの琵琶湖クルーズの後、自転車にて長浜へ戻る距離37.6kmのコースだ。コースの途中には滋賀の特産品が楽しめるエイドステーションが設置されていた。ちなみに琵琶湖大橋以南、大津まで足を延ばすとびわ湖1周180kmとなる。

前日開催「サイクルフェスタ」を楽しむ
大会前日の受付と同時にサイクルフェスタを銘打ってメーカー試乗会とトークショーが開催された。
トークショーではゲストライダーを務めた三船雅彦さんや滋賀県知事の嘉田由紀子さん、フリーアナウンサーの羽川英樹さんらが登場してびわ湖および滋賀県の魅力を語った。プロ選手時代は自宅のある大阪から何度も練習に来ていた三船さんはまさに琵琶湖マイスター。羽川さんも自身の自転車で琵琶湖一周するほどの自転車好きとあって、充実した内容のトークショーとなった。

ゲストライダー三船雅彦さん(左)と羽川英樹さん(右)のトークショーゲストライダー三船雅彦さん(左)と羽川英樹さん(右)のトークショー ゆるキャラ「お江ちゃん」が登場ゆるキャラ「お江ちゃん」が登場


三船さんは「琵琶湖はショートカットができないため、トラブル対策やペース配分が大事」と参加者の皆さんにアドバイスしていた。
嘉田知事は「滋賀は観光地として有名ではないので、未知の観光スポットや方法を発掘していきたい」と自転車が観光の活性化に原動力になることを期待していると語った。
この後、壇上には戦国時代をモチーフとしたゆるキャラ「お江ちゃん」が登場し、和やかな雰囲気となった。

トークショーで話題となったのが、輪の国びわ湖推進協議会事務局が発行している「琵琶湖一周認定証」。湖岸沿いの施設に設置されたチェックポイントを4箇所以上チェックし、申請するとヨシ紙でできた特製「びわ湖一周サイクリング認定証」と毎年色違いの「びわ湖一周サイクリング認定ステッカー」がもらえる(有料)。詳細は輪の国びわ湖推進協議会事務局のホームページをチェックしてほしい。

キャノンデールジャパンのブースではスーパーシックスEVOとCAAD10の試乗ができたキャノンデールジャパンのブースではスーパーシックスEVOとCAAD10の試乗ができた 小径で折りたたみ式でも確かな走りのダホンが試乗できた小径で折りたたみ式でも確かな走りのダホンが試乗できた


会場ではキャノンデールやトレックの高級ロードバイク、ダホンの小径車などのブールも出展され、試乗もできた。発売直前だった9070デュラエースDi2も登場。注目を集めていた。


遊覧船&自転車で琵琶湖をめぐる「サイクルージング」コースを走る

「サイクルージング」コースのスタート地点である長浜港に参加した60人程の参加者。朝早くの出港だったが、朝日に照らされた美しい湖面を味わうことができた。今回乗船したのは琵琶湖汽船「megumi」という船で、2008年に「シップ・オブ・ザ・イヤー」を獲得している。船は琵琶湖汽船のスタッフによる琵琶湖の観光案内とともに進む。

船にはしっかりとした自転車ラックが設置船にはしっかりとした自転車ラックが設置 長浜からクルージングに出発長浜からクルージングに出発


まず、船は湖にある島々の一つである多景島(たけしま)に接近。クルージング中は琵琶湖汽船のスタッフによるアナウンスを聞きながら船は島には「南無妙法蓮華経」と彫られた「題目岩」や五箇条の御誓文が刻まれた「誓いの御柱」、「日蓮上人像」など歴史的な史跡を見ることができた。

コースの案内をするストラーダバイシクルズの井上寿代表コースの案内をするストラーダバイシクルズの井上寿代表 多景島に立つ史跡は見所の一つ多景島に立つ史跡は見所の一つ


次に向かったのは沖島。日本の淡水湖に島としては唯一、人々が生活を営む島で人口400人ほどの漁業の島だ。滋賀のお隣京都に住む筆者も改めて琵琶湖の規模の大きさを感じる機会となった。

出港から1時間半、長命寺港に到着し参加者は一路長浜へ走り出す。「サイクルージング」コースの先導役を務めてくださったのは滋賀の有力プロショップ、ストラーダバイシクルズ代表・井上寿さんら。コースとしてはビワイチで一番良い場所を走る美味しいコースだとか。

島巡りをしてから長命寺港に到着した島巡りをしてから長命寺港に到着した キッズライダーも参加キッズライダーも参加


長命寺港を出発して近江八幡キャンプ場あたりまでは緩いアップダウンが続くが、湖面から高い位置に道路があるため琵琶湖を見渡しながら走ることができた。参加者の中には親子で参加している方がおり、キッズライダーも懸命にアップダウンこなしていた。そして、アップダウンを抜けると琵琶湖らしい開放的な景色の農作地が一面に広がる。

しばらく走ると、「サイクルージング」コース唯一で湖岸緑地南三ツ谷公園に設置されたエイドステーションに到着。滋賀を拠点とする「たねや」のクッキーや近江牛コロッケ、シリアスな自転車乗りには嬉しい雑穀バーなどがふるまわれた。

開放的な景色の中でのびのびサイクリング開放的な景色の中でのびのびサイクリング 滋賀が本拠地「たねや」の最中がふるまわれた滋賀が本拠地「たねや」の最中がふるまわれた


ロングライド「ビワイチ」向けに雑穀バーの試食も行われたロングライド「ビワイチ」向けに雑穀バーの試食も行われた 湖岸の道は車が少なくて走りやすいが、長命寺周辺はアップダウンが多い湖岸の道は車が少なくて走りやすいが、長命寺周辺はアップダウンが多い


エイドステーションを後にし、ゆるキャラ「ひこにゃん」でおなじみ彦根に向かう。途中、交通量の少ない道を走ることがが多いので、子供連れの参加者やスポーツバイク初心者でも安心して走る事ができた。また、迷いやすいポイントには案内係の方が立っているので道に迷う心配は少ない。

湖北では風防林の松林を横目に走る湖北では風防林の松林を横目に走る 琵琶湖を眺めながら走るのは気持ちがいい琵琶湖を眺めながら走るのは気持ちがいい


彦根城に到着。彦根城は井伊直勝が1622年に築城し、現代まで天守が残っている12の城のうちの1つ。しかし、今回の目的は「ひこにゃん」に会うこと(笑)。周りの観光客のみなさんも目的は一緒なのか、天守閣前の広場は多くの人垣出来、ひこにゃんが登場すると愛らしい動きや手を振る仕草など一挙手一投足に歓声が挙る程の人気ぶり実物を見るとはまります。

彦根の町を見下ろす国宝彦根城に到着した彦根の町を見下ろす国宝彦根城に到着した ゆるキャラの代表「ひこにゃん」が登場ゆるキャラの代表「ひこにゃん」が登場


ひこにゃんに癒された後、彦根城から出発地点の長浜に向かい、ゆるキャラ「三成くん」がお出迎えしてくれる豊公園にゴール。気温は10度程度で特に、朝は寒かったものの快晴の中とても気持ち良くサイクリングすることができた。飲食ブースでは名物鹿カレーやおそば、ケーキ、甘酒の露店が出店されており、ちょうどお昼時にゴールとなるのでお腹を満たすのには最適であった。また、ロングライドコース参加者の中には早くもゴールしていたライダーもいた。

ゆるキャラ「三成くん」とハイタッチでゴールゆるキャラ「三成くん」とハイタッチでゴール
今回は琵琶湖の楽しみ方として遊覧船に乗ったり、ひこにゃんに会ったりとゆる~りとした楽しみ方が発見できた。

自転車乗りにとって琵琶湖と言えば「ビワイチ」(琵琶湖1周の俗称)というイメージがあるが、次に琵琶湖に来た時もゆるゆる観光地巡りを楽しんでみたい、びわ湖一周ロングライドはそんな風に思わせてくれるホッコリとしたイベントであった。

ゴール会場では飲食ブースでお出迎え 「秀吉さんの甘酒」が振舞われたゴール会場では飲食ブースでお出迎え 「秀吉さんの甘酒」が振舞われた 名物の「鹿カレー」を食べて、お疲れ様でした!名物の「鹿カレー」を食べて、お疲れ様でした!


text&photo:Akihiro.NAKAO

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