東北シクロクロスプロジェクトの東北シリーズは、スポーツランドSUGOを舞台にした第3戦が行われた。カテゴリー1でSUGOの泥地獄を制したのは丸山 厚(TEAM MASSA-ANDEX)だった。

長い担ぎセクション長い担ぎセクション photo:Satoshi Oda

昨シーズン、乗車率5%程度だった雪地獄、ディレーラーを壊さずに完走したバイクがわずか2台だった泥地獄と、たった2戦でSUGO=過酷を鮮明にライダーに印象づけたが、今回は一体どんな地獄がライダーたちを待っていたのだろうか?

粘土質の泥が酷いモトクロスエリア粘土質の泥が酷いモトクロスエリア photo:Satoshi Odaシューズにもまとわりつく粘土質の泥シューズにもまとわりつく粘土質の泥 photo:Satoshi Oda


メインとなる会場はスポーツランドSUGOのモトクロスコース。
スラロームラインをスタートして、いきなりバイクを降ろされる。その後アスファルトの坂を一気に登り、折り返しでその坂を下ってくる。その後砂利のエリアの緩やかな坂を下り再び折り返して登って来て、シケインを越えてさらに砂利の坂道を下る。
前日の「池本スクール」の参加者は上位に入る活躍を見せた前日の「池本スクール」の参加者は上位に入る活躍を見せた photo:Satoshi Odaモトクロスエリアを数度折り返したのち、急激な雑草エリアを担いで登って来る激しいアップダウンを繰り返すコースがオルガナイザーによって用意された。
さらには昨シーズン泥地獄のメインとなったミニモトエリアは泥、草、水とバリエーションに富んでおり、コース全長が2km弱ながらも1周で数10mの標高を獲得出来てしまう。

池本真也(和光機器-AUTHOR)と丸山厚(TEAM MASSA-ANDEX)の2名の選手をゲストライダーに迎え、試走可能な土曜日には恒例となったミニスクールが池本選手をインストラクターにして行われ、小雨まじりの中、試走に訪れた熱心なライダーたちは真剣な面持ちで池本選手の話に耳を傾けた。

レース当日の朝、コース脇の山によって日射しは遮られていたが、上空はすっきりと晴れ渡っており、奥羽山脈からは冷たい強い風が吹き付けてきていた。

スタートから独走でマスターズ優勝の富田道夫(シロクマカフェレーシング)スタートから独走でマスターズ優勝の富田道夫(シロクマカフェレーシング) photo:Satoshi Oda泥地獄のメインエリアは泥・草・水とバリエーションが増えた泥地獄のメインエリアは泥・草・水とバリエーションが増えた photo:Satoshi Oda


第1レースはマスターズとFemmeの混走。朝の試走時にただひとり泥詰まりすることなく、何度も試走ラップを繰り返していたレフティーに乗る江川(ANIMON with ぺだる小僧)がバイクの特性を生かし、独走するかと思えたが、スタート後飛び出したのは富田(シロクマカフェレーシング)だった。1周回目にコントロールラインを通過した富田、江川、伴(臼杵レーシング)の順番は結局ゴールまで変わる事はなかった。

femme優勝の綿貫通穂と2位の林口ゆきえ(ペダル小僧)femme優勝の綿貫通穂と2位の林口ゆきえ(ペダル小僧) photo:Satoshi Oda試走の時にただひとりディレーラーを壊してしまった宇野(Green SCT)は、無理矢理シングル化してレースに望んだが、思うように自転車が進まず苦戦したが、DNFする事なく最後まで完走。

Femmeは二人だけのエントリー、優勝はその後のレースでMCデビューした綿貫(臼杵レーシング)、もうひとりのエントリーはシクロクロスデビューの林口(ぺだる小僧)。
レース後、林口に話を聞くと「泥んこが楽しい!」とシクロクロスのツボにど真ん中ストライクでハマったようだ。最北のシクロクロス女子の誕生は喜ばしい。どんどん女子ライダー仲間を誘って東北のFemmeクラスを華やかにしていただきたい。

激しいスプラッシュをあげて疾走するC3ライダー激しいスプラッシュをあげて疾走するC3ライダー photo:Satoshi Oda第2レースはC3。柴田(showa racing factory)がファーストラップからリードを保つが、最終ラップに本人談「タレタレでした」と言うようにタレまくってしまい、朽木(subtleSworks)にトップを譲ってしまう。2位に柴田、3位に地元宮城の勝見となった。
このレース、スタート前に「激しいスプラッシュをあげた人はシクロワイアードに写真を掲載します!」と軽く餌を撒いてみたところ、全員がすばらしい男っぷりを見せてくれた。

続く第3レースは最高峰クラスのC1+C2。なかなかエントリー数が増えないため、それぞれ単独発走が出来ないが、残り2戦、全国からのC1、C2ライダーのエントリーを期待する。もはや東北シクロクロスの代名詞となった佐藤板長の仕込む「玉こん」を食べに来てみてはいかがだろう。

カテゴリー1は3人のデッドヒートの末、丸山 厚が勝利

C1は7名、C2は11名の発走となった。 スタートは池本真也(和光機器-AUTHOR)が飛び出してアスファルトの坂をトップで降りて来た、その後前田公平(Speedvagen Cyclocross Team)がトップに代わり、そのすぐ後に丸山厚(TEAM MASSA-ANDEX)がピッタリマーク、池本は徐々に遅れる。

C1優勝の丸山厚(TEAM MASSA-ANDEX)C1優勝の丸山厚(TEAM MASSA-ANDEX) photo:Satoshi OdaC1  2位の前田公平(SpeedvagenCyclocrossTeam)C1 2位の前田公平(SpeedvagenCyclocrossTeam) photo:Satoshi OdaC1第3位の池本真也(和光機器-AUTHOR)C1第3位の池本真也(和光機器-AUTHOR) photo:Satoshi Oda


C1表彰式C1表彰式 photo:Satoshi Oda2周目に前田がチェーンを落としてしまうメカトラにあい、その隙に丸山が逃げを打つ。前田が必死に追うが、差はつまる事なくむしろ開く一方。結局丸山は4人を周回遅れとし、2位となった前田に11周で約3分の差をつけて優勝。前週全日本選手権で表彰台に登れなかった悔しさを晴らせた。丸山に5分遅れてゴールした3位は池本。

レース後、丸山は初のSUGOでのレースの感想を「高低差を楽しめた」と語った。一方前田は全日本の後、乗っていなかったので身体は調子良かったが心拍をあげた状態で追い込みきれなかったとのこと。

C1より一足先に6周でゴールとなったC2では序盤に伊井(臼杵レーシング)がリードするも高校生ライダーの金子(TEAM TAMAGAWA)がトップに立つ。伊井はMTBエリートライダーの山西(HondaR&D埼玉県人)にも途中で抜かれてしまう。金子の優勝、そしてC1昇格かと思われたが、ゴールで山西が差し、逆転優勝。金子は悔しさを顔いっぱい滲ませる。なかなか粘れない伊井は3位。
なお、このレースの発走前には路面の状況は担ぎセクション以外は踏み固められ泥が引き締まり全体が乗車可能となりコースコンディションは良くなった。

C2優勝の山西 健司(HondaR&D埼玉県人)C2優勝の山西 健司(HondaR&D埼玉県人) photo:Satoshi OdaC3優勝の朽木聡(subtleSworks)C3優勝の朽木聡(subtleSworks) photo:Satoshi Oda


第4レースはチャレンジカテゴリーの一般男子とU14、U10、カデットのレースが行われた。カデットでは昨シーズン、泥がついて倍の重量となったバイクを引きずって周回しその姿に感激した辻浦圭一からジャージを受け取った子がたくましくなってSUGOに戻って来た。一般男子も全員が初のシクロクロス挑戦、なかなか思い通りに走れず苦しみながらも笑顔でレースを楽しんでいる様子だった。

U10とカデットのキッズも泥のレースを楽しむU10とカデットのキッズも泥のレースを楽しむ photo:Satoshi Oda昨シーズン、辻浦圭一ら周囲を感動させたキッズがたくましくなって激走昨シーズン、辻浦圭一ら周囲を感動させたキッズがたくましくなって激走 photo:Satoshi Oda


次戦は大和町総合運動公園を会場に宮城県自転車競技場をコースに組み入れて行われる。なかなかシクロクロスのバイクでバンクを走る機会など無いであろうから、貴重な体験が出来るかもしれない。次回も有名選手をゲストに迎えるべく調整中だ。
もちろん、東北シクロクロスになくてはならない玉コン、豚汁も板長によって振る舞われる。1レースで100サインアップを今シーズン達成するのが目標とのこと、各地からエントリーを期待する。きっと新たなる伝説が生まれる事だろう。

ゲストの池本 真也(和光機器-AUTHOR)らも豚汁を頬張るゲストの池本 真也(和光機器-AUTHOR)らも豚汁を頬張る photo:Satoshi Oda東北CX名物の「玉こん」が今回も振る舞われた東北CX名物の「玉こん」が今回も振る舞われた photo:Satoshi Oda


今後の日程
第4戦 1/20 宮城県大和町・大和総合運動公園
第5戦 2/24 宮城県村田町・スポーツランドSUGO

リザルト
C1

1位 丸山 厚(TEAM MASSA-ANDEX)
2位 前田 公平(SpeedvagenCyclocrossTeam)
3位 池本 真也(和光機器-AUTHOR)
4位 佐藤 利英(エルドラード)
5位 佐復 真人(WildBoars加波一族)
6位 伊藤 敦弘(チバポンズ川口農園)
C2
1位 山西 健司(HondaR&D埼玉県人)
2位 金子 楓(TEAM TAMAGAWA)
3位 伊井 賢一(臼杵レーシング)
C3
1位 朽木 聡(subtleSworks)
2位 柴田 航(showa racing factory)
3位 勝見 紀彦
M
1位 富田 道夫(シロクマカフェレーシング)
2位 江川 嘉宏(ぺだる小僧)
3位 伴 肇(臼杵レーシング)
F
1位 綿貫 通穂(臼杵レーシング)
2位 林口 ゆきえ(ぺだる小僧)

東北CX恒例、参加者の皆さんの集合写真東北CX恒例、参加者の皆さんの集合写真 photo:Satoshi Oda


text&photo:Satoshi Oda(Kasukabe Vision FILMz)